日本地理はどんな試験?
観光庁の「全国通訳案内士試験ガイドライン」では、日本地理の筆記試験について次のように定められています。
- 内容:外国人観光旅客が多く訪れている、または評価が高い観光資源に関連する日本地理の主要な事柄(日本と世界との関わりを含む)のうち、外国人観光旅客の関心が強いものについての基礎的な知識
- 方式:多肢選択式(マークシート方式)
- 試験時間:30分、問題数は30問程度
- 満点:100点、原則70点が合格基準点
- 地図や写真を使った問題も含まれる
ポイントは「観光」と「基礎」の2つ。山脈や工業地帯を細かく覚えるより、外国人が訪れる場所がどこにあり、何が有名かを押さえることが中心になります。
ポイント:30問を30分。1問1分のペースなので、見た瞬間に答えられる知識が必要です。
白地図を「最強のノート」にする
日本地理の勉強で一番おすすめなのが白地図です。文字だけで覚えるより、場所と一緒に覚えたほうが思い出しやすく、地図問題にもそのまま対応できます。
白地図の作り方
- 都道府県の境界だけが書かれた白地図を数枚用意する(A3に拡大すると書き込みやすい)
- 1枚目には都道府県名と県庁所在地だけを書く
- 2枚目以降はテーマ別に分ける(世界遺産、国立公園、温泉、城、祭り、名物など)
- 1つの地点に「名前・何が有名か」を短く書き添える
書き込みの例
- 石川県・金沢:兼六園(日本三名園の一つ)
- 宮城県:松島(日本三景の一つ)
- 岐阜県・富山県:白川郷・五箇山の合掌造り集落(世界遺産)
- 鹿児島県:屋久島(世界自然遺産)
テーマごとに色を変えると、見直したときに記憶が引き出しやすくなります。
テーマ別に「セット」で覚える
ばらばらに覚えるより、グループにして覚えると定着しやすくなります。よく使われる「日本三○○」や同じ種類の観光資源をまとめて整理しましょう。
日本三景
- 松島(宮城県)
- 天橋立(京都府)
- 宮島(広島県)
日本三名園
- 兼六園(石川県金沢市)
- 後楽園(岡山県岡山市)
- 偕楽園(茨城県水戸市)
世界自然遺産の例
- 知床(北海道)
- 白神山地(青森県・秋田県)
- 屋久島(鹿児島県)
このほか、城、温泉地、国立公園、ユネスコ無形文化遺産に関係する祭りなども、自分でグループを作ってみましょう。自分でまとめる作業そのものが、記憶を強くするからです。
登録数や指定数のような数字は変わることがあるので、覚えるときは最新の公式情報で確認してください。
写真問題に強くなる:見て・言えるようにする
ガイドラインにあるとおり、地図や写真を使った問題も含まれます。名前を知っているだけでなく、写真を見て場所がわかる状態をめざしましょう。
練習方法
- 観光地の公式サイトや自治体の観光ページで、代表的な写真を見る
- 写真を見て「どこ?何県?何が有名?」を声に出して答える
- 似ている場所(たとえば城や庭園)は、違いを1つずつ言えるようにする
英語でもひと言そえる
通訳案内士の勉強なので、覚えた場所を英語でも1文で言えるようにしておくと、口述試験の準備にもなります。
- Matsushima is known for its many small islands covered with pine trees.
- Shirakawa-go is famous for its farmhouses with steep thatched roofs.
島の数や標高のような数字を入れたくなったら、必ず自治体や公式の観光サイトなど信頼できる情報で確認してから使いましょう。確認できない数字は入れず、many や one of the largest のような表現にとどめるのが安全です。
地方ごとの「顔」を3つずつ決める
47都道府県すべてを同じ細かさで覚えようとすると、途中で息切れしてしまいます。そこでおすすめなのが、地方ごとに「顔」となる観光資源を3つずつ決める方法です。
例:近畿地方
- 京都:寺社が集まる古都(清水寺、金閣など)
- 奈良:東大寺や奈良公園の鹿
- 兵庫:姫路城(世界文化遺産)
例:九州・沖縄地方
- 熊本:阿蘇山の雄大なカルデラ
- 鹿児島:屋久島の森、桜島
- 沖縄:首里城跡などの琉球王国のグスク及び関連遺産群
まず各地方の「顔」を固めてから、2周目、3周目で少しずつ観光地を増やしていくと、知識が雪だるま式に広がります。
自分の旅行経験を使う
行ったことのある場所は、写真や思い出と結びついているので覚えやすいものです。旅行の写真を見返しながら白地図に書き込むと、楽しく復習できます。まだ行ったことのない場所は、「いつか案内してみたい場所リスト」に入れておくと、勉強が旅の計画にも変わります。
1週間メニューと直前期のすごし方
1週間メニュー(1日30分の例)
- 月:北海道・東北の白地図に観光地を書き込む
- 火:関東・中部
- 水:近畿
- 木:中国・四国
- 金:九州・沖縄
- 土:白地図を何も見ずに再現(想起練習)し、抜けた所を赤で追加
- 日:過去問の地理を30分で解き、間違えた場所を白地図に追加
これを数週間くり返すと、白地図がどんどん「自分だけの参考書」になっていきます。
直前期
- 白地図を1日1地方ずつ見直す
- 過去問で間違えたテーマを重点的に復習する
- 写真問題に備えて、代表的な観光地の写真を一気に見る
JNTOのホームページでは筆記試験の過去問題(一部)が公開されています。出題の雰囲気をつかむために、早めに一度解いておきましょう。
よくある失敗と、免除という選択肢
失敗1:学校の地理の暗記に戻ってしまう
工業地帯や農産物の生産量を細かく覚えても、観光に関係しない知識は出題の中心から外れがちです。「外国人観光客の関心」という軸を忘れないようにしましょう。
失敗2:文字だけのリストで覚える
リストは作るのは簡単ですが、地図問題では役に立ちにくいもの。必ず場所とセットで覚えましょう。
失敗3:最後に回す
地理は範囲が広いので、直前の詰め込みでは間に合いません。英語や歴史と並行して、毎日少しずつ進めるのが確実です。
失敗4:地名の読み方をあいまいにする
観光地の名前は、読み方がむずかしいものも少なくありません。口述試験や実際の案内では、地名を英語の中で正しく発音する必要があります。覚えるときは読み仮名とローマ字表記もセットでメモしておきましょう。たとえば「天橋立(Amanohashidate)」「偕楽園(Kairakuen)」のように書き添えておくと、英語で紹介するときにも迷いません。
免除という選択肢
日本地理は、総合旅行業務取扱管理者または国内旅行業務取扱管理者の試験に合格している人は、免除を申請できます(JNTOの2026年度施行要領で確認)。旅行業界の資格にも興味があるなら、検討してみる価値があります。条件は年度ごとに施行要領で必ず確認しましょう。
ポイント:白地図1枚から始めよう。今日は自分の住んでいる地方だけで大丈夫です。



