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アルファベット・ハンティング ― 身の回りの文字を探して、聞いて、読んでみる

教室の掲示、お菓子の袋、駅の看板。身の回りには英語の文字があふれています。「Find a capital A!」で文字を探し、見つけた文字の名前を言う。文字への気づきを、遊びの中で育てる活動です。

⏱ 時間
10-20分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人→班
🎯 技能
小学校・リーディング・ゲーム
📶 CEFR
Pre-A1
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
アルファベット・ハンティング ― 身の回りの文字を探して、聞いて、読んでみるのイメージ
💡ねらい
  • 文字の名前(エイ、ビー……)を聞いて、どの文字かがわかる。
  • 大文字と小文字を見分け、身の回りの英語の表示に目を向ける。
  • 見つけた文字を言ったり、語を書き写したりして、文字に親しむ。

アルファベット・ハンティングってなに?

ひとことで言うと、先生が言った文字(「Find a capital A!」)を、教室の掲示やお菓子の袋・チラシの中から探して見つけ、その文字の名前を言う活動です。

🎈たとえるなら

絵の中から人物をさがす「さがし絵」の本のようなものです。さがす目で見ると、毎日見ている看板や袋にも、英語の文字がたくさんあることに気づきます。聞いた文字の名前と、目の前の文字の形を結びつけるのが大事なところです。

フォニックスとのちがい

フォニックス アルファベット・ハンティング
扱うもの 文字や文字のまとまりと音の対応(a → /æ/、sh → /ʃ/ など) 文字の名前(エイ、ビー……)と形
ねらい 音をつないで語を読む・語を音に分けてつづる 文字の名前を聞いてわかる・大文字と小文字を見分ける
位置づけ 文字の名前の学習のあと、または一部並行して、読み書きにつなげる指導 文字に目を向けるきっかけ

やり方を3ステップで

  1. 名前を確かめる:文字カードで文字の名前を確認する(形のちがう小文字はていねいに)。
  2. 聞いて探す:先生の「Find a capital M!」で教室の中を全体で探し、慣れたら班で持ち寄った袋やチラシから探す。
  3. 言って紹介する:見つけた文字の名前を言い、どこで見つけたかを紹介する("We found a Z in pizza!")。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 子ども
0:00〜3:00 ABC の歌またはチャンツ、文字カードで名前の確認 歌う・文字を指して言う
3:00〜6:00 先生が文字を言い、教室の掲示から探させる(全体) 見つけたら指さして "Here!"
6:00〜14:00 班ごとにパッケージやチラシから文字探し ワークシートに○・場所を記録
14:00〜17:00 「レア文字」(Q, X, Z など)を見つけた班が発表 見つけた語を紹介
17:00〜20:00 ふりかえり・次回の予告(家でも探してこよう) 記入
アルファベット・ハンティング ― 身の回りの文字を探して、聞いて、読んでみるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 素材を集める:数日前に「英語の文字がついたお菓子の袋・チラシ・ラベルを持ってきてね」と伝える(食品の袋はきれいにして)。先生も教室用に10枚ほど用意。
  2. 文字の名前の確認:文字カードを見せながら名前を言い、リピート。小文字は大文字と形が違うもの(a, b, d, e, g, h, q, r など)を特に丁寧に。capital(大文字)と small(小文字)は「字の大きさ」ではなく「文字の種類」のことだと、カードの A と a を並べて確かめておく。
  3. 全体で探す:先生が "Find a capital M!" と言い、教室の掲示や時計、黒板の周りから探す。見つけた子は指さして "Here!"。先生がその文字を大きく書いて全員で名前を言う。
  4. 班で探す:持ち寄った素材を班の机に広げ、ワークシートの大文字・小文字の一覧に○をつけていく。見つけたら、どこで見つけたか(袋の名前など)と、その語をメモ。
  5. お題の出し方を変える:慣れたら "Find a small g!" "Find a letter in your name!"(ローマ字で書いた自分の名前の文字) "Find a word with two O's!" など、条件を変えて出題する。
  6. 発表:Q・X・Z など見つけにくい文字を見つけた班に、どこで見つけたかを紹介してもらう("We found a Z in pizza!")。
  7. 家でも:ワークシートで○がつかなかった文字を、家や通学路で探してくることを宿題に(任意。評価の対象にはしない)。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TLet's go hunting! Not animals ... letters!
TFind a capital M. Look around the classroom.
SHere! On the clock!
TYes! M as in "Made." It says "Made in Japan." Everyone, what letter is this?
SM!
TNext. Find a small g. Small g, not capital G.
TGood. Now, in your groups. Look at your bags and papers.
TCircle the letters you find.
TWhich group found a Z?
SWe found a Z in pizza!
TWow, two Z's in pizza! Great hunting!
🏫そのまま使える素材

お題の例(やさしい→むずかしい)

  1. Find a capital A.
  2. Find a small a.
  3. Find the first letter of your name.(ローマ字で書いたときの最初の文字。先にローマ字の名札を配っておく)
  4. Find a capital letter and a small letter that look the same.(C c, O o, S s など)
  5. Find a capital letter and a small letter that look different.(A a, G g, R r など)
  6. Find a round letter.(O, C, Q など)
  7. Find a letter with a line in the middle.(A, E, F, H など)
  8. Find three letters in a row: A-B-C.
  9. Find a word with two O's.(cookie, school, zoo)
  10. Find the letter Q. Is there a "u" after it?
  11. Find a word that starts with "S."
  12. Find a word you can read!

見つけやすい場所(教室・校内) 時計・パソコンのキーボード・非常口のサイン・消火器・ボールや体育用品・文房具・教科書の表紙・地図

見分けがむずかしい小文字のペア b と d / p と q / n と h / i と j / m と n

🔁アレンジ
  • 小学校3・4年:大文字中心。外国語活動の「文字の読み方が発音されるのを聞いて、どの文字かわかる」をめあてに、聞いて探すことを重視。
  • 小学校5・6年:小文字の見分けと、見つけた語の書き写しまで。見つけた語を「音」で読んでみる(pizza の p は /p/ )と、文字と音をつなぐ段階に進める。
  • 中学1年:入学直後の文字の確認に。見つけた語をアルファベット順に並べ替える(辞書引きの準備)活動にする。
  • 大人数クラス:班ごとに「○がついた文字の数」を競う。同じ文字は1つ数えれば十分。
  • 苦手な子が多いクラス:探す文字を5つに限定し、見本カードを手元に置いて形を比べながら探せるようにする。
  • タブレット:校内で英語の表示を写真に撮る「文字探しの探検」に。撮った写真を班で見せ合い、文字の名前を言う。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:文字の名前を聞いてどの文字かわかる。大文字・小文字を見分けられる。この活動で主に見るのはここです。
  • 思考・判断・表現:この活動は主に「知識・技能」の活動です。見つけた場所を言うだけ("We found a Z in pizza!")は事実の報告なので、この観点の材料としては弱くなります。この観点も見るなら、発表で「班で見つけた語の中から友だちに紹介したい語を選び、選んだわけや気持ちをひとこと添えて伝えている」("We found a Z in pizza! I like pizza!")ところや、聞き手が "Where?" とたずねてやり取りしているところを見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:見つからないときに見本カードと形を比べたり、探す場所を変えたりしながら、粘り強く文字を見分けようとしている。ふりかえりで「次は小文字の b と d を見分けたい」など、自分のめあてを決めている。

「主体的に学習に取り組む態度」は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見る観点です。また、記録に残す評価は毎回の授業ではなく、単元などのまとまりごとに場面を選んで行うことが求められています 1。この活動で観察したことは、主に次の指導に生かすための形成的な評価として使い、「家でも探してきた」かどうかは、家庭の事情に左右されるので評価には使いません。

下の表は、「聞いた文字の名前に合う大文字・小文字を見つける」という同じ課題について、どれくらい自分の力でできたかで分けた、授業中の様子をつかむための目安です。3・4年の外国語活動は、指導要録では観点ごとに段階をつけるのではなく、観点に照らして目立ったことを文章で書く形なので、◎○△をそのまま転記せず、文章で書くときの材料にします 1。

様子 目安
◎ 大文字・小文字とも、聞いてほとんど迷わずに自分で見つけられる
○ おおむね自分で見つけられる(小文字でときどき迷う)
△ 見本カードと形を比べたり、もう一度言ってもらったりすれば見つけられる

外国語(5・6年)では、読むこと「活字体で書かれた文字を見て、どの文字か、大文字か小文字かを識別する」の評価場面の1つとして使えます。ただし、記録に残す評価に使う文字は、教科書・文字カード・パッケージの見やすい印字など、はっきりした活字体に限ります。ロゴや飾り文字は気づきの活動には使いますが、評価の資料にはしません。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • b と d、p と q を取り違える → 「b はおなかが右、d はおなかが左」など、子どもが覚えやすい言い方をクラスで決める。間違えても笑わない雰囲気づくりも大切。
  • 文字の名前と音がごちゃまぜになる(「ア」と言う子がいる) → この活動では「名前」で統一する。音(/æ/)は別の時間にフォニックスとして扱う、と先生の中で分けておく。
  • 素材を持ってこられない子がいる → 先生が教室用の素材を多めに用意し、班で共有する。家庭から持ち寄るのは任意に。
  • 探すことに夢中で英語を言わなくなる → 見つけたら必ず文字の名前を言う、言えたら○をつけてよい、というルールにする。
  • ロゴの飾り文字が読めない → 「読めない文字もあるよ」で正解。教科書の活字体と比べてみると、形の違いへの気づきになります。
🔬なぜ効く?

学習指導要領の外国語活動(3・4年)では、聞くことの目標に「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする」があり、5・6年の外国語の読むことの言語活動の例には「活字体で書かれた文字を見て、どの文字であるかやその文字が大文字であるか小文字であるかを識別する活動」があります 2。アルファベット・ハンティングは、この「聞いてわかる」「見て見分ける」を、身の回りの文字を使って練習する活動です。

研究では、英語を含むアルファベットの言語(ほかにヘブライ語・フランス語など)で読み書きを学ぶ、主に就学前〜小学校低学年の子どもの文字の学習と指導をまとめたメタ分析があります。指導の効果は、どんな力を測ったか・何を教えたかで違い、家庭での指導より学校での指導、個別の指導より小グループの指導で効果が大きくなりました(小グループの差は、主に文字の名前の知識について見られたものです)3。ただしこれは、さまざまな研究を比べた結果で、指導の形だけを入れかえて試した実験ではありません。また、ここでの「小グループ」は先生などが少人数に指導する形のことです。班で文字を探す活動に同じ効果があるとまでは言えないので、「少人数で文字に目を向ける場をつくる」ための参考として受け止めてください。

同じメタ分析では、文字の指導から、音を聞き分ける力・読む力・つづる力への波及の証拠はわずかしか見つかりませんでした 3。つまり「アルファベットが全部言える=英語が読める」ではありません。文字探しは、文字に目を向けるきっかけとして楽しく行い、その先で、見つけた語の最初の音を言ってみるなど、文字と音をつなぐ指導(フォニックス)に進むことが大切です。なお、この研究は、英語などアルファベットの言語で読み書きを学び始める子ども(主に就学前〜小学校低学年)の研究をまとめたもので、日本で英語を外国語として学ぶ小学生を直接調べたものではありません。

❓ よくある質問

Q. アルファベット探しは、学習指導要領のどの目標につながりますか?

3・4年の外国語活動には「文字の読み方を聞いてどの文字かが分かる」目標が、5・6年の外国語には活字体の文字が大文字か小文字かを識別する活動の例があります 2。アルファベット探しは、この「聞いてわかる」「見て見分ける」を身の回りの文字で練習する活動です。

Q. b と d、p と q を取り違える子にはどうしますか?

「b はおなかが右、d はおなかが左」のように、子どもが覚えやすい言い方をクラスで決めます。間違えても笑わない雰囲気づくりも大切です。小文字は a, b, d, e, g, h, q, r など、大文字と形が違うものを特に丁寧に確認します。

Q. 文字の「名前」と「音」はいっしょに教えますか?

この活動では「エイ、ビー」という名前で統一します。/æ/ のような音は、別の時間にフォニックスとして扱うと先生の中で分けておきます。文字探しで文字に目を向けたあと、見つけた語の最初の音を言ってみるなど、文字と音をつなぐ指導に進みます。

Q. アルファベットが全部言えれば、英語が読めるようになりますか?

そうとは限りません。英語を含むアルファベットの言語で読み書きを学ぶ、主に就学前〜低学年の子どもの文字の学習と指導をまとめたメタ分析では、文字の指導から読む力やつづる力への波及の証拠はわずかでした 3。日本の小学生にそのまま当てはまるとは限りませんが、文字探しの先はフォニックスなど文字と音をつなぐ指導が大切です。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
  2. 文部科学省 (2017). 小学校学習指導要領(平成29年告示) 公式ページ ✔ リンク確認済小学校の学習指導要領。外国語活動(3・4年)と外国語科(5・6年)の目標・内容を示している
  3. Piasta, S. B., & Wagner, R. K. (2010). Developing early literacy skills: A meta-analysis of alphabet learning and instruction. Reading Research Quarterly, 45(1), 8-38. doi:10.1598/RRQ.45.1.2 ✔ DOI照合済18歳未満の子どもへの文字(アルファベット)指導のメタ分析(英語以外のアルファベット言語の研究もふくむ)。学校での指導・小グループの指導で効果が大きいが、読み・つづりへの波及の証拠はわずか

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら