まず公式の過去問題で「ゴール」を知る
勉強を始める前に、JNTOの公式ページで公開されている筆記試験の過去問題(一部)を見ておきましょう。どんな英語が、どんな形で問われるのかを知ることが、遠回りしない最初の一歩です。
過去問題を見るときのチェックポイント
- 英文の長さと難しさはどのくらいか
- 日本の事柄(行事・名所・食べ物など)がどのくらい出ているか
- 英語から日本語、日本語から英語の問題はあるか
- 自分の今の力で何割くらい解けそうか
最初は解けなくて当然です。「何が足りないか」を知るために見るのが目的。気づいたことをノートに書き出しましょう。
ポイント:勉強法は「ゴールから逆算」。公式の過去問題が一番信頼できるゴールです。
日本事象を英語で説明する語彙ノートを作る
通訳案内では、日本の文化・歴史・地理を英語で説明する力が欠かせません。そこでおすすめなのが「日本事象ノート」です。
ノートの作り方
- テーマを決める(例:神社・寺、年中行事、和食、伝統芸能、歴史上の出来事、地理)
- 見開き1ページに1項目
- 左に日本語の説明、右に英語の説明(定義1文+補足2文)
- 関連する英単語を下にまとめる
例:鏡餅(kagami-mochi)
- 定義:Kagami-mochi is a New Year decoration made of two round rice cakes.
- 補足:A small bitter orange is often placed on top. It's an offering to welcome the god of the New Year.
- 単語:offering / decoration / rice cake
英語の説明は、このサイトの「日本文化を英語で説明するコツ」で紹介した定義・比較・具体例の型で作ると、口述でもそのまま使えます。
ポイント:1日1項目でも、半年で約180項目。これが大きな財産になります。
筆記に向けた読解・英作文の練習
筆記試験に向けては、一般的な英語力の底上げも大切です。
読解
- 日本の文化や観光について英語で書かれた記事を読む(JNTOの英語サイトや日本紹介の英語メディアなど)
- 1記事を読んだら、要点を英語で3行にまとめる
- 知らなかった表現を日本事象ノートに追加する
英作文・和文英訳
- 日本語の観光案内文を1段落選び、英語にしてみる
- 難しい日本語は、まずやさしい日本語に言い換えてから英語にする
- 書いた英文を、音読して不自然な部分を直す
例:「門前町として栄えた」→「お寺の前の町として人が集まって発展した」→ The town grew as many people came to visit the temple.
日本の知識の復習
英語の科目以外にも、日本の地理・歴史などの知識が必要です。まず日本語で基本を固めると、英語での説明もスムーズになります。
ポイント:「やさしい日本語に言い換えてから英訳」は、和文英訳全般で使える万能テクニックです。
日本語の知識を固めるコツ
英語の勉強と並行して、日本についての知識を日本語で固めておくことも欠かせません。
- 地図を横に置いて勉強する:地名や名所を覚えるとき、場所をセットで確認すると記憶に残りやすくなります。
- 歴史は流れで理解する:年号の暗記より、「なぜその出来事が起きたか」を説明できるようにすると、英語での説明にもつながります。
- 身近な場所から始める:地元の名所の由来を調べるのは、楽しく続けやすい入口です。
- ニュースで現代の日本を知る:観光や産業、社会の動きも、案内の場面で話題になることがあります。
日本語で一言説明できるようになったら、すぐに英語の日本事象ノートに書き足す。この往復が、知識と英語を同時に伸ばすコツです。
ポイント:「日本語で説明できたら、その日のうちに英語でも1文」。これを習慣にしましょう。
口述を想定した即興の案内練習
口述試験は面接形式で行われます(形式の詳細は公式情報で確認してください)。一般的に、その場で英語で説明・案内する力を鍛えておくことが役立ちます。
即興練習のやり方
- 日本の事柄を書いたカードを50枚作る(例:七夕、富士山、茶道、新幹線、温泉)
- 1枚引いて、30秒考えて、1〜2分で英語で説明する
- スマホで録音し、聞き直す
- 詰まった部分の表現をノートに追加
説明の型
- 定義:〇〇 is 〜.
- 詳細:It is 〜 / People 〜.
- 観光客向けのひと言:If you visit 〜, I recommend 〜.
わからない質問をされたときの切り返しも練習しておきましょう。I'm sorry, I'm not sure about the details, but I can tell you what I know. のように、正直に、でも案内を止めない言い方が大切です。
ポイント:「完璧な説明」より「止まらずに案内を続ける力」を意識しましょう。
案内の場面で使う定番フレーズを固める
日本事象の説明に加えて、案内の「つなぎ」の英語も準備しておくと、話がスムーズに流れます。
移動・時間
- Let's move on to the next spot.
- We'll stay here for about fifteen minutes.
- Please be careful. The steps are a little steep.
説明の前後
- Let me tell you a little about the history of this place.
- Interestingly, 〜.
- Does that make sense?
質問への対応
- That's a great question.
- I'm not completely sure, but I believe 〜.
- Let me check and get back to you.
相手への気配り
- Would you like to take some photos here?
- Are you feeling OK? We can rest if you like.
こうした定番フレーズは、自分の声で何度も言って、口が勝手に動く状態にしておくのが理想です。即興練習のときに、説明の前後に必ずつなぎのフレーズを入れる習慣をつけましょう。
ポイント:説明の中身だけでなく「つなぎの一言」があると、英語の案内が一気にプロらしく聞こえます。
1週間の勉強メニュー
平日1時間・休日2時間のモデル
- 月:日本事象ノート2項目+英語記事1本の要約
- 火:和文英訳1段落+音読
- 水:日本事象ノート2項目+日本史・地理の復習(日本語)
- 木:英語記事1本の要約+単語復習
- 金:即興カード10枚(1〜2分ずつ録音)
- 土:過去問題の一部を時間を計って解く+復習
- 日:1週間の復習+地元の観光地を英語で5分案内する練習
忙しい人は、日本事象ノートと即興カードの2つだけでも続ける価値があります。この2つは英語で日本を説明する力に直結します。
ポイント:「書いて覚える」と「話して使う」を毎週必ずセットにしましょう。
よくある失敗
失敗1:英語の単語帳だけで勉強する
一般的な英単語だけでは、日本の事柄を説明する表現は身につきにくいです。日本事象ノートで、テーマ別に表現を集めましょう。
失敗2:日本語の知識があいまいなまま英語にする
日本語で説明できないことは、英語でも説明できません。まず日本語で「一言で言うと何か」を確認しましょう。
失敗3:暗記した原稿を読むだけになる
原稿の丸暗記は最初の段階ではOKですが、口述を想定するなら、キーワードだけ見て話す練習に移りましょう。
失敗4:非公式の情報をうのみにする
試験の形式や日程は変わることがあります。必ず観光庁・JNTOの公式情報を確認しましょう。
ポイント:「日本語で説明できる→英語で説明できる→その場で説明できる」の3段階で伸ばしましょう。



