意見の線(Agree/Disagree ライン) ― 立ち位置で意見を見せてから話す
教室の端から端に「賛成〜反対」の線を想定し、自分の考えの位置に立つ。意見がはっきり見えるので、「なぜそこに立ったの?」から自然にやり取りが始まります。
- ⏱ 時間
- 12-15分
- 🧰 準備
- なし
- 👥 形態
- 全体→ペア
- 🎯 技能
- スピーキング・やり取り
- 📶 CEFR
- A2-B1

- 意見とその理由を英語で言う練習を、全員が同時に行う。
- 自分とちがう意見を聞き、理由を比べる経験をさせる。
意見の線ってなに?
ひとことで言うと、教室の端から端に「強く賛成 〜 強く反対」の線があると考え、お題に対する自分の考えの位置に立ってから、近くの人・遠くの人と英語で理由を伝え合う活動です。
温度計のめもりです。「賛成か反対か」の二択ではなく、「どのくらい賛成か」を目に見える位置で表します。大事なのは、立った位置がそのまま話のきっかけになること。「なぜそこに立ったの?」から、理由のやり取りが始まります。
ミニ・ディベートとのちがい
| ミニ・ディベート | 意見の線 | |
|---|---|---|
| 立場 | くじで肯定・否定を決める(本当の意見とは別) | 自分の本当の考えで立つ。真ん中もOK |
| 話す相手 | 3人組(肯定・否定・審判) | 近くの人 → 線を折り返して遠くの人 |
| 終わり方 | 審判が判定する | 考えが変わったら動いてよく、その理由を書く |
やり方を3ステップで
- 考えて立つ:お題を見て理由を1つメモし(1分)、線の上の自分の位置に立つ。
- 近く → 遠く:近くの人と理由を言い合い、次に線を折り返して、できるだけ離れた位置の人とペアで話す。相手の理由を要約して確かめる。
- 動いて記録:考えが変わったら移動し、席に戻って相手の理由と自分の考えの変化を書く。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜1:00 | お題の提示 | 黒板の左右に Agree / Disagree |
| 1:00〜2:00 | 1人で考える・メモ | キーワードで理由1つ |
| 2:00〜3:00 | 線の上に立つ | 真ん中もOK |
| 3:00〜5:00 | 近くの人と話す | 同じ意見の仲間と理由を出し合う |
| 5:00〜9:00 | 線を折り返して遠くの人と話す | 反対の立場とペア |
| 9:00〜10:00 | 動いてもいいタイム | 動いた理由を聞く |
| 10:00〜13:00 | 着席・ワークシートに記録 | 考えの変化を書く |

- お題を出す:例 "Junior high school students should have smartphones." 黒板の左端に Strongly agree、右端に Strongly disagree と書く。床にテープを貼るか、机を後ろに寄せて通路をつくる。
- 考える(1分):自分の立場と理由を1つ、ワークシートにキーワードでメモ。
- 線の上に立つ(1分):自分の考えに合う位置へ移動。真ん中もOK。移動がむずかしい生徒や、立場を人前で見せたくない生徒は、席で1〜5の数字カードを示す・先生にだけ伝える、などの方法を選んでよい(立場を変えないことも、理由を言わずに聞く側にまわることも認める)。
- 近くの人と話す(2分):近くに立った2〜3人で理由を言い合う。I agree because ... .
- 遠くの人と話す(4分):線を半分に折る。Strongly disagree 側の端の人から順に、線にそって Strongly agree 側へ歩き、残りの半分の列と向かい合って並ぶ(Strongly agree の端の人の前に、Strongly disagree の端の人が来る)。向かい合った2人がペア。人数が奇数で1人余ったら、となりのペアに入って3人組にする。席で数字カードを示した生徒は、席の近くでカードの数字がちがう生徒と組むか、先生と組む。意見が片側に偏って反対の立場の人がいないときは、「できるだけ離れた位置の人」と組み、相手には「反対の人ならどんな理由を言うと思う?」も考えてもらう。理由を伝え、相手の理由を要約して確かめる。
- 動いてもいい(1分):考えが変わったら移動。何人かに "Why did you move?" と聞く。
- 記録(3分):席に戻り、相手の理由と自分の考えの変化を書く。
中学向け
- Junior high school students should have smartphones.
- Homework is necessary.
- School lunch is better than a packed lunch from home.
- Summer vacation should be longer.
- Dogs are better pets than cats.
- It is better to live in a city than in the country.
高校向け 7. High school students should be allowed to have part-time jobs. 8. Schools should start at 10:00. 9. Everyone should learn a foreign language. 10. Online classes are as good as face-to-face classes. 11. Plastic bags should be banned. 12. AI will make our lives better.
- 小学校:「夏と冬、どっちが好き?」を教室の左右に分かれて。理由は Because it's hot/fun. の一言で十分。
- 中学:I think ... because ... . の型を板書。理由は「自分の経験」から言うと話しやすい。
- 高校:教科書の論説文の主張をお題に。反対側の人の理由を1つ要約して言う(You think ... because ..., right?)ルールを足す。
- 大人数クラス:教室で40人が並べないときは、線の代わりに「1〜5の数字カード」を掲げさせ、同じ数字・ちがう数字の人とペアを作る。
- 苦手な生徒が多いクラス:理由の例を3つ板書しておき、選んで言えばよいことにする(It's useful. / It's expensive. / It's dangerous.)。最初は近くの人と話すだけで終えてもよい。
- オンライン・タブレット:ホワイトボードに線を描き、自分の名前の付箋を置かせる。その配置を見ながらペアを作る。
- 知識・技能:I agree/disagree because ... などの表現を使って、意見と理由を言えているか。
- 思考・判断・表現:理由に具体例を加えたり、相手の理由を要約して応じたりしているか。ワークシートで考えの変化を理由とともに書けているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:相手に配慮して伝えようとし、振り返りをもとに理由の言い方や伝え方を調整しようとしているか。この活動中の行動だけで評定せず、単元を通して観察して記録します(1回の活動では形成的な評価(様子を見て次の指導に生かすもの)にとどめる)。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 意見と理由 | 理由に具体例を加えて述べる | 意見と理由を1つ言える | 意見だけ・理由がない |
| 応答 | 相手の理由を要約し、自分の考えを返す | 相手の理由に一言反応する | 促しがあれば、相手の理由に反応できる |
| ふり返り | 考えの変化(または変わらない理由)を書ける | 相手の理由を書ける | 記録がない |
聞く側を選んだ生徒には、この日は「応答」欄を当てはめません。ワークシートに書いた相手の理由は、聞いて理解できたかの確認に使います(話す力の代わりにはなりません)。話すこと[やり取り]の力を記録する必要があるときは、先生との1対1のやり取りや、少人数で話す別の時間など、実際に口で応じる場をつくって見ます。
- お題が重すぎて沈黙したら → 個人の事情に深く関わる話題は避ける。身近で、どちらの立場もとれるお題を選ぶ。
- 真ん中に人が集まったら → 真ん中も立派な立場です。言える人には「条件しだい(It depends on ...)」「まだ決められない(I'm not sure because ...)」の理由を言ってもらう。言わずに聞く側にまわる選択も認める。
- 少数派が孤立したら → 本人の同意なく名指しで取り上げない。3人組にする、先生が話し相手になる、全体のまとめで先生が「こういう理由も考えられるね」と匿名で別の理由を紹介する、などで安心して参加できるようにする。
- 移動でざわついて時間がかかったら → 机を動かさず、通路1本を線にする。移動は「1分以内」とタイマーで区切る。
- 反対意見が口げんかになりそうなら → 「人ではなく理由に反対する」約束と、That's a good point, but ... の型を教えておく。
意見をいきなり英語で言うのは、とても負担が大きい作業です。話す前に準備の時間をとると、とくに流暢さが上がることは多くの研究で一貫していて、文の複雑さや正確さへの効果は条件しだいとまとめられています 1。準備の効果をまとめた最近のメタ分析でも、準備は話すことにはっきりした効果があると結論づけられています 2。「メモ→立つ→話す」の順番は、この準備の時間を活動の中に組みこむ工夫です。
また、英語で話そうとする気持ち(WTC:Willingness to Communicate)は、能力だけでなく、その場の状況や相手によって変わるものと考えられています 3。日本の大学生297人の研究では、英語で話す自信が WTC につながるという関係が示されました 4。そこでこの活動では、同じ意見の人が近くにいて、まず「味方」と話せる順番にして、自信のない生徒が口を開きやすい状況をつくることをねらいます。ただし、この順番そのものの効果を直接調べた研究は見当たらず、WTC の研究から考えた実践上の工夫です。
