Back to the Board(背中当てゲーム)― 単語を「英語で説明する力」をチーム戦で鍛える
黒板に背を向けた1人に、チームが英語だけでヒントを出して単語を当てさせる。知らない語を言いかえてしのぐ「説明する」動きを、ゲームの中でくり返し練習できます。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 班(4〜5人)
- 🎯 技能
- 語彙・スピーキング・やり取り・ゲーム・復習
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 単語を、日本語訳ではなく英語で説明する練習をする(言いかえ・定義・例示)。
- 会話の途中で単語が出てこないときに「It's something you use to …」と説明してしのぐ力の土台をつくる。
- 単元の語彙を、チームで楽しく思い出しながら復習する。
英語で話していて単語が出てこないとき、日本語なら「あれだよ、あの、雨の日に使う…」と言いかえますよね。英語でもそれができれば、単語が出てこないときにも会話を続けやすくなります。Back to the Board は、この「言いかえて伝える」動きを、チーム対抗ゲームの中で何度もくり返す活動です。
Back to the Board ってなに?
ひとことで言うと、黒板に背を向けて座った1人に、チームのメンバーが英語だけでヒントを出して、黒板に書かれた単語を当てさせるゲームです。
日本語で単語が出てこないとき、「あれだよ、あの、雨の日に使う……」と説明して伝えるのと同じです。単語そのものを言わずに、言いかえ・説明で伝えるのが大事なところです。
単語テスト・ジェスチャーゲームとのちがい
| 単語テスト(日本語→英語) | ジェスチャーゲーム | Back to the Board | |
|---|---|---|---|
| 伝え方 | 訳を書く | 体で表す | 英語で説明する |
| 使う力 | 単語を思い出す | 英語を使わずに済むことも | 言いかえ・説明して伝える力 |
| 相手 | なし(1人で解く) | チーム | チーム(当てる人が英語で答える) |
やり方を3ステップで
- 型を確かめる:It's a place where ... / You use it to ... などのヒントの型を全体で確認し、先生が1語実演する。
- 班で対抗戦:当てる人を1人決め、ほかのメンバーが英語だけでヒントを出す(30秒、1語ごとに当てる人を交代)。
- 良いヒントを共有:いちばん良かったヒントを板書し、型として残す。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜2:00 | ヒントの型を全体で確認(板書・ワークシート) | 先生が1語を実演して見せる |
| 2:00〜4:00 | 練習ラウンド(全体で1語) | 代表1人を前に出し、全員でヒントを出す |
| 4:00〜12:00 | 班対抗戦(1人30秒×交代) | 単語を1語ずつ表示し、得点を記録 |
| 12:00〜14:00 | 「いちばん良かったヒント」の共有 | 良いヒントを板書し、型と結びつける |
| 14:00〜15:00 | 振り返り記入 | チェックリストに記入させる |

- 準備:単元の単語を15〜20語、スライドかカードに用意する。名詞が説明しやすい。
- 班づくり:4〜5人の班にし、各班の「当てる人(guesser)」を1人決める。guesser は黒板に背を向けて椅子に座る(教室の後ろ向きに座れば机を動かさずにできる)。
- ルール説明:①説明は英語だけ ②その単語そのもの・日本語・ジェスチャーは禁止 ③当たったら1点 ④30秒で当たらなければパスして次の人に交代。
- 実演:先生が guesser 役になり、生徒にヒントを出させる。型(It's a … / You use it to …)を黒板に掲示しておく。
- 対抗戦:スクリーンに単語を1つ出す。各班のメンバーが同時にヒントを出す。答えがわかった guesser は声に出さずに手を挙げ、先生がいちばん早く挙げた班を指名して答えさせる(正解なら1点で次の単語へ。答えを叫ぶとほかの班に聞こえてしまうため)。または班ごとに順番に30秒ずつ挑戦する(全員が見ている前で話すので、静かなクラス向け)。
- 交代:1語ごとに guesser を交代して全員が1回は当てる側になる(班ごとの順番方式では8分で全員は回りきらないので、続きは次の授業で)。
- 共有:「Which hint was the best?」と聞き、良かったヒントを板書する。「It's a place where …」のように型として残す。
単元・レベル別のお題(そのまま使える語リスト)
- 中1・身の回り:pencil, desk, window, bag, clock, chair, eraser, notebook
- 中1・動物:elephant, rabbit, penguin, snake, giraffe, monkey, horse, panda
- 中1・食べ物:pizza, curry, ice cream, rice ball, banana, milk, bread, sushi
- 中2・場所:library, hospital, station, post office, park, museum, airport, convenience store
- 中2・職業:doctor, teacher, police officer, cook, farmer, pilot, nurse, firefighter
- 中2・季節と天気:winter, summer, rainy, snow, typhoon, cloudy, windy, hot
- 中3・道具:scissors, umbrella, key, glue, ladder, fan, smartphone, map
- 中3・行事:school trip, sports day, festival, birthday, graduation, New Year's Day
- 高校・抽象語:friendship, freedom, pollution, success, volunteer, environment, culture
- 高校・テーマ語彙(環境):recycle, plastic, global warming, energy, forest, waste
ヒントの型(掲示用)
- It's a kind of food / animal / sport.
- It's a person who … / It's a place where … / It's something you use to …
- It's the opposite of … / It's similar to …
- You can see it in … / We use it when …
- 小学校:絵カードを黒板に貼り、ヒントは「Brown. / Very big. / It's an animal.」のような短い語や文でよいことにする。言葉が出ない子には、先生が「What color?」と小さな声で聞き、子どもが「Brown.」と答えてヒントにする。先生が guesser になり、全員が言うと安心感がある。
- 中学:単元の新出語でやると、テスト前の復習になる。関係代名詞の単元では「It's a person who …」を必ず使うルールにすると文法練習にもなる。
- 高校:禁止ワード(elephant なら animal, big, nose は禁止)を足したタブー版にすると、語彙の幅が試される。抽象語でもやる。
- 大人数クラス:班ごとに小さなホワイトボードで単語を見せ合う「班内版」にすると、8班が同時に進むので待ち時間がない。
- 苦手な生徒が多いクラス:ヒントの型カードを配って読み上げるだけでよいことにする。当てる側は Yes/No で質問してもよい。
- オンライン・タブレット:guesser だけ画面を見ないで、チャットか音声でヒントを出す。1台のタブレットに単語を表示し、班の中で順番に手渡してもよい。
ゲーム中は「指導に生かす評価」として、ヒントの出し方を観察します。単元末のパフォーマンステストで「この語を英語で説明しなさい」を出すと、活動と評価がつながります。
| 観点 | 見るところ | A(十分満足) | B(おおむね満足) | C への手立て |
|---|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 説明に必要な語・文の形 | 型を使い、2文以上で正確に説明できる | 単語の並びで意味を伝えられる | 型カードを読み上げることから |
| 思考・判断・表現 | 相手に伝わる説明を選ぶ | 相手の答えを聞いてヒントを変えられる | 決まったヒントを出せる | 「色・大きさ・場所」の3つの観点を示す |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 伝え方を見直しながら粘る姿勢 | 相手の反応や振り返りをもとに、別の型や説明のしかたを選び直して伝え続けようとしている | 詰まっても型カードを使って、言いかえて伝えようとしている | 1語でも英語で言えたら認め、次に使う型を1つ決めさせる |
「日本語を使わない」はゲームのルールとして扱い、それだけで態度の評価を決めません。「主体的に学習に取り組む態度」は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見る観点で、記録に残す評価は単元などのまとまりごとに場面を選んで行います 1。
- 日本語やジェスチャーが出る→「日本語が出たらその語はパス」とルールで止める。ただし最初の数回は、日本語が出てもパスにせず、型カードを指さして英語で言い直させる。
- 頭文字やつづりだけで当てさせる(「E から始まって…」)→ 頭文字ヒントは最後の1回だけ、などに制限する。
- 一部の生徒だけがヒントを出す→ 班内で「ヒントは1人1文ずつ順番に」とし、全員が1回は話すようにする。
- 騒がしくなりすぎる→ 全班同時ではなく、班ごとに順番に30秒挑戦する形に切りかえる。
- 当てる側が当てずっぽうを連発する→ 1回の答えごとに「Is it …?」と疑問文で聞くルールにすると、疑問文の練習にもなる。
話している途中で単語が出てこないときに、言いかえたり説明したりして切り抜ける工夫は「コミュニケーション方略(communication strategies)」と呼ばれます。こうした方略は教えられるのか、という議論について、指導によって、少なくとも一部の方略については、学習者の使い方の質と量が伸びうることを示した研究があります 2。また、12週間の授業でコミュニケーション方略を意識させる訓練をしたグループ(28人)は、口頭のコミュニケーションテストの得点を有意に伸ばし、訓練をしなかったグループ(34人)では伸びが有意ではなかったと報告されています 3。ただし対象は女性の英語学習者62人(訓練28人・比較34人)だけの1つの研究で、小中高の生徒やこのゲームにそのまま当てはまるとは限りません。
Back to the Board は、こうした方略の「型」を教え、ゲームとして何度も使わせる場です。ただし、これらの研究は方略の訓練を数週間続けたもので、ゲームを1回やれば身につくわけではありません。単元ごとにくり返し、出てきた良いヒントを型として板書に残していくことが大切です。
❓ よくある質問
Q. Back to the Board のルールは?
①説明は英語だけ ②その単語そのもの・日本語・ジェスチャーは禁止 ③当たったら1点 ④30秒で当たらなければパスして次の人に交代、の4つです。当てる人は黒板に背を向けて座り、1語ごとに交代して全員が1回は当てる側になります。
Q. 生徒が英語でヒントを出せないときは?
「It's a …」「You use it to …」「It's a place where …」のようなヒントの型を黒板に掲示しておきます。最初は先生が当てる役になって実演し、日本語が出たら型カードを指さして英語に戻します。最初の数回は、日本語が出てもパスにせず、型カードを指さして英語で言い直させれば十分です。
Q. どんな単語を出すとやりやすいですか?
単元の単語を15〜20語、スライドかカードに用意します。名詞が説明しやすいです。頭文字やつづりだけで当てさせるヒントは、最後の1回だけなどに制限すると、英語で説明する練習から外れません。
Q. このゲームはどんな力につながりますか?
単語が出てこないときに言いかえて切り抜ける「コミュニケーション方略」の練習になります。方略を意識させる12週間の訓練で、口頭のコミュニケーションテストの得点が伸びたという報告があります(女性の英語学習者62人を対象にした研究)3。1回で身につくものではないので、単元ごとにくり返します。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
- Dörnyei, Z. (1995). On the teachability of communication strategies. TESOL Quarterly, 29(1), 55-85. doi:10.2307/3587805 ✔ DOI照合済コミュニケーション方略(言いかえ・時間かせぎなど)は教えられるのかを論じ、指導によって使う量と質が伸びうることを示した論文
- Nakatani, Y. (2005). The effects of awareness-raising training on oral communication strategy use. The Modern Language Journal, 89(1), 76-91. doi:10.1111/j.0026-7902.2005.00266.x ✔ DOI照合済EFL の女性学習者62人。12週間、コミュニケーション方略を意識させる訓練をしたグループが口頭テストの得点を伸ばした
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






