直訳できない言葉は「場面」で訳す
「ヤバい」を和英辞書で引くと、いろいろな英単語が出てきます。でも、「このケーキ、ヤバい!」と「宿題忘れた、ヤバい!」では、まったく意味が違いますよね。
こうした言葉を英語にするときのコツは、「この場面で本当に言いたいことは何か」を考えて、それに合う英語を選ぶことです。
- このケーキ、ヤバい! → 本当に言いたいのは「すごくおいしい」
- 宿題忘れた、ヤバい! → 本当に言いたいのは「困った、まずい」
この考え方は、英語を話すときだけでなく、英作文や翻訳にも役立ちます。1つの日本語に1つの英単語、という発想から自由になると、英語の表現力がぐっと広がります。
なお、ここで紹介する日本語の多くはくだけた言葉なので、英語の表現も カジュアル寄り のものが中心です。フォーマルな場面での言い換えも一緒に紹介します。
「ヤバい」は良い意味と悪い意味で分ける
良い意味の「ヤバい」
- amazing / awesome:すごい、最高(ニュートラル〜カジュアル)
- This is so good!:これめっちゃおいしい!
- incredible:信じられないほどすごい(ニュートラル)
- insane:とんでもない、すごすぎる(カジュアル。「That game was insane!」)
悪い意味の「ヤバい」
- Oh no!:しまった!
- I'm in trouble.:まずいことになった。
- That's not good.:それはよくないね。
- This is bad.:これはまずい。
どちらにも使える驚き
- No way!:うそでしょ!
- Wow!:わあ!
会話例:放課後のカフェで
- A: Try this cheesecake. It's so good!
- B: Wow, this is amazing!
- A: Right? Oh no... I forgot my math homework at school.
- B: That's not good. The deadline is tomorrow, right?
1つの会話の中で、良い「ヤバい」と悪い「ヤバい」が両方出てきました。英語では、それぞれ別の言葉で表しているのがわかりますね。
「エモい」は気持ちの中身で訳す
「エモい」は、英語の emotional から来たと言われる言葉ですが、英語の emotional とは使い方が少し違います。英語で「I'm emotional.」と言うと、「感情的になっている」「泣きそう」という意味になることが多いので注意しましょう。
「エモい」と言いたいとき、その中身によって次のように言い分けられます。
- なつかしい → It's so nostalgic. / It brings back memories.
- 切ないけど温かい → It's bittersweet.
- 心にしみる → It really touched me. / It's so moving.
- 胸がいっぱいになる → It gives me all the feels.(カジュアル)
- 雰囲気がいい → It has such a nice vibe.(カジュアル)
会話例:卒業アルバムを見ながら
- A: Look at this photo from our first school trip.
- B: Oh, it brings back so many memories!
- A: I know. It's kind of bittersweet, right?
- B: Yeah. It really gives me all the feels.
all the feels は、「いろいろな感情がいっぺんにこみ上げる」という感じのカジュアルな表現です。
「推し」「推し活」「沼る」「尊い」を英語で
推し
- my favorite (member / character):一番好きなメンバー・キャラ(だれにでも通じる)
- my bias:K-POPファンの間でよく使われる言い方
- 最近は、日本のアニメやアイドルのファンの間で oshi という言葉がそのまま使われることもありますが、一般の人には通じないことが多いです。
推し活
- supporting my favorite idol:推しを応援すること
- I go to their concerts and buy their merch.:ライブに行ったりグッズ(merch=merchandise の省略)を買ったりする
沼る
- I'm hooked on〜.:〜にハマっている
- I fell down the rabbit hole.:(調べたり見たりするうちに)どんどんハマってしまった。『不思議の国のアリス』でウサギの穴に落ちる場面が由来とされる表現です。
尊い
- so precious / so wholesome:尊い、心が浄化される(wholesome は「健全で心温まる」の意味)
会話例:好きなグループの話
- A: Who's your favorite member?
- B: Definitely Riku. I'm totally hooked on his dancing.
- A: Same! I watched one video and fell down the rabbit hole.
- B: Their friendship is so wholesome. I love it.
よくある失敗と注意点
- 「エモい」を emotional と訳す
英語の emotional は「感情的な」「涙もろくなっている」という意味で使われることが多く、「エモい」とはずれます。
- 「ヤバい」を crazy だけで済ませる
crazy は便利ですが、人に対して使うと失礼になることもあります。amazing や Oh no! など、場面に合わせて使い分けましょう。
- oshi や kawaii がだれにでも通じると思う
kawaii は英語の辞書に載るほど知られるようになりましたが、oshi のような言葉は、ファンの間でしか通じないことが多いです。最初は英語で説明しましょう。
- カジュアルな訳を作文に使う
英作文では「It gives me all the feels.」ではなく、「It moved me deeply.」のような表現が適切です。
1週間の練習メニュー
- 1日目:良い「ヤバい」と悪い「ヤバい」の英語を3つずつ書き出す
- 2日目:「エモい」の中身(なつかしい・切ない・心にしみる)ごとに英語をメモする
- 3日目:自分の推しを英語で3文紹介する(例:My favorite member is〜. I love his voice.)
- 4日目:「沼っているもの」を I'm hooked on〜. で3つ言ってみる
- 5日目:会話例を声に出して、A役・B役を演じる
- 6日目:その日にあった「ヤバい」「エモい」出来事を英語で1文日記に書く
- 7日目:カジュアルな表現をフォーマルに書き直すリストを作る
普段自分が使っている言葉を英語にする練習は、すぐに会話で使えるのが魅力です。好きなものについて話すときは、自然と言葉が出てきやすいので、ぜひ推しの話から始めてみてください。



