外国語活動と外国語科で評価のしかたが違う
まず押さえておきたいのは、3・4年の外国語活動と、5・6年の外国語科では、評価の形が違うということです。
- 外国語活動(3・4年):教科ではないため、数値による評定はつけず、子どもの学習の様子を文章で記述します。
- 外国語科(5・6年):教科として、観点別学習状況の評価と評定が行われます。
外国語科の観点は、ほかの教科と同じく次の3つです。
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
ポイント:評価は「成績をつけるため」だけでなく、「子どもの成長を見取り、指導を改善するため」のもの。指導と評価をセットで考えることが大切です。
3つの観点を英語の授業でどう見るか(一般論)
ここでは、それぞれの観点が英語の授業でどんな姿として表れるか、一般的な例を紹介します。
知識・技能
- 単元で扱った語句や表現の意味がわかり、聞いたり言ったりできる
- 例:What sport do you like? と聞かれて、I like tennis. と答えられる
思考・判断・表現
- 目的や場面に応じて、知っている表現を選んで伝え合う
- 例:「友だちのことをもっと知る」という目的で、相手の答えに合わせて質問を付け足す(Do you play tennis?)
主体的に学習に取り組む態度
- 相手に配慮しながら、伝えようとしたり、わかろうとしたりしている
- 例:相手が困っているときにゆっくり言い直す、ジェスチャーを使って伝えようとする
大切なのは、1時間の授業ですべての観点を評価しようとしないことです。単元のどの時間にどの観点を重点的に見るかを、あらかじめ計画しておきましょう。
同じ場面でも観点によって見るところが変わる
例えば、「好きな教科をたずね合う」やり取りの場面を例にすると、次のように見るところが変わります。
- 知識・技能:What subject do you like? / I like science. を正しく聞き取ったり言ったりできているか
- 思考・判断・表現:相手の答えを聞いて、Why? や Me, too. I like experiments. のように、目的に合わせて内容を付け足しているか
- 主体的に学習に取り組む態度:相手が聞き取れなかったときに、ゆっくり言い直したり、教科書の絵を指さしたりして伝えようとしているか
同じ活動の中で見る観点をはっきりさせておくと、見取りのメモも書きやすくなります。
単元の評価計画の立て方(6時間の例)
評価を無理なく行うためには、単元の最初に「いつ・何を・どうやって見るか」を決めておくことが大切です。
例:「行ってみたい国を紹介しよう」の単元(6時間)
- 1〜2時間目:指導が中心。記録に残す評価はせず、子どもの様子を見て指導に生かす
- 3〜4時間目:ペアのやり取りの様子を観察(知識・技能を中心に)
- 5時間目:紹介文を書く活動(例文を参考に書けているか)
- 6時間目:発表とやり取り(思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)
ポイント
- 単元の前半は、評価より指導を優先する
- 記録に残す評価は、単元の後半に重点を置く
- 1つの活動で、見る観点を1〜2つに絞る
このように計画しておくと、毎時間全員を評価しようとして疲れてしまうことがなくなります。
見取りのツール:座席表メモと振り返りカード
座席表メモ
クラスの座席表をコピーし、授業中に気づいたことを一言ずつメモします。
- 「Aさん:How about you? を自分から使えた」
- 「Bさん:相手の答えに Really? と反応」
- 「Cさん:言えずに困っていた→次回ペア配慮」
1回の授業で全員を見る必要はありません。1回5〜6人に絞り、単元全体で全員を見取れるように計画しましょう。
振り返りカード
授業の最後に、子どもが自分の学びを書くカードです。質問例を紹介します。
- 今日できるようになった英語は?
- 友だちとのやり取りで、うまくいったことは?
- 次の時間にがんばりたいことは?
振り返りカードは、主体的に学習に取り組む態度を見るための手がかりの1つになります。ただし、書く力の差が評価に影響しすぎないよう、カードの内容だけで判断しないことが大切です。
振り返りカードの記入例(子どもの記述のイメージ)
- 「Why? って聞いたら、友だちが理由を教えてくれてうれしかった」
- 「What subject? の発音がむずかしかったので、次はゆっくり言いたい」
このような記述が見られたら、授業の最初に全体に紹介すると、ほかの子どもの振り返りの書き方のお手本にもなります。
パフォーマンス評価の進め方
単元の終わりに、子どもが実際に英語を使う様子を評価する方法を、パフォーマンス評価と呼びます。
例:先生とのやり取り(1人1〜2分)
- T: Hello. Where do you want to go?
- S: I want to go to Australia.
- T: Why?
- S: I want to see koalas.
- T: Nice! What do you want to eat in Australia?
- S: Hmm... I want to eat... meat pie?
評価のポイント例
- 質問を聞いて、単元の表現で答えられたか
- 予想していなかった質問にも、知っている英語で答えようとしたか
- 相手に伝わるように工夫したか
実施のコツ
- 事前に、どんなやり取りをするかを子どもに伝えておく
- ほかの子どもは、別の活動(書く活動など)をしながら待つ
- 評価の基準を簡単な表にして、先生の間で共有しておく
ポイント:パフォーマンス評価は「本番」ですが、子どもにとっては「先生と英語で話せた!」という成功体験の場にもなります。
外国語活動の文章記述のコツ
外国語活動では、子どもの様子を文章で記述します。具体的な場面と、子どもの成長が伝わるように書くのがポイントです。
記述の型
「〇〇の活動で、〜〜することができた(しようとしていた)。」
記述例(編集部作成)
- 好きなものを伝え合う活動で、友だちの答えに Me, too! と反応しながら、楽しそうにやり取りしていた。
- 数を扱う活動で、英語の数を聞き取り、正しいカードを選ぶことができた。
- 外国の行事について知る活動で、日本の行事との違いに気づき、振り返りカードに自分の考えを書いていた。
座席表メモや振り返りカードをもとに書くと、具体的な場面が浮かびやすくなります。学期末にまとめて書こうとすると大変なので、単元ごとに一言ずつメモを残しておきましょう。
よくある失敗と今日からの一歩
- テストの点数だけで評価する:小学校英語では、やり取りや発表など、実際に英語を使う姿を見ることが大切です。
- 声の大きさや積極性だけで判断する:恥ずかしがり屋の子どもも、ペアの中ではしっかり伝えようとしていることがあります。
- 毎時間全員を評価しようとする:評価計画を立て、見る場面と観点を絞りましょう。
- 評価基準が先生によってばらばら:同じ学年の先生で、評価の例を共有しておくと安心です。
より詳しい評価の方法は、国立教育政策研究所の「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」などで確認できます。まずは次の授業で、座席表を1枚用意し、5人だけ見取ってメモするところから始めてみましょう。



