なぜ日本文化の説明は難しく感じるのか
日本文化を英語で説明しようとすると、多くの人が「完璧な訳」を探し始めます。たとえば「おもてなし」「いただきます」「お盆」。どれも1語でぴったり対応する英単語がありません。そこで止まってしまうのが、いちばんよくあるつまずきです。
でも、ネイティブ同士でも自国の文化を説明するときは「ざっくり言うと〜」「〜みたいなもの」と言い換えています。大切なのは正確な辞書的訳語より、相手がイメージできるかどうかです。
もう1つの理由は、日本語の説明をそのまま英語にしようとすること。日本語の説明文は前置きが長く、主語がはっきりしないことが多いので、直訳すると英語として伝わりにくくなります。
ポイント:説明の目的は「相手の頭に絵が浮かぶこと」。訳語探しより、伝わる言い換えを探しましょう。
原則1:短く言い切る(1文目は10語以内)
最初の1文は、「それは何か」を10語前後で言い切るのがコツです。細かい由来や例外は2文目以降に回します。
- Obon is a summer event to remember our ancestors.(お盆は先祖をしのぶ夏の行事です)
- Mochi is a sticky rice cake.(お餅はもち米で作るねばりのあるお菓子のようなものです)
- A torii is a gate at the entrance of a shrine.(鳥居は神社の入口にある門です)
型は 「A is a +(形容詞)+ 大きなカテゴリー + 補足」 です。festival、food、gate、custom、event など、相手が知っている大きな単語に着地させると、一気に伝わりやすくなります。
使える「大きな単語」
- 行事:festival / event / holiday / custom / tradition
- 食べ物:dish / snack / sweet / soup / seasoning
- 場所・もの:building / gate / room / tool / clothing
ポイント:1文目で全部言おうとしない。「何の仲間か」だけ言えば合格です。
原則2:相手の国の文化と比べる
相手がすでに知っているものと比べると、説明は驚くほど短くなります。比較の型を3つ覚えておきましょう。
- It's like 〜:Hanami is like a picnic under cherry trees.
- It's similar to 〜, but 〜:Oshogatsu is similar to Christmas in the West, but it's more about family and quiet time.
- Unlike 〜, 〜:Unlike Western baths, we wash our bodies before getting into the tub.
比べる相手は、欧米文化でなくてもかまいません。相手の出身国を聞いておき、「あなたの国の〇〇みたいなもの」と言えれば最高です。
ただし、比較は「どちらが優れているか」を言うためではありません。違いを面白がる姿勢で使うと、会話が自然に続きます。
ポイント:similar to と but をセットにすると、「同じところ」と「違うところ」を一度に伝えられます。
原則3:具体例を1つだけ添える
抽象的な説明の後に、自分が体験した具体例を1つ添えると、話が一気に生き生きします。
- Omotenashi means thoughtful hospitality. For example, some hotel staff wait and bow until your car is out of sight.
- Japanese people care about seasons. For example, sweet shops change their sweets every month.
- We have many rules for garbage. In my town, we separate it into more than five types.
具体例は「一般論」より「自分の話」のほうが強いです。In my family, 〜 / When I was a child, 〜 / At my school, 〜 で始めれば、正確な統計を知らなくても話せます。
逆に、数字や歴史の細かい年号は、自信がないなら無理に言わなくて大丈夫。I'm not sure about the exact year, but 〜 と前置きすれば誠実に伝わります。
ポイント:「For example, in my family, …」は最強のつなぎ言葉です。
3原則をまとめた「30秒説明テンプレ」と1週間メニュー
3原則を組み合わせると、次の4文テンプレになります。
- 定義:〇〇 is a 〜.
- 比較:It's similar to 〜, but 〜.
- 具体例:For example, 〜.
- ひと言の感想:I love it because 〜.
例:Setsubun is a small event in early February. It's a bit like Halloween, because we chase away bad things. For example, we throw roasted beans and shout "Demons out!" I love it because it's fun for kids.
1週間メニュー(1日15分)
- 月:食べ物テーマを3つ選び、1文目だけ書く
- 火:月曜の3つに比較の文を足す
- 水:具体例と感想を足して4文にする
- 木:スマホで録音し、30秒以内に収まるか確認
- 金:行事テーマで同じことを1つ
- 土:場所テーマ(神社・温泉など)で1つ
- 日:全部を声に出して通し練習
ポイント:1週間で5〜6テーマの「持ちネタ」ができます。
よくある失敗と直し方
失敗1:日本語の前置きを訳してしまう
「日本には古くから〜という文化がありまして」をそのまま英語にすると、なかなか本題に入れません。いきなり定義から始めましょう。
失敗2:ローマ字の単語を連発する
kami、butsudan、kagami-mochi……と日本語を並べると、相手は迷子になります。日本語の単語を使ったら、すぐに英語の言い換えを添えるのがルール。kagami-mochi, a round rice cake decoration, のように。
失敗3:「日本人はみんな〜」と言い切る
All Japanese people 〜 は誤解のもと。Many Japanese people 〜 / In my experience, 〜 とやわらげましょう。
失敗4:説明が一方通行
説明の最後に Do you have something similar in your country? と聞き返すと、会話のキャッチボールになります。
ポイント:説明は「スピーチ」ではなく「会話の入口」。聞き返しで終われば大成功です。


![an Invitation to Japanese Culture [3min]](https://i.ytimg.com/vi/f745hh9bRPw/mqdefault.jpg)
