無生物主語は英語らしい発想
日本語では、ふつう「人」が主語になります。
- 雨のせいで、私たちは外出できなかった。
英語では、原因そのものを主語にして、次のように言うことがよくあります。
- The rain kept us from going out.
(直訳:雨が私たちを外出から遠ざけた)
このように「物・出来事・考え」が主語になり、人に影響を与える形の文を無生物主語構文と呼びます。英語は「何が原因で、誰に、何が起きたか」を1つの文にまとめるのが得意な言語なのです。
ポイント:無生物主語の文は「原因 → 結果」の流れが1文に詰まっている。
自然な日本語にする3ステップ
無生物主語の文を訳すときは、次の手順がおすすめです。
- 主語を「〜のおかげで/〜のせいで/〜すると」と原因・条件で訳す
- 目的語の「人」を日本語の主語にする
- 動詞を「人がどうなったか」の形に言い換える
例文で練習
- This bus will take you to the museum.
直訳:このバスはあなたを美術館へ連れていく。
→ このバスに乗れば、美術館に行けますよ。
- A ten-minute walk brought us to the beach.
直訳:10分の歩きが私たちを浜辺へ連れてきた。
→ 10分歩くと、私たちは浜辺に着いた。
- His advice made me feel better.
直訳:彼の助言は私の気分をよくさせた。
→ 彼のアドバイスのおかげで、気分が楽になった。
- What made you decide to study abroad?
直訳:何があなたに留学を決めさせたのか。
→ どうして留学しようと決めたの?
ポイント:What made you ...? は Why ...? よりやわらかく、理由をたずねる会話の定番表現です。
よく出る動詞とパターン
無生物主語と相性のいい動詞は、パターンで覚えると一気に読めるようになります。
可能にする:enable / allow +人+ to do
- The scholarship enabled her to study in Canada.
(奨学金のおかげで、彼女はカナダで勉強できた。)
- This app allows you to learn words anywhere.
(このアプリを使えば、どこでも単語を学べる。)
妨げる:prevent / keep / stop +人+ from -ing
- The heavy snow prevented us from leaving the hotel.
(大雪のせいで、私たちはホテルを出られなかった。)
思い出させる:remind +人+ of
- This photo reminds me of my trip to Hawaii.
(この写真を見ると、ハワイ旅行を思い出す。)
示す:show / suggest / tell
- The data shows that more people are reading e-books.
(データによると、電子書籍を読む人が増えている。)
- His face told me that something was wrong.
(彼の表情から、何かがおかしいとわかった。)
時間・お金がかかる:take / cost
- The work took me three hours.
(その作業に3時間かかった。)
- The repair cost me 20,000 yen.
(修理に2万円かかった。)
英作文で無生物主語を使うと表現が広がる
英作文では、日本語どおりに人を主語にすると、文が長く重くなることがあります。無生物主語を使うと、すっきりと英語らしい文になります。
例:「スマホのおかげで、どこでも英語が勉強できるようになった」
- △ Because I have a smartphone, I became able to study English anywhere.
- ○ My smartphone allows me to study English anywhere.
例:「少し休むと、元気になるよ」
- △ If you take a short break, you will feel better.(これも自然な英語です)
- ○ A short break will make you feel better.
例:「この本を読んで、英語の勉強に対する考え方が変わった」
- ○ This book changed the way I think about learning English.
自由英作文や意見文で「〜によって…できる」「〜は…を引き起こす」と書きたいときに、enable、allow、lead to、cause などが大活躍します。
- Using social media too much can lead to a lack of sleep.
(SNSを使いすぎると、睡眠不足につながることがある。)
ポイント:「〜のおかげで」「〜のせいで」を書きたくなったら、それを主語にできないか考えてみる。
よくある間違い
① 直訳のまま日本語にしてしまう
- The news made her sad.
× 「その知らせは彼女を悲しくさせた」(ぎこちない)
○ 「その知らせを聞いて、彼女は悲しくなった」
② from を忘れる
- × The noise prevented me to sleep.
- ○ The noise prevented me from sleeping.(騒音のせいで眠れなかった。)
③ make の後ろに to を入れる
- × The movie made me to cry.
- ○ The movie made me cry.(その映画を観て泣いてしまった。)
→ make +人+動詞の原形。
④ remind の前置詞
- × This song reminds me my childhood.
- ○ This song reminds me of my childhood.(この歌を聴くと子どものころを思い出す。)
無生物主語に慣れる1週間メニュー
1日15分のメニューです。
- 月曜:この記事の例文を、直訳と自然な訳の2通りで書いてみる
- 火曜:enable / allow を使って、便利な道具やアプリについて3文書く
- 水曜:prevent / keep + from を使って、昨日できなかったことを2文書く
- 木曜:remind 〜 of を使って、思い出の曲や写真について2文書く
- 金曜:英語の記事から無生物主語の文を3つ探し、自然な日本語に訳す
- 土曜:「〜のおかげで」「〜のせいで」を含む日本語の文を3つ作り、無生物主語で英訳する
- 日曜:What made you ...? を使って、自分に3つ質問し答える
今日の1文は「___ reminds me of ___.」。好きな曲や写真を思い浮かべて、英語にしてみましょう。



