2つの覚え方の特徴
単語と意味だけで覚える(1語1訳)
- 長所:速い。短時間でたくさんの単語に触れられる。試験直前の総復習にも向いている。
- 短所:使い方がわからない。多義語の別の意味に気づきにくい。作文や会話で使えない。
例文で覚える
- 長所:使い方・コロケーション・文法の形まで一緒に覚えられる。記憶のフック(手がかり)が増える。
- 短所:1語あたりの時間がかかる。例文を全部覚えようとすると量が多すぎる。
つまり、単語だけ=スピード重視、例文=深さ重視です。どちらか一方を選ぶのではなく、目的と段階によって組み合わせるのがいちばん効率的です。
ポイント:「意味がわかればいい単語」と「使えるようにしたい単語」を分けて考えると、覚え方の迷いがなくなります。
「わかる単語」と「使える単語」
語彙には大きく分けて2種類あります。
- 受容語彙:読んだり聞いたりしたときに意味がわかる単語
- 発信語彙:自分で話したり書いたりするときに使える単語
一般に、受容語彙のほうが発信語彙よりずっと多くなります。そして、すべての単語を「使える」レベルにする必要はありません。
単語だけで十分なことが多い単語
- 長文でたまに出る専門的な単語(例:photosynthesis 光合成)
- 意味が1つで、使い方がシンプルな名詞(例:volcano 火山)
例文で覚えたほうがいい単語
- 作文や会話でよく使う動詞(例:suggest、improve、depend)
- 後ろの形が決まっている単語(例:suggest + that節 / -ing)
- 多義語(例:run、cover、matter)
- 似た意味の単語と使い分けが必要なもの(例:borrow と lend)
たとえば suggest は、「提案する」という意味だけ覚えると、I suggested him to go. のような間違いをしやすくなります。例文 I suggested that we take a break.(休憩しようと提案した)で覚えておけば、正しい形が自然に身につきます。
おすすめは2段階の使い分け
ここでは、1冊の単語帳を使う場合の、2段階の覚え方を紹介します。
第1段階:単語と意味で「顔見知り」になる
1周目・2周目は、見出し語と意味だけを速く回します。1語あたり数秒で、とにかく全体に何度も触れることを優先します。音声がある場合は、単語の発音だけでも一緒に聞いておきましょう。
第2段階:例文で「友達」になる
3周目以降、意味がすぐ出てくるようになった単語から、例文を音読します。このとき、次の3点に注目します。
- 一緒に使われている単語(コロケーション)
- 後ろに来る形(to不定詞、-ing、that節など)
- 例文の場面(ビジネス、日常、学術など)
例:depend
- 第1段階:depend=頼る、〜次第である
- 第2段階:It depends on the weather.(天気次第だ)→ depend の後ろは on、という形まで覚える
ポイント:最初から例文を全部読むと進まなくなります。「意味がわかる単語」になってから例文に進むと、例文の内容もすっと頭に入ります。
よい例文の選び方と自作のコツ
よい例文の条件
- 短い:10語前後までだと、音読して覚えやすい
- 場面が浮かぶ:誰が何をしているかイメージできる
- 覚える単語の典型的な使い方:その単語が最もよく使われる形になっている
自作例文のコツ
単語帳の例文がピンとこないときは、自分で作ってしまいましょう。自分の生活や好きなものに関係する文は、記憶に残りやすくなります。
- avoid(避ける):I avoid eating snacks before dinner.(夕食前はおやつを食べないようにしている)
- improve(改善する):I want to improve my listening skills this year.(今年はリスニング力を伸ばしたい)
- recommend(すすめる):I recommend this cafe to everyone.(このカフェはみんなにおすすめだ)
自作するときの注意
自作の文は、文法やコロケーションが不自然になることがあります。辞書の例文と見比べたり、先生や添削サービス、AIの添削機能で確認したりすると安心です。特に、後ろに来る形(avoid + -ing など)は辞書で確認しましょう。
よくある失敗
失敗1:例文を丸暗記しようとする
例文を一字一句暗記しようとすると、時間がいくらあっても足りません。例文は覚える単語の使い方を確認するためのもの。覚えるのは「単語+一緒に使う語+形」のかたまりで十分です。
失敗2:単語だけで最後まで回す
5周しても1語1訳のままだと、長文での多義語や、作文での使い方に対応できません。意味がわかるようになったら、よく使う単語から例文に進みましょう。
失敗3:例文の和訳だけ読む
例文の日本語訳だけを読んで「わかった」とするのは、英語の練習になっていません。英語の例文を音読することが大切です。
失敗4:例文のレベルが高すぎる
単語帳の例文に知らない単語が3つも4つも入っていると、覚えたい単語より例文の理解に時間がかかってしまいます。そんなときは、辞書の短い例文を使うか、自分で簡単な文を作りましょう。
失敗5:全単語で自作例文を作る
1語ずつ全部に例文を作ると、それだけで疲れてしまいます。自作するのは、作文や会話で使いたい単語や、何度やっても覚えられない単語だけに絞りましょう。
1週間の練習メニュー
単語帳を使っている人向けの、1日15分メニューです。
- 月曜:今週の範囲を単語と意味だけで1周(スピード重視)
- 火曜:もう一度単語と意味で1周。言えなかった単語に印
- 水曜:意味がすぐ言えた単語のうち10語の例文を音読
- 木曜:例文から「一緒に使う語」と「後ろの形」を5つ抜き出してノートに書く
- 金曜:作文で使いたい単語を3つ選び、自分の生活の例文を作る
- 土曜:自作例文を辞書の例文と見比べてチェック
- 日曜:単語を見て、例文のかたまりを思い出して言う(It depends on... など)
ポイント:月・火はスピード、水〜日は深さ。1週間の中で両方をバランスよく入れるのがコツです。
まとめ:スピードと深さを使い分けよう
英単語は、例文か単語だけか、どちらか一方で覚える必要はありません。
- 最初は単語と意味で速く回して「顔見知り」に
- 意味がわかるようになったら、例文で使い方を確認して「友達」に
- 使いたい単語だけ自作例文でさらに深める
「速く回す日」と「じっくり読む日」を分けておくと、どちらも中途半端になりにくくなります。
今日の単語帳の範囲から、作文や会話で使いたい単語を1つだけ選んで、自分の生活の例文を作ってみましょう。その1文が、あなたの「使える英語」の第一歩です。



