初めての洋書で挫折する本当の理由
初めての洋書で挫折する人の多くは、英語力が足りないのではなく、自分に合わない本を選んでいるだけです。よくあるパターンを挙げてみます。
- 有名な名作だからと、19世紀の古典文学を選ぶ
- 大好きな映画の原作だからと、大人向けの長編小説を選ぶ
- 「高校生なら高校レベル」と思って、背伸びした本を選ぶ
- 厚い本のほうが達成感がありそうだと思って選ぶ
古典文学は、今の英語とは語彙や言い回しが違うことも多く、ネイティブの学生でも難しく感じる作品があります。大人向けの一般書は、そもそも母語話者の大人向けに書かれているので、学習者にとっての難しさは想像以上です。
ポイント:最初の1冊の目的は「英語力を伸ばすこと」より「英語の本を1冊読み切った」という体験をすることです。その体験が、2冊目、3冊目への一番の原動力になります。
挫折しない1冊を選ぶ5つの基準
基準1:知らない単語が1ページに2〜3個以下
最も大事な基準です。知らない単語が多いと、辞書を引く回数が増えてストーリーを楽しむどころではなくなります。1ページあたりの知らない単語が数個以内の本を選びましょう。
基準2:薄い本から選ぶ
最初の1冊は、100ページ以下の薄い本がおすすめです。学習者向けの本なら、数十ページで完結するものもたくさんあります。「数日で読み切れる」くらいの長さが理想です。
基準3:日本語でも読みたいジャンル
日本語でミステリーが好きならミステリー、恋愛ものが好きなら恋愛もの。日本語で読まないジャンルは、英語だともっと読まないと考えましょう。
基準4:話の筋を知っている本もアリ
日本語で読んだことがある本、映画やアニメで見た作品の英語版は、話の流れを知っているぶん、知らない単語があっても推測がききます。「ズルい」と思う必要はまったくありません。むしろ最初の1冊には最適な選択です。
基準5:会話が多く、1章が短い
会話文は地の文より短く、日常的な表現が多いので読みやすい傾向があります。また、1章が短い本は「今日はここまで」と区切りやすく、達成感を細かく味わえます。
最初の1冊の候補になるジャンル
学習者向けに書かれた本(Graded Readers)
語彙や文法をレベル別に制限して書かれた学習者向けのシリーズです。Oxford Bookworms Library や Penguin Readers などが代表的で、名作を学習者向けに書き直したものも多くあります。最初の1冊として一番おすすめのジャンルです。
英語圏の子ども向けの本
英語圏の子どもが読む本は、大人の学習者にとってもちょうどいいレベルのものがたくさんあります。たとえば Magic Tree House シリーズのように、1冊が短く章立ても細かい子ども向けシリーズは、多読の入門書として広く読まれています。
中高生向けの小説
英語圏の10代向けの小説には、比較的平易な英語で書かれた作品もあります。Louis Sachar の Holes や R. J. Palacio の Wonder のように、日本の学習者の間でもよく名前が挙がる作品がありますが、子ども向けの本よりは長く、語彙も増えます。1冊目より、少し慣れてからの目標にするのがおすすめです。
ポイント:どのジャンルでも、実際に中身を見て「基準1」を満たすかを確認するのが大切です。評判の良い本でも、自分に合うとは限りません。
本屋やネットでできる「立ち読みテスト」
買う前に、次の手順で1〜2分チェックしてみましょう。
- 真ん中あたりのページを開く:冒頭は丁寧に書かれていることが多いので、中盤で判断します
- 1ページを普通の速さで読む:知らない単語の数を指で数える
- 話がわかるか確認する:細部はわからなくても、「誰が何をしている場面か」が言えればOK
- 続きを読みたいか感じてみる:ここが意外と大事です
電子書籍ならサンプルをダウンロードして同じことができます。ネット書店の「なか見」機能などで数ページ確認できる場合もあります。
テスト結果の判断
- 知らない単語0〜3個、話もわかる → 買い
- 知らない単語4〜7個、話は大体わかる → 2冊目以降の候補に
- 知らない単語8個以上、話が追えない → 今は見送り。数か月後にまた挑戦
最初の1冊を読み切る1週間計画
100ページ前後の本を1週間で読み切る計画例です。
- 1日目:最初の10ページ。登場人物の名前をメモしておくと迷いにくい
- 2日目:15ページ。わからない単語があっても、話が追えていれば止まらない
- 3日目:15ページ。気になった表現に付箋を1つだけ貼る
- 4日目:15ページ。疲れた日は5ページでもOK
- 5日目:15ページ。ここまでのあらすじを日本語で3行書いてみる
- 6日目:15ページ
- 7日目:残りを読み切る。最後に一言感想を書く
読み切ったら、表紙の写真を撮る、読書記録に書く、友だちに話すなど、「読み切った」ことをしっかり祝いましょう。
読みながら使える小さなコツ
- 登場人物メモ:洋書では、同じ人物が名字・名前・あだ名など複数の呼び方で登場することがあります。本の最初のページに、名前と一言メモ(「主人公の姉」「隣の家の犬」など)を書いておくと混乱しません。
- 章の終わりで一言まとめ:1章読み終えたら、「〇〇が△△した」と頭の中で一文にまとめます。話の流れを見失わないための小さな確認です。
- わからない段落は飛ばす:どうしても意味がとれない段落があっても、次の段落で状況がわかることはよくあります。止まらず、先に進んでみましょう。
単語が気になるときのルール
「全く調べない」のが不安な人は、次のルールがおすすめです。
- 初めて出た単語は、推測して先へ進む
- 同じ単語に3回出会ったら、付箋を貼っておく
- その日の読書を終えてから、付箋の単語だけまとめて調べる
こうすると、読む流れを止めずに、本当に大事な単語だけを覚えられます。何度も出てくる単語は、その本を楽しむうえで欠かせない単語であることが多いのです。
よくある失敗
辞書を毎ページ何度も引く
気になる単語をすべて調べていると、1日に数ページしか進まず、話の流れも忘れてしまいます。調べるのは「何度も出てきて、話の理解に必要な単語」だけにしましょう。
合わない本を「もったいない」と読み続ける
途中でつまらなくなったり、難しすぎると感じたりしたら、やめて別の本に替えてかまいません。合わない本を我慢して読むより、合う本を読み切るほうがずっと価値があります。
読む時間を決めていない
「時間があるときに読もう」では、なかなか手に取りません。寝る前の10分、通学電車の中など、読む場所と時間をあらかじめ決めておくと続きやすくなります。
まとめ:1冊目は「やさしすぎるかな」くらいでちょうどいい
初めての洋書選びのコツをまとめます。
- 知らない単語は1ページ数個以内
- 薄い本・好きなジャンル・知っている話から選ぶ
- 買う前に真ん中のページで立ち読みテスト
- 合わなければ遠慮なく替える
「こんなにやさしくていいの?」と思うくらいの本が、実はちょうどいいレベルです。今日は書店かネットで、立ち読みテストを1冊やってみてください。