❓ よくある質問
Q. 意見の線(Agree/Disagree ライン)の進め方は?
黒板の左端に Strongly agree、右端に Strongly disagree と書きます。1分で理由を1つメモし、線の上の自分の位置に立ちます(真ん中もOK)。近くの人と理由を言い合ったあと、線を半分に折り(Strongly disagree 側の端の人から線にそって歩き、残りの半分の列と向かい合う)、できるだけ離れた位置の人とペアになり(意見が偏ったときは、反対の人が言いそうな理由も考えます)、相手の理由を要約して確かめます。
Q. どんなお題が向いていますか?
身近で、どちらの立場もとれるお題を選びます(例:"Junior high school students should have smartphones.")。個人の事情に深く関わる重いお題は、沈黙につながるので避けます。
Q. 真ん中に人が集まったり、少数派が孤立したりするときは?
真ん中も立派な立場なので、言える人には「条件しだい」「まだ決められない」の理由を言ってもらい、言わずに聞く側にまわることも認めます。少数派が孤立したら、本人の同意なく名指しせず、3人組にする・先生が話し相手になる・匿名で別の理由を紹介する、などで支えます。口げんかになりそうなら「人ではなく理由に反対する」約束と That's a good point, but ... の型を教えておきます。
Q. 最初に同じ意見の人と話させるのはなぜですか?
英語で話そうとする気持ち(WTC)は、その場の状況や相手によって変わると考えられています 3。まず同じ意見の「味方」と話せる順番にするのは、自信のない生徒が口を開きやすい状況をつくるねらいです(この順番そのものの効果を調べた研究ではなく、WTC の研究から考えた工夫です)。話す前にメモの時間をとるのも、流暢さを上げる準備の工夫です 1。
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📑 出典(4件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Ellis, R. (2009). The differential effects of three types of task planning on the fluency, complexity, and accuracy in L2 oral production. Applied Linguistics, 30(4), 474-509. doi:10.1093/applin/amp042 ✔ DOI照合済リハーサル・事前の準備・話しながらの準備の3種類の研究をまとめた総説。どれも流暢さにはプラス、複雑さ・正確さは条件しだい
- Johnson, M. D., & Abdi Tabari, M. (2022). Task planning and oral L2 production: A research synthesis and meta-analysis. Applied Linguistics, 43(6), 1143-1164. doi:10.1093/applin/amac026 ✔ DOI照合済話す前の準備(プランニング)の効果をまとめた研究統合とメタ分析
- MacIntyre, P. D., Clément, R., Dörnyei, Z., & Noels, K. A. (1998). Conceptualizing willingness to communicate in a L2: A situational model of L2 confidence and affiliation. The Modern Language Journal, 82(4), 545-562. doi:10.1111/j.1540-4781.1998.tb05543.x ✔ DOI照合済第二言語の WTC(話そうとする気持ち)をピラミッド型のモデルで示した論文
- Yashima, T. (2002). Willingness to communicate in a second language: The Japanese EFL context. The Modern Language Journal, 86(1), 54-66. doi:10.1111/1540-4781.00136 ✔ DOI照合済日本の大学生297人で WTC を調べ、「国際的志向性」が動機づけと WTC につながることを示した研究
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





