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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約9分

穴埋めディクテーション ― 「聞こえたつもり」の正体を見つける5分間

本文のところどころを空欄にしたプリントを配り、音声を聞いて空欄の語を書きとります。答え合わせで「a と the が聞こえていなかった」「want to が聞き取れなかった」と、聞き取れない原因の手がかりが見えてきます。

⏱ 時間
5-10分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人→ペア
🎯 技能
リスニング
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
穴埋めディクテーション ― 「聞こえたつもり」の正体を見つける5分間のイメージ
💡ねらい
  • 意味はわかっているつもりの英文で、実際には聞き取れていない音に気づかせる。
  • 機能語・音のつながり・語尾など、英語のリスニングで落としやすい部分に耳を向ける。
  • まちがいの原因を分類し、自分に必要な練習を見つける。

穴埋めディクテーションってなに?

ひとことで言うと、ところどころが空欄になった英文を見ながら音声を聞き、空欄の語だけを書きとる活動です。

🎈たとえるなら

耳の「健康診断」です。点数をつけること自体より、どこが聞こえていないのかを見つけるのが目的です。a や to のような小さな語なのか、語尾の -s や -ed なのか、音がつながった所なのか。どこで、なぜ聞き落としたのかの手がかりがつかめれば、次に何を練習すればよいかが見えてきます。

似た活動とのちがい

穴埋めディクテーション ふつうのディクテーション ディクトグロス
書くもの 空欄の語だけ 聞いた文を全部 キーワードだけメモし、仲間と文章を組み立て直す
時間の目安 5〜10分 長め 長め(話し合いあり)
主にわかること 落としやすい語(機能語・語尾・音のつながり) 文全体の聞き取り 自分のあいまいな文法

やり方を3ステップで

  1. 聞く:1回目は書かずに、全体の意味をつかむ。
  2. 書く:2回目は文ごとに少し間をあけて流し、空欄に書く。ペアで比べてから3回目で確かめる。
  3. 原因を考える:答え合わせのあと、その部分の音をもう一度聞いて、まちがえた空欄に「知らない語/弱く聞こえた/音がつながった・変わった/語尾を落とした」の✓をつける(あてはまるものはいくつでも)。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜1:00 プリントを配り、1回目を流す 書かずに聞く
1:00〜3:00 文ごとに少し間をあけて2回目 空欄に書く
3:00〜4:00 "Compare with your partner." ペアで見せ合い、違う所に印
4:00〜5:00 3回目を流す 印の所を確認して直す
5:00〜7:00 答えを示し、聞き取りにくい箇所を再生 答え合わせ
7:00〜8:00 原因の分類を説明 まちがえた理由に✓
穴埋めディクテーション ― 「聞こえたつもり」の正体を見つける5分間の教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. プリントを作る:既習の本文(または少しやさしい英文)から、8〜10か所を空欄に。半分は内容語、半分は機能語や音がつながる所・語尾にする。
  2. 1回目は通して聞く:書かずに、全体の意味を確認。
  3. 2回目で書く:文ごとに少し間をあけて流し、空欄に書きこむ。つづりに自信がなければカタカナでメモしてもよい。
  4. ペアで比べる(1分):書いた答えを見せ合い、違う所に印。
  5. 3回目+答え合わせ:印の所を意識して聞き直したあと、答えを確認。正答率の低かった空欄だけを、もう一度聞かせる。まずふつうの速さで、必要ならその部分だけ短く区切って(または少し遅くして)確かめ、最後に必ずふつうの速さに戻します。ゆっくり読むと、弱くなる音やつながる音そのものが消えてしまうためです。
  6. 原因を考える:まちがえた空欄の部分をもう一度再生し、スクリプトと実際の音を確かめてから、「知らない語(または文字では知っていても音を知らない語)/弱く読まれた/音がつながった・変わった/語尾を落とした」に✓をつける(いくつ選んでもよい)。正解しても推測で当てた場合もあるので、✓は「考えられる理由」の目安です。クラスで多かった原因を、次の時間の 音の変化クイズ などの練習につなげます。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TFirst, just listen. Don't write anything yet.
TNow listen again and fill in the blanks. I'll stop after each sentence.
TCompare with your partner. Are your answers the same?
SI wrote "go." My partner wrote "went."
TGood. Which is right? Listen again. "Last Saturday, I went ..."
TListen to number 3 again. "We wanted to ..." Did you hear "to"?
SNo, it was very weak.
TRight. Small words like "to" are often weak.
TWhy was this blank difficult? Was the word new, or was it too weak to hear?
TNext time, listen carefully for the small words.
🏫そのまま使える素材

すべてオリジナル。( )が空欄にする語の例です。空欄のねらいを右に書いています。

機能語(弱く読まれる語)

  1. I'm going (to) visit my uncle (in) Kyoto next week. → to / in
  2. There is (a) cat (on) (the) roof. → a / on / the
  3. She is one (of) my best friends. → of

語尾(-s / -ed) 4. My brother (plays) tennis every Sunday. → 三単現の -s 5. We (watched) a movie last night. → 過去の -ed 6. These (books) are very old. → 複数の -s

音がつながる・変化する所(語と語がつながる、弱くなる、2つの音がとけ合って別の音になる など) 7. (Can I) borrow your pen? → キャナイ 8. I (want to) be a teacher. → ワナ(速く話すと弱くなり、音が落ちることがある) 9. (Did you) finish your homework? → ディジュ(/d/ と /j/ がとけ合って「ジュ」のような音になることがある) 10. (Pick it up), please. → ピキラップ

数字 11. The concert starts at (seven thirty). 12. It costs (fifteen) dollars, not fifty.

作り方のコツ 13. 1文に空欄は1〜2か所まで(全部が空欄だと推測できない)。 14. 最初と最後の空欄はやさしい内容語にして、安心して始められるようにする。

🔁アレンジ
  • 小学校:空欄に書くのではなく、絵や単語カードから聞こえた語を選ぶ形に。数字や色など、知っている語の聞き取りから始めます。
  • 中学:教科書本文で、新出の文法事項の部分を空欄に(過去形の -ed、三単現の -s など)。文法と音の両方に注意が向きます。
  • 高校:リスニング問題を解いたあと、その音声のスクリプトを穴埋めにして「解けなかった原因」を探す。語彙の問題か、音の問題かで次の対策が変わります。
  • 大人数クラス:答え合わせは、空欄ごとに「書けた人」挙手で集計し、正答率の低い空欄だけを全体で聞き直します。
  • 苦手な生徒が多いクラス:空欄の下に2択(went / want)を印刷し、選ぶ形にする。慣れたら選択肢なしへ。
  • オンライン・タブレット:自動採点できる穴埋めフォームにすると、どの空欄がクラス全体で難しかったかがすぐわかります。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:機能語・語尾・音のつながりを含め、聞いた語を正しく書きとれる(正答数)。文法や文脈を手がかりに、聞き取りにくい語を補える力もここで見ます(例:We wanted ___ find → to)。
  • 思考・判断・表現:この穴埋めだけでは見られません。見るなら、聞く目的や場面を示した別の課題(例:「週末の予定を友だちに伝える留守電。待ち合わせの時間と場所を聞き取ろう」)で、必要な情報や要点を捉えられたかを見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:1回の原因チェックだけで判断せず、学期に数回のふり返りを並べて、前回の原因を次の聞き方や練習に生かそうとしているか(学習の調整)を見ます。

下の表は、指導に生かすための正答数の目安(形成的評価用)です。点数とは別に、まちがいの種類を見ます。

段階 正答数の目安(10か所)
A 8か所以上
B 5〜7か所
C 4か所以下
まちがいの傾向(点数とは別に見る) 次の手立て
機能語(a, the, to, of)を落とす 弱く読まれる語の聞き取り練習
語尾(-s / -ed)を落とす 文法と音を結びつける確認
音のつながった所で切れ目がわからない 音の変化の練習
知らない語・文字では知っていても音を知らない語 意味・つづり・発音を結びつけて復習する

小テストとして点数を記録するなら、同じ形式を学期に数回行い、点の変化と「原因の分類」の変化を合わせて見ます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 空欄が内容語だけで、知らない語のテストになる → 機能語や音のつながりを必ず混ぜる。新出語を空欄にするのは避けます。
  • 答え合わせで終わり、次に生かせない → 「なぜ聞き取れなかったか」の分類まで行うと、次の聞き方が変わります。
  • つづりのまちがいで落ちこむ → この活動のねらいは聞き取り。音が合っていればつづりのまちがいは部分点、などのルールにします。
  • 速すぎて書けない → 文ごとに間をあけるのが基本。どうしても難しい場合は、2回目と3回目の間にもう1回流します。
  • できる生徒は退屈する → 空欄を増やした「上級版」を用意するか、最後の1文はまるごと書きとる課題にします。
🔬なぜ効く?

外国語のリスニングでつまずく大きな原因のひとつは、知っているはずの語が、音のつながりの中でどこで切れるのか分からないことです。音声学の基本を使えば、こうした聞き取りの失敗を分類・診断し、簡単な練習で予防したり直したりできる、と、第二言語のリスニング研究で知られるイギリスの応用言語学者 John Field 氏は提案しています 1。穴埋めディクテーションは、そうした「診断」の手がかりを集めるのに向いた形です。

日本の大学の、中級の下(lower-intermediate)レベルの必修英語の3クラスを比べた小規模な準実験があります。ふだんのリスニング教材に加えて、音を聞き取るための6種類の活動(ボトムアップ活動)をした1クラス(21人。前後のテストがそろった18人を分析)は、ディクテーションのテストでも、外部の試験(CASEC)のリスニング部分でも学期の前後で得点が伸びました。この外部試験のリスニング部分は、要点を聞き取る選択問題17問と、聞いて文の欠けた語を入力する問題11問を合わせたものです。この活動をしなかった2クラス(32人。分析は26人)には、はっきりした伸びは見られませんでした。生徒もこうした練習を役に立つと感じていました 2。ただし、クラスごとに先生が違い、くじ引きでクラスを分けたわけでもないので、伸びがボトムアップ活動によるものだと言い切ることはできません(著者も「おそらく」と慎重に書いています)。

ディクテーションそのものについても、初級の成人学習者で、20回(各100分)の授業からなる1タームの中で11回のディクテーション(穴埋めではなく、文章全体を書きとる形)を加えたグループの方が、リスニング力の伸びが大きかったという報告があります 3。

いずれも小規模な研究で、学校段階も中高とは違います。それでも「聞き取れない原因を見つけて、そこを練習する」という考え方は、日本の教室で使いやすいものです。

❓ よくある質問

Q. 穴埋めディクテーションの空欄は、どの語にすればいいですか?

8〜10か所のうち、半分は内容語、半分は機能語(a, the, to, of)・音がつながる所・語尾の -s / -ed にします。1文の空欄は1〜2か所まで。新出語を空欄にすると、知らない語のテストになるので避けます。

Q. 音声は何回流せばいいですか?

3回が基本です。1回目は書かずに聞く、2回目は文ごとに間をあけて書く、ペアで答えを比べたあと3回目で確認します。答え合わせのあと、正答率の低かった空欄だけをもう一度聞かせます。

Q. 答え合わせのあと、何をすればいいですか?

まちがえた空欄に「知らない語/弱く読まれた/音がつながった・変わった/語尾を落とした」の✓を、その部分を聞き直してからつけさせます(考えられる理由の目安で、いくつ選んでもよい)。クラスで多かった原因を、次の時間の音の変化の練習などにつなげます。

Q. 穴埋めディクテーションでリスニング力は伸びますか?

日本の大学の小規模な研究では、ふだんの教材に音を聞き取るための活動を加えた1クラス(分析18人)が、ディクテーションのテストでも外部試験のリスニング部分(一部に欠けた語を入力する問題を含む)でも学期の前後で伸び、加えなかった2クラス(分析26人)でははっきりした伸びが見られませんでした 2。ただしクラスごとに先生が違う準実験で、活動の効果と言い切ることはできません。校種は中高と違いますが、原因を見つけて練習する考え方は使えます。

Q. つづりのまちがいは減点しますか?

つづりのまちがいで落ちこむ生徒もいますが、この活動のねらいは聞き取りなので、音が合っていればつづりのまちがいは部分点、などのルールにします。つづりに自信がなければ、2回目はカタカナでメモしてもよいことにします。

🎁 玉手箱で使えるツール

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📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Field, J. (2003). Promoting perception: Lexical segmentation in L2 listening. ELT Journal, 57(4), 325-334. doi:10.1093/elt/57.4.325 ✔ DOI照合済音のつながりで語の切れ目がわからなくなる問題と、その練習を提案した論文
  2. Siegel, J., & Siegel, A. (2015). Getting to the bottom of L2 listening instruction: Making a case for bottom-up activities. Studies in Second Language Learning and Teaching, 5(4), 637-662. doi:10.14746/ssllt.2015.5.4.6 ✔ DOI照合済日本の大学のリスニング授業で、音を聞き取るボトムアップ活動を加えた群が伸びた
  3. Kiany, G. R., & Shiramiry, E. (2002). The effect of frequent dictation on the listening comprehension ability of elementary EFL learners. TESL Canada Journal, 20(1). doi:10.18806/tesl.v20i1.938 ✔ DOI照合済初級の成人学習者。1学期に11回ディクテーションを加えた群でリスニングが伸びた

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら