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🎲 授業アクティビティ集小学校中学校高校📖 約10分

ビフォー・アフター録音 ― タブレットで自分の音読・スピーチを録って聞き比べ、伸びを「耳で」確かめる

練習の前に1回録音、練習のあとにもう1回。2つを聞き比べてチェックリストで自己評価する。自分の声を聞くのは恥ずかしいけれど、「上手になった自分」を耳で確かめる体験は、何よりの練習のごほうびになります。

⏱ 時間
10-15分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人(ペアで聞き合いも)
🎯 技能
発音・スピーキング・リーディング
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ビフォー・アフター録音 ― タブレットで自分の音読・スピーチを録って聞き比べ、伸びを「耳で」確かめるのイメージ
💡ねらい
  • 自分の英語を録音して聞き、具体的な観点で良い点と課題を見つける。
  • 練習の前と後を比べて、練習の効果を自分の耳で確かめる。
  • 1人1台端末を、「聞いて終わり」ではなく「自分の声を記録して伸びを見る」道具として使う。

音読練習を何回もしたあと、「上手になった?」と聞くと、生徒は「たぶん…」としか答えられません。話した英語はその場で消えてしまうからです。録音すれば、練習前の自分と練習後の自分を並べて聞けます。最初は自分の声に照れていた生徒も、Before と After の違いがはっきり聞こえると、「もう1回録りたい」と言い出す生徒もいます。

ビフォー・アフター録音ってなに?

ひとことで言うと、同じ英文を練習の前と後に1回ずつ録音し、2つを聞き比べて、決めた観点で自分の英語の変化を確かめる活動です。

🎈たとえるなら

部活で、自分のフォームを練習の前と後に動画で撮って見比べるようなものです。自分では「たぶんできている」と思っていても、映像を並べると変化や課題がはっきりします。何を見るか(観点)をしぼって比べるのが大事なところです。

ふつうの音読練習とのちがい

ふつうの音読練習 1回だけ録音して聞く ビフォー・アフター録音
記録 残らない 1つ残る 練習の前と後の2つが残る
比べ方 なんとなく 1つを聞くだけ 観点を決めて2つを比べる
わかること 「たぶん上手になった」 今の自分の読み方 練習でどこが変わったか

やり方を3ステップで

  1. Before を録る:本文を練習せずに、そのまま1回録音する(録り直しなし)。
  2. 練習して After を録る:モデル音声を聞き、区切りや強く言う語を確かめて練習し、もう一度録音する。
  3. 聞き比べる:観点を2〜3個にしぼって Before と After を1〜4で評価し、ペアで良い点を伝え合う。

授業の流れ(分ごと)

時間 活動 先生の動き
0:00〜2:00 本文の確認、録音のしかたの説明 録音アプリ(ブラウザ)の操作を実演
2:00〜3:00 Before の録音(練習なしで1回) 「上手でなくてOK」と伝える
3:00〜8:00 練習(音読の段階練習・モデル音声を聞く) 区切り・強く言う語を確認
8:00〜9:00 After の録音 静かな環境を確保
9:00〜13:00 2つを聞き比べ、チェックリストで自己評価 観点を1つずつ読み上げる
13:00〜15:00 ペアで After を聞き合い、良い点を1つ伝える 良い変化の例を紹介
ビフォー・アフター録音 ― タブレットで自分の音読・スピーチを録って聞き比べ、伸びを「耳で」確かめるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 準備:タブレットとイヤホン(できれば)を用意。録音ツールの操作(録音・停止・再生・保存)を先生が実演する。ファイル名は「出席番号_before」「出席番号_after」とルールを決める。
  2. Before の録音(1分):本文を一度も練習せずに、そのまま1回録音する。うまく読めなくて当然、と伝える。録り直しは禁止(ありのままの記録にする)。
  3. 練習(5分):モデル音声を聞く→意味のまとまりで区切る→強く言う語に印→音読を3回、など、ふだんの音読練習をする。
  4. After の録音(1分):同じ本文を1回録音する。Before と条件をそろえるため、録り直しは雑音や機器のトラブルがあったときだけにする。
  5. 聞き比べ(4分):イヤホンで Before → After の順に聞く。ワークシートの観点ごとに、Before と After を1〜4で評価する。時間(秒)も記録する。
  6. ペアで聞き合い(2分):ペアに After を聞いてもらい、「良かった点」を1つ英語か日本語で伝えてもらう。
  7. 提出と活用:After のファイルを提出させる(学習支援システムなど)。ふだんの練習では、先生は全員分を毎回聞く必要はなく、数人を選んで聞き、次の授業で良い例を紹介する。ただし、観点別評価の記録に使う回は、共通の規準で全員分を聞いて確かめる。学期の最初と最後に同じ文を録音すると、同じ原稿での読み方の変化を比べられる(原稿に慣れた分も含まれるので、総合的な伸びを見るなら、同じくらいの難しさの初めて読む文も録音する)。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TToday, you'll record your voice two times — before practice and after practice.
TFirst, the "before" recording. Don't practice. Just read it once. It's OK to make mistakes.
TNow let's practice. Listen to the model. Where are the phrase breaks? Which words are strong?
TOK, record again. This is your "after" recording. Make one recording. You only need to start again if there is a technical problem.
TPut on your earphones. Listen to "before," then "after." What changed?
S1In "after," I read more smoothly, and I grouped the words into clearer phrases.
TGreat. Check the list. Give yourself a score from one to four for each point.
TNow let your partner listen. Partners, tell them one thing they did well.
S2Your "library" sounded very clear!
🏫そのまま使える素材

聞くときの観点(1回に2〜3個にしぼって使う)

  1. 意味のまとまりで区切っているか(I usually go there / on Saturday mornings.)。区切りは毎回止まることではなく、少し間をあけたり、声の調子を変えたりすることでも表せる
  2. 大事な語を強く言っているか(favorite, library, quiet)
  3. 語の最後に余計な母音がついていないか(book → bookuh になっていないか)
  4. th の2つの音(the, there は声を出す /ð/、thank は息だけの /θ/。初めは片方だけを観点にする)
  5. r と l(library, really, listen)
  6. 文末の上げ下げ(Yes/No 疑問文はふつう上がり調子、Wh 疑問文や平叙文はふつう下がり調子。場面や気持ちで変わることもある)
  7. つながる音(talk about → talkabout、an apple)
  8. 速さ(1分あたりの語数。speech-rate で測る)
  9. 声の大きさ・はっきりさ
  10. 止まった回数・言い直した回数

録音に使える素材 11. 教科書の本文(1パートの一部、50〜80語) 12. 自己紹介スピーチ(30秒) 13. 1分間スピーチの原稿 14. 会話文(ペアで役を分けて録音) 15. 早口言葉(She sells seashells … など)で、発音の観点を1つにしぼって

学期を通した使い方:4月に録音した自己紹介を、7月・12月・3月にも同じ原稿で録音し、4つを聞き比べる「成長記録」にする。毎回の振り返り(次に何をどう練習するか)といっしょに残すと、主体的に学習に取り組む態度を見る資料の1つになる。

🔁アレンジ
  • 小学校:歌やチャンツの一部、自己紹介(My name is … I like …)を録音。聞き比べは「どっちが大きな声?」「どっちが聞き取りやすい?」「どっちが大事な語をはっきり言えた?」くらいのシンプルな問いで。
  • 中学:音読の段階練習の最初と最後に録音する。観点は毎回1つ(今日は「区切り」)にしぼると聞きやすい。
  • 高校:スピーチやディベートの準備で、録音を聞いて原稿を修正する。1分あたりの語数(話す速さ)を記録し、目標値を決める。
  • 大人数クラス:40人が同時に録音すると互いの声が入るので、列ごとに時間差で録音する、イヤホンのマイクを口元に近づける、などで工夫する。教室の外を使うなら、先生の目が届く隣の空き教室など、学校の安全・施設のルールにそった場所に限る(階段や通路は使わない)。
  • 苦手な生徒が多いクラス:本文を短く(2〜3文)する。観点は1つだけ。After のほうが良くなった点を、先生が一緒に見つける。
  • オンライン・タブレット:家庭学習として「家で Before、授業で練習、家で After」にすると、授業時間を節約できる。録音を学習支援システムに提出し、先生が音声でコメントを返すこともできる。
📊評価のポイント

録音は、パフォーマンスの「記録が残る」という大きな利点があります。ただし、自己評価の点数そのものを成績にはしません。「知識・技能」は、After の録音がどこまでできているかを、全員に共通の規準で評価します。Before からの伸び幅そのものを点数にするのではなく、録音の変化や振り返りは、自分の学習を調整しようとしている様子を見る資料の1つとして、ふだんの言語活動での様子と合わせて使います。

観点 見るところ A(十分満足) B(おおむね満足) C への手立て
知識・技能 After の録音の音読 区切り・強勢・音がおおむね正確で、意味が伝わる 区切りや強勢に課題があるが意味が伝わる モデル音声と1文ずつ比べさせる
思考・判断・表現 (教科書の音読だけなら見ない)自分のスピーチの録音 聞き手と目的(例:ALT に自分の町を紹介する)に合わせて、伝えたい内容と強調する語を自分で選び、伝わるように話している 聞き手に伝わるように、内容を選んで話している 「だれに・何のために話す?」「一番伝えたいことは?」を一緒に決める
主体的に学習に取り組む態度 聞き手に伝わるようにする工夫と、自己評価による改善 聞き手に伝わるように、録音から自分の課題を具体的に見つけ、練習のしかたを選んで試し、次の録音で直そうとしている Before と After の違いを1つ見つけ、聞き手に伝わるように次に練習する点を決めている 先生が良くなった点を一緒に探し、次の観点を1つ決める

教科書本文の音読は、主に「知識・技能」として見ます。「思考・判断・表現」を見るのは、生徒が自分で内容を選ぶスピーチなどを録音するときです。外国語科の「主体的に学習に取り組む態度」は、聞き手などに配慮しながら主体的に英語でコミュニケーションを図ろうとしている状況を、粘り強い取組と自分の学習を調整しようとする側面から見る観点です 12。振り返りシートはその資料の1つで、1回の録音だけで決めず、単元や学期を通した録音と振り返りの記録から判断します。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 自分の声を聞くのを恥ずかしがる→「プロの歌手でも自分の声は変に聞こえる」と伝える。ペアに聞かせるのは希望者だけから始め、先生も自分の録音を聞かせて見せる。
  • 教室がうるさくて録音できない→ 場所を分ける、列ごとに時間差で録る、イヤホンのマイクを使う。完全に静かでなくても聞き比べはできる。
  • Before で何度も録り直してしまう→ Before は1回きりのルールにする。Before は「下手でいい」ことを最初に強調する。
  • 聞き比べがあいまい(何となく良くなった)→ 観点を2〜3個にしぼり、1つずつ聞く。時間(秒)や止まった回数など、数えられる観点を入れる。
  • 端末のトラブルで時間がなくなる→ 最初の数回は操作の練習だけの時間をとる。ファイル名のルールを決めておく。
  • 録音データの扱いがあいまい→ 生徒の声は個人の情報なので、学校・教育委員会が認めた録音ツールと保存先だけを使う。外部のサービスに音声が送られ保存されるかを事前に確かめ、ファイル名には氏名を入れず出席番号など必要最小限にする。提出先は先生と本人だけが見られる設定にし、いつ削除するかも決めておく。
🔬なぜ効く?

