意見文の4コマ構成 ― 序論・理由1・理由2・結論を「4つの箱」で組み立てる
意見文を書かせると、理由が1つで終わる、途中で意見が変わる、結論がない……。紙を4つの箱に分けて、1箱1段落で組み立てると、複数段落の意見文の骨組みが見えるようになります。
- ⏱ 時間
- 50分×2コマ(計100分)
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 個人→ペア
- 🎯 技能
- ライティング
- 📶 CEFR
- A2-B1

- 意見と理由を、序論・本論・結論の複数段落で論理的に書く。
- 書く前に設計図を作り、書いた後に読み合って直す、という書く過程を体験する。
- 理由を具体例・体験・資料に基づく事実などで支え、読み手を説得する書き方を工夫する。
意見文の4コマ構成ってなに?
ひとことで言うと、英語の意見文を「序論(主張)→ 理由1 → 理由2 → 結論」の4つの箱に分け、まずキーワードだけで設計図を作ってから、1箱を1段落にして書く方法です。
序論は話題の紹介と自分の主張(thesis)、本論の2つの箱はそれぞれ理由と具体例、結論は理由のまとめと主張の言いかえです。
仕切りが4つあるお弁当箱です。仕切りがあると、ごはんとおかずが混ざらず、何がどこに入っているか一目でわかります。大事なのは、詰める前に「どの仕切りに何を入れるか」を決めること。意見文でも、書きはじめる前に4つの箱の中身(設計図)を決めておきます。
1段落の意見英作文とのちがい
| 1段落の意見英作文 | 4コマの意見文 | |
|---|---|---|
| 段落 | 1つ | 4つ(序論・本論1・本論2・結論) |
| 理由 | 1つでも形になる | 2つ。それぞれを具体例・体験・資料の事実などで支える |
| 書く前 | すぐ書きはじめることが多い | キーワードで設計図を作り、ペアに口頭で説明する |
やり方を3ステップで
- 設計図を作る:モデル文で段落の役割を確かめ、お題の立場を決めて、理由を3つ出して2つ選ぶ。4つの箱をキーワードで埋める。
- 説明して書く:設計図を見せながらペアに1分で説明し、理由と例のずれを確かめてから、1箱1段落で下書きする。
- 読み合って直す:2人に読んでもらい、構成 → 内容 → 言語の順に書き直す。何を直したかを1文で書く。
授業の流れ(分ごと)
1時間目(設計図と下書き)
| 時間 | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|
| 0:00〜10:00 | モデル文を読ませ、段落ごとの役割を考えさせる | 4段落に番号を振り、役割を答える |
| 10:00〜15:00 | 4コマの箱で整理(板書)、ルーブリックを配る | 箱の役割と評価の観点を確認 |
| 15:00〜20:00 | お題の提示・立場を決める | 賛否を決め、理由を3つ出して2つ選ぶ |
| 20:00〜30:00 | 設計図づくり(キーワードのみ) | 4つの箱を埋める |
| 30:00〜35:00 | ペアで設計図を説明し合う | 口頭で1分説明・質問を受ける |
| 35:00〜50:00 | 下書き | 1箱=1段落で書く |
2時間目(読み合いと書き直し)
| 時間 | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|
| 0:00〜5:00 | 書き直しの観点の確認(構成→内容→言語の順) | セルフチェック |
| 5:00〜20:00 | ピアレビュー(2人に読んでもらう) | 読んでコメントを書く |
| 20:00〜45:00 | 書き直し | コメントをもとに清書 |
| 45:00〜50:00 | 振り返り(何を直したか) | 変更点を1つ書く |

- モデルの分析:モデル文の各段落に番号を振り、「この段落の仕事は何?」と問う。序論の最後に主張がある、本論の最初の文が理由になっている、結論は主張の言いかえ、の3点を見つけさせる。
- 4コマの箱:A4 を4つに区切った箱を板書し、各箱の役割を書く。ルーブリックを先に配り、何ができれば A なのかを示す。
- 立場と理由:お題について賛否を決め、理由を3つ書き出してから、説得力のある2つを選ぶ。選んだ理由に、それぞれ具体例(体験・見聞・資料の事実など)を1つずつ。数字を使うなら、配った資料や教科書など出どころのわかるものから使い、出典を書く(数字を作らない)。
- 設計図:4つの箱をキーワードだけで埋める。文で書かない。主張(thesis)だけは1文で書いてよい。
- 口頭で説明:ペアで設計図を見せながら1分で説明。聞き手は「理由と例がずれていないか」を質問で確かめる。ここで構成の穴の多くが見つかります。
- 下書き:1箱を1段落にして書く。手書きでは段落の1行目を字下げする(パソコンで書くときは段落の間に空行を入れる形でもよい)。試験や提出先の指定があればそれに従う。
- ピアレビューと書き直し(2時間目):2人に読んでもらい、「主張に下線」「一番説得力のある例に◎」「わかりにくい所に?」をつけてもらう。直すのは構成→内容→言語の順。清書と一緒に、何を直したかを1文で書かせる。
お題(高1)
- Should high school students do volunteer work?
- Is it better for high school students to have a smartphone?
- Should students clean their own classrooms?
- Which is better for students, studying in the morning or at night?
- Should all students join a school club?
お題(高2〜高3・入試の自由英作文にも) 6. Should Japan have more holidays? 7. Is it a good idea for elementary school students to learn programming? 8. Should convenience stores be open 24 hours a day? 9. Do the advantages of online learning outweigh the disadvantages? 10. Should people be allowed to use AI to write school reports? 11. Is it better to work for a large company or a small company? 12. Should high school students have more PE classes?
序論の書き出しの型
- 話題の紹介:Today, many people ... . / Some people think ... , while others ... .
- 主張:I believe that ... because ... and ... .
結論の型
- In conclusion, ... and ... . For these reasons, I believe ... .
- That is why ... should ... .
- 小学校:扱わない。I like dogs. They are cute. のように「好きなもの+理由」の2文を絵とともに書く程度。
- 中学:3コマ(主張・理由1つ+例・結論)の1段落から。地域の高校入試の意見英作文の練習に。語数や文数の指定は地域・年度で大きく異なるので、最新の過去問の条件に合わせる。
- 高校:慣れたら第5の箱として「反対意見への反論(Some people may say ..., but ...)」を本論2と結論の間に加える。社会的な話題では、読んだ英文の情報を例として使わせる(According to the article, ...)。
- 大人数クラス:ピアレビューを「1人2本読む」に固定し、ローテーション表を事前に作っておく。先生は全員に詳しいコメントを書かず、ルーブリックの記号だけで返す。
- 苦手な生徒が多いクラス:4つの箱の中に書き出しの型を印刷し、キーワードを入れれば文になるワークシートにする。語数の目標は80語から。
- タブレット:共同編集の文書で下書き→コメント機能でピアレビュー。版の履歴で「どこを直したか」が残るので、振り返りや評価に使える。
- 知識・技能:意見・理由・例示・結論の表現と、段落の構成のしかたを理解して使える。
- 思考・判断・表現:主張を2つの理由と具体例で支え、読み手を説得するよう構成している。社会的な話題では、読んだ情報を根拠に使っている。
- 主体的に学習に取り組む態度:読み手を意識して伝わるように書こうとし、ピアレビューや振り返りで気づいたことを実際の書き直しに生かそうとしている。下書き・清書・変更点の記述は自己調整を見る資料の一つとし、1回の書き直しの有無ではなく、年間のいくつかの作文を通して見ます。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 構成 | 4段落の役割が明確。各段落の最初の文が段落の中身を示している | 4段落はあるが、段落の役割が一部あいまい | 段落分けがない、または結論がない |
| 内容 | 2つの理由が独立し、それぞれ具体的な例で支えられている | 理由は2つあるが、例が一般的・一方が弱い | 理由が1つ、または主張と合わない |
| 言語 | 多様なつなぎ言葉と語彙を使い、誤りがほとんど理解を妨げない | 基本的なつなぎ言葉を使い、誤りが一部理解を妨げる | 誤りが多く、意味がとりにくい |
- 理由1と理由2が同じことを言っている(お金が節約できる/お金がかからない) → 理由を3つ出してから2つ選ぶ段階を飛ばさない。ペアの説明で「その2つ、違う理由?」と質問させる。
- 序論が長く、主張がどこかわからない → 序論は2〜3文、主張は最後の1文、と決める。主張に下線を引かせる。
- 結論で新しい理由を持ち出す → 結論の役割は「まとめ」だと確認。新しい理由が浮かんだら、本論に移すか削る。
- 途中で意見が変わる(最後に「でも両方大事」) → 立場は最後まで1つ、とルール化。迷いを書きたい生徒には、第5の箱(反論への応答)を教える。
- 書き直しが誤字の修正だけで終わる → 直す順番を「構成→内容→言語」と板書し、ピアレビューでは文法の指摘をしない、と決める。
