なぜIELTSは「言い換え」の試験なのか
IELTSのリスニングやリーディングでは、設問に書かれている言葉が、音声や本文にそのまま出てくるとは限りません。例えば設問が「cost」でも、本文では「price」や「how much you pay」になっていることがあります。
一方、ライティングとスピーキングでは、採点観点の1つにLexical Resource(語彙力)があります。語彙の幅があるか、言葉を適切に使えているかが見られるので、同じ語ばかりくり返すよりも、自然な言い換えを使えるほうが有利です。
つまり、言い換えの力は
- 受信(L・R):言い換えに気づいて正解を見つける力
- 発信(W・S):自分で言い換えて表現の幅を見せる力
の両方に効きます。語彙を「1語1訳」で覚えるのではなく、「同じ意味の別の言い方」とセットで覚えることが、IELTSの語彙対策の基本です。
ポイント:新しい単語を覚えるときは、必ず「言い換えペア」を1つ一緒にメモしましょう。
言い換えの5パターン
言い換えにはいくつかの型があります。パターンを知っておくと、見抜くのも使うのも楽になります。
- 類義語:important → essential / significant
例:Exercise is important for health. → Regular exercise is essential for good health.
- 品詞の変換:increase(動詞)→ an increase(名詞)
例:Prices increased sharply. → There was a sharp increase in prices.
- 反対語+否定:cheap → not expensive
例:The course was cheap. → The course did not cost very much.
- 能動態と受動態:
例:The government built a new bridge. → A new bridge was built by the government.
- 具体と抽象:cars, buses and trains → public and private transport
例:Students use smartphones, tablets and laptops. → Students use a range of digital devices.
特に2の品詞変換と5の抽象化は、リーディングでの言い換えによく見られるパターンです。本文と設問を見比べるとき、この5つを意識してみてください。
ポイント:言い換えは「単語を変える」だけでなく「文の形を変える」ことも含みます。
L・Rで言い換えを見抜く練習
リスニングやリーディングの問題を解いたあと、正解の根拠になった部分と設問を並べて書き出す練習がとても効果的です。
自作の例
設問:The researchers were surprised by the results.
本文:The findings were not what the team had expected.
- researchers → the team
- surprised → not what... had expected
- results → findings
このように、1問ごとに「言い換えペア」を書き出していくと、IELTSでよく使われる言い換えの感覚が身についてきます。
言い換えノートの作り方
- 問題を解き、答え合わせをする
- 正解の根拠となる文を本文から探す
- 設問の語句と本文の語句をペアで書き出す
- 週末に見直し、似たペアをまとめる
このノートは、そのままライティング・スピーキングで使える表現集にもなります。
ポイント:答え合わせの後の「ペア書き出し」は1問1分。この1分の積み重ねが、得点力の差になります。
W・Sで使える言い換えのストック
ライティングとスピーキングでは、よく使う語の言い換えをあらかじめストックしておくと安心です。
よく使う語の言い換え例
- think → believe / feel / would argue / in my view
- good → beneficial / positive / valuable
- bad → harmful / negative / damaging
- a lot of → a large number of(数えられる名詞)/ a great deal of(数えられない名詞)
- important → crucial / vital / significant
- problem → issue / challenge / difficulty
- show → illustrate / indicate / reveal
注意したいこと
言い換えは便利ですが、類義語はまったく同じ意味とは限りません。例えば「a large number of」は数えられる名詞に、「a great deal of」は数えられない名詞に使います。また、「significant」は「重要な」だけでなく「(数量が)かなりの」という意味でも使われます。
意味や使い方に自信がない語は、辞書の例文で確認してから使いましょう。不自然な難語より、正確な基本語のほうが評価につながりやすいことを覚えておいてください。
ポイント:言い換えストックは「使い方の例文」とセットで。例文なしの類義語リストは、誤用のもとになります。
トピック別に語彙をまとめる
IELTSのライティングTask 2やスピーキングPart 3では、教育・環境・テクノロジー・健康・仕事など、社会的なテーマがよく扱われます。語彙もテーマ別にまとめると、実際に使いやすくなります。
まとめ方の例(テーマ:環境)
- 名詞:pollution, emissions, renewable energy, waste
- 動詞:reduce, recycle, protect, contribute to
- コロケーション:reduce carbon emissions / raise awareness / take action
- 例文(自作):Governments should take action to reduce carbon emissions by investing in public transport.
単語だけでなく、よく一緒に使われる組み合わせ(コロケーション)でまとめるのがコツです。「reduce emissions」のように組み合わせで覚えると、そのまま文の中で使えます。
覚え方
間隔をあけて復習する方法(間隔反復)が記憶の定着に役立つことは、学習研究でよく知られています。単語カードやアプリを使い、翌日・数日後・1週間後と間隔をあけて見直しましょう。
ポイント:1テーマにつき「名詞・動詞・コロケーション・例文1つ」。このセットを10テーマ分作ると、Task 2とPart 3の土台になります。
1週間の練習メニューとよくある失敗
1週間メニュー(1日20分)
- 月:リーディング問題を1セット解き、言い換えペアを5つ書き出す
- 火:リスニング問題を1セット解き、同様にペアを書き出す
- 水:よく使う語(think, good, problem など)の言い換えを例文つきで3つ作る
- 木:テーマを1つ選び、名詞・動詞・コロケーション・例文のセットを作る
- 金:Task 2の答案を1つ見直し、くり返している語を言い換える
- 土:スピーキングの録音を聞き、同じ語のくり返しをチェック
- 日:言い換えノートを見直し、覚えていないものをカードにする
よくある失敗
- 類義語リストの丸暗記:使い方を知らないまま使うと、不自然な英文になります。
- 難しい語ばかり狙う:基本語を正確に使えることが土台です。
- インプットだけで終わる:覚えた言い換えを、実際に書いて・話して使うまでが練習です。
今日はまず、直近で解いたリーディング問題を1つ見直して、設問と本文の言い換えペアを5つ書き出してみましょう。



