やさしい英語で多読!【音声つき】

【やさしい英文de多読!】<38>Smart Whiskers: How Elephants Feel the World Through Their Trunks 賢いヒゲ:ゾウが鼻で世界を感じる仕組み ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「ゾウのヒゲの秘密」です。あの巨大な鼻で薄いポテトチップスもつまめるゾウ。その秘密が「ヒゲ」にあったとは!ドイツの研究チームが解き明かした驚きの発見を、やさしい英語で読んでみましょう。

📖 英文(225 words)

An elephant’s trunk is an amazing body part. It can carry heavy logs, pick up tiny peanuts, and even give a shower. But how does such a big animal handle delicate things so well? Scientists in Germany found the answer: whiskers.

An elephant has about 1,000 whiskers inside its trunk. A team from the Max Planck Institute studied these whiskers closely. They used special scanners and found something surprising. Elephant whiskers are not like those of rats or mice. They are flat, like tiny blades of grass, and hollow inside. They are also stiff at the base but soft at the tip, like the whiskers of a cat.

This design is very clever. Because the base is hard and the tip is soft, each part of the whisker feels different when it touches something. This means an elephant can tell exactly where an object is touching its trunk. It can pick up a thin potato chip without breaking it. Scientists call this “embodied intelligence”—the whisker itself is smart.

The team even made a big copy of an elephant whisker with a 3D printer. When they tapped different parts of the copy on objects, each spot felt different. They could tell the location of contact without looking.

Elephants have poor eyesight, so these smart whiskers help them find food and touch other elephants gently. The scientists hope to use this discovery to make better robots with a strong sense of touch.

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📝 重要語句

trunk:鼻(ゾウの)
the long nose of an elephant used to grab, smell, and breathe(ゾウがつかんだり嗅いだり呼吸したりするのに使う長い鼻)
delicate:繊細な
easy to break or damage(壊れやすい、傷つきやすい)
whiskers:ヒゲ
special thick hairs that animals use to sense things(動物が物を感じ取るために使う特別な太い毛)
scanners:スキャナー
machines that look inside objects to study them(物の内部を調べるための機械)
hollow:中空の
having an empty space inside(内部に空洞がある)
stiff:硬い
not easy to bend(曲がりにくい)
embodied intelligence:体に宿る知能
smartness built into the shape and material of a body part(体の形や素材そのものに組み込まれた賢さ)
contact:接触
the act of touching something(何かに触れること)
eyesight:視力
the ability to see(目で見る力)
discovery:発見
finding something new or unknown(新しいことや未知のことを見つけること)

🇯🇵 日本語訳

ゾウの鼻は驚くべき器官です。重い丸太を運んだり、小さなピーナッツをつまみ上げたり、シャワーのように水を浴びたりすることもできます。でも、あんなに大きな動物が、どうしてそんなに繊細なことができるのでしょうか? ドイツの科学者たちが、その謎を解き明かしました——答えは「ヒゲ」にありました。

ゾウの鼻の内側には、約1,000本ものヒゲが生えています。マックス・プランク研究所のチームがこのヒゲを詳しく調べたところ、意外な事実が判明しました。ゾウのヒゲは、ネズミのヒゲとはまったく違っていたのです。形は平たく、まるで小さな草の葉のよう。中は空洞で、根元は硬く、先端にいくほど柔らかいという構造は、むしろ猫のヒゲに近いものでした。

この設計はじつに巧みです。根元が硬く先端が柔らかいため、ヒゲのどの部分が物に触れたかによって感触が異なります。つまりゾウは、鼻先のどこに何が当たっているかを正確に把握できるのです。薄いポテトチップスを割らずにつまめるのも、このおかげ。科学者たちはこれを「体現された知能(embodied intelligence)」と呼んでいます——ヒゲそのものが賢い、というわけです。

研究チームは3Dプリンターでゾウのヒゲの巨大なレプリカも作りました。このレプリカのさまざまな場所で物に触れると、それぞれ異なる感触が伝わり、目で見なくても接触位置がわかったそうです。

ゾウは視力があまりよくないため、このスマートなヒゲがエサを探したり、仲間にやさしく触れたりするのに役立っています。科学者たちは今回の発見を活かして、優れた触覚を持つロボットの開発につなげたいと意気込んでいます。

🐘 コラム:ゾウの鼻はなぜ万能なのか?

ゾウの鼻(trunk)は、鼻と上唇が融合した器官で、骨は一切ありません。その代わり、およそ4万本もの筋肉の束でできています。これは人間の全身の筋肉数を優に上回る数字です。この驚異的な筋肉のおかげで、ゾウの鼻はあらゆる方向に曲がり、ねじれ、伸び縮みします。言ってみれば、腕と手と指の機能をすべて一本の鼻で賄っているようなものです。

🔸 鼻先の「指」——アジアゾウとアフリカゾウの違い

ゾウの鼻の先端には、小さな突起があります。アジアゾウには上側に一つ、アフリカゾウには上下に二つ。この突起はまるで「指」のように機能し、地面に落ちた一粒の豆さえつまみ上げることができます。今回の研究で注目された約1,000本のヒゲは、この「指」の周囲にも密集しており、視力の弱いゾウにとっての精密な「触覚センサー」として機能しているのです。

🔸 ヒゲは一生モノ——再生しない理由

興味深いのは、ゾウのヒゲは一度抜けると二度と生えてこないという事実です。ネズミのヒゲは切っても再生しますが、ゾウのヒゲは文字どおり「一生の相棒」。だからこそ、内部が空洞になっている構造が重要になります。空洞があることで衝撃を吸収し、毎日何百キロもの食べ物を鼻で扱っても折れにくくなっているのです。自然が施した、見事な「耐久設計」と言えるでしょう。

🔸 ロボット工学への応用——「ゾウの鼻ロボット」の未来

研究チームが特に注目しているのは、この「体現された知能」のロボットへの応用です。現在のロボットアームは、物をつかむ際にカメラや複雑なセンサーに頼っています。しかし、ゾウのヒゲのように素材の硬さの勾配(グラディエント)を利用すれば、シンプルな構造でも高精度な触覚を実現できる可能性があります。将来、災害現場でがれきの下の生存者を「感じ取る」レスキューロボットや、果物を傷つけずに収穫する農業ロボットに応用されるかもしれません。

ゾウの鼻は、自然界が数千万年をかけて磨き上げた最高傑作のマルチツールです。その秘密の一端が「ヒゲ」にあったというのは、科学の世界でも大きな驚きでした。私たちがゾウから学べることは、まだまだたくさんありそうです。

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