返り読みとは?なぜクセになるのか
返り読みとは、英文を文末まで読んでから戻り、日本語の語順に並べ替えて理解する読み方です。
たとえば次の文。
The man who lives next door gave me a book he wrote last year.
返り読みをすると、「隣に住んでいる男性が、私に、彼が去年書いた本を、くれた」と、文の後ろから前へ行ったり来たりしながら組み立てます。
このクセがつく一番の理由は、英語と日本語の語順が大きく違うことです。日本語は「誰が→何を→どうした」で動詞が最後に来ますが、英語は「誰が→どうした→何を」で動詞が早く出てきます。さらに、日本語は修飾語が名詞の前に来るのに、英語では関係詞節などの長い修飾語が名詞の後ろに来ます。和訳の授業では、この語順の違いを日本語側に合わせて処理する練習をたくさんするので、返り読みが「正しい読み方」として定着するのです。
ポイント:返り読みは悪者ではありません。正確な和訳が必要な場面では今後も役立ちます。問題は、それしかできないことです。
返り読みをやめると何が変わるか
読むスピードが上がる
同じ文を何度も往復しなくなるので、それだけで読む時間が短くなります。
リスニングが伸びやすくなる
音声は後戻りできません。前から順に理解する力は、そのまま聞く力の土台になります。読むときに返り読みをしている人は、聞くときにも頭の中で並べ替えようとして、次の文を聞き逃しがちです。
長い文でも迷子にならない
長い文を最後まで読んでから組み立てようとすると、途中で何の話だったか忘れてしまいます。前から少しずつ意味を確定させていけば、長文でも頭の負担が軽くなります。
前から読むための基本ルール
ルール1:意味のかたまりごとに「確定」させる
英文を意味のかたまりで区切り、区切りごとに理解を進めます。
- The man / who lives next door / gave me / a book / he wrote last year.
- 「その男性がね、隣に住んでるんだけど、私にくれたの、本を、彼が去年書いたやつ」
日本語としてはぎこちないですが、これで十分です。英語の語順のまま情報を受け取っています。
ルール2:後ろから説明が来たら「どんな?」と待つ
名詞のあとに who、which、that、分詞、前置詞句が来たら、「どんな〇〇かというと…」と受け取ります。
- a girl / playing the piano → 「女の子、ピアノを弾いている」
- the book / on the desk → 「本、机の上の」
ルール3:to不定詞は「その目的・中身は」
- I went to the station / to meet my friend. → 「駅に行った、友だちに会うために」
- My dream is / to travel around the world. → 「私の夢は、世界を旅すること」
ルール4:接続詞で次の展開を予想する
because が来たら「理由が来るぞ」、although が来たら「反対のことが来るぞ」と身構えます。予想しながら読むと、理解が速くなります。
ルール5:動詞が来たら「何を?」と待つ
英語は動詞のあとに目的語や補語が続きます。動詞を読んだ瞬間に「何を?」「誰に?」と問いを立てておくと、後ろから来る情報がすっと収まります。
- She explained / to the class / why the plan had changed.
- 「彼女は説明した、クラスに向けて、なぜ計画が変わったのかを」
explained のあとに to the class が割り込んでも、「何を説明したの?」と待っていれば、why 以下が答えだとわかります。
長い文で試してみよう
Although the town is small, / it attracts many visitors / who come to see the old temple / built more than 500 years ago.
「その町は小さいけれど、たくさんの観光客を引きつけている、その人たちは古いお寺を見に来る、500年以上前に建てられた(お寺)」
一度も後ろに戻らずに、町→観光客→お寺→その歴史と、情報が前から順に積み上がっていくのがわかります。
返り読みを減らす4つの練習
練習1:やさしい英文をたくさん読む
返り読みは、難しい文でこそ起こります。辞書なしでスラスラわかる英文なら、そもそも戻る必要がありません。やさしい英文で「戻らない読み方」を体験する量を増やすのが、いちばん確実な練習です。
練習2:指やペンで一方向になぞる
指先やペン先を行頭から行末へ一定の速さで動かし、その動きより目が遅れないように読みます。視線が後戻りしにくくなります。
練習3:読みながら英語の順で日本語メモ
1文ずつ、英語の語順どおりに日本語で意味を書いていきます(ルール1の「ぎこちない日本語」でOK)。最初は時間がかかりますが、頭の中の処理の順番を切り替える練習になります。
練習4:音声を聞きながら読む
音声と同時に英文を目で追うと、音声は戻ってくれないので、自然と前から理解するしかなくなります。慣れたら音声を少し速くしてみましょう。
1週間の練習メニュー
1日15〜20分のメニュー例です。
- 月曜:やさしい英文を1本、区切りを入れながら音読(前から意味をとる)
- 火曜:同じ英文を英語の語順で日本語メモ
- 水曜:新しいやさしい英文を、指でなぞりながら黙読
- 木曜:音声つき英文で、音声と同時に目で追う×3回
- 金曜:関係詞や分詞を含む文を5文選び、「どんな〇〇かというと」で読む練習
- 土曜:やさしい洋書や記事を15分、戻らないことだけを意識して読む
- 日曜:今週の英文をもう一度通して読み、戻った回数が減ったか確認
よくある失敗
いきなり難しい長文でやろうとする
構文が複雑な難関大の長文で返り読みを封印すると、意味がとれなくなって不安になります。まずはやさしい英文で練習し、難しい英文では必要に応じて戻ってOKと割り切りましょう。
一切戻ってはいけないと思い込む
上手な読み手も、意味があいまいなときは戻って確認します。やめたいのは「毎文必ず戻って並べ替える」クセです。
日本語訳をきれいに作ろうとする
前から読む練習の目的は、きれいな和訳ではなく理解です。ぎこちない日本語で意味がわかれば合格です。
和訳問題と混同する
学校の定期テストや入試の和訳問題では、自然な日本語に並べ替える力が求められます。「前から読む練習」と「和訳の練習」は目的が違うので、両方を分けて練習しましょう。ふだんの読解は前から、和訳問題を解くときだけ日本語の語順に組み立て直す。この切り替えができれば、どちらの力も無駄になりません。
まとめ:まずは「やさしい英文で戻らない」体験から
返り読みは、長年の和訳学習でできたクセです。一晩では直りませんが、やさしい英文で前から読む経験を積むほど、確実に減っていきます。
- 意味のかたまりごとに理解を確定させる
- 後ろからの説明は「どんな〇〇かというと」で受け取る
- 音声や指を使って、視線の後戻りを物理的に防ぐ
今日はまず、中学レベルのやさしい英文を1本、「戻らない」ことだけを意識して読んでみてください。