高校の学習指導要領の解説では、「英語コミュニケーションⅡ」などで、理由や根拠とともに複数の段落を用いて詳しく書いて伝える活動について、段落のつながりを示す語句などを取り上げ、序論・本論・結論を豊富なモデルを活用しながら書けるよう指導すること、書いて終わりにせず読み合って意見や感想を伝え合うことが示されています。説明文や論証文は序論・本論・結論の構成で書かれることが多いとも説明されています 1。
研究では、中国の大学の英語の授業で、文章の型(ジャンル)と書く過程(計画・下書き・推敲)を合わせて教える「プロセス・ジャンル・アプローチ」で意見文を指導したクラスは、従来の指導のクラスより全体の得点が伸び、特に内容と構成で伸びが大きく、6週間後のテストでも効果が保たれていました 2。4〜12年生(日本の小4ごろ〜高校)の作文指導の実験研究をまとめたメタ分析でも、計画・修正などの手順を明示的に教える方略指導(0.82)や、仲間の助け合い(0.75)、書く目標の具体的な提示(0.70)で文章の質への効果が大きく(英語を第二言語として学ぶ生徒を対象にした研究も一部含まれますが、日本の高校のような外国語としての英作文を直接調べたものではないので、一般化には注意が必要です)、モデル文を分析してその形を自分の作文に生かす指導(0.25)は比較的小さめでした。ただし、仲間の助け合いなど研究数の少ない項目の結果は、暫定的に受けとめる必要があります 3。
ポイント:設計図を見せながら口頭で1分説明する段階(手順5)は、書く時間を削っているように見えますが、構成の穴(理由の重なり、例のずれ)は書く前の方がずっと直しやすいのです。メタ分析では、この授業に含まれる要素のうち、計画・修正の手順を教える方略指導と、仲間との協働が、それぞれ別々の項目として大きな平均効果を示しました 3。この授業はそれらを組み合わせたもので、組み合わせた形そのものの効果を調べた研究ではありません。ただし上のプロセス・ジャンルの研究は大学生2クラスの準実験なので、高校で同じ効果が出るかは確かめられていません。
❓ よくある質問
Q. 意見文の「4コマ構成」とは何ですか?
A4を4つに区切った箱に、序論・理由1・理由2・結論の役割を割り当てます。まず箱をキーワードだけで埋めて設計図にし(主張だけは1文で書いてよい)、1箱を1段落にして書きます。序論は2〜3文で、主張は序論の最後の1文にします。
Q. 理由1と理由2が同じことを言ってしまうときは?
理由を3つ書き出してから、説得力のある2つを選ぶ段階を飛ばさないようにします。ペアで設計図を説明し合うときに、聞き手に「その2つ、違う理由?」と質問させると、重なりに気づけます。
Q. 書く前に、設計図を口頭で説明させるのはなぜですか?
理由の重なりや例のずれといった構成の穴は、書く前の方がずっと直しやすいからです。作文指導のメタ分析でも、計画・修正などの手順を明示的に教える指導の効果が大きく、モデル文を分析してその形を生かす指導は比較的小さめでした 3。
Q. 書き直しが誤字の修正だけで終わってしまいます。
直す順番を「構成→内容→言語」と板書し、ピアレビューでは文法の指摘をしないと決めます。読み手には「主張に下線」「一番説得力のある例に◎」「わかりにくい所に?」をつけてもらい、清書と一緒に何を直したかを1文で書かせます。
🎁 玉手箱で使えるツール
原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。
📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2018). 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編 公式ページ ✔ リンク確認済高校の科目構成(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ・論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)、「支援」の考え方、語数、授業は英語での趣旨を説明した公式の解説
- Huang, Y., & Zhang, L. J. (2020). Does a process-genre approach help improve students' argumentative writing in English as a foreign language? Findings from an intervention study. Reading & Writing Quarterly, 36(4), 339-364. doi:10.1080/10573569.2019.1649223 ✔ DOI照合済中国の大学。プロセス・ジャンル・アプローチで意見文の質(特に内容・構成)が伸び、6週間後も保たれた
- Graham, S., & Perin, D. (2007). A meta-analysis of writing instruction for adolescent students. Journal of Educational Psychology, 99(3), 445-476. doi:10.1037/0022-0663.99.3.445 ✔ DOI照合済4〜12年生の作文指導のメタ分析。文の結合(sentence combining)は 0.50、文法の単独指導は -0.32
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





