まずは原因を見極めよう
多読が進まない原因は、人によって違います。やみくもに「気合いで読む」前に、自分がどのタイプに当てはまるかをチェックしてみましょう。
原因チェックリスト
- A:本を開いても、数ページで疲れてしまう
- B:読んでいても話に入り込めず、つまらない
- C:読みたい気持ちはあるが、読む時間がとれない
- D:読んではいるが、英語力が伸びている気がしない
- E:同じレベルの本ばかりで、飽きてきた
- F:やるべき勉強(試験対策など)に追われて、多読を後回しにしている
当てはまったアルファベットによって、次のように対処法が変わります。
- A → 本が難しすぎる可能性
- B・E → 本の選び方・ジャンルの問題
- C・F → 時間と習慣の問題
- D → 効果の実感の問題
ポイント:いくつも当てはまる人は、まずAから見直してください。本の難しさは、ほかのすべての原因に影響するからです。
原因A:本が難しすぎる
多読が止まる原因で最も多いのが、これです。
多読を続けていると、「そろそろレベルを上げたい」という気持ちが出てきます。そして少し難しい本に進んだとたん、読むのが苦しくなって止まってしまう。本人は「多読に飽きた」と感じていても、実は本が難しくなっただけということがよくあります。
対処法
- 1〜2段階レベルを下げる:「簡単すぎる」と感じるくらいの本に戻ります。恥ずかしいことではありません。
- スラスラ読めた本を読み直す:以前楽しめた本をもう一度読むと、読む感覚が戻ってきます。
- 難しい本と簡単な本を交互に読む:上のレベルの本1冊に対して、下のレベルの本を2〜3冊はさみます。
難しすぎるサイン
- 1ページに知らない単語が5つ以上ある
- 同じ段落を何度も読み返している
- 読み終えても、何が起きたか説明できない
原因B・E:本がつまらない・飽きた
英語の本は、日本語の本と同じで、合う・合わないがあります。
対処法
- ジャンルを変える:物語ばかり読んでいたら、伝記、ノンフィクション、雑学本などに変えてみる。逆もまた然りです。
- 日本語で好きなものに寄せる:日本語でよく読むジャンル、好きな映画やアニメ、趣味(スポーツ、料理、動物など)に関係する本を探す。
- 本以外の英語を読む:英語のニュース記事、漫画、好きな有名人のインタビュー記事、ゲームの攻略記事なども立派な多読です。
- 途中でやめる:多読では「つまらなくなったら止める」が原則です。つまらない本を我慢して読み切る必要はありません。
飽きたときの「つまみ読み」
いろいろな本を少しずつ読む「つまみ読み」もおすすめです。5冊を手元に置いて、その日の気分で開きたい本を読む。1冊を読み切ることにこだわらないほうが、かえって読む量が増えることもあります。
原因C・F:時間がない・後回しになる
対処法
- 読む時間を固定する:「寝る前の10分」「通学電車の中」「昼食後の5分」など、毎日同じタイミングで読む。
- ハードルを下げる:「1日1ページだけ」「5分だけ」から始める。読み始めると、意外と続けて読めることが多いものです。
- すぐ読める場所に本を置く:カバンの中、枕元、スマホのホーム画面の電子書籍アプリなど、手を伸ばせば読める状態にしておく。
- 試験対策と結びつける:受験生なら、長文問題集の過去に解いた英文を「多読のように」読み直すのも一つの方法です。
if-thenプランを作る
「もし〇〇したら、△△する」という形で、読むきっかけを決めておきます。
- もし電車に乗ったら、英語の本を開く
- もし夕食を食べ終えたら、10分だけ読む
きっかけと行動がセットになると、「読もうかな、どうしようかな」と迷う時間がなくなります。
原因D:効果を感じない
多読の効果は、1日や1週間では見えにくいものです。
対処法
- 記録を振り返る:読んだ冊数や語数、読書速度(WPM)の記録を見直すと、少しずつ増えていることがわかります。記録をつけていない人は、今日から始めましょう。
- 以前の本を読み直す:数か月前に「少し難しい」と感じた本を読み直してみてください。驚くほど楽に読めることがあります。
- 他の技能で確かめる:英語のニュースを聞いたとき、長文問題を解いたときに、以前より速く理解できていないか意識してみましょう。
停滞期は「伸びる前」かもしれない
語学の伸びは、坂道のように一定ではなく、しばらく平らな時期が続いたあとに、ある時ぐっと伸びることがあると言われます。効果を感じない時期も、読んだ英語は確実に積み上がっています。
小さな変化に気づくための質問
効果が見えないと感じたら、次の質問に「はい・いいえ」で答えてみてください。
- 1か月前より、1冊を読み終えるまでの日数が短くなった
- 以前は止まっていた表現(たとえば I couldn't help laughing. のような言い回し)で止まらなくなった
- 英語の本を開くときの「よし、やるぞ」という気合いが前より少なくて済む
- 読みながら、日本語に訳さずに場面が浮かぶことが増えた
1つでも「はい」があれば、多読の効果は確実に出ています。大きな変化は、こうした小さな変化の積み重ねの先にあります。
目標を「語数」から「体験」に変える
「100万語まであと何語」という数字の目標が重荷になっているなら、目標を変えてみるのも手です。「好きなシリーズを全部読む」「映画化された作品の原作を読んでから映画を見る」のような、楽しみにつながる目標にすると、読むこと自体が再び楽しみになります。
立て直しの1週間メニューとNG対処
多読が止まってしまった人のためのリハビリメニューです。
- 1日目:以前スラスラ読めた本を1冊、5分だけ読む
- 2日目:いつもより1〜2段階やさしい本を10分
- 3日目:英語の本以外(記事、漫画など)を10分
- 4日目:新しいジャンルの本を1冊選び、最初の章だけ読む
- 5日目:読む時間を固定する。if-thenプランを1つ決めて実行
- 6日目:好きな本を好きなだけ
- 7日目:1週間の記録を書き、来週読む本を2〜3冊用意する
やってはいけない対処
NG1:自分を責める
「続けられない自分はダメだ」と思うと、ますます本を開きにくくなります。止まったのは本や環境の問題であることが多く、あなたの能力の問題ではありません。
NG2:一気に取り戻そうとする
止まっていた分を取り返そうと、1日に何時間も読もうとすると、疲れてまた止まります。少しずつ、毎日が立て直しの鉄則です。
NG3:レベルをさらに上げる
「刺激が足りないのかも」とレベルを上げると、原因Aを悪化させることがあります。迷ったら、まずは下げる方向で試しましょう。
まとめ:止まったら、まずやさしい本に戻ろう
多読が進まないときの対処をまとめます。
- 原因を見極める(難しすぎる・つまらない・時間がない・効果を感じない)
- 迷ったらレベルを下げ、好きなジャンルに寄せる
- 時間を固定し、ハードルを「5分」まで下げる
- 記録を振り返って、積み上がりを確かめる
今日は、以前楽しく読めた英語の本を1冊手に取って、5分だけ読んでみてください。



