資格の勉強と「使える英語」は何が違う?
資格試験の勉強と、実際に英語を使う場面には、いくつかの違いがあります。
- 試験は「選ぶ」、実践は「つくる」:選択肢から正解を選ぶ力と、ゼロから英文をつくる力は別物です。
- 試験は時間をかけて考えられる、会話は即座に反応する:会話では、数秒以内に言葉を返す必要があります。
- 試験は決まった形式、実践は予測できない:実際の会話やメールは、話題も相手の反応もさまざまです。
たとえば、TOEIC L&Rは「聞く」と「読む」の力を測る試験です。このスコアが高い人は、英語を理解する力はしっかり持っています。ただ、話す・書く練習をしていなければ、アウトプットの力はまだ伸びしろがある、ということになります。
ポイント:資格の勉強で身につけた単語や文法は、「使える英語」の貴重な材料です。足りないのは、その材料を「取り出す練習」です。
資格の勉強はむしろ「使える英語」の土台になる
「資格より使える英語」というと、資格の勉強が無意味だと思われるかもしれません。でも、それは誤解です。
資格試験の勉強には、次のような良さがあります。
- 目標と期限がはっきりしているので、勉強を続けやすい
- 語彙や文法の土台が体系的に身につく
- 自分の実力を客観的に測れる
- 仕事や進学で評価の材料になることがある
問題は、試験勉強「だけ」で終わってしまうことです。試験で覚えた単語を、自分の言葉として使う練習を足せば、資格の勉強はそのまま「使える英語」への近道になります。
たとえば、TOEICでよく出る postpone(延期する)という単語。問題集では意味を選ぶだけでも、実際に使えるようにするには、自分で文をつくってみることが大切です。
- The meeting was postponed until next week.(会議は来週に延期されました)
- Can we postpone our lunch to Friday?(ランチを金曜日に延期できますか?)
スコアを実力に変える4つの練習
① 瞬間英作文
簡単な日本語の文を見て、すぐに英語で言う練習です。中学レベルの文で十分です。
- 「彼は毎朝コーヒーを飲みます」→ He drinks coffee every morning.
- 「私は昨日その映画を見ました」→ I watched the movie yesterday.
考えずに口から出てくるまで、同じ文を何度もくり返すのがコツです。
② 試験の英文を音読・シャドーイングする
問題集のリスニング音声や長文を、解き終わったあとに音読やシャドーイングの教材として使います。一度解いた英文なので、内容がわかっている分、口を動かす練習に集中できます。
③ 英語で要約する
読んだ英文の内容を、何も見ずに英語で3文にまとめます。「理解する」から「自分の言葉で言う」への橋渡しになる練習です。
④ 実際に使う場をつくる
オンライン英会話、英語での日記、SNSでの英語の投稿など、英語を「使う」場面を意図的につくります。仕事で英語を使う機会があれば、積極的に手を挙げてみるのも一つの方法です。
4つの練習の組み合わせ方
4つを一度に全部やる必要はありません。最初の2週間は①の瞬間英作文だけ、慣れてきたら②の音読を足す、というように、1つずつ増やしていくのがおすすめです。どれか1つを毎日続けるだけでも、「英語がすっと口から出る」感覚は少しずつ育っていきます。
単語帳の単語を「使える単語」にする方法
試験勉強で覚えた単語の多くは、「見ればわかる」けれど「自分では使えない」状態です。これを使える状態にするには、次の3ステップが効果的です。
- 単語を1つ選ぶ:たとえば available(利用できる、手が空いている)
- 自分の生活の例文を2つ作る
- Are you available this afternoon?(今日の午後、空いていますか?)
- This service is available on weekends.(このサービスは週末も利用できます)
- その日のうちに1回使う:オンライン英会話や英語日記、独り言などで実際に使う
1日3語でも、1か月で約90語が「使える単語」になります。すべての単語を使えるようにする必要はありません。自分がよく使いそうな単語から優先しましょう。
「使える単語」リストをつくる
実際に使えた単語は、ノートやスマホのメモに「使えた単語リスト」として記録しておきましょう。リストが増えていくのを見るのは、スコアが上がるのと同じくらいうれしいものです。1か月後に見返すと、自分の英語が確実に「使える」方向に進んでいることを実感できます。
試験勉強にプラスする1週間メニュー
試験勉強をしながら、「使える英語」の練習を足すメニュー例です(試験勉強とは別に1日15分)。
- 月曜:瞬間英作文を10文(10分)→ 単語帳から3語選んで例文づくり(5分)
- 火曜:前日の問題集のリスニング音声でシャドーイング(15分)
- 水曜:瞬間英作文10文 → 月曜の3語を使って英語日記3文
- 木曜:問題集の長文を1つ音読し、英語で3文に要約(15分)
- 金曜:オンライン英会話や独り言で、今週の単語を使ってみる(15分)
- 土曜:1週間分の瞬間英作文を総復習
- 日曜:お休み
試験直前の時期は試験対策を優先し、試験が終わったらこのメニューの比重を増やす、という調整もおすすめです。
メニューの中で作った例文や要約は、1冊のノートにまとめておきましょう。試験前には見直し用の教材にもなり、試験後には「自分だけの使える英語集」になります。
よくある失敗
失敗1:スコアが上がったら勉強をやめてしまう
目標スコアを達成した瞬間に英語から離れてしまうと、せっかくの力が少しずつ落ちていきます。スコア達成は、「使える英語」を始めるスタートラインと考えましょう。
失敗2:次々と上の資格を目指し続ける
資格の勉強が好きな人ほど、次の級、次のスコアを目指して、ずっと「使う練習」を後回しにしがちです。一度立ち止まって、「この英語で何をしたいのか」を考えてみてください。
失敗3:完璧な英語でないと使ってはいけないと思う
試験で正解を選ぶことに慣れていると、「間違った英語を話すのが怖い」と感じることがあります。実践では、多少の間違いより伝えることが大切です。
失敗4:アウトプットを「難しいこと」から始める
いきなり英語でプレゼンやディスカッションをしようとすると、挫折しやすくなります。瞬間英作文や独り言など、簡単なアウトプットから始めましょう。
今日からできること
資格の勉強をしている人も、昔取った資格がある人も、今日から「使える英語」への一歩を踏み出せます。
- 手持ちの単語帳から、自分がよく使いそうな単語を3つ選ぶ
- それぞれ、自分の生活に関係する例文を作る
- 作った例文を声に出して3回ずつ言う
たったこれだけで、「知っている単語」が「使える単語」に変わり始めます。資格は、あなたが努力してきた証です。その努力を、実際に英語を使う喜びにつなげていきましょう。



