やる気は「待つもの」ではなく「後からついてくるもの」
「やる気が出たら勉強しよう」と思っていると、その日はなかなか来ません。実は、やる気は行動を始めたあとに出てくることが多いのです。
机に向かうまでは面倒でも、単語帳を数ページめくっているうちに、気づけば20分たっていた。そんな経験はありませんか? 行動を始めると、その行動を続けやすくなる。これを利用するのが、やる気が出ない日の基本戦略です。
逆に、「完璧にやらなきゃ」「2時間は勉強しなきゃ」と考えるほど、始める前の心の負担が大きくなり、なかなか手がつかなくなります。やる気が出ない日ほど、ハードルを思い切り下げるのが正解です。
つまり、目標は「やる気を出すこと」ではなく、「始めるハードルをできるだけ低くすること」。以下で紹介する処方箋は、すべてこの考え方にもとづいています。
ポイント:やる気が出ない日があるのは、あなたの意志が弱いからではありません。人間なら誰にでもある自然なことです。大切なのは、そんな日のための「作戦」を持っておくことです。
処方箋1:5分ルールで「とりあえず始める」
5分ルールとは、「とりあえず5分だけやる。5分たったらやめてもいい」と決めて始める方法です。
5分ルールのポイント
- 本当に5分でやめてもOK。やめてもいいと決めておくことで、始めるハードルが下がります
- 5分で終わる内容を決めておく(単語10個、音声1本、音読1回など)
- 5分たって「もう少しできそう」と思ったら、そのまま続ける
英語の「5分メニュー」例
- 単語帳のページを1つ見直す
- 好きな英語の曲を1曲、歌詞を見ながら聞く
- 教科書や長文の1段落を音読する
- 短い英語動画を1本見る
- 今日あったことを英語で3文書く
5分でやめた日も、「ゼロの日」を作らなかったという意味で立派な成功です。「毎日5分」が続くと、「英語を勉強する自分」というイメージが少しずつ強くなっていきます。
処方箋2:環境デザインで「やる気に頼らない」
やる気は日によって上下しますが、環境は一度整えればずっと味方してくれます。勉強を始めやすく、誘惑に負けにくい環境をデザインしましょう。
始めやすくする工夫
- 教材を出しっぱなしにする:机の上に単語帳を開いたまま置いておく。カバンから出す手間を減らす
- スマホのホーム画面を変える:英語学習アプリを1ページ目の目立つ場所に置く
- 勉強する場所を決める:「この席に座ったら英語」とセットにすると、切り替えやすくなります
誘惑を遠ざける工夫
- スマホを別の部屋に置く:見えるところにあるだけで気が散りやすくなります
- 通知をオフにする:勉強中だけでも、SNSの通知を止める
- 動画サイトは「英語チャンネル」から開く:おすすめ欄に英語の動画が並ぶように、ふだんから英語学習の動画を見ておく
「いつやるか」を決めておく
「朝ごはんのあとに単語」「電車に乗ったら音声」のように、毎日必ずする行動のあとに英語をくっつけると、習慣になりやすくなります。
ポイント:環境デザインのコツは「良い行動は簡単に、悪い行動は面倒に」。スマホを取りに行くのが面倒な環境を作れば、それだけで集中しやすくなります。
処方箋3:小さな達成感を「見える化」する
やる気が続かない原因の1つは、成長が目に見えにくいことです。英語の力は少しずつしか伸びないので、「こんなにやっているのに……」と感じやすいのです。そこで、小さな達成を目に見える形にしましょう。
記録のアイデア
- カレンダーに印をつける:英語を勉強した日に丸をつけるだけ。丸が続くと、途切れさせたくない気持ちが生まれます
- 学習時間を記録する:アプリやノートに、毎日の学習時間を書く。1か月の合計を見ると、意外な多さに驚くかもしれません
- 「できるようになったこと」リスト:「この単語が聞き取れた」「英語で道案内できた」など、小さな成長を書き留める
目標は「行動」で決める
「TOEICで〇点」のような結果の目標だけだと、なかなか達成感を得られません。「毎日単語を20個」「週3回音読」など、自分でコントロールできる行動の目標を立てると、毎日小さな達成感を味わえます。
自分へのごほうび
1週間続いたら好きなおやつ、1か月続いたら欲しかった洋書を買う、など、ちょっとしたごほうびを用意するのも効果的です。
処方箋4:ポモドーロ・テクニックで「区切って」進める
長時間の勉強を考えると気が重くなる日は、時間を区切る方法がおすすめです。
ポモドーロ・テクニックは、フランチェスコ・シリロ(Francesco Cirillo)が考案した時間管理の方法で、次のような流れで進めます。
- やることを1つ決める
- タイマーを25分にセットして、その作業だけに集中する
- タイマーが鳴ったら、5分ほど休憩する
- これを数回くり返したら、長めの休憩をとる
英語学習での使い方
- 1ポモドーロ目:単語の復習
- 2ポモドーロ目:長文読解または問題演習
- 3ポモドーロ目:リスニングと音読
「25分だけ」と区切ることで、終わりが見えて始めやすくなります。やる気が出ない日は、1ポモドーロだけと決めてもOK。STUDY HACKのポモドーロタイマーも、ぜひ使ってみてください。
ポイント:休憩中はスマホを見ずに、ストレッチをしたり水を飲んだりすると、次の25分に気持ちよく入れます。
処方箋5:「なぜ英語をやるのか」を小さく思い出す
やる気が出ない日が続くときは、英語を勉強する理由がぼんやりしているのかもしれません。目標が遠すぎたり、他人に言われて始めたものだったりすると、気持ちがついてきにくいものです。
理由を「3つのレベル」で書き出す
- 遠い理由:留学したい、仕事で使いたい、志望校に合格したい
- 近い理由:来月の英検に合格したい、次の定期テストで80点を取りたい
- 今日の理由:好きな海外ドラマのセリフを1つ字幕なしで聞き取りたい
遠い理由だけだと、今日の行動とのつながりが見えにくくなります。今日の理由のような、すぐに手が届く小さな目的を作ると、「じゃあ5分だけやってみよう」と思いやすくなります。
「好き」とつなげる
英語そのものが好きになれなくても、自分の好きなものと英語をつなげることはできます。
- 音楽が好き → 好きなアーティストのインタビュー動画を見る
- スポーツが好き → 海外の試合の実況や選手のコメントを聞く
- ゲームが好き → ゲームの言語設定を英語にしてみる
- 料理が好き → 英語のレシピ動画を見て作ってみる
ポイント:理由を書き出した紙は、机の前や手帳の最初のページに貼っておきましょう。やる気が出ない日に目に入るだけで、小さなスイッチになります。
気分別:やる気が出ない日の「軽い英語メニュー」
やる気が出ない日にも、いろいろな種類があります。気分に合わせて、無理のないメニューを選びましょう。
疲れていて頭が働かない日
- 好きな英語の曲や、字幕つきの短い動画を楽しむ
- 覚えた単語をぼんやり眺めるだけでもOK
気分が落ち込んでいる日
- 勉強らしい勉強はお休みして、英語の絵本やかんたんな読み物(多読)を楽しむ
- TEDやTED-Edで、興味のあるテーマの動画を1本見る
飽きてしまった日
- いつもと違う教材や方法を試す(単語帳の代わりにクイズ、読解の代わりに英語の記事)
- 場所を変える(カフェ、図書館、公園)
時間がない日
- 5分ルールで、単語10個だけ
- 寝る前に今日の出来事を英語で1文だけ言う
大切なのは、完璧な1日ではなく、途切れない毎日です。やる気が出ない日に少しでも英語に触れられたら、それは「続ける力」がついている証拠。自分をほめてあげてくださいね。



