やさしい英語で多読!【音声つき】

【やさしい英文de多読!】<52> Greenery Day: Why Japan Has a Holiday Just for Nature みどりの日:なぜ日本には自然のための祝日があるのか ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「みどりの日」です。なぜ「Green Day」ではなく「Greenery Day」なのか?なぜ日付が引っ越したのか?昭和天皇の意外な素顔とともに、知れば知るほど味わい深い祝日の物語をお届けします。

📖 英文(228 words)

Greenery Day: Why Japan Has a Holiday Just for Nature

May 4 is Greenery Day in Japan. It is a national holiday to enjoy nature and feel thankful for it. The English name is “Greenery Day,” not “Green Day.” This is important. “Green” just means the color, but “greenery” means leaves, trees, and plants. So the name shows that this day is about real nature, not only a color.

Surprisingly, Greenery Day moved! From 1989 to 2006, it was on April 29. This was the birthday of Emperor Showa. He loved plants and animals very much. He even studied marine biology and found new sea creatures. Because of his deep love for nature, the government chose the name “Greenery Day” for his birthday. Later, in 2007, his birthday became “Showa Day,” and Greenery Day moved to May 4.

Here is a fun fact: another name was almost chosen. Some people wanted “Science Day” because the Emperor was a scientist. But “Greenery Day” won because it sounded warmer and easier to understand.

On Greenery Day, many national parks and gardens open for free. Families enjoy picnics under fresh green leaves. Also, on this day, the Mainichi newspaper prints its title in green ink instead of blue. It is a small but lovely tradition.

Take a walk outside today. Look up at the trees. That is the best way to celebrate!

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📝 重要語句

greenery:草木、緑
leaves, trees, and plants together(葉や木、植物などの総称)
national holiday:国民の祝日
a special day off for all the people in a country(国民みんなが休む特別な日)
thankful:感謝している
feeling glad for something good(よいことに対してうれしく思う気持ち)
surprisingly:驚くことに
in a way that makes you feel amazed(びっくりさせるような感じで)
emperor:天皇
the highest ruler of an empire(帝国の最高位の統治者)
marine biology:海洋生物学
the study of sea animals and plants(海の生き物を研究する学問)
sea creatures:海の生き物
animals that live in the sea(海にすむ動物たち)
government:政府
the group of people who rule a country(国を治める人々の集まり)
tradition:伝統、しきたり
something people have done for many years(長年続けられてきた習わし)
celebrate:祝う
to do something special on an important day(大切な日に特別なことをする)

🇯🇵 日本語訳

5月4日は日本の「みどりの日」。自然に親しみ、その恵みに感謝するための国民の祝日です。英語では「Greenery Day」と呼ばれます。「Green Day」ではないところがポイント。「Green」は単に色を表す言葉ですが、「Greenery」は葉や木、草花など、生い茂る緑そのものを指す言葉です。つまりこの祝日の名前には、「色」ではなく「自然そのもの」を讃えるという意味が込められているのです。

意外なことに、みどりの日はかつて別の日でした。1989年から2006年までは、4月29日がみどりの日だったのです。これは昭和天皇の誕生日。昭和天皇は幼少のころから植物や動物をこよなく愛し、海洋生物学者として新種の海洋生物を発見されたほどの研究者でもありました。自然への深い愛情にちなんで、誕生日は「みどりの日」と名付けられたのです。やがて2007年、4月29日は「昭和の日」となり、みどりの日は5月4日へと引っ越しました。

ちなみに、もう一つの候補もあったのをご存じでしょうか。昭和天皇が科学者でもあったことから「科学の日」という案も挙がっていたのです。しかし、より親しみやすく温かみのある「みどりの日」が選ばれました。

みどりの日には、全国の国公立公園や植物園が無料開放されます。家族そろって新緑の下でピクニックを楽しむ姿もあちこちで見られます。さらに、毎日新聞ではこの日だけ、いつもは青色の題字が緑色で印刷されるという、小さくも素敵な伝統も。

今日はぜひ外へ出て、空を見上げてみてください。木々を見上げる——それこそが、この祝日を祝う一番の方法かもしれません。

🌿 コラム:知れば知るほど面白い「みどりの日」

「みどりの日」は、ただ「緑が好きだから」作られた祝日ではありません。その背景には、ひとりの天皇の人生と、日本のカレンダーをめぐる驚くべき紆余曲折のドラマがあります。

🔸 昭和天皇の「もう一つの顔」——海洋生物学者として

天皇でありながら本格的な科学者でもあった昭和天皇は、生涯をかけて生物学、特にヒドロゾアやウミウシといった海の小さな生き物を研究されました。論文を発表し、新種を発見し、皇居内には専用の生物学研究所まで設けられていました。代表的な研究成果に『相模湾産後鰓類図譜』(1949年)などがあり、専門の学者たちからも高く評価されています。「自然を愛する天皇」という言葉は、決して大げさな美辞麗句ではなかったのです。

🔸 祝日の「引っ越し」——4月29日から5月4日へ

みどりの日はもともと4月29日でした。昭和天皇が崩御された1989年、ゴールデンウィークの一角を構成するこの日を平日に戻すと国民生活への影響が大きいと判断され、自然を愛した天皇にちなんで「みどりの日」として残されたのです。ところが2005年の祝日法改正で、4月29日は「昭和の日」となり、みどりの日は5月4日へと引っ越しました。なぜか? 5月4日は憲法記念日(5月3日)とこどもの日(5月5日)に挟まれた「国民の休日」という、名前のない休日でした。そこに「みどりの日」を移すことで、ゴールデンウィークすべての日にちゃんとした意味を持たせたのです。日本人らしい、何ともきめ細やかな配慮ですね。

🔸 もう一つの候補は「科学の日」だった

1989年に「みどりの日」が制定される際、実はもう一つの候補が挙がっていました。それが「科学の日」。昭和天皇が科学者でもあったことに由来する案でしたが、最終的には親しみやすさと自然への敬意を込めた「みどりの日」が採用されました。もし「科学の日」になっていたら、今ごろ5月4日は実験教室や科学館のイベントだらけだったかもしれません。

🔸 なぜ”Green Day”ではなく”Greenery Day”なのか

英語の「greenery」は、色を表す「green」とは違って、生い茂る草木そのものを指す古い言葉です。シェイクスピアの作品にも登場する詩的な響きを持つ単語で、自然への敬意を伝えるのにぴったり。ちなみにアメリカには「Green Day」という有名なロックバンドがありますが、これは「グリーンデー(怠惰な一日)」を意味するスラングが由来。同じ「グリーン」でも、ずいぶん違う意味になるものですね。

🔸 緑色になる新聞、無料になる公園

みどりの日には、毎日新聞の題字がこの日だけ緑色で印刷されるという伝統があります。普段は青色の「毎日新聞」の文字が、5月4日だけは緑に染まる——新聞を取っている方は、ぜひ来年確認してみてください。さらに、全国の国公立公園や国立科学博物館、新宿御苑などが無料開放されます。「みどりの月間」(4月15日~5月14日)には、植物や森林の研究で優れた業績を上げた人に贈られる「みどりの学術賞」の式典も開かれ、自然と科学を讃える1か月となります。

5月4日。ただの連休の真ん中の一日として過ごすのは、ちょっともったいない。窓を開け、新緑の風を感じながら、自然と人とのつながりに思いを馳せてみる——そんな静かな一日にしてみてはいかがでしょうか。一本の木を見上げるだけでも、「Greenery Day」を祝うことになるのですから。