大人が児童書を読むメリット
英語圏の子ども向けの本には、学習者にとってうれしい特徴がたくさんあります。
- 日常的な英語が多い:家族の会話、学校の場面、友だちとのやりとりなど、実際に使う表現が自然な形で出てくる
- 絵が理解を助ける:知らない単語があっても、絵を見れば意味が推測できる
- 短くて読み切りやすい:1冊数分〜数十分で読み切れる本が多く、達成感を味わいやすい
- ネイティブの子どもと同じ道をたどれる:英語圏の子どもが段階的に読む力をつけていく道筋を、そのまま使える
学校英語では、難しい文法は知っていても、eat up(平らげる)や tiptoe(つま先で歩く)のような日常的な語を知らないことがよくあります。児童書は、こうした教科書に出にくい生きた語彙の宝庫です。
ポイント:児童書は「英語が簡単」なのではなく、「英語の土台が詰まっている」本です。やさしいからこそ、止まらずにたくさん読めます。
児童書多読の3ステップ
児童書を使った多読は、おおまかに次の3段階で進みます。
- 絵本:1ページ1〜数文。絵が主役で、英語は補助
- リーダーズ(段階別の子ども向け読み物):子どもが自分で読めるようになるために、レベル別に作られたシリーズ
- チャプターブック:章立てのある短い読み物。絵は少なめになり、文字が中心になる
いきなりチャプターブックから始めても構いませんが、英語から離れていた期間が長い人や、多読が初めての人は、絵本やリーダーズからスタートすると、スムーズに読書量を増やせます。
ステップ1・2:絵本とリーダーズ
絵本
Eric Carle の The Very Hungry Caterpillar のような世界的に有名な絵本は、日本語版を読んだことがある人も多いはずです。知っている話を英語で読むと、「英語の本を1冊読めた」という最初の成功体験になります。
Dr. Seuss の作品(Green Eggs and Ham など)は、英語のリズムや韻を楽しめる絵本として知られています。声に出して読むと、英語の音の楽しさも味わえます。
リーダーズ
英語圏の子どもが「自分で読む」練習のために作られた、レベル別のシリーズです。
- Oxford Reading Tree:イギリスの学校で広く使われてきたシリーズで、日本の多読実践でもよく使われています。細かいステージに分かれていて、同じ登場人物の家族の物語を少しずつ難しい英語で読み進められます。
- I Can Read!:アメリカのシリーズで、レベル別に分かれています。Arnold Lobel の Frog and Toad(がまくんとかえるくん)のシリーズもこの中に入っていて、日本語版を知っている人も多いでしょう。
この段階の読み方
- 絵をしっかり見て、場面を想像しながら読む
- わからない単語は絵から推測し、辞書は使わない
- 1日に何冊も読んでOK。短いので冊数がどんどん増える
ステップ3:チャプターブック
リーダーズに慣れてきたら、章立てのある短い読み物「チャプターブック」に進みます。
チャプターブックの特徴
- 1冊が数章に分かれていて、1章が数ページ程度
- 絵はところどころに入る程度
- シリーズものが多く、同じ登場人物で何冊も読める
定番の例
- Magic Tree House(Mary Pope Osborne):兄妹が魔法のツリーハウスでさまざまな時代や場所を冒険するシリーズ。多読の定番として、日本でもよく名前が挙がります。
- Nate the Great(Marjorie Weinman Sharmat):少年探偵ネイトが身近な事件を解決するシリーズ。短くてテンポがよく、チャプターブックへの入り口に向いています。
シリーズものは、多読の強い味方です。登場人物や舞台設定を一度覚えれば、2冊目以降はぐっと読みやすくなります。1つのシリーズを何冊も続けて読むと、読むスピードの伸びを実感しやすくなります。
次の段階へ進むサイン
チャプターブックをスラスラ読めるようになったら、さらに長い児童書や、英語圏の小学校高学年〜中学生向けの小説に進む準備ができています。E. B. White の Charlotte's Web のような、長く読み継がれている児童文学に挑戦するのもよいでしょう。ただし、チャプターブックとの間には長さと語彙の点でかなりの差があるので、立ち読みしてから選びましょう。
段階ごとの「読めている」チェック
自分がどの段階にいるかを判断する目安を紹介します。
絵本の段階を卒業してよいサイン
- 絵を見なくても、文だけでだいたいの意味がわかる
- 1冊を読むのに迷う箇所がほとんどない
- 「もう少し文字の多い本を読みたい」と感じる
リーダーズの段階を卒業してよいサイン
- 挿絵が少ないページでも、場面を思い浮かべながら読める
- 同じレベルの本を何冊も止まらずに読める
- 1冊を読み終えるのが物足りないくらい速い
例文で感覚をつかもう
絵本やリーダーズでは、次のような短い文が中心です。
- The dog ran after the ball.
- Mom said, "Time for bed!"
チャプターブックになると、1文が長くなり、気持ちや理由が描かれるようになります。
- Jack wanted to go home, but he knew they had to find the last clue before dark.
このくらいの文が「止まらずにわかる」なら、チャプターブックに進む準備はできています。
児童書多読の1週間メニュー
1日15〜20分を想定したメニュー例です。
- 月曜:絵本を3〜5冊。知っている話から選ぶ
- 火曜:リーダーズを3冊。絵を見ながら、声に出して読んでもOK
- 水曜:リーダーズを3冊。昨日より少し上のレベルを1冊混ぜる
- 木曜:チャプターブックの1〜2章に挑戦
- 金曜:チャプターブックの続きを読む
- 土曜:お気に入りの絵本をもう一度読む+チャプターブックを読み進める
- 日曜:今週読んだ本のタイトルと語数(わかれば)を記録する
よくある失敗
「子どもっぽい」と感じてやめてしまう
最初は物足りなく感じるかもしれませんが、たくさん読むほど、基本語彙を一瞬で理解できる力がつきます。内容より「スラスラ読める快感」を味わう期間だと割り切るのがコツです。
文化的な背景がわからない
英語圏の学校行事や食べ物、遊びなど、日本ではなじみのない場面が出てくることがあります。わからなくても話の筋が追えればOK。気になったら、読み終えてから調べると、ちょっとした異文化の勉強にもなります。
1冊ずつ精読してしまう
児童書でも、1文ずつ訳していては量が読めません。辞書を使わず、絵と流れで理解するのが児童書多読のルールです。
まとめ:絵本1冊からでも、立派な多読
児童書多読の進み方をまとめます。
- 絵本 → リーダーズ → チャプターブックの順に進む
- 知っている話やシリーズものを活用する
- 「子どもっぽさ」より「スラスラ読める体験」を重視する
今日は、図書館で英語の絵本を1冊借りるか、家にある知っている話の英語版を1冊読んでみてください。



