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ミッシング・ゲーム ― 「なくなったカードは?」で単語を思い出させる

黒板の絵カードを覚えて、目をつぶって、1枚消えたら "What's missing?"。子どもが自然と頭の中で単語を思い出す、小学校の定番ゲームです。

⏱ 時間
5分
🧰 準備
少し
👥 形態
全体
🎯 技能
小学校・ゲーム・語彙・復習
📶 CEFR
Pre-A1-A1
🛡️
このページのウラ取り 出典 2 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ミッシング・ゲーム ― 「なくなったカードは?」で単語を思い出させるのイメージ
💡ねらい
  • 単元の単語を、絵を見ずに思い出して英語で言う。
  • 「次はどれが消える?」と思いながら、全員でカードを何度も見て言う。
  • 単語→文(The peach is missing.)へと、少しずつ言う量を増やす。

ミッシング・ゲームってなに?

ひとことで言うと、黒板の絵カードを覚えてから目をつぶり、その間に先生が1枚はずしたら、"What's missing?"(何がなくなった?)に英語で答えるゲームです。

🎈たとえるなら

冷蔵庫を開けて「あれ、プリンがない!」と気づくときと同じです。目の前にないものを、頭の中から思い出しています。大事なのは、この「見えないものを思い出して言う」ところ。カードを見て言うだけの練習とは、頭の使い方がちがいます。

キーワードゲームとのちがい

キーワードゲーム ミッシング・ゲーム
子どもがすること 聞いて、まねして、キーワードに反応する なくなったカードの語を思い出して言う
主に使う力 聞く 思い出して言う
道具 消しゴム1つ 絵カード数枚

やり方を3ステップで

  1. 覚える:絵カードを黒板に貼り、全員で1枚ずつ英語で言う。
  2. 消す:子どもが目をつぶっている間に、先生が1枚はずす。
  3. 思い出す:What's missing? と聞き、まず数秒、1人で答えを決める(ミニボードに書く・心の中で決める)。そのあとペアで確かめてから全員で答える。カードを戻して全員で言う。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 子ども
0:00〜1:00 絵カード6〜8枚を黒板に貼り、1枚ずつ全員で言う くり返して言う
1:00〜1:30 "Close your eyes." 1枚はずす 目をつぶる
1:30〜2:00 "What's missing?" 1人で考える(数秒)→ペアで確認→全員で 思い出して英語で言う
2:00〜4:00 2〜3回くり返す。2枚消す・並べ替えるなど難しくする 同上
4:00〜5:00 子どもが先生役になって1回 カードを消す・答える
ミッシング・ゲーム ― 「なくなったカードは?」で単語を思い出させるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 黒板に絵カードを6〜8枚貼る。 全員で1枚ずつ英語で言って確認します。2回目は先生が指さす順番をばらばらにして言わせます。
  2. "Close your eyes." 子どもが目をつぶっている間に、先生が1枚はずします。はずしたカードは背中に隠します。
  3. "Open your eyes. What's missing?" まず数秒、1人で答えを決めさせ(ミニボードに書く、または心の中で決める)、次にペアで小声で確かめ合ってから、"One, two, three!" の合図で全員で言います。日本語ではなく英語で言えたら正解。
  4. 全員でその単語を言い、カードを戻す。 戻すときに "Here it is!" と言って見せると盛り上がります。
  5. 難しくしていく。 カードを2枚同時に消す、並べ替えてから1枚消す、消した場所に別のカードを足す("What's new?")、など。
  6. 答えを文にする(高学年)。 "The peach is missing." "Two cards are missing." と文で答えさせます。
  7. 最後に子どもが先生役。 前に出た子どもがカードを消し、"What's missing?" と聞きます。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TLet's say the words together. Apple, banana, grapes...
SApple, banana, grapes...
TClose your eyes. No peeking!
TOpen your eyes. What's missing? Tell your partner first.
TOne, two, three!
SPeach!
TYes! The peach is missing. Here it is!
TThis time, two cards are missing. Can you find them?
TWho wants to be the teacher? Come to the front.
🏫そのまま使える素材

単元別カードセット(6〜8枚)

  1. 果物:apple, banana, grapes, peach, melon, cherry, lemon
  2. 文房具:pencil, eraser, ruler, notebook, scissors, glue
  3. 動物:dog, cat, bird, fish, rabbit, horse
  4. 天気:sunny, rainy, cloudy, snowy, windy
  5. 気持ち:happy, sad, angry, sleepy, hungry, tired
  6. 職業:teacher, doctor, cook, farmer, pilot, singer
  7. 料理:curry, pizza, sushi, salad, hamburger, spaghetti

難しくするバリエーション 8. 2枚同時に消す("Two cards are missing.") 9. 全部並べ替えてから1枚消す 10. 1枚消して別のカードを足す("What's new?") 11. 文字カードだけで行う(高学年) 12. 消えたカードの位置を言う("It was next to the banana.")

🔁アレンジ
  • 小学校:低学年は4〜5枚から。高学年は "The peach is missing." / "The grapes are missing." と文で答える(天気・気持ちなどのカードは "The sunny card is missing.")、カードを文字だけにする、など段階を上げます。
  • 中学:中1の入門期に、絵ではなく単語の文字カードで。消えた語をつづりで書かせると、書く練習になります。
  • 高校:導入の帯活動として、前時の本文のキーフレーズを6つ板書し、1つ消して言わせると、本文の想起になります。
  • 大人数クラス:手を挙げた子だけでなく、「数秒1人で考える → ペアで小声で確かめる → せーので全員」にすると、全員に自分で思い出して答える機会ができます。
  • 苦手な子が多いクラス:カードは4枚から。消す前に「よく見てね、10秒!」と覚える時間をはっきりとります。
  • オンライン・タブレット:スライドでカードを並べ、次のスライドで1枚消して見せます。答えはチャットに一斉に書かせます。
📊評価のポイント

5分の帯活動なので、ここで見るのは主に知識・技能の形成的な評価(様子を見て次の指導に生かすもの)です。この5分だけで観点別評価を決めません。

  • 知識・技能:消えたカードそのものは見えない状態で、残ったカードなどを手がかりに、学習した語句を英語で言えるか(手がかりなしで言えるかを見たいときは、最後にカードを全部かくして、一人ずつ答える別の課題にします)。高学年では "The ~ is missing." の文の形で言えるか。
  • 思考・判断・表現:この活動だけでは見きわめにくい観点です。子どもが先生役のときに、友だちが当てやすいように、消すカードやヒント(It's red.)を選んで伝えているか、を参考にする程度にします。
  • 主体的に学習に取り組む態度:思い出せないときに、ペアの答えや先生の言い直しを手がかりにもう一度言おうとしているか(粘り強さ)。ふり返りで思い出せなかった理由を考え、カードの見方や覚え方を工夫して次に取り組もうとしているか(自己調整)。単元を通した観察やふり返りとあわせて観察して記録します。
見る点 よくできている できている もう少し
思い出して言う(ねらいの語) ねらいの語を、自分で英語で言える 絵や語頭の音(ア…?)などのヒントがあれば言える ヒントがあってもむずかしい(日本語で言う段階)
文で言う(高学年) "The ~ is / are missing."(形容詞のカードは "The ~ card is missing.")と言える 単語で言える 言えない

全員での一斉の答えは、授業の進め方を調整する材料にとどめます。一人ひとりの様子は、ミニボードの答えや机の間を回って聞く一人ひとりの発話で見ます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • カードが多すぎて当て推量になっていたら → 最初は4〜8枚くらいを目安にし、正解がほとんど出ないときは枚数を減らします(枚数の目安は実践上のもので、研究で決まった数ではありません)。
  • 日本語で答えてしまったら → 「英語で言えたら正解」をルールに。日本語の答えには "In English?" と返します。
  • いつも同じ子が答えていたら → ペアで答えを言い合う時間を入れて、全員に思い出させます。
  • 目を開けてのぞく子がいたら → 机にうつぶせにさせるか、カードを消す前に、児童に黒板と反対の方(教室の後ろ)を向かせます。
  • すぐ飽きてきたら → バリエーション(2枚消す・What's new?)に進むか、子どもを先生役にします。
🔬なぜ効く?

ミッシング・ゲームでは、消えたカードを当てるために、子どもは見えない単語を頭の中から思い出す必要があります。これは想起練習(retrieval practice)そのものです。

大学生の実験では、くり返し読み直すより、何も見ずに思い出す方が、数日後・1週間後の記憶が残りやすいことが示されています 1。では子どもではどうでしょう。アメリカの小学4年生(平均10歳)88人を対象にした3つの実験では、英語のなじみのある単語のリストを読み直すより、思い出す練習をした方が、どの実験でも、練習の少しあとの最終テストでよく覚えていました(数日後・数週間後の記憶までは調べていません)。この研究で測った範囲では、読解力や処理の速さによる効果のちがいは確認されませんでした(著者は予備的な結果としています) 2。外国語学習の実験ではありませんが、「思い出す練習は子どもにも効く」ことを示す結果です。

ポイント:上の子どもの実験では、カテゴリー名と語の最初の2文字を手がかりに出して、最初に思い出す練習が高い割合で成功するようにしていました 2。カードの枚数を欲張らず、多くの子が思い出せる難しさにしておくのが大事です。なお、この実験では思い出したあとに正解を見せていません。思い出せなかった子のために、すぐに正解を見せて全員で言い直す手順4を入れるのは、授業上の補助としての工夫です。

❓ よくある質問

Q. ミッシングゲームの絵カードは何枚がいいですか?

最初は4〜8枚くらいが目安です(実践上の目安)。多すぎて正解がほとんど出ないと当て推量になるので、そのときは枚数を減らします。黒板に貼ったら全員で1枚ずつ英語で言い、2回目は先生が指さす順番をばらばらにして言わせてから始めます。

Q. いつも同じ子ばかりが答えてしまうときは?

"What's missing?" と聞いたら、まず数秒、1人で答えを決めさせ(心の中で決める・ミニボードに書く)、次にペアで小声で確かめ合ってから、"One, two, three!" の合図で全員で言います。全員に思い出させるのがねらいです。日本語で答えた子には "In English?" と返し、英語で言えたら正解にします。

Q. 慣れて飽きてきたら、どう難しくしますか?

カードを2枚同時に消す、並べ替えてから1枚消す、消した場所に別のカードを足して "What's new?" と聞く、などに進みます。高学年は "The peach is missing." と文で答えさせ、最後は子どもが先生役になって出題します。

Q. 思い出す練習は、子どもにも効果がありますか?

アメリカの小学4年生の実験では、単語のリストを読み直すより、思い出す練習をした方が、練習のすぐあとのテストでよく覚えていました 2。外国語学習の実験ではなく、長期の記憶までは調べていませんが、思い出す練習が子どもにも役立つ可能性を示す結果です。思い出せなかった子のためには、すぐにカードを戻して全員で言い直す時間をとります。

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📑 出典(2件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249-255. doi:10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x ✔ DOI照合済テストで思い出すことが、読み直すより長期の記憶に効く(テスト効果)ことを示した有名な実験
  2. Karpicke, J. D., Blunt, J. R., & Smith, M. A. (2016). Retrieval-based learning: Positive effects of retrieval practice in elementary school children. Frontiers in Psychology, 7, 350. doi:10.3389/fpsyg.2016.00350 ✔ DOI照合済平均10歳の子ども88人でも、思い出す練習は読み直しより記憶を助けた。読解力や処理速度の差に関係なく効果

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら