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パラフレーズ・チャレンジ ― 同じ意味を「別の英語」で言う5つの技

「言いたい単語が出てこない」「本文を写すな、と言われても書き方がわからない」。その両方に効くのが言いかえ(パラフレーズ)です。5つの技を1つずつ練習し、ペアで「意味は同じ?写してない?」を判定し合います。

⏱ 時間
15-25分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人→ペア→班
🎯 技能
ライティング・語彙・文法・スピーキング
📶 CEFR
A2-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
パラフレーズ・チャレンジ ― 同じ意味を「別の英語」で言う5つの技のイメージ
💡ねらい
  • 同じ意味を別の語・構文で表す方法(類義語・品詞・態・構文・やさしい説明)を身につける。
  • 言いかえた文が元の文と同じ意味かを、自分とペアで確かめる力を育てる。
  • 要約・引用・会話で言葉に詰まったときに、言いかえを使えるようにする(他の人の資料を言いかえて使うときも、出典は必ず示す)。

パラフレーズってなに?

ひとことで言うと、元の文と同じ意味を、別の単語や別の文の形で言い直すことです。

🎈たとえるなら

同じ目的地に、別の道を通って行くようなものです。目的地(意味)は変えずに、道(単語や文の形)を変えます。近道のつもりで別の場所に着いてしまうと失敗です。The test was difficult. を impossible にすると、意味が強くなりすぎて「ちがう場所」に着いてしまいます。着く場所(意味)がずれていないかを確かめるのが大事です。

似た活動とのちがい

パラフレーズ 要約 和訳
長さ・情報 決まっていない(元の情報やくわしさは保つ) 情報を選んで、元より短くする 元の文と同じ内容
ことば 英語 → 英語 英語 → 英語(または日本語) 英語 → 日本語
目的 同じ意味を別の言い方で表す 大事な点をまとめる 意味を日本語で表す

やり方を3ステップで

  1. 言いかえる:指定された技(類義語・品詞・態・構文・やさしい説明)で、英文を言い直す。
  2. 判定する:ペアで交換し、「意味は同じ?」「元の文の語句をそのまま借りすぎていない?」に○×をつける。
  3. 選ぶ:班で言いかえを比べ、いちばん良いものとその理由を言葉にする。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜3:00 なぜ言いかえが必要か(要約・会話・入試)を問いかける 考えを出す
3:00〜8:00 5つの技を例文で紹介 表を見て、例を音読
8:00〜15:00 Challenge(6文)を個人で 指定の技で言いかえる
15:00〜19:00 ペアで交換・判定(意味/写し) ○×と一言コメント
19:00〜23:00 班で「ベスト言いかえ」を1文ずつ選ぶ 選んで理由を説明
23:00〜25:00 全体共有・振り返り 発表・記入
パラフレーズ・チャレンジ ― 同じ意味を「別の英語」で言う5つの技の教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 必要性を感じさせる:「本文を写さずに要約するには?」「会話で単語が出てこないときは?」と聞く。どちらも答えは「言いかえ」だと気づかせる。
  2. 5つの技の紹介:ワークシートの表で1つずつ例を示す。先生は「意味が変わってしまう悪い例」も1つ見せる(The test was difficult. → The test was impossible. は意味が強くなりすぎ)。
  3. 個人で挑戦:Challenge の6文を、指定された技で言いかえる。辞書・類義語ツールの使用は可。ただし、言いかえの自動ツールは使わない。
  4. ペア判定:交換して、2つの観点で○×をつける。①意味は同じか(強さ・時制・誰が何をしたかが変わっていないか)②元の文の特徴的な語句や文の形を、変えられるのにそのまま借りすぎていないか。×の場合は理由を一言書く。②で迷ったら、「元の文と同じ語が3語以上続いていたら、そこを残す必要があるか考える」を注意の目安にします(語数だけで×にはしない。人名・地名・数字・専門用語や、変えると意味が変わる決まった言い方はそのままでよい)。どこからが「写し」かの判断は分野や場面で違い、決まった語数の基準があるわけではありません 1。
  5. 班でベストを選ぶ:4人の言いかえを比べ、各文で一番良いものを選ぶ。「なぜそれがいいか」を言葉にするのが一番の学びです。
  6. 全体共有:班のベストを数文板書し、同じ文に何通りもの言いかえがあることを確認する。
  7. つなげる:最後に、教科書本文の1文を言いかえさせ、次の時間の要約や意見文で使うことを予告する。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TImagine you want to say "unemployed," but you forget the word. What can you do?
SSay ... "no job"?
TExactly. "He doesn't have a job." That's a paraphrase.
THere are five techniques. Number one, synonyms. "Difficult" becomes ...?
SHard!
TGood. But be careful. Is "impossible" the same as "difficult"?
SNo, it's stronger.
TRight. The meaning must stay the same. Now try the six sentences.
TSwap with your partner. Check two things: same meaning? Not too many words copied?
SYour sentence is good, but "It is important" is copied. Can you change it?
TIn your group, choose the best paraphrase. Tell us why it's the best.
🏫そのまま使える素材

練習文(易→難)

  1. The test was difficult.(①)
  2. My brother is good at cooking.(② He is a good cook.)
  3. Many people use this app.(③)
  4. I couldn't sleep because it was hot.(④)
  5. She is a vegetarian.(⑤)
  6. The number of foreign visitors has increased.(① ④)
  7. It is necessary for us to save energy.(② ④)
  8. This bridge was designed by a famous architect.(③)
  9. If you don't hurry, you will miss the train.(④ Unless ...)
  10. Online shopping is convenient.(⑤ What makes it convenient?)
  11. Reading improves our vocabulary.(① ②)
  12. The government should reduce taxes.(③ ⑤)

言いかえに使える表現

  • because ⇔ because of / due to / so
  • although ⇔ but / even though / however
  • it is important to ... ⇔ ... is important / we need to ...
  • decide ⇔ make a decision / choose
  • improve ⇔ make ... better
  • increase ⇔ go up / rise / grow

会話で使う「やさしく説明」の型(会話で単語が出てこないときに特徴や使い方で説明するのは、厳密には「迂言(うげん、circumlocution)」と呼ばれる話し方の工夫で、資料の文を言いかえるパラフレーズとは区別されます。ここでは技⑤の練習として扱います)

  • It's a kind of ... .
  • It's something you use when ... .
  • It's a person who ... .
  • It's like ... , but ... .
🔁アレンジ
  • 小学校:扱わない。単語が出てこないときに It's red. It's a fruit. のように特徴で説明する遊びとして、ヒントクイズで経験する程度に。
  • 中学:技①(類義語)と⑤(やさしく説明)だけ。I'm hungry. → I want to eat something. のように、知っている語で言いかえる練習を、毎時間の授業のはじめに1〜2文ずつ続ける。
  • 高校:要約や意見文の前の準備に。大学入試の言いかえ問題や、英文の内容一致問題(本文と選択肢の言いかえを見抜く)の解説にも使える。
  • 大人数クラス:班でベストを選ぶ段階を省き、先生が机の間を回りながら良い言いかえを3つ選び、投影して紹介する。
  • 苦手な生徒が多いクラス:技を1回に1つだけにし、言いかえの候補を2つ示して「どちらが同じ意味?」を選ぶ形から始める。
  • タブレット:共同編集の表に全員の言いかえを書き込み、「意味が同じ」に◎、「写しが多い」に△を互いにつける。辞書アプリで類義語の細かい違い(例文)を確かめる習慣もつけられる。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:類義語・品詞の変化・態・構文の変化を使って、文を言いかえられる。
  • 思考・判断・表現:元の文の意味(強さ・時制・行為者)を保ったまま、文脈に合う言いかえを選んでいる。
  • 主体的に学習に取り組む態度:「意味を保つ」という目標に照らしてペアの判定を検討し、使う技を自分で選び直して言いかえを改善しようとしている。1回の活動だけで決めず、何回かの記述や振り返りと合わせて見る。
観点 A B C
意味の保持 すべての言いかえで意味が保たれている 一部で意味の強さや時制がずれる 意味が変わっているものが多い
言いかえの幅 2つ以上の技を組み合わせ、元の文と構造が異なる 1つの技で語を入れかえている 元の文をほぼ写している
判定 ペアの言いかえのずれを具体的に指摘できる ○×はつけられる 判定ができない

定期テストでは「本文の下線部を、本文にない表現で言いかえなさい」という形で出題できます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 単語を1つずつ類義語に置きかえ、不自然な文になる → 「文の形ごと変える」技④⑤も試させる。類義語は意味やつながる語(コロケーション)が少しずつ違うことを、辞書の例文で確かめさせる。
  • 意味が変わっていることに気づかない → 判定の観点を「強さ(always/often)」「時制」「誰が何をした」の3つに具体化してチェックさせる。
  • 言いかえ自動ツールや翻訳に頼る → 授業中は使わない、と最初に決める。ツールの言いかえを「意味が同じか判定する教材」として使うのは有効です。
  • 難しい語に置きかえるのが良い言いかえだと思っている → 難しい語にすること自体は目標ではなく、目的や読み手に合う語で、元の意味を正確に保つことが大事だと伝える。やさしい語で正確に言えた言いかえ(技⑤など)もほめる。
  • 時間がかかりすぎる → 1時間で6文が多ければ3文に。毎時間の授業のはじめに1文ずつ続ける形でもかまいません。
🔬なぜ効く?

高校の学習指導要領の解説では、「論理・表現Ⅲ」の書く活動で、主張を支える根拠として資料の情報を引用するとき、原文から直接引用したり、パラフレーズのように原文を言い換えたりすること、そして言い換えるときは原文の趣旨から外れないように指導することが述べられています 2。原典の意味を保ちながら自分の言葉で書くパラフレーズは、その土台になる技能です。なお、言葉を言いかえることと、出典を示すことは別のことです。他の人の資料の内容を使うなら、言いかえていても出典は示します。

ただ、言いかえは見かけより難しい技能です。北米の大学で学生48人と教員27人に、第二言語の学生が書いた文章の言いかえ・要約・翻訳について聞き取った研究では、「どこまで変えれば写しではないか」の判断は分野によって違い、パラフレーズは内容の知識や引用の目的にも左右される複雑な技能だと結論しています 1。中国出身の学部生2人を追った事例研究でも、「何のために言いかえるのか」の理解が、言いかえ方そのものを左右していました 3。どちらも大学で資料を使って書く場面の研究で、会話で単語が出てこないときの言いかえを調べたものではありません。この活動で、最初に「なぜ言いかえが必要か」を考えさせるのはそのためです。

言いかえの練習は、語彙や文法の練習でもあります。アウトプット仮説の研究では、話したり書いたりするときに「言いたいのに言えない」という問題に気づくと、表現を修正するよう促されることがあり、その過程で、聞いたり読んだりするときより文の組み立て(統語)を考える処理が起きる場合がある、と論じられています 4。「同じ意味を別の形で」という制約は、この考え方を応用して、「言えなさ」への気づきを促すことをねらったものです(この活動そのものの効果を確かめた研究ではありません)。ただし、このページで確かめた範囲では、パラフレーズの練習が英語力全体を伸ばすかを厳密に比べた研究は限られています。

❓ よくある質問

Q. パラフレーズの5つの技とは何ですか?

①類義語 ②品詞を変える ③態を変える ④語順・構文を変える ⑤やさしい語で説明する、の5つです。たとえば My brother is good at cooking. を He is a good cook. にするのが②です。

Q. 言いかえが「写し」になっていないか、どう判定させますか?

ペアで2つの観点に○×をつけさせます。①意味は同じか(強さ・時制・誰が何をしたかが変わっていないか)、②元の文の特徴的な語句や文の形を、変えられるのにそのまま借りすぎていないか。×のときは理由を一言書かせます。「同じ語が3語以上続いたら、そこを残す必要があるか考える」は注意の目安で、語数だけで×にはしません。どこからが写しかの決まった語数の基準はなく、専門用語や決まった言い方はそのままでかまいません。

Q. 難しい語に置きかえるほど、よい言いかえですか?

いいえ。難しい語にすること自体は目標ではありません。目的や読み手に合う語で、元の意味を正確に保つことが大事です。The test was difficult. を impossible にすると意味が強くなりすぎます。単語を1つずつ類義語にして不自然になるときは、文の形ごと変える技④⑤も試させます。

Q. 中学でもパラフレーズの練習はできますか?

技①(類義語)と⑤(やさしく説明)だけにします。I'm hungry. → I want to eat something. のように、知っている語で言いかえる練習を、毎時間の授業のはじめに1〜2文ずつ続けることができます。

Q. パラフレーズの練習の効果は、研究で確かめられていますか?

パラフレーズは内容の知識や引用の目的にも左右される複雑な技能だとする研究があり 1、「何のために言いかえるか」の理解が言いかえ方を左右した事例研究もあります 3。ただ、このページで確かめた範囲では、練習が英語力全体を伸ばすかを厳密に比べた研究は限られています。

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📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Shi, L. (2012). Rewriting and paraphrasing source texts in second language writing. Journal of Second Language Writing, 21(2), 134-148. doi:10.1016/j.jslw.2012.03.003 ✔ DOI照合済北米の大学の学生48人・教員27人への聞き取り。どこまで言いかえれば「写し」でないかの判断は分野で違い、パラフレーズは見かけより複雑な技能だと論じた
  2. 文部科学省 (2018). 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編 公式ページ ✔ リンク確認済高校の科目構成(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ・論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)、「支援」の考え方、語数、授業は英語での趣旨を説明した公式の解説
  3. Hirvela, A., & Du, Q. (2013). "Why am I paraphrasing?": Undergraduate ESL writers' engagement with source-based academic writing and reading. Journal of English for Academic Purposes, 12(2), 87-98. doi:10.1016/j.jeap.2012.11.005 ✔ DOI照合済中国出身の学部生2人の事例研究。パラフレーズを「何のためにするか」の理解が、言いかえ方を左右していた
  4. Swain, M., & Lapkin, S. (1995). Problems in output and the cognitive processes they generate: A step towards second language learning. Applied Linguistics, 16(3), 371-391. doi:10.1093/applin/16.3.371 ✔ DOI照合済話す・書く(アウトプット)ときに自分の言えなさに気づき、表現を修正することが学習につながると論じた論文

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら