塗り絵とは何か、なぜ必要か
「塗り絵」は、時間が足りなくなって解けなかった問題に、とりあえずマークをすることを指す、受験者の間でよく使われる言葉です。公式の用語ではありません。
TOEIC L&Rは、正解数をもとにスコアが算出されるテストで、間違えたことによる減点はないとされています。そのため、空欄のまま提出するより、何かしらマークしておく方が損をしないと考えられます。
ただし、塗り絵はあくまで「最後の手段」です。この記事で伝えたいのは、次の2つです。
- 時間が足りないときに、どう塗り絵をするか(マークのルール)
- そもそも塗り絵の問題数を減らすにはどうすればいいか
ポイント:塗り絵をすること自体は恥ずかしいことではありません。大切なのは、塗り絵を計画的に行い、解ける問題に時間を使うことです。
マークのルールを事前に決めておく
本番で時間が迫ってくると、焦ってマークがずれたり、どの記号にするか迷ったりしがちです。そこで、塗り絵をするときのルールを事前に決めておきましょう。
ルールの例
- 塗り絵をする問題は、すべて同じ記号にそろえる
- 残り時間が数分になったら、解いている途中でも一度手を止めて塗り絵をする
- 塗り絵が終わってから、残った時間でもう一度解ける問題に戻る
記号をそろえる理由は、迷う時間をなくすためです。どの記号を選んでも正解になる確率に大きな差があるわけではないと考えられるので、「迷わず素早く塗れること」を優先します。
解答用紙の使い方
問題を解きながら、一問ずつマークしていく習慣をつけましょう。問題用紙に答えを書いてあとでまとめて写す方法は、最後に時間が足りなくなったときに大きな失点につながります。
「解く問題」と「塗る問題」の決め方
時間が足りないとき、どの問題を解いてどの問題を塗るかは、残り時間と問題の種類で判断します。一般論として、次のような考え方があります。
短時間で解きやすい問題を優先する
- Part 7の1つの文書のうち、文書が短いもの(チャットや短いお知らせなど)
- 日付や金額など、本文から探しやすい情報を問う設問
時間がかかりやすい問題は後回しにする
- 「本文に書かれていないものを選ぶ」ような、選択肢すべてを確認する必要がある設問
- 長い文書の、全体の内容をふまえて答える設問
自作の例で考える
残り5分で、次の2つが残っているとします。
- 短いテキストメッセージのやりとり(設問2問)
- 3つの文書からなるセット(設問5問)
この場合、まず短いやりとりの2問を解き、3つの文書のセットは設問を1つ読んで、すぐに答えが見つかりそうなものだけ解く、という判断ができます。残りは塗り絵です。
「最後まで順番どおりに解く」ことにこだわらず、残り時間に合わせて柔軟に判断できるよう、練習の中で試しておきましょう。
迷ったときの判断基準
「この問題は解くべきか、塗るべきか」で迷う時間そのものが、もったいない時間です。練習の段階で「設問を読んで30秒以内に答えの場所の見当がつかなければ後回し」のように、自分なりの基準を作っておくと、本番で迷わずに判断できます。
塗り絵を減らすための時間配分
塗り絵の戦略も大切ですが、本来の目標は塗り絵の問題を減らすことです。そのためには、リーディング全体の時間配分を見直すことが効果的です。
自分の時間配分を知る
公式問題集を本番と同じ時間で解き、次の時刻を記録します。
- Part 5を解き終えた時刻
- Part 6を解き終えた時刻
- Part 7の1つの文書を解き終えた時刻
- 時間切れになった時刻と、残った問題数
目安を決める
記録をもとに、「Part 5・6を合わせて何分以内」と自分なりの上限を決めます。Part 5・6で時間を使いすぎている人は多く、ここを少し短くするだけで、Part 7に回せる時間が増えます。
1問あたりの時間を区切る
Part 5で迷った問題は、一定時間考えても答えが出なければ、選んでマークして次に進みます。1問に長く粘るより、後ろのPart 7の問題を1〜2問解く方が得点につながることが多いです。
1週間の時間配分トレーニング
月曜:記録を取る
公式問題集のリーディングを75分で解き、パートごとの終了時刻を記録します。
火曜:Part 5の速解き
Part 5を30問、自分の目標時間内に解く練習をします。
水曜:Part 6の文脈読み
Part 6を解き、文を挿入する問題では文書の流れを意識して読みます。
木曜:Part 7の短い文書
短い文書を時間を計って解き、1つあたりの所要時間を記録します。
金曜:塗り絵のリハーサル
リーディングを本番より短い時間で解き、わざと時間が足りない状態を作ります。残り数分になったら、決めたルールで塗り絵をする練習をします。
土曜:通し練習
もう一度75分で解き、月曜の記録と比べます。
日曜:振り返り
塗り絵をした問題数が減ったか、どのパートで時間を使いすぎたかをメモします。
本番で時計を見るタイミング
塗り絵を計画的に行うには、時計を見るタイミングをあらかじめ決めておくことが大切です。本番の会場には時計があるとは限らないため、腕時計を持参する人も多いです(持ち込めるものの条件は受験案内で確認しましょう)。
タイミングの決め方の例
- リーディング開始時刻をメモしておく
- Part 5を終えたとき
- Part 6を終えたとき
- Part 7の1つの文書を終えたとき
- 残り時間が数分になったとき(ここで塗り絵の準備)
それぞれのタイミングで、事前に決めた目安の時刻と比べます。たとえば、Part 6を終えたときに目安より遅れていたら、Part 7では「時間がかかりそうな設問を後回しにする」判断を早めに行います。
練習での時間の記録
練習のときも、本番と同じタイミングで時刻を記録しましょう。記録を続けると、自分がどのパートで遅れやすいかがはっきりわかります。
たとえば、3回の練習で毎回「Part 5で目安より数分遅れている」とわかれば、Part 5の解き方を見直すことが最優先の課題になります。逆に、Part 5・6は目安どおりなのにPart 7で時間が足りないなら、Part 7の読み方の練習に時間を使うべきだとわかります。
時間の記録は、塗り絵を減らすための地図のようなものです。
よくある失敗
失敗1:塗り絵をする時間すら残らない
最後の1問を解こうとして、塗り絵が間に合わずに空欄が残るのは、いちばんもったいないパターンです。時計を見るタイミングを事前に決めておきましょう。
失敗2:マークがずれる
焦って塗り絵をすると、問題番号と解答欄がずれることがあります。塗り絵の前に、今どの番号まで解いたかを確認しましょう。
失敗3:塗り絵を前提にして練習しない
「どうせ最後は塗り絵だから」と、時間配分の練習をしないのは逆効果です。塗り絵は最後の手段で、練習の目標はあくまで解ける問題を1問でも増やすことです。
塗り絵の戦略を持っておくと、本番で時間が迫ったときも落ち着いて判断できます。今日の練習で、まずは自分のパートごとの時間を記録してみましょう。