台湾の大学生97人を対象にした研究では、学生がスマホで自分の発話を録音し、単に点数をつけるのではなく、発話の大事な要素に目を向けさせる質問にそって自己評価することを5回くり返しました。その結果、発話の力と、自分の発話を評価する力の両方が回を追うごとに伸び、学生は自分のまちがいに気づき、学習の成果を確かめられる機会を高く評価していました 3。ビフォー・アフター録音で「観点を決めて聞く」のは、この「ガイドつきの自己評価」にあたります。

また、カナダの英語で授業をする大学で学ぶ上級の学習者16人が、8週間、モバイル端末で録音しながら会話文のシャドーイング練習を続けた研究では、即興で話したときの「わかりやすさ」と「流暢さ」が伸びました。一方、なまり(ネイティブらしさ)の評価は変わりませんでした 4。ただしこの研究には比べるための対照群がなく、ふだんの生活で英語を使う環境だったので、伸びがこの練習のおかげだとは言い切れません。録音とシャドーイングのどちらが効いたのかも分けられていません。録音を使った練習のゴールは、ネイティブそっくりの発音ではなく、相手にわかりやすく伝わる英語だと考えるとよいでしょう。どちらの研究も人数は多くなく、日本の中高生を対象にしたものではありません。この活動は、こうした研究を手がかりに組み立てた実践の工夫です。

❓ よくある質問

Q. 録音した音読は、どんな観点で聞き比べればいいですか?

観点は2〜3個にしぼり、1つずつ聞きます。「何となく良くなった」で終わらないよう、かかった時間(秒)や止まった回数など、数えられる観点を入れるのがコツです。ワークシートで Before と After をそれぞれ1〜4で評価します。

Q. 自分の声を聞くのを恥ずかしがる生徒には?

「プロの歌手でも自分の声は変に聞こえる」と伝えます。ペアに聞かせるのは希望者だけから始め、先生も自分の録音を聞かせて見せます。Before は「下手でいい」と最初に強調し、録り直しなしの1回きりにします。

Q. 先生は全員の録音を聞く必要がありますか?

ふだんの練習では、全員分を毎回聞く必要はありません。After のファイルを学習支援システムなどで提出させ、数人を選んで聞き、次の授業で良い例を紹介します。ただし、観点別評価の記録に使う回は、共通の規準で全員分を聞いて確かめます。学期の最初と最後に同じ文を録音すると、同じ原稿での読み方の変化を比べられます(原稿に慣れた分も含まれる点に注意)。

Q. 録音して自己評価すると、話す力は伸びますか?

大学生が自分の発話を録音し、大事な要素に目を向けさせる質問にそって自己評価をくり返した研究では、発話の力と自己評価の力の両方が伸びました 3。ただし参加者全員が自己評価をくり返し、回を追った変化を見た研究で(比べるグループはなし)、日本の中高生が対象ではない点には注意が必要です。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
  2. 国立教育政策研究所 教育課程研究センター (2020). 「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料 中学校 外国語 公式ページ ✔ リンク確認済中学校外国語の3観点の評価規準の作り方・単元の指導と評価の計画の事例を示した国研の参考資料
  3. Hung, Y.-J. (2019). Bridging assessment and achievement: Repeated practice of self-assessment in college English classes in Taiwan. Assessment & Evaluation in Higher Education, 44(8), 1191-1208. doi:10.1080/02602938.2019.1584783 ✔ DOI照合済台湾の大学生97人。スマホで自分の発話を録音し、ガイドの質問にそって5回自己評価した。発話と評価の力の両方が伸びた
  4. Foote, J. A., & McDonough, K. (2017). Using shadowing with mobile technology to improve L2 pronunciation. Journal of Second Language Pronunciation, 3(1), 34-56. doi:10.1075/jslp.3.1.02foo ✔ DOI照合済8週間、携帯音楽プレーヤー(iPod)で録音しながらシャドーイングを続けた研究。わかりやすさ・流暢さが伸びた

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら