やさしい英語で多読!【音声つき】

【やさしい英文de多読!】<33> A Candy Company That Sells Hand Warmers: The Surprising Story of Lotte お菓子メーカーなのにカイロを販売? ロッテの意外な物語 ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「お菓子メーカーなのにカイロを販売? ロッテの意外な物語」です。「お口の恋人」でおなじみのロッテが、実は使い捨てカイロ「ホカロン」の全国販売元だったという驚きのトリビア。お菓子と暖かさの意外な接点を、やさしい英文で読み解きましょう!

📖 英文(220 words)

Do you know the Japanese candy company Lotte? They are famous for chocolate and chewing gum. Their slogan is “Your Sweetheart, Lotte.” But here is a surprising fact: Lotte also sells disposable hand warmers called Hokaron! Why does a candy maker sell something to keep you warm?

The story begins in the 1970s. A company that made oxygen absorbers for Lotte’s candy packaging had an interesting idea. When they tried to make a bigger absorber, the iron powder inside got very hot. It was too hot for candy, but someone thought, “We can use this heat as a hand warmer!” They asked Lotte to sell it together.

In 1978, Lotte started selling Hokaron across Japan. It was small, light, and easy to use. You just opened the package and the warmer got hot by itself. Each one cost only 100 yen. People loved it because it used no fire and had no smell. It became a huge hit, and stores could not keep enough in stock.

Before Hokaron, people in Japan used old-style warmers that needed fire or special fuel. Hokaron changed everything. Now, many companies sell disposable hand warmers, but Hokaron was the pioneer that made them popular nationwide.

Today, Lotte still sells Hokaron. It is one of Japan’s favorite winter items. Sometimes the best ideas come from unexpected places — even a candy company!

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📝 重要語句

disposable:使い捨ての
made to be used once and then thrown away(一度使ったら捨てるようにできている)
hand warmer:カイロ
a small packet that produces heat to warm your hands(手を温めるために熱を出す小さなパック)
slogan:スローガン
a short phrase used by a company to attract attention(注目を集めるために企業が使う短いフレーズ)
oxygen absorber:脱酸素剤
a small packet that removes oxygen to keep food fresh(食品を新鮮に保つために酸素を取り除く小袋)
iron powder:鉄粉
tiny pieces of iron metal(鉄の細かい粒)
package:パッケージ
the wrapper or bag around a product(商品を包む袋や包装)
fuel:燃料
something that is burned to make heat or energy(熱やエネルギーを作るために燃やすもの)
huge hit:大ヒット
something that is extremely popular and successful(非常に人気があり成功したもの)
pioneer:先駆者
the first to do or create something new(何か新しいことを初めて行う存在)
unexpected:予想外の
surprising, not what you thought would happen(驚くような、思ってもみなかった)

🇯🇵 日本語訳

日本のお菓子メーカー「ロッテ」をご存じですか? チョコレートやチューインガムで有名な、「お口の恋人」のキャッチフレーズでおなじみの会社です。ところが、驚くべきことに、ロッテは「ホカロン」という使い捨てカイロも販売しているのです。なぜお菓子メーカーが、体を温める商品を手がけているのでしょうか?

話は1970年代にさかのぼります。ロッテのお菓子の包装に使う脱酸素剤を製造していた会社が、ある面白いことに気づきました。脱酸素剤を大型化しようとしたところ、中の鉄粉が非常に高温になったのです。お菓子には使えない熱でしたが、「この熱をカイロに活かせるのでは?」とひらめいた人がいました。こうしてロッテに共同開発の話が持ちかけられたのです。

1978年、ロッテはホカロンを全国で発売しました。小さくて軽く、使い方もとても簡単。袋から出すだけで自然と温かくなり、1個わずか100円。火を使わず、においもしないため、たちまち大人気となり、生産が追いつかないほどでした。

ホカロン以前、日本では火や専用の燃料が必要な旧式のカイロが使われていました。ホカロンの登場はまさに革命でした。今では多くのメーカーが使い捨てカイロを販売していますが、全国に広く普及させた先駆けはホカロンだったのです。

現在もロッテはホカロンを販売し続けており、冬の定番アイテムとして親しまれています。最高のアイデアは、時に意外な場所から——お菓子メーカーからでも——生まれるものなのです。

🔥 コラム:日本人の「温活」事情——カイロの歴史をたどる

日本では冬の寒さ対策として、使い捨てカイロ以外にもさまざまな「温活」グッズが親しまれてきました。その歴史は意外に古く、カイロの原点ともいえる「温石(おんじゃく)」は平安時代から使われていたといいます。温めた石を布で包んで懐に入れるというシンプルなものでしたが、暖房設備のない時代の人々にとっては、まさに命綱のような存在でした。

🔸 明治〜昭和——火を使うカイロの時代

時代が進むと、明治には炭の粉を金属容器で燃やす「懐炉灰(かいろばい)」が登場し、大正~昭和にかけてはベンジンの気化熱を利用した「ベンジンカイロ」が広まりました。ジッポライターのような見た目で繰り返し使えるこのカイロは、今でもアウトドア愛好家を中心に根強い人気があります。しかし、火を使う以上、手軽さや安全面には限界がありました。

🔸 1978年——ホカロンが切り拓いた「使い捨て」の時代

1975年に旭化成が鉄粉の酸化反応を利用した使い捨てカイロを開発・限定販売していましたが、全国的に普及させたのは1978年のロッテの「ホカロン」でした。1個100円という手ごろな価格と「火も使わず、においもしない」という手軽さが受け、発売直後から爆発的に売れました。ちなみに「ホカロン」の名前は、薬局で販売されたことから薬品名に多い「○○ン」の語尾をつけたのだとか。ユニークなネーミングも成功の一因かもしれません。

🔸 進化し続けるカイロ文化

現在では貼るタイプ、靴下用、目元用、さらには香りつきまで、驚くほど多彩な種類が揃っています。「鉄が錆びるときに出る熱」というシンプルな化学反応が、これほど多くの人の冬を暖かくしてきたと思うと、科学の力と日本人のきめ細やかな発想に感心せずにはいられません。

使い捨てカイロは日本発の発明品として海外にも輸出されており、アメリカや中国をはじめ世界各国で使われています。日本の冬の知恵が、国境を越えて人々を温めている——それもまた、ちょっと誇らしい話ではないでしょうか。

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