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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約12分

ディクトグロス ― 聞いてメモして、仲間と英文を組み立て直す

短い英文をふつうの速さで2回聞き、キーワードだけメモ。そのメモをペアや班で持ち寄って、元の文章を復元します。「the はいる?」「過去形だよね?」と話し合ううちに、文法に自分から気づく活動です。

⏱ 時間
20-30分
🧰 準備
少し
👥 形態
ペア・グループ
🎯 技能
リスニング・ライティング・文法
📶 CEFR
A2-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 5 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ディクトグロス ― 聞いてメモして、仲間と英文を組み立て直すのイメージ
💡ねらい
  • 聞いた内容を、自分たちの文法知識を総動員して正確な英文に組み立て直す。
  • 話し合いの中で、自分が知らない・あいまいな形(冠詞・時制・前置詞など)に気づく。
  • 聞く・メモする・話し合う・書くを1つの流れで行い、技能を統合する。

ディクトグロスってなに?

ひとことで言うと、先生が読む短い英文を「聞いて → キーワードだけメモして → 仲間と話し合って、元の文章を組み立て直す」活動です。

🎈たとえるなら

テレビで1回だけ見た料理のレシピを、家族でメモを持ち寄って再現するようなものです。材料(=単語)はメモに残っています。でも「どの順番で」「どれくらい」(=文法)は、話し合わないと決まりません。この話し合いの中で、自分のあいまいな文法に気づくのがねらいです。

ディクテーションとのちがい

ディクテーション ディクトグロス
聞き方 必要に応じて区切って聞くことが多い ふつうの速さで、通して2回
書くもの 聞こえたとおり、一語一句 キーワードだけメモ
ゴール 聞こえた言葉の形を正確に書き取る 意味が同じで文法的に正しい文章を、仲間と組み立て直す(元とまったく同じ単語でなくてよい)
主にねらう力 聞こえた英語の形(音とつづり・語句・文法)を正確にとらえて書く力 内容を保ちながら仲間と文章を組み立て直し、文法などの言葉の形を検討する力・書く力

やり方を3ステップで

  1. 聞く:先生が短い文章をふつうの速さで2回読む。1回目は聞くだけ、2回目はキーワードをメモ。
  2. 組み立てる:ペアや班でメモを持ち寄り、元の文章の大事な内容を落とさずに、正しい英文を書く(一語一語同じでなくてよい)。
  3. くらべる:元の文と比べて、ちがいごとに「内容は同じか」「文法は正しいか」を分けて考える(内容も文法もOKなら、別の言い方として認める)。

授業の流れ(分ごと)

時間 段階 先生 生徒
0:00〜2:00 準備 話題の絵・質問。難語を1〜2語示す 話題について話す
2:00〜3:00 1回目 ふつうの速さで読む 聞くだけ
3:00〜4:00 2回目 同じ速さでもう一度 キーワードをメモ
4:00〜14:00 復元 机の間を回る。答えは教えず、「その動詞はいつのこと?」などと問いかける ペア・班で文章を書く
14:00〜20:00 比較・分析 元の文を配り、違いの分類を説明 違いに印・表で分類
20:00〜25:00 まとめ ねらいの文法を全体で取り上げる 気づきを共有・振り返り
ディクトグロス ― 聞いてメモして、仲間と英文を組み立て直すの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 文章を選ぶ・作る:60〜100語(中学は40〜60語)。文章として自然な範囲で、ねらいの文法項目を3〜4回含める(作るときの目安。素材参照)。
  2. 準備(ウォームアップ):話題に関する絵や質問で1〜2分。難しい語があれば先に1〜2語だけ黒板に示す。
  3. 聞く(1回目はメモなし):先生がふつうの速さで読む。生徒は内容をつかむだけ。
  4. 聞く(2回目はメモあり):内容語(名詞・動詞・形容詞・数字)を中心にキーワードをメモ。全部は書けないのが前提です。
  5. 復元(ペア・班で10分):メモを持ち寄って、元の文章の大事な内容を落とさずに、文法的に正しい「自分たちの版」の文章を書く。一語一語まで同じにする必要はありません(書き取り競争にしない)。書き手は交代制にし、ほかのメンバーは順番に案を出します。先生は答えを教えず、「その動詞はいつのこと?」などと問いかけます。
  6. 比べる・分析する:元の文章を配り、自分たちの文章との違いに印。違いごとに「①内容は同じか(変わった・抜けた)」「②文法は正しいか」を別々に判断し、「内容も文法もOKの別の言い方」「内容が変わった・抜けた」「文法のまちがい」「語の選び方」などに分けます。先生が全体でいくつか取り上げます。
  7. ねらいの文法に光を当てる:最後に、ねらいの文法項目(例:過去進行形)が元の文章でどう使われていたかを全体で確認します。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TLook at this picture. What's happening?
TI'm going to read a short story two times. The first time, just listen.
TThe second time, write down key words. You can't write everything. That's OK.
TNow, in your group, put your notes together and rebuild the story.
SI wrote "rain" and "umbrella." What did you write?
SI wrote "was raining." Is that the past progressive?
TGood question. When did it happen? Look at your notes.
TYour sentences don't have to be exactly the same, but they must be correct English.
THere is the original. Find the differences.
TDoes it have the same meaning? Is it grammatically correct?
TMany groups forgot "was" in "was raining." Why do we need it here?
🏫そのまま使える素材

