リーディングの全体像:60分で3パッセージ・40問
アカデミックのリーディングは3つのパッセージ、合計40問で、試験時間は60分です。公式の案内によると、3パッセージの合計は約2,150〜2,750語。1パッセージあたり20分が目安ですが、後半ほど難しくなる傾向があるので、実際には前半で少し時間を稼ぐ意識が必要です。
公式が挙げている設問形式は11種類あります。
- 多肢選択
- True / False / Not Given(情報の正誤判定)
- Yes / No / Not Given(筆者の見解の判定)
- 情報と段落の組み合わせ
- 見出しの組み合わせ(Matching Headings)
- 特徴の組み合わせ
- 文の後半の組み合わせ
- 文の完成
- 要約・メモ・表・フローチャートの穴埋め
- 図のラベル記入
- 短答問題
全部を同じ読み方で解こうとすると時間が足りなくなります。形式ごとに「本文のどこを、どの深さで読むか」を変えるのがコツです。
ポイント:リーディングは「全部を精読する試験」ではありません。設問を手がかりに、必要な場所を正確に読む試験です。
True/False/Not Given:判断のルールを1つに決める
公式の説明では、Falseは「本文の情報と矛盾する」、Not Givenは「本文にその情報がない」という意味です。つまり判断の基準はとてもシンプルです。
- 本文と同じことを言っている → True
- 本文と反対のことを言っている → False
- 本文からは判断できない → Not Given
自作の例で考える
本文:The museum, which opened in 1998, attracts around 200,000 visitors a year, most of whom are tourists.
- The museum opened in the late 1990s. → True(1998年は1990年代後半)
- Most visitors to the museum are local residents. → False(本文は most are tourists と矛盾)
- The museum is the most popular attraction in the city. → Not Given(人気の順位は書かれていない)
3のような文は、常識的には「そうかも」と思えてしまいます。でもIELTSでは、自分の知識や推測で補わないのが鉄則です。
迷ったときのチェック
- 「本文のどの文と矛盾しているか」を指させるならFalse
- 指させないならNot Givenを疑う
- all, only, always, never などの強い言葉は、本文の範囲と一致しているかを細かく確認する
ポイント:Falseには「反対の証拠」が必要。証拠が見つからないなら、それはNot Givenの可能性が高いです。
Yes/No/Not Givenとの違い
Yes/No/Not Givenは、事実ではなく筆者の見解や主張と一致するかを問う形式です。公式の説明でも、Noは「筆者の見解と矛盾する」ことと定義されています。
違いを整理するとこうなります。
- True/False/Not Given:本文に書かれた「情報」と一致するか
- Yes/No/Not Given:筆者の「考え」と一致するか
Yes/No型では、筆者の態度を示す表現に注目しましょう。
- 肯定的:it is clear that..., there is strong evidence that..., rightly
- 否定的:it is doubtful whether..., this claim is misleading, wrongly
- 慎重:may, might, it is possible that...
自作の例
本文:Some argue that remote work reduces productivity, but this view is not supported by the evidence so far.
設問:Remote work makes employees less productive.
→ 筆者は「その見方は証拠に支えられていない」と述べているので No。
一方で「リモートワークは今後さらに広がるだろう」という設問なら、筆者はそれについて意見を述べていないので Not Given です。
ポイント:Yes/No型は「誰の意見か」を必ず確認。本文に出てくる「一部の人の意見」と「筆者の意見」は別物です。
見出し選択と穴埋め問題の解き方
Matching Headings(見出し選択)
段落ごとに、その段落の中心的な内容を表す見出しを選ぶ形式です。細部に引っ張られやすいので、次の順番で解くと安定します。
- 段落の最初の1〜2文と最後の1文を読み、主題をつかむ
- 見出しリストから候補を2つ程度に絞る
- 段落の中身に目を通し、「段落全体」を説明しているほうを選ぶ
よくあるワナは、段落の一部にだけ出てくる単語が見出しに入っているケースです。同じ単語があるから正解、とは限りません。
要約・文の穴埋め
リスニングと同じく、語数制限を守ることが大前提です。解き方の流れは次のとおり。
- 空欄の前後から、入る品詞を予測する
- 要約の最初の文を手がかりに、本文の該当箇所を探す
- 本文から語を抜き出して、文法的に正しくはまるか確認する
要約の穴埋めは、本文の順番どおりに答えが並ぶことが多いので、1問目の場所が見つかれば後はその近くを探していけます。
ポイント:見出し選択は「段落の要約力」、穴埋めは「場所を探す力」。求められる読み方が違うことを意識しましょう。
60分を使い切る時間配分
コンピューター版では、画面で残り時間を確認しながら進めます。解答用紙へ書き写す時間を別に考える必要はありませんが、見直しの時間は自分で確保しなければなりません。
時間配分の目安
- パッセージ1:17〜18分
- パッセージ2:19〜20分
- パッセージ3:20〜22分
- 見直し:残り時間
1問に2分以上かかりそうなら、いったん飛ばして次へ進みましょう。公式の案内では、リーディングも正答1問につき1点で採点されます。難問に粘るより、解ける問題を確実に拾うほうがスコアにつながります。
解く順番のコツ
パッセージの中では、設問の順に解くのが基本ですが、見出し選択のように本文全体を見渡す問題は、他の設問を解いて内容をつかんでから取り組むと早く解けることがあります。自分に合う順番を、演習の中で試してみましょう。
ポイント:空欄のまま終わらせないこと。どうしても分からない問題も、最後に何かしら答えを入れておきましょう。
1週間の練習メニューとよくある失敗
1週間メニュー(1日40分)
- 月:パッセージ1本を時間を計って解く(20分)→答え合わせ
- 火:月曜の間違いの根拠を本文から探し、なぜ間違えたかを書き出す
- 水:True/False/Not Givenの問題だけを集中して解く
- 木:見出し選択の問題を、段落の最初と最後だけ読む方法で解く
- 金:パッセージ1本を時間を計って解く
- 土:本文の難しい段落を1つ選び、精読(文構造の確認と和訳)
- 日:1週間で間違えた問題をもう一度解き、判断ルールを見直す
よくある失敗
- 本文を最初から全部精読する:時間切れの最大の原因です。
- 常識で答える:Not Givenの失点は、たいてい「知っていること」を持ち込んだときに起きます。
- 同じ単語があるから選ぶ:IELTSは言い換えが基本。同じ語は、むしろひっかけのこともあります。
今日の最初の一歩として、True/False/Not Givenの問題を5問解き、それぞれの答えの根拠になる本文の一文に印をつけてみてください。根拠を指させるかどうかが、判断力を鍛える一番の練習になります。



