英語絵本の読み聞かせが子どもにいい理由
絵本には、絵があるという大きな強みがあります。英語がすべてわからなくても、絵を手がかりに「たぶんこういうお話だ」と推測しながら聞くことができます。この「推測しながら聞く」経験は、英語を聞く力の土台になります。
文部科学省の学習指導要領解説でも、絵本の読み聞かせを通して言葉や文化の違いに気づかせる例や、絵本を題材にストーリーを予想しながら学習を展開する例が挙げられています。
また、同じ絵本を何度も読むうちに、子どもはくり返し出てくる表現を自然に覚え、一緒に言い出すようになります。
ポイント:絵本は「英語を教える道具」ではなく、「英語で楽しむ体験」。わからない部分があっても大丈夫、という安心感をつくりましょう。
絵本の選び方:4つのチェックポイント
- くり返しがある:同じ文型が何度も出てくる絵本は、子どもが一緒に言いやすくなります。
- 絵で意味がわかる:文字を読まなくても、絵だけでお話の流れがつかめるものを選びます。
- 1ページの文が短い:1ページ1〜2文程度が目安です。
- 子どもの興味に合う:動物、食べ物、乗り物、日常生活など、身近なテーマが入りやすいです。
授業で使う場合は、単元の表現が出てくる絵本を選ぶと、授業とのつながりが生まれます。例えば、色を扱う単元なら色の名前が何度も出てくる絵本、数を扱う単元なら数を数える絵本、というように選びます。
読む前・読みながら・読んだ後の問いかけ
読む前(1〜2分)
表紙を見せて、お話を予想させます。
- Look at the cover. What do you see?
- What is this story about?
- Who is this?
読みながら
ページをめくる前に、次を予想させると集中が続きます。
- What's next?
- What color is it?
- How many? Let's count!
くり返しの部分は、2回目から子どもに言ってもらいます。
- Say it with me!
読んだ後(2〜3分)
- Did you like the story?
- Which page do you like? Show me.
- 日本語で「どんなお話だった?」と感想を聞く
ポイント:読んだ後の感想は日本語でかまいません。内容を理解できたかを確かめることが大切です。
発音に自信がないときの工夫
英語の発音に自信がない先生や保護者の方も、次の工夫で読み聞かせができます。
- 事前に音声を聞く:朗読音声がある絵本なら、読む前に何度か聞いてまねをしておきます。
- ゆっくり、はっきり:上手に読むより、ゆっくり絵を見せながら読むほうが子どもには伝わります。
- 音声とライブの組み合わせ:1回目は朗読音声を流し、2回目から先生や親が読む、という方法もあります。
- ALTにお願いする:学校では、ALTに読んでもらい、担任は子どもの反応を見て問いかけをする役割分担も効果的です。
大切なのは、大人が楽しそうに読むことです。表情や声の大きさを変えるだけで、子どもの反応は大きく変わります。
授業での読み聞かせ15分の流れ例
授業の中で絵本を扱うときの、15分の流れの例です。単元の中盤、表現にある程度慣れてきたころに入れると効果的です。
- 表紙で予想(2分):What do you see? What is this story about?
- 1回目の読み聞かせ(4分):止まらずに最後まで読み、お話を楽しむ
- 日本語で感想(2分):どんなお話だった?どのページが好き?
- 2回目の読み聞かせ(4分):くり返しの部分を子どもと一緒に言う(Say it with me!)
- お気に入りの一文(3分):好きなページの英語を1つ選び、ペアで言い合う
5・6年生なら、最後にお気に入りの一文を書き写す活動につなげることもできます。絵本の中の英語は、子どもにとって「物語の中で出会った言葉」なので、記憶に残りやすくなります。
読み聞かせの時間は、子どもを前に集めて座らせると、絵が見やすく、先生との距離も近くなります。教室の机を動かすのが難しい場合は、実物投影機で絵を大きく映し、先生は子どもの表情が見える位置に立つとよいでしょう。
よくある失敗と改善策
- 一文ずつ日本語に訳す:訳すと子どもは日本語だけを待つようになります。訳さず、絵を指さしたりジェスチャーを使ったりしましょう。
- 1回で終わる:絵本は何度も読むほど効果があります。同じ絵本を単元の中で3回以上読むのがおすすめです。
- 難しすぎる本を選ぶ:子どもが途中で飽きてしまいます。文字の少ない本から始めましょう。
- 絵が見えない:教室では、絵が全員に見えるように、大型絵本や実物投影機を使いましょう。
3回読みのモデル
- 1回目:お話を楽しむ(予想しながら聞く)
- 2回目:くり返しの部分を一緒に言う
- 3回目:子どもが言える部分をどんどん増やす
読み聞かせから広げる発展活動
読み聞かせを何度か行った後は、次のような活動に広げられます。
- ページの並べかえ:絵本のページのコピーをばらばらにし、お話の順番に並べます。英語の文を聞きながら並べると、聞く活動になります。
- 登場人物になりきる:くり返しのセリフを、役ごとに分かれて言います。
- オリジナルページを作る:くり返しの文型を使って、自分だけの1ページを作ります。例えば「I see a 〜.」がくり返される絵本なら、I see a red car. のように、自分で絵を描いて1文を添えます。
- クラス絵本:全員のページを綴じて、クラスの1冊にします。
特にオリジナルページ作りは、絵本の表現を「自分のこと」として使える活動です。完成したクラス絵本を授業参観で読み聞かせれば、保護者の方にも授業の様子が伝わります。
学年別のアレンジ
- 3・4年:オリジナルページは絵が中心。英語は先生と一緒に言えれば十分です。
- 5・6年:絵本の文をお手本に、自分の文を書き写したり、例を参考に書いたりします。I see a 〜. を I like 〜. や I can 〜. に変えて、自己紹介の絵本にするのもおすすめです。
学校図書館との連携
学校図書館に英語の絵本があれば、読み聞かせをした本を図書室の特設コーナーに置いてもらいましょう。授業で読んだ本を子どもが自分で手に取り、絵を見ながら英語の音を思い出す時間が生まれます。司書の先生に「今月の英語の絵本」を相談するのも良い方法です。朝の読書の時間に、英語の絵本を選べるようにしておくと、子どもが英語の本に触れる機会がさらに増えます。
家庭で読み聞かせをするとき(保護者向け)
家庭では、寝る前の5分など、決まった時間に読むと習慣になりやすくなります。
- 子どもが気に入った本は、何度でも読む
- 読めない単語は、飛ばしたり絵を指さしたりしてもOK
- 子どもが途中で質問したら、日本語で答えてかまわない
- 「もう一回!」と言われたら大成功
最初の1冊は、くり返しの多い短い絵本がおすすめです。今週は1冊を選び、「読む前に表紙で予想する」ところから始めてみましょう。



