良い宿題の3条件
宿題の目的は、授業で学んだことを定着させ、生徒が自分で学ぶ習慣をつくることです。そのために、次の3つを意識して課題を設計します。
- 授業とつながっている:今日の授業で学んだことを使う、または次の授業の準備になる
- 短時間で終わる:平日なら15〜20分程度で終わる量にする
- 次の授業で使われる:提出するだけでなく、授業の中で活用される
特に3つ目が重要です。宿題が授業で使われると、生徒は「やらないと授業で困る」と感じるだけでなく、「やったことが役に立った」という実感を持てます。
ポイント:「提出させる宿題」より「授業で使う宿題」。宿題の価値は、次の授業でどう扱うかで決まります。
英語の宿題の種類と使い分け
宿題にはいくつかの種類があり、目的によって使い分けます。
定着型(復習)
- 今日の新出語を使って例文を3つ書く
- 本文の音声を聞きながら、意味を思い浮かべて2回読む
- 授業で扱った文法の問題を5問解く
準備型(予習)
- 次のパートの新出語の意味を調べる(発音記号の確認も)
- 次のパートの題名と挿絵から、内容を予想して1文書く
表現型(自分のことを書く)
- 今日の文法を使って、自分の週末について3文書く
- 本文の登場人物に向けて、短いメッセージを書く
英語の指示例
- "Write three sentences about your weekend. Use the past tense."
- "Look at the title and the picture of Part 3. Guess the story in one sentence."
- "Choose two new words from today and make your own sentences."
準備型と表現型は、次の授業の冒頭でペアで共有する活動にすると、自然に授業につながります。
1週間の宿題サイクル例
毎日違う宿題を考えるのは大変です。曜日ごとに型を決めておくと、教師も生徒も迷いません。
中学2年・週4時間の例
- 月曜の授業後:新出語の例文づくり(定着型・10分)
- 火曜の授業後:本文の音声を聞いて意味を確認(定着型・10分)
- 木曜の授業後:今日の文法で自分のことを3文書く(表現型・15分)
- 金曜の授業後(週末):次のパートの予想+1週間の単語の自己テスト(準備型+定着型・20分)
授業での活用
- 月曜の例文→火曜の導入でペアで読み合う
- 木曜の3文→金曜の導入で2〜3人が発表
- 週末の予想→月曜の導入で答え合わせ
"Show your sentences to your partner. Choose the best one and read it to the class."
このように「宿題→次の授業の導入」という流れを固定すると、宿題をやってくる必然性が生まれ、授業の導入の準備も楽になります。
高校では「予習」の中身を見直す
高校では、「本文を全文和訳してくる」という予習を課している学校も少なくありません。全文和訳には、丁寧に英文を読む習慣がつくという利点がある一方で、次のような課題もあります。
- 時間がかかりすぎて、他の教科や復習の時間を圧迫する
- 授業が「和訳の答え合わせ」になりやすく、読む活動が減る
- 和訳を写してくる生徒が出てくる
そこで、予習の中身を「授業で読むための準備」に絞る方法があります。
予習の例
- 新出語のうち、指定した5〜8語の意味と発音を確認する
- 各段落の内容を日本語で一言ずつメモする
- 分からなかった文に印をつけ、1つだけ質問を書いてくる
"Read Part 2 before the next class. Mark one sentence you don't understand. We will start with your questions."
復習の比重を上げる
授業で内容を理解したあとの復習のほうが、定着には効果的な場合があります。「授業で扱った本文の音声を聞き、意味を思い浮かべながら読む」「本文の要約を3文で書く」など、授業後の課題を充実させることも検討してみてください。
予習と復習のどちらに時間をかけるかは、生徒の実態と授業のねらいによって変わります。学年の英語科で方針をそろえておくと、生徒も迷いません。
40人分の確認を楽にする回収方法
宿題の確認に時間がかかりすぎると、続けること自体が難しくなります。
提出と確認を授業中に済ませる
授業の冒頭2分で、ペアで宿題を見せ合い、チェック欄に互いのサインを書き合います。教師は教室を回りながら、何人かの宿題に目を通します。
"Show your homework to your partner. If it's done, sign your partner's checkbox."
全部を回収しない
毎回全員分を回収するのではなく、表現型の宿題だけを週1回回収する、あるいは列ごとに順番に回収するなどして、確認の量を調整します。
確認のポイントを絞る
回収した宿題は、「提出したか」「条件を満たしているか(3文書いたか、指定の文法を使ったか)」の2点だけを見ます。細かい添削は行わず、よい表現に下線を引く程度にとどめます。
名簿でチェックする
名簿にチェック欄を作り、提出状況を記録します。未提出が続く生徒には、授業の中で早めに声をかけます。
家庭学習の習慣につなげる工夫
宿題は、最終的に生徒が自分で学習を進める力につながることが理想です。
自由課題の枠をつくる
週1回、「自分で選ぶ英語の学習」を宿題にします。選択肢の例を示すと取り組みやすくなります。
- 教科書の音声を聞いてまねして読む
- 単語アプリや単語カードで復習する
- 英語の歌詞を1曲分読んでみる
- 英語で3行の日記を書く
"This week, choose one activity from the list. Write what you did and how long you did it."
記録を見える化する
学習記録表に日付と内容、時間を書かせると、生徒自身が積み上げを実感できます。1か月たったら、記録を振り返る時間を取りましょう。
家庭の状況に配慮する
家で勉強する環境が整っていない生徒もいます。宿題が負担になりすぎないよう量に配慮し、休み時間や放課後に取り組める選択肢も示しておくと安心です。
よくある失敗
- 量が多すぎる:答えを写すだけの作業になりがちです。→平日は15〜20分で終わる量に。
- ワークの丸写しが続く:答えを見て写すだけでは力がつきません。→答え合わせを授業でペアで行う、または自分の言葉で書く表現型を増やす。
- 提出させて終わる:授業で使われないと、宿題の意味が伝わりません。→次の授業の導入で必ず活用する。
- 未提出への対応が叱責だけ:やる気をさらに下げてしまいます。→理由を聞き、量や取り組み方を一緒に調整する。
ポイント:宿題は「量」より「つながり」。授業と家庭学習を一本の線でつなぐ意識が、習慣づくりの鍵です。
まずは来週の宿題を、曜日ごとの型に当てはめてみてください。そして、その宿題を次の授業の導入でどう使うかを、1行だけメモしておきましょう。



