はじめに:生活習慣は「土台」、魔法ではない
最初に大切なことをお伝えします。生活習慣を整えても、それだけで英単語がどんどん覚えられるようになるわけではありません。記憶の中心は、あくまでくり返し思い出す練習や間隔をあけた復習です。
生活習慣は、そうした勉強の効果をしっかり発揮させるための土台のようなものです。寝不足で頭がぼんやりしていたり、長時間座りっぱなしで集中力が切れていたりすると、同じ勉強をしても効率が落ちてしまいます。
ポイント:この記事で紹介するのは、「記憶によい」と一般に広く知られている習慣です。体調や持病がある人は、自分の体に合わせて無理のない範囲で取り入れてください。
では、具体的に見ていきましょう。
睡眠:覚えたことを定着させる時間
睡眠が記憶の定着に関わっていることは、脳科学や心理学の分野で広く知られた考え方です。起きている間に学んだことが、眠っている間に整理される、と説明されることがよくあります。
つまり、夜ふかしして勉強時間を増やすより、しっかり眠るほうが結果的に覚えているということが起こりうるのです。
英語学習に活かすコツ
- 寝る前に軽く復習する:その日に覚えた英単語を、寝る前に5分だけ見直す。新しいことを大量に詰め込むのではなく、確認程度にとどめます
- 翌朝に思い出す:起きたら、前の晩に見直した単語を何も見ずに言ってみる
- テスト前日は徹夜しない:前日は総復習にとどめて、早めに寝る
- 毎日の睡眠時間をなるべくそろえる:寝る時刻と起きる時刻が大きくずれない生活を心がける
必要な睡眠時間には個人差があり、年齢によっても変わります。「朝すっきり起きられるか」「日中に強い眠気がないか」を目安にしましょう。
昼間の眠気とのつきあい方
授業中や勉強中にどうしても眠くなるときは、無理に続けるより、短く休むほうが効率的な場合もあります。立ち上がって体を動かす、顔を洗う、外の空気を吸うなど、眠気を切り替える方法をいくつか持っておきましょう。ただし、昼寝が長くなりすぎると夜に眠れなくなることもあるので、夜の睡眠を優先するのが基本です。
運動:体を動かすと頭もすっきり
適度な運動が、体の健康だけでなく気分や集中力にも良い影響を与える、ということも広く知られています。長時間座り続けるより、ときどき体を動かすほうが、勉強に戻ったときに頭がすっきりしやすいと感じる人は多いでしょう。
英語学習に活かすコツ
- 勉強の合間に軽く動く:25〜50分勉強したら、立ち上がってストレッチや軽い体操をする
- 歩きながら復習する:散歩や通学中に、覚えた英単語や例文を小声でつぶやく
- 運動と音声学習を組み合わせる:ウォーキング中に英語の音声を聞く
ポイント:激しい運動である必要はありません。座りっぱなしの時間を区切るだけでも、気分転換になります。
「歩きながら復習」は、記憶の宮殿(場所法)とも相性が良い方法です。通学路の景色と単語を結びつけると、思い出すきっかけが増えます。
英語で体を動かす
体を動かす時間を英語の練習に変えることもできます。ストレッチをしながら I'm stretching my arms. と自分の動きを英語で実況したり、ウォーキング中に見えた物を英語で言ったりしてみましょう。体の動きと英語が結びつき、記憶の手がかりが増えます。
休憩と集中:短く区切って質を上げる
人間の集中力には限りがあります。何時間もぶっ通しで勉強するより、時間を区切って休憩をはさむほうが、集中した状態を保ちやすくなります。
有名なのが、フランチェスコ・シリロ氏が考案したポモドーロ・テクニックです。25分集中して5分休む、というサイクルをくり返す方法で、STUDY HACKでもタイマーを用意しています。
休憩の質を上げるコツ
- 休憩中はスマホを見ない:SNSや動画を見始めると、休憩のつもりが長くなりがち。目を閉じる、水を飲む、窓の外を見るなど、頭を休める休憩にしましょう
- 勉強中はスマホを別の部屋に:通知が来るたびに集中が途切れてしまいます
- 休憩前に「思い出し」を1分:休憩に入る前に、今の25分で覚えたことを1分だけ思い出してみると、良い復習になります
休憩の長さは、勉強の内容や疲れ具合に合わせて調整してかまいません。大切なのは、疲れ切る前に区切ることです。
1週間の生活改善プラン
一度に全部を変えるのは大変です。1日に1つずつ、小さな習慣を足していきましょう。
- 1日目:今の睡眠時間と、寝る時刻・起きる時刻を記録する
- 2日目:勉強中はスマホを別の部屋に置く
- 3日目:ポモドーロ(25分+5分休憩)を2セットやってみる
- 4日目:寝る前5分の英単語見直し+翌朝の思い出しテストを始める
- 5日目:休憩中にストレッチや軽い体操を入れる
- 6日目:散歩や通学中に、英単語を小声で復習する
- 7日目:1週間をふり返り、続けられそうな習慣を2つ選ぶ
7日目にすべてを続ける必要はありません。自分に合った習慣を2つ残すだけで十分です。
記録をつけるときは、ノートやスマホのメモに「睡眠時間」「勉強した時間」「覚えた単語の数」「翌朝に思い出せた数」を書いておくと、自分に合った習慣が見つけやすくなります。数字で見える化すると、続けるモチベーションにもなります。
よくある失敗と対策
- 失敗1:睡眠を削って勉強時間を増やす → 短期的には勉強時間が増えても、覚えたことが定着しにくくなる可能性があります。特にテスト前は睡眠を優先しましょう。
- 失敗2:一度に全部変えようとする → 生活習慣は、急に変えると続きません。1つずつ足していきましょう。
- 失敗3:「記憶力が上がる食べ物」などに頼りすぎる → 特定の食品やサプリで劇的に記憶力が上がる、という話には注意が必要です。バランスのよい食事を基本にしましょう。
- 失敗4:生活習慣だけで満足する → 土台を整えたら、その上で思い出す練習や間隔をあけた復習をしっかり行うことが大切です。
- 失敗5:休日に寝だめをする → 平日の睡眠不足を休日に取り戻そうとすると、生活リズムがくずれて、月曜日にかえってつらくなることがあります。毎日の睡眠をなるべく安定させましょう。
完璧な生活を目指す必要はありません。部活や行事で遅くなる日があっても、翌日から元のリズムに戻せば大丈夫です。
まとめ:土台を整えて、勉強法を活かす
記憶によい生活習慣をまとめると、次のようになります。
- しっかり眠る:寝る前の軽い復習と、翌朝の思い出しをセットに
- ときどき体を動かす:座りっぱなしを区切り、歩きながらの復習も活用
- 時間を区切って休む:ポモドーロなどで集中と休憩のリズムを作る
- スマホと距離を置く:勉強中と休憩中はスマホから離れる
どれも特別な道具やお金は必要ありません。今日の夜、寝る前の5分から始めてみましょう。
ポイント:生活習慣は「毎日の小さな積み重ね」です。完璧を目指さず、できた日を少しずつ増やしていけば十分です。



