AI添削の良いところと限界
良いところ
- すぐに返ってくる:書いたその場でフィードバックがもらえる
- 何度でも頼める:同じ文章を何回直しても気にしなくていい
- 説明を求められる:「なぜこの形になるの?」と質問できる
- 言い換え案が出る:同じ内容の別の書き方を知ることができる
限界
- 間違えることがある:生成AIは、もっともらしいけれど不正確な説明をすることがあります。文法の説明や、言葉のニュアンスについての説明が間違っている場合もあります。
- 直しすぎることがある:学習者の意図とは違う、別の内容の文章に書き換えてしまうことがあります。
- 試験の採点基準はわからない:特定の試験の点数を正確に予測できるわけではありません。
つまり、AIは優秀だけれど、ときどき間違えるアシスタントだと考えるのがちょうどいい距離感です。最終的に判断するのは自分自身です。
ポイント:AIの答えは「正解」ではなく「提案」。辞書や教科書で確かめる習慣をセットにしましょう。
伸びる頼み方:プロンプトの例
AIへの頼み方しだいで、返ってくる添削の質は大きく変わります。「直して」とだけ頼むと、全部を書き換えた完成版が返ってきがちです。自分が学べる形で返してもらうよう、具体的に指示しましょう。
例1:ミスの説明を求める
「以下は英語学習者(高校2年生)が書いた英作文です。文法のミスだけを指摘し、それぞれ①元の部分、②正しい形、③日本語での短い理由を表にしてください。内容や表現は変えないでください。」
例2:答えをすぐに見せない
「以下の英作文のミスがある文の番号と、ミスの種類(時制・冠詞など)だけを教えてください。正しい形はまだ書かないでください。自分で直してから、もう一度見せます。」
この頼み方は、自分で考える時間ができるので、特に力がつきやすい方法です。
例3:レベルに合った言い換えを求める
「この文章を、中学3年生で習う文法の範囲で、より自然な英語にする方法を2つ提案してください。」
頼み方のポイント
- 自分のレベル(学年、英検の級など)を伝える
- 何を見てほしいか(文法だけ、表現だけ)を絞る
- 出力の形(表、箇条書き、番号)を指定する
- 「全部書き直さないで」と伝える
添削結果の読み方と書き直しの手順
添削が返ってきたら、次の手順で使うと、学習効果が大きくなります。
- 指摘を読んで、納得できるか考える:「なぜそうなるのか」がわからない指摘は、AIに説明を求めるか、文法書で確かめる
- 怪しい説明は確認する:辞書の例文や教科書と照らし合わせる。食い違ったら、辞書や教科書を優先するのが基本
- 自分の手で書き直す:添削後の文をコピーするのではなく、元の文を見ながら自分で直す
- ミス帳に記録する:指摘されたミスの種類をノートにまとめる
- 数日後に同じテーマで書き直す:添削を見ずに書いて、同じミスをしていないか確かめる
例:こんなやりとり
学習者の文:I am interesting in science.
AIの指摘:interesting は「(物事が)おもしろい」、interested は「(人が)興味を持っている」。人が主語なので I am interested in science. が正しい。
この指摘を読んだら、自分で「The movie was interesting.」「I was interested in the movie.」のような例文をもう1組作ってみます。1つの指摘から、自分で例文を増やすことで、次から同じミスをしにくくなります。
目的別・AIへの頼み方バリエーション
添削以外にも、AIは英作文のいろいろな段階で使えます。ただし、どれも「自分で考えたあと」に使うのが前提です。
構成を見てもらう
「次の英作文の構成メモ(主張・理由2つ・例)を見て、理由と主張がきちんとつながっているか、弱い点を1つだけ指摘してください。英文は書かないでください。」
書く前の設計図をチェックしてもらう使い方です。英文を書いてもらうのではなく、論理のつながりだけを見てもらうのがポイントです。
自分の弱点を分析してもらう
「これまでに指摘されたミスの一覧です。ミスを種類ごとに分けて、多い順に並べてください。次に英作文を書くとき、特に気をつけるべき点を2つ挙げてください。」
ミス帳の内容を整理するのに便利です。自分では気づかなかった傾向が見えることがあります。
練習問題を作ってもらう
「冠詞 a と the の使い分けを練習する穴うめ問題を、高校1年生向けに5問作ってください。答えは最後にまとめて書いてください。」
苦手な文法を集中して練習したいときに使えます。ただし、問題や答えに誤りがないとは限らないので、迷ったら文法書で確かめましょう。
採点者目線のコメントをもらう
「この英作文を読んだ先生が『もう少し説明がほしい』と感じそうな箇所を1つ教えてください。」
完成版を書いてもらうのではなく、どこを自分で書き足すべきかを教えてもらう頼み方です。
ポイント:「書いて」ではなく「見て」「教えて」「分けて」と頼むと、AIが自分の考える力を奪わずにすみます。
使う前に知っておきたい注意点
学校や試験のルールを必ず守る
学校の宿題や課題で、AIを使ってよいかどうかは、学校や先生によってルールが違います。提出物にAIを使うときは、事前にルールを確認しましょう。ルールで認められていない場面でAIに書かせた文章を自分のものとして提出するのは、不正にあたることがあります。
もちろん、試験本番ではAIは使えません。本番で頼れるのは自分の力だけです。
個人情報を入力しない
英作文に本名、学校名、住所、家族の詳しい情報などが含まれている場合は、入力前に消すか、仮の名前に置き換えましょう。サービスによっては入力内容が保存されることがあります。利用規約や年齢制限も確認しておくと安心です。
丸投げは力にならない
日本語で内容を伝えて英作文を丸ごと書いてもらうと、きれいな英文は手に入りますが、自分で書く力はほとんど伸びません。AIを使うのは「自分で書いたあと」と決めておくのがおすすめです。
ポイント:AI添削は「書いたあと」専用。書く前に使うと、考える練習の機会を失ってしまいます。
よくある失敗と1週間の活用メニュー
よくある失敗
- 添削結果をそのまま提出・保存:どこをなぜ直したのか理解しないまま終わってしまう
- 毎回違うAIに違うことを聞く:説明がばらばらで混乱する。まずは1つのツールで、同じ頼み方を続けるほうが比較しやすい
- 表現の提案を全部取り入れる:自分のレベルに合わない難しい表現を使うと、かえってミスが増える
1週間の活用メニュー
- 月:自分で英作文(5〜8文)を書く。AIは使わない
- 火:例2の頼み方で、ミスの場所と種類だけを教えてもらい、自分で直す
- 水:直した文をもう一度見せ、例1の頼み方で理由つきの表をもらう
- 木:怪しい説明を1つ選び、辞書や文法書で確かめる
- 金:指摘されたミスをミス帳に記録し、それぞれ例文を1つ自作する
- 土:同じテーマで、添削を見ずにもう一度書く
- 日:月曜と土曜の英作文を比べ、減ったミスを数える
AIは、使い方しだいで最高の練習相手になります。まずは「書いてから頼む」「答えより理由を聞く」の2つから始めてみましょう。



