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【やさしい英文de多読!】<44> French Fries Are Not French: The Surprising Truth フライドポテトはフランス生まれじゃない:驚きの真実 ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「フライドポテトはフランス生まれじゃない」です。世界中で”French fries”と呼ばれているのに、実はフランスではなくベルギーが発祥の地だった!? 名前の由来から国家的プライドまで、おいしくて奥深いフライドポテトの物語を読み解きます。

📖 英文(226 words)

Everyone loves French fries. They are crispy, salty, and delicious. But here is a surprising fact: French fries probably did not come from France. Many people believe they were born in Belgium. For Belgians, this is not just about food. It is about national pride.

The story goes back to the late 1600s. Poor villagers in the Meuse Valley in Belgium liked to catch small fish from the river and fry them. But one very cold winter, the river froze completely. They could not catch any fish. So instead, they cut potatoes into thin strips and fried them in oil. That was the beginning of fries.

Then why do we call them “French” fries? One popular theory says the word “French” does not mean “from France.” In old cooking English, “to french” meant to cut food into long, thin pieces. So “French fries” may simply mean “fries cut into thin strips.” Another story says American soldiers in World War I tasted fries in Belgium. The Belgian soldiers spoke French, so the Americans thought the food was French.

Belgium takes its fries very seriously. There are about 5,000 fry shops called “friteries” across this small country. In 2008, the world’s first and only Fries Museum opened in Bruges. Belgium even asked UNESCO to recognize fries as part of Belgian cultural heritage. Belgians eat their fries with mayonnaise, not ketchup.

Next time you eat fries, remember: they are probably Belgian, not French!

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📝 重要語句

crispy:カリカリした
hard and crunchy on the outside(外側がパリッとした食感の)
national pride:国民的な誇り
the strong good feeling a country has about itself(国が自国について抱く強い誇り)
valley:谷
low land between hills or mountains(丘や山のあいだの低い土地)
froze:凍った
became ice because of cold(寒さで氷になった)
strips:細長い切れ端
long, thin pieces of something(何かを細長く切ったもの)
theory:説
an idea that tries to explain something(何かを説明しようとする考え)
soldiers:兵士
people who fight in an army(軍隊で戦う人たち)
seriously:真剣に
in a way that shows something is important(物事が重要であることを示すように)
heritage:遺産
traditions and culture passed down over time(時代を超えて受け継がれる伝統や文化)
mayonnaise:マヨネーズ
a thick, creamy white sauce made from eggs and oil(卵と油で作る白くクリーミーなソース)

🇯🇵 日本語訳

フライドポテトが嫌いな人はいないでしょう。カリッとして、塩気があって、たまらなくおいしい。ところが、驚くべき事実があります——フライドポテトは、おそらくフランス生まれではありません。多くの人が「ベルギーこそが発祥の地」だと考えているのです。ベルギー人にとって、これは単なる食べ物の話ではありません。国の誇りがかかっているのです。

話は1600年代後半にさかのぼります。ベルギーのムーズ渓谷に暮らす貧しい村人たちは、川で小魚を獲って揚げて食べていました。ところがある年の冬、川が完全に凍りついてしまいます。魚が獲れない。そこで彼らは、ジャガイモを細長く切って油で揚げたのです。これがフライドポテトの始まりだったとされています。

では、なぜ”French fries”と呼ばれているのでしょうか? 有力な説のひとつは、”French”が「フランスの」という意味ではない、というものです。古い英語の調理用語で、”to french”は「食材を細長く切る」という意味がありました。つまり”French fries”とは「細切りにして揚げたもの」という意味にすぎない、というわけです。もうひとつの説は、第一次世界大戦中にアメリカ兵がベルギーでフライドポテトを食べたことに由来します。ベルギー軍の公用語がフランス語だったため、アメリカ兵たちはこの食べ物をフランスのものだと思い込んだのです。

ベルギー人のフライドポテト愛は本気です。この小さな国には「フリチュール」と呼ばれるフライドポテト専門店が約5,000軒もあります。2008年には、ブルージュに世界初にして唯一の「フライドポテト博物館」がオープンしました。さらにベルギーは、ユネスコに対してフライドポテトをベルギーの文化遺産として認定するよう申請までしています。ちなみに、ベルギー人はケチャップではなくマヨネーズで食べるのがお決まりです。

今度フライドポテトを食べるとき、ぜひ思い出してください——それはきっと、フランスではなくベルギー生まれですよ!

🍟 コラム:フライドポテトをめぐる世界の「言い分」

フライドポテトの起源をめぐっては、ベルギーとフランスのあいだで今なお静かな——しかし熱い——論争が続いています。実はこの二国だけでなく、スペインも名乗りを上げているのをご存じでしょうか。

🔸 ベルギー側の主張——「凍った川」伝説

ベルギー側のストーリーはこうです。1680年頃、ムーズ川沿いの村人たちが、凍った川で魚が獲れなくなったためジャガイモを魚の形に切って揚げた——これがフライドポテトの原型だ、と。ベルギーのジャーナリスト、ジョー・ジェラール氏は「1781年の家族の手稿にその記録がある」と主張しました。ただし、肝心の手稿は公開されておらず、歴史的な裏付けには疑問が残ります。さらに、当時の経済状況を考えると、貧しい農民が貴重な油を大量に使ってジャガイモを揚げるのは現実的ではなかった、との反論もあります。

🔸 フランス側の反撃——「ポン・ヌフ橋」起源説

フランスの食文化史家ピエール・ルクレール氏は「フライドポテトの起源は明らかにフランスだ」と主張しています。1789年、パリのポン・ヌフ橋の上で屋台商人たちが揚げたジャガイモを売り始めたのが最初だ、というのです。実際、フランスではフライドポテトを「ポム・ポン・ヌフ」と呼ぶこともあり、この橋との結びつきを感じさせます。また、1842年にドイツ人音楽家クリーガーがパリでフライドポテトの作り方を学び、ベルギーに持ち帰って「パリ風揚げジャガイモ」として売り出した、という記録も残っています。

🔸 スペインという第三の候補

さらに興味深いのはスペインの存在です。南米チリでは1629年に「パパス・フリタス(揚げジャガイモ)」を食べたという記録が残っています。ジャガイモはもともと南米原産で、スペイン人が16世紀にヨーロッパへ持ち帰りました。つまり、揚げジャガイモという発想そのものはスペイン経由で広まった可能性があるのです。

🔸 アメリカの珍事件——「フリーダム・フライズ」騒動

ちなみにアメリカでは2003年、イラク戦争をめぐってフランスと対立した際、議会食堂のメニューから”French fries”の名を消し、”Freedom fries(自由のフライ)”に改名するという出来事がありました。世論調査では国民の66%が「ばかばかしい」と回答し、2006年にはひっそりと元の名前に戻されています。

決定的な証拠がないからこそ、この論争は終わりません。ただ一つ確かなのは、ベルギー人の「フライドポテト愛」は世界一だということ。国民一人当たりの消費量はアメリカを上回り、ブルージュには世界唯一の「フライドポテト博物館」まであります。フランスが何と言おうと、ベルギー人にとってフライドポテトは——誰にも譲れない国宝なのです。