倒置と強調はなぜ使われるのか
英語は語順がとても大事な言語です。だからこそ、語順をあえて変えると、読み手の注意を強く引くことができます。
- 倒置:ふつうの「主語+動詞」の順番を入れ替える
- 強調構文:It is 〜 that の間に、強調したい語句をはさむ
どちらも、「ここが大事!」と伝えるための仕組みです。書き言葉やスピーチ、物語などでよく使われます。
- I have never seen such a beautiful sunset.
(こんなに美しい夕日は見たことがない。)→ ふつうの語順
- Never have I seen such a beautiful sunset.
→ Never を文頭に出して強調し、その後ろが疑問文の語順になる
ポイント:語順が崩れていたら「どこかを強調している」サイン。まず本来の語順に戻してみる。
否定語が文頭に来る倒置
もっともよく出るのが、否定の意味をもつ語句が文頭に来るパターンです。後ろは疑問文と同じ語順になります。
代表的な否定語
never、rarely、seldom、hardly、little、not only、not until、no sooner、under no circumstances
例文
- Rarely does he eat breakfast.
(彼はめったに朝食を食べない。)
= He rarely eats breakfast.
- Little did I know that she was his sister.
(彼女が彼の妹だとは、まったく知らなかった。)
- Not only did she win the race, but she also broke the record.
(彼女はレースに勝っただけでなく、記録も更新した。)
- Not until I lost my phone did I realize how much I depended on it.
(スマホをなくして初めて、どれほど頼っていたかに気づいた。)
- Hardly had I left home when it began to rain.
= No sooner had I left home than it began to rain.
(家を出たとたん、雨が降り始めた。)
- Under no circumstances should you share your password.
(どんな事情があっても、パスワードを人に教えてはいけない。)
一般動詞の場合は do / does / did を補う点に注意しましょう。
Only・So・Neither・場所の倒置
Only +副詞句が文頭
- Only after the test did I notice my mistake.
(テストが終わってから、やっと自分のミスに気づいた。)
So / Neither / Nor(〜もそうだ)
- I love cats. — So do I.
(猫が大好き。— 私も。)
- I can't swim. — Neither can I.
(泳げないんだ。— 私も泳げない。)
日常会話でもとても使う倒置です。前の文の動詞の種類(be動詞・助動詞・一般動詞)に合わせる点がポイントです。
So +形容詞 + that の倒置
- So tired was she that she fell asleep on the train.
= She was so tired that she fell asleep on the train.
(彼女はとても疲れていたので電車で眠ってしまった。)
場所・方向を表す語句が文頭(主語と動詞がそのまま入れ替わる)
- On the hill stands an old castle.
(丘の上に古い城が立っている。)
- Here comes the bus!
(ほら、バスが来た!)
※主語が代名詞のときは入れ替えず、Here it comes. となります。
if を省略した倒置(仮定法)
- Should you have any questions, please contact us.
(ご不明な点がありましたら、ご連絡ください。)
= If you should have any questions, ...
ビジネスメールでよく見る表現です。
It is 〜 that の強調構文
強調構文は、文のある部分を It is と that の間にはさんで強調する形です。
もとの文:Ken broke the window yesterday.(ケンが昨日窓を割った。)
- It was Ken that broke the window yesterday.
(昨日窓を割ったのは、ケンだった。)→ 人を強調(who も可)
- It was the window that Ken broke yesterday.
(ケンが昨日割ったのは、窓だった。)→ 物を強調
- It was yesterday that Ken broke the window.
(ケンが窓を割ったのは、昨日だった。)→ 時を強調
訳すときは「…なのは〜だ」と、強調部分を最後に持ってくると自然な日本語になります。
疑問詞の強調
- What is it that you really want?
(あなたが本当に欲しいのは何なの?)
not A but B との組み合わせ
- It is not money but time that I need now.
(今私に必要なのは、お金ではなく時間だ。)
強調構文と形式主語の見分け方
It is 〜 that の形は、形式主語の文と見た目がそっくりです。見分けるコツは、It is と that を取り除いて、残りが完全な文になるかです。
強調構文
- It was in Kyoto that I met her.
→ It was と that を取ると:I met her in Kyoto. → 文として成立する
→ 強調構文(彼女に出会ったのは京都だった)
形式主語
- It is important that you get enough sleep.
→ It is と that を取ると:important you get enough sleep. → 成立しない
→ 形式主語(十分な睡眠をとることが大切だ)
ポイント:It is と that の間に「形容詞」があれば形式主語の可能性が高い。「名詞・副詞句」なら強調構文を疑う。
よくある間違いと1週間メニュー
よくある間違い
- × Never I have seen such a thing.
- ○ Never have I seen such a thing.(そんなものは見たことがない。)
- × Little I knew about it.
- ○ Little did I know about it.(そのことはほとんど知らなかった。)
- × I like coffee. — So I do.
- ○ I like coffee. — So do I.(私も。)
→ So I do. は「本当にそうだね(相手の言葉を認める)」という別の意味になります。
1週間メニュー(1日15分)
- 月曜:否定語の倒置の例文を音読し、ふつうの語順に戻して書く
- 火曜:So do I / Neither can I などの返事を5パターン言えるようにする
- 水曜:自分の体験を Never have I ... で2文書く
- 木曜:1つの文から、強調する部分を変えて強調構文を3つ作る
- 金曜:It is 〜 that の文を5つ集め、強調構文か形式主語かを判定する
- 土曜:Should you ... を使ったメール風の文を2つ書く
- 日曜:長文を1つ読み、倒置と強調構文に印をつけて意味を確認
今日は、「Never have I ___.」で自分の体験を1文書いてみましょう。少し大げさに言えるのも、倒置の楽しいところです。



