Think-Pair-Share ― 「考える→ペアで話す→全体で共有」で答えやすい教室に
先生の発問に、いきなり当てない。まず1人で考え、ペアで英語にしてから、全体で共有する。3段階にすると、全員に考える時間とペアで試す機会ができ、全体でも答えやすくなります。
- ⏱ 時間
- 5-8分
- 🧰 準備
- なし
- 👥 形態
- 個人→ペア→全体
- 🎯 技能
- スピーキング・やり取り
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 発問に対して、全員が自分の答えを持ち、英語で言う機会をつくる。
- いきなり全体の前で答える不安を下げ、答えやすい教室にする。
Think-Pair-Share ってなに?
ひとことで言うと、先生の発問に対して、まず1人で考え(Think)、次に隣の人と話し(Pair)、最後に全体で発表する(Share)、という3段階の答え方の型です。
いきなり「わかる人?」と聞くと、手を挙げるのはいつも同じ数人です。Think-Pair-Share では、全員が自分の考えを持つ時間と、それを一度ペアで英語にしてみる機会をはさんでから、全体で共有します。特別な準備はいらず、教科書のさまざまな発問(とくに答えが1つでない問い)に使える「型」です。
会議でいきなり「意見のある人?」と言われるより、「まず1分メモして、隣の人と話してから発表」と言われた方が、ずっと話しやすいのと同じです。大事なのは、考える時間と小さな場での試しを、全体の前で話す前にはさむことです。
似た活動とのちがい
| ふつうの一斉発問 | Think-Pair-Share | ジグソー | |
|---|---|---|---|
| 考える時間 | ほとんどない | Think で全員にある | グループで調べる時間がある |
| 話す相手 | 先生とクラス全体 | まずペア、そのあと全体 | 分担した内容を別グループに教える |
| かかる時間 | 1分 | 5〜8分 | 30〜45分ほど |
やり方を3ステップで
- Think:答えが1つでない問いを板書し、30秒〜1分、黙って1人で考えてキーワードをメモする。
- Pair:隣の人と英語で答えを言い合い、相手の考えのよいところを1つ見つける。
- Share:何人かが全体で発表する(相手の考えの紹介でもよい。指名のしかたは先に伝え、パスも認める)。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜0:30 | 発問 | 答えが1つでない問いを板書 |
| 0:30〜1:30 | Think(1人で考える) | 黙ってメモ。サインで段階を示す |
| 1:30〜3:30 | Pair(ペアで話す) | 英語で1回は言う |
| 3:30〜6:00 | Share(全体で共有) | ルーレットで指名(パスもOK)、相手の考えの紹介もOK |
| 6:00〜7:00 | 先生のまとめ | 良い表現を板書 |

- 発問する:教科書の本文などから、答えが1つでない問いを選び、板書する。例 "Why did the boy keep the letter?"
- Think(30秒〜1分):黙って1人で考える。ワークシートにキーワードを書く。Think のサインを掲示。
- Pair(1〜2分):隣の人と英語で答えを言い合う。相手の答えの良いところを1つ見つけ、メモする。
- Share(2〜3分):何人かに発表してもらう。自分の答えだけでなく「相手の答え」を紹介してもよい(My partner thinks ... .)。挙手がなければルーレットで指名。ルーレットを使うことは最初に予告し、「パス(あとで答える)」「ペアの代表として2人で答える」「メモを先生が読み上げる」も選べるようにしておく。
- 先生がまとめる:出てきた答えを板書し、良い表現をほめる。
本文の理解を深める(中学〜高校)
- Why did ... do that?
- How did ... feel at that time? Why?
- What would you do if you were ...?
- What is the most important sentence in this part? Why?
- What do you think happens next?
- Choose a good title for this story.
意見を問う 7. Do you agree with the writer? Why or why not? 8. Which is better, A or B? Why? 9. What can we do to solve this problem?
ふり返り・小学校 10. What did you learn today? 11. What's this?(シルエットクイズ、小学校) 12. Which picture do you like the best? Why?
- 小学校:シルエットクイズで、30秒考えてペアで相談→全体で答える。日本語の相談もOKにして、答えだけ英語で言う。
- 中学:教科書の Q&A の前に入れる。答えの型(I think ... because ...)を板書しておくと Pair が英語で進む。
- 高校:意見を問う発問で、Pair のあとに「4人で一番説得力のある答えを1つ選ぶ(Square)」段階を足す。
- 大人数クラス:Share で挙手を待たず、ルーレットや番号くじで当てる。Pair で練習ずみなので、当てられても答えやすくなる。ただし、強い不安や吃音・場面緘黙などで全体の前で話すのが難しい生徒もいるので、パスやペアでの回答を認め、必要に応じてランダム指名をその生徒には使わない。
- 苦手な生徒が多いクラス:Think の時間を長め(1分)にし、答えの書き出し(I think ... because ...)をワークシートに印刷しておく。Share は「相手の考えの紹介」から始めると気が楽になる。
- オンライン・タブレット:Think は個人で、Pair はブレイクアウトルーム1分、Share はチャットに一斉投稿。全員の答えが一覧になる。
帯活動ではなく、授業中の要所の発問(答えが1つでない問い)で必要に応じて使う「型」なので、点数は日常的にはつけず、ワークシートの記録を学期に数回見ます。
- 知識・技能:I think ... because ... などの表現を使って考えを英語で言えているか。
- 思考・判断・表現:本文の内容にもとづいて理由を述べているか。相手の考えとくらべているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:この活動1回だけでは評定の資料にしません。相手の考えを聞いて自分の説明を見直したり、ふり返りをもとに次の伝え方を選んだりしているか(粘り強さと、やり方の調整)を、何回かの記録で見ます。
下の表は中学・高校向けの、活動中の様子を見るための目安(形成的な評価の例)で、観点別評価の公式の規準ではありません。小学校では、外国語活動(3・4年)は数値の評定をせず文章で記述し、外国語科(5・6年)も単元の目標に合わせて観察し記録します。
| 見るところ | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 考え | 本文にもとづく理由つきの考えを持つ | 考えはあるが理由がない | 考えが書けない |
| ペアでの英語 | 自分と相手の考えを英語で言い合う | 自分の考えを英語で言う | 日本語で考えを話し、英語は先生やペアの助けで1文言う |
| 記録 | 新しく聞いた考えもメモしている | 自分の考えだけメモ | 記録がない |
- Think の時間をとばしたくなったら → すぐにペアにすると、得意な生徒の答えを聞くだけになりがち。黙って考える時間を必ずとる。
- Pair が日本語の雑談になったら → 「答えの文を英語で1回は言う」を最低ラインにし、先生は机の間を回りながら「英語でどうぞ」と声をかける。
- Share がいつも同じ生徒になったら → 挙手制だけだと発表者が固定する。ルーレット指名と「相手の意見の紹介OK」を組み合わせる。指名方法は事前に伝え、パスやペアでの回答も認める。
- 発問が簡単すぎて Pair が10秒で終わったら → Yes/No で答えられる問いではなく、Why? や What would you do? の問いを選ぶ。
- 時間がかかりすぎるときは → Share は3〜4人まで。残りの考えはワークシートで回収して次の時間に紹介する。
アメリカの教育研究者 Mary Budd Rowe 氏が1986年にまとめた「待ち時間(wait time)」の研究では、当時の教室(理科の授業の研究が中心)で、先生は質問のあと、生徒が答え始めるまでふつう1秒未満しか待っておらず、生徒が話し終えたあとも、1秒未満で反応したり次の質問をしたりすることが多い、とされています。この論文は、質問のあと(wait time 1)と生徒の答えのあと(wait time 2)の両方で間をとることの意義と、それを身につける研修のやり方を論じています 1。Think の段階は、この待ち時間をクラス全員に保証するしかけです。
Pair の段階は、全体で言う前の準備になります。話す前の準備の研究をまとめた総説では、同じ課題を一度やってからもう一度やる「リハーサル(課題のくり返し)」、課題の前の準備、話しながらの準備の3種類は、いずれも研究全体として流暢さにプラスでした 2。Pair で言った答えを Share でもう一度言う場合は、この「くり返し」に近い準備になります。ただし Think-Pair-Share そのものを調べた結果ではありません。さらに、情報を交換しないと解けないタスクでは、先生対クラス全体よりも、ペアや小グループの方が聞き返しや言い直しなどのやり取りが多く起きた、という古典的な研究もあります 3。この研究では、情報の交換が「必要な」タスクであることが大きな条件でした。意見を言い合うふつうの Think-Pair-Share で同じことが起きるとは限りませんが、Pair の段階で「聞き返してよい」と伝え、答えを確かめ合う場にするのが筆者のおすすめです。
❓ よくある質問
Q. Think-Pair-Share は、どう進めますか?
答えが1つでない問いを板書し、Think(30秒〜1分、黙って1人で考えキーワードをメモ)→ Pair(1〜2分、隣の人と英語で答えを言い合う)→ Share(2〜3分、何人かが全体で発表)の順に進めます。最後に先生が出てきた答えを板書し、良い表現をほめます。
Q. Think の時間は、本当に必要ですか?
必要です。すぐにペアにすると、得意な生徒の答えを聞くだけになりがちです。1986年にまとめられた研究では、当時の教室で、先生は質問のあと、生徒が答え始めるまでふつう1秒未満しか待っていなかったとされます。この論文は、質問のあとと生徒の答えのあとに間をとる「待ち時間」の意義を論じています 1。Think は、この待ち時間を全員に保証するしかけです。
Q. Share で、いつも同じ生徒が発表します。
挙手制だけだと発表者が固定するので、ルーレットや番号くじで指名します。Pair で一度英語にしているので、当てられても答えやすくなります。指名の方法は先に伝え、パスやペアの代表としての回答も認めます。自分の答えだけでなく、My partner thinks ... . と相手の答えを紹介してもよい、とすると気が楽になります。
Q. Pair が10秒で終わってしまいます。
発問が簡単すぎるサインです。Yes/No で答えられる問いではなく、Why? や What would you do? の問いを選びます。中学なら答えの型(I think ... because ...)を板書しておくと、Pair が英語で進みます。
Q. ペアで話してから全体で言うと、何がよいのですか?
Pair が、全体で言う前の準備になります。課題のくり返し・事前の準備・話しながらの準備は、研究全体として流暢さにプラスだったという総説があります(Think-Pair-Share そのものの研究ではありません) 2。情報を交換しないと解けないタスクでは、先生対クラス全体よりペアや小グループの方が、聞き返しなどのやり取りが多く起きたという研究もあります 3。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Rowe, M. B. (1986). Wait time: Slowing down may be a way of speeding up!. Journal of Teacher Education, 37(1), 43-50. doi:10.1177/002248718603700110 ✔ DOI照合済発問後の「待ち時間」がふつう1秒未満であることと、待つことの効果をまとめた論文
- Ellis, R. (2009). The differential effects of three types of task planning on the fluency, complexity, and accuracy in L2 oral production. Applied Linguistics, 30(4), 474-509. doi:10.1093/applin/amp042 ✔ DOI照合済リハーサル・事前の準備・話しながらの準備の3種類の研究をまとめた総説。どれも流暢さにはプラス、複雑さ・正確さは条件しだい
- Doughty, C., & Pica, T. (1986). "Information gap" tasks: Do they facilitate second language acquisition?. TESOL Quarterly, 20(2), 305-325. doi:10.2307/3586546 ✔ DOI照合済情報交換が「必須」のタスクほど、聞き返し・言い直しなどの会話の調整が多く起きることを示した古典的研究
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