すべてオリジナル。( )はねらいの文法項目です。

中2(過去進行形)

  1. When I woke up this morning, it was raining hard. My mother was cooking breakfast, and my father was reading the newspaper. My little brother was still sleeping. I looked out of the window. A cat was sitting under a car. It looked cold and wet.

中2(比較) 2. My town has two parks. North Park is bigger than South Park, but South Park is more popular. It has the tallest slide in the city, and it is closer to the station. My favorite place is the small pond in North Park. It is the quietest place in town.

中3(現在完了) 3. Emma came to Japan three years ago. She has lived in Osaka since then. She has visited many places, but she has never been to Hokkaido. She has wanted to see the snow festival for a long time. She is going to go there this winter with her friends.

中3(関係代名詞) 4. Yesterday I met a woman who works at the zoo. She takes care of the animals that live in the cold area. The penguin which she likes the most is called Momo. Momo is a penguin that always follows her around.

高校(仮定法) 5. If I had a time machine, I would go back to the day I was born. I would like to see my parents' faces. My mother says I was crying very loudly. If I could, I would tell my parents, "Thank you for everything."

高校(説明文・接続語) 6. Many young people do not read paper newspapers. Instead, they get news from their phones. This is convenient because they can read news anytime. However, some people worry that young people only read news they are interested in. As a result, they may not know about other important events.

メモの例(素材1・2回目) 7. woke up / raining / mother cooking / father newspaper / brother sleeping / cat under car / cold wet

復元で使える話し合いの英語 8. What did you write here? 9. Is it past or present? 10. Do we need "the" here? 11. I think it's plural. "Animals," not "animal." 12. Let's check the verb.

🔁アレンジ
  • 小学校:文章でなく、絵本の1場面の2〜3文で。メモは絵や単語でもOK。復元は「言えたら合格」の口頭版にします。
  • 中学:今日の文法項目を3〜4回含む文章にすると、復元の話し合いでその形が話題になりやすくなります。文章は40〜60語から。
  • 高校:論説文の要約や、教科書本文の続きを先生が書いて素材に(素材6)。復元後に「元の文と違うけれど、より良い表現」を探すのも楽しい発展です。
  • 大人数クラス:4人班で、1人が書き手、残りがメモ係。最後に各班の完成文を1枚ずつ写真で提出させ、そのうち2〜3班分を全体で検討します。
  • 苦手な生徒が多いクラス:読む回数を3回にする、メモ用紙にキーワードの最初の文字を印刷しておく(w___ up / r___)、文章を短くする、のいずれかで負担を下げます。
  • オンライン・タブレット:音声は共有で再生し、復元は班ごとの共同編集ドキュメントで。先生は各班の画面を巡回できます。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:ねらいの文法項目を正しく使って文章を復元できる(復元文の正確さ)。
  • 思考・判断・表現:この活動だけでは見ません。見るなら、単元の目的・場面・状況を決めた個人の後の課題(例:復元した話の内容を、読んでいない人に向けて自分の言葉で短く伝える)を用意し、単元の評価規準に照らします。
  • 主体的に学習に取り組む態度:うまく復元できないところでも、メモや文脈から根拠を探して形を選び直そうとしている。元の文との比較から自分の弱点を見つけ、次回の聞き方・メモの取り方・文法の確かめ方を具体的に決めている(振り返りの記述で見る)。1回だけで決めず、何回かの記録から判断します(この観点は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見るものです 1)。

下の表は、班の作品を見て次の指導に生かすための目安です。この表だけで観点別評価や評定は行いません。

使う前に、2つ準備します。

  • 要点リスト:元の文章の要点を短く書き出しておきます(素材1なら「雨が強く降っていた」「母は朝食を作っていた」「父は新聞を読んでいた」「弟はまだ寝ていた」「窓の外を見た」「猫が車の下にいた」「寒そうでぬれていた」の7個)。意味を保って再現できた要点の数を数えます。
  • 文法の記録:ねらいの文法を使う必要があった箇所のうち、正しく使えた数を「4か所中3か所」のように書きます。誤りの数だけでは、文章によって比べにくいからです。
様子 内容の再現 文法の正確さ
A 要点リストのほぼすべてを再現 ねらいの文法を、ほぼ一貫して正しく使えている
B 要点リストの半分以上を再現 一部は正しく使えているが、支援が必要
C 要点リストの再現が半分未満 まだ安定して使えない

完成した文章は班の作品なので、個人の評価には振り返りの記述や、後日の小テストを組み合わせます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 文章が長すぎる・速すぎて、メモがほとんど取れない → 復元が想像の作文になります。最初は短く、読む回数を3回にしてもOK。
  • 1回目からメモさせて、全体の意味がつかめない → 単語を書き写すだけになります。基本形では、1回目はメモを取らず、全体の意味をつかむことに集中させます。読む回数などは、生徒の様子に応じて調整してかまいません。
  • 話し合わずに、できる生徒が1人で書いてしまう → 書き手は交代制(または順番・くじ)にし、全員が1文ずつ順番に案を言うルールにします。書き手になった生徒が苦手なら、語句カードや文の型(When I …, it was …)を手元に置いて支えます。
  • 答え合わせが「正解を写す」だけになる → 違いごとに「内容は同じか」「文法は正しいか」を分けて判断する時間こそが学びの中心です。元の文と違っても、内容が同じで正しい英語なら立派な答えです。
  • 狙った文法が話題にならない → 手順7で先生が意識的に取り上げる。文章として自然な範囲で、ねらいの形を複数回(3回程度が作るときの目安)入れておきます。
🔬なぜ効く?

ディクトグロス(grammar dictation)は、ふつうの速さで読まれた文章を聞いて短いメモをとり、仲間と協力して元の文章を復元する課題です。英語教育の百科事典の解説では、学習者が言葉に注意を向け、言葉について話し合うようになることが研究で示されてきた一方、実施するときは「文章の内容が理解できるか」「話し合いがうまく起きるか」「最後のフィードバック」に気を配る必要があるとされています 2。

この活動の土台になっているのは、「言葉を使って話し合うこと自体が学習になる」という考え方です。13〜14歳のフランス語学習者が協力して文章を復元する課題を分析した研究では、生徒は話し合いの中で自分の知識の足りない部分に気づき、言葉の形・働き・意味の結びつきを確かめ合い、仲間や先生からのフィードバックを得ていました 3。

また、話し合いで「これは過去形」「ここは複数形」などの文法用語(メタ言語)を使うことが、形に注意を向け、どちらの形を使うか決める助けになることも報告されています 4。

成果物に注目した研究では、ディクトグロスで復元された文章に含まれる内容のまとまり(アイデア・ユニット)を数え、ペアの英語力の組み合わせで比べました。英語力の差のあるペアにするか同じくらいのペアにするかで、再現された内容の増え方が一貫して変わることはありませんでした(英語力の高い相手と組んだ、英語力の低い学習者の伸びがいちばん大きかったものの、この群はばらつきも最も大きかった)5。ただし、これは1つの研究で、指標も内容の再現量に限られ、研究の手順もこのページの手順と同じとは限りません。学習者の年齢や、ペアの英語力の差の大きさがちがう日本の中高の教室に、そのまま当てはまるとは言えません。実際の編成では、人間関係や、1人が仕切ってしまう偏りにも気を配りましょう。

ただし、話し合いで取り上げられるのは、先生が狙った文法項目とは限りません。手順7で、ねらいの形に先生が意識的に光を当てることが大切です。

❓ よくある質問

Q. ディクトグロスの手順は?

①話題の絵や質問で準備 ②1回目はメモなしで聞く ③2回目はキーワードをメモ ④ペア・班で10分、元の文章の大事な内容を落とさずに、自分たちの言葉で正しい英文を復元(一語一語同じでなくてよい) ⑤元の文章と比べて違いに印をつけ、「内容は同じか」「文法は正しいか」を分けて判断 ⑥ねらいの文法を全体で確認、の流れです。25分ほどで行います。

Q. 読み上げる文章の長さはどのくらいですか?

60〜100語、中学では40〜60語が目安です。文章として自然な範囲で、ねらいの文法項目を3〜4回含めます(作るときの目安)。長すぎたり速すぎたりしてメモがほとんど取れないと、復元が想像の作文になるので、最初は短くし、読む回数を3回にしてもかまいません。

Q. できる生徒が1人で書いてしまうときは?

書き手は交代制(または順番・くじ)にし、全員が1文ずつ順番に案を言うルールにします。苦手な生徒が書き手のときは、語句カードや文の型で支えます。先生は答えを教えず、「その動詞はいつのこと?」などと問いかけて話し合いをうながします。

Q. ペアは英語力が同じくらいの生徒どうしにすべきですか?

ペアで行うディクトグロスの研究では、英語力の差のあるペアにするか同じくらいのペアにするかで、再現できた内容の増え方が一貫して変わることはありませんでした 5。ただし1つの研究で、指標も限られ、学習者の年齢や英語力の差の大きさがちがう日本の中高にそのまま当てはまるとは言えません。実際には、英語力に加えて、人間関係や、1人が仕切ってしまう偏りにも気を配って組みます。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(5件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
  2. Nabei, T. (2018). Grammar dictation (dictogloss). In The TESOL Encyclopedia of English Language Teaching (pp. 1-7). Wiley doi:10.1002/9781118784235.eelt0067 ✔ DOI照合済ディクトグロスの手順・研究・実施上の注意をまとめた百科事典の項目
  3. Kowal, M., & Swain, M. (1994). Using collaborative language production tasks to promote students' language awareness. Language Awareness, 3(2), 73-93. doi:10.1080/09658416.1994.9959845 ✔ DOI照合済13〜14歳のフランス語学習者が文章を協力して復元する課題(ディクトグロス型)で、形への気づきが生まれることを示した研究
  4. Fortune, A. (2005). Learners' use of metalanguage in collaborative form-focused L2 output tasks. Language Awareness, 14(1), 21-38. doi:10.1080/09658410508668818 ✔ DOI照合済ディクトグロス中の学習者の会話を分析し、文法用語の使用が形への注意を助けることを示した研究
  5. Shin, S.-Y., Lidster, R., Sabraw, S., & Yeager, R. (2016). The effects of L2 proficiency differences in pairs on idea units in a collaborative text reconstruction task. Language Teaching Research, 20(3), 366-386. doi:10.1177/1362168814567888 ✔ DOI照合済ディクトグロスで、個人のメモからペアの復元に進むと再現できる内容が大きく増えた。ペアの組み方の影響は一定しない

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら