月はどうやってできた? 地球に天体が激突した説が有力。そのかけらは今も地球の奥に眠る?

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月は、地球とは別の場所で生まれて、あとから地球の重力につかまったという説がいちばん有力だ
現在もっとも有力なのは、原始の地球に天体が衝突し、飛び散った物質から月ができたというジャイアント・インパクト説。
- 対象
- 月の石・地球のマントル
- 規模
- 同位体分析・コンピューターシミュレーションなど
- 研究の種類
- 観測・分析・シミュレーション研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
月は約45億年前、火星ほどの天体テイアが原始の地球にぶつかってできたという説が有力。ただ月と地球の成分が似すぎる謎が残り、テイアの残骸が地球の奥にある説も。
ひとことで言うと地球に大きな星がぶつかって、そのかけらから月が生まれたらしい!
月は、約45億年前に、火星くらいの大きさの天体が生まれたばかりの地球にぶつかり、そのとき飛び散った物質が集まってできた――という「ジャイアント・インパクト説」が、いまいちばん有力な考え方です。ぶつかった天体には、ギリシャ神話の月の女神の母にちなんで「テイア」という名前がつけられています。
ただし、この説にも解けていない謎があります。そして2023年には、テイアのかけらが、いまも地球の奥深くに眠っているかもしれないという、驚きの研究も発表されました。
01昔の3つの説は、なぜダメだったのか
ジャイアント・インパクト説が出てくる前、月の誕生には主に3つの説がありました。
- 分裂説:高速で回る地球から、一部がちぎれて月になった
- 捕獲説:別の場所で生まれた月が、地球の重力につかまった
- 兄弟説:地球と月が、同じ材料から同時に生まれた
ところが、アポロ計画で持ち帰られた月の石を調べると、どの説でもうまく説明できない特徴が見つかりました。月は鉄の核がとても小さく、かつて表面がどろどろに溶けたマグマの海だったことがわかったのです。

02最大の謎:月と地球が「似すぎている」
ジャイアント・インパクト説には、大きな弱点があります。シミュレーションでは、月の材料の多くはぶつかってきたテイアから来るはず。テイアは別の場所で生まれた天体なので、月の成分は地球と少しちがうと予想されます。
ところが2012年、月の石のチタンの同位体(原子の「指紋」)を精密に測ると、地球とほとんど同じでした。月は、まるで地球そのものから作られたかのようなのです。
この謎を解こうと、さまざまな説が出されています。2022年のイギリスなどのチームによる高精度のシミュレーションでは、衝突からわずか数時間で月のもとになる天体ができ、その外側の約6割が原始の地球の物質になりうることが示されました。
03テイアは、いまも地球の中にいる?
2023年、アメリカのアリゾナ州立大学などのチームは、さらに大胆な説を発表しました。
地球の奥深く、マントルの底には、アフリカと太平洋の下に大陸ほどの大きさの、まわりと性質のちがう巨大な塊が2つあることが、地震波の観測から知られています。研究チームはシミュレーションから、これが地球に飲みこまれたテイアのマントルの残りかもしれないと提案しました。
04まとめ
月は、原始の地球に天体テイアがぶつかって生まれたという説が有力です。でも、月と地球が似すぎている謎は、まだ解けていません。
そしてテイアのかけらは、いまも私たちの足元のはるか下に眠っているのかもしれない。夜空の月と、地球の奥底は、45億年前の大事件でつながっているのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe most popular explanation for the Moon's origin is the giant impact hypothesis.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
How did the Moon form? Most scientists think that about 4.5 billion years ago, a planet about the size of Mars crashed into the young Earth. This planet is called Theia. The crash threw a lot of rock into space. The rock came together and became the Moon.
But there is a mystery. Rocks from the Moon are very similar to rocks from Earth. Scientists are still studying why.
69 words ・ CEFR A2
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月はどうやってできたのでしょうか。多くの科学者は、約45億年前、火星くらいの大きさの惑星が若い地球に激突したと考えています。この惑星はテイアと呼ばれています。衝突によって、たくさんの岩が宇宙に飛び散りました。その岩が集まって月になったのです。
でも、謎があります。月の岩は地球の岩ととてもよく似ているのです。科学者たちは、その理由をいまも研究しています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第1文 How did the Moon form? という問いについて説明しているので D。
Q2. What is the name of the planet that crashed into Earth?
This planet is called Theia. とあるので B。火星は大きさの比較として出てくるだけ。
Q3. In this passage, "crashed into" means ...
crash into ~ は「~に激突する」。強くぶつかることなので C。
The most popular explanation for the Moon's origin is the giant impact hypothesis. About 4.5 billion years ago, a Mars-sized body called Theia hit the young Earth, and the Moon formed from the material thrown into space. Moon rocks brought back by the Apollo missions supported this idea: the Moon has a very small iron core, and its surface was once an ocean of melted rock.
In 2001, computer simulations showed that an angled impact by a Mars-sized body could create a moon like ours. However, there is a puzzle. If much of the Moon came from Theia, its rocks should differ from Earth's, but a 2012 study found that they are almost the same.
115 words ・ CEFR B1
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月の起源についていちばん有力な説明は、ジャイアント・インパクト説です。約45億年前、テイアと呼ばれる火星ほどの大きさの天体が若い地球にぶつかり、宇宙に飛び散った物質から月ができたというものです。アポロ計画で持ち帰られた月の石は、この考えを支持しました。月には鉄の核がとても小さく、表面はかつて溶けた岩の海だったのです。
2001年には、コンピューターシミュレーションによって、火星ほどの天体が斜めにぶつかると、私たちの月のような衛星ができることが示されました。しかし、謎があります。もし月の多くがテイアから来たのなら、その岩は地球の岩とはちがうはずですが、2012年の研究で、両者はほとんど同じだとわかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ジャイアント・インパクト説の内容と根拠、そして However 以下の謎を説明しているので C。
Q2. What did the Apollo Moon rocks show?
the Moon has a very small iron core, and its surface was once an ocean of melted rock とあるので D。
Q3. Why is the similarity between Moon rocks and Earth rocks a puzzle?
If much of the Moon came from Theia, its rocks should differ from Earth's とあり、説の予想と観測が合わないことが謎なので A。
The leading theory of the Moon's origin holds that a Mars-sized body named Theia struck the young Earth about 4.5 billion years ago, and the debris formed the Moon. Earlier theories, in which the Moon split off from a fast-spinning Earth, was captured by Earth's gravity, or formed alongside Earth, all struggled to explain two clues from the Apollo samples, a small iron core and signs of an ancient magma ocean.
The impact idea, first proposed in 1975, gained strong support in 2001, when simulations showed that an oblique collision could produce a satellite like ours, built mostly from mantle material and with only a small core. But the hypothesis has run into an "isotope crisis." Standard models predict that the Moon came largely from Theia, yet a 2012 analysis found its titanium isotopes nearly identical to Earth's.
In 2022, simulations suggested that a moon could form within hours, with about 60 percent of its outer layers derived from the early Earth. A 2023 study proposed that two continent-sized blobs at the base of Earth's mantle may be Theia's remains. No direct geochemical evidence supports that so far. If it holds, pieces of Theia still sit deep inside our planet.
200 words ・ CEFR B2
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月の起源についての最有力の説では、約45億年前、テイアと名づけられた火星ほどの大きさの天体が若い地球にぶつかり、その破片から月ができたと考えます。それ以前の説、つまり月は高速で回転する地球から分裂した、地球の重力に捕まった、あるいは地球と一緒にできた、という説は、どれもアポロ計画の試料が示す2つの手がかり、つまり小さな鉄の核と古代のマグマの海の痕跡をうまく説明できませんでした。
1975年に初めて提案された衝突の考えは、2001年に強い支持を得ました。斜めの衝突によって、主にマントルの物質からなり、核の小さい、私たちの月のような衛星ができることをシミュレーションが示したのです。しかし、この説は「同位体の危機」にぶつかっています。標準的なモデルでは月の大部分はテイアから来たと予測されるのに、2012年の分析で、月のチタン同位体は地球のものとほとんど同じだとわかったのです。
2022年には、シミュレーションが、月が数時間のうちにでき、その外側の層の約60パーセントが初期の地球に由来しうることを示唆しました。2023年の研究は、地球のマントルの底にある大陸ほどの大きさの2つの塊がテイアの残骸かもしれないと提案しました。今のところ、これを支える地球化学的な直接の証拠はありません。もしこれが正しければ、テイアのかけらが今も私たちの惑星の奥深くに眠っていることになります。
4択リーディングクイズ
Q1. Which statement best summarizes the passage?
最有力の説として紹介しつつ、同位体の危機という未解決の問題と複数の解決案を述べているので D。
Q2. What did the 2012 analysis find?
a 2012 analysis found its titanium isotopes nearly identical to Earth's とあるので C。D は2022年のシミュレーションの内容。
Q3. Why does the writer mention that no direct geochemical evidence supports the 2023 idea so far?
No direct geochemical evidence supports that so far. とあり、2023年の大胆な提案はまだ確かめられていないことを示しているので B。
重要単語
- collisionB2名詞衝突A giant collision may have created the Moon.
動詞 collide with ~「~と衝突する」。on a collision course「衝突コースにある」は比喩でも使う。 - debrisC1名詞破片・がれきThe Moon formed from the debris.
フランス語由来で s は発音しない(/dəˈbriː/)。space debris「宇宙ごみ」。 - isotopeC1名詞同位体Isotopes work like fingerprints of rocks.
iso-(同じ)+tope(場所)=周期表で「同じ場所」に入る原子。年代測定にも使われる。 - mantleC1名詞マントルHuge blobs lie at the bottom of Earth's mantle.
もとは「マント・覆い」。地球は crust(地殻)・mantle・core(核)の3層構造。 - simulationB2名詞シミュレーション・模擬実験Computer simulations test how the Moon formed.
動詞 simulate。直接実験できない宇宙や地球の歴史を調べる重要な方法。 - hypothesisB2名詞仮説The giant impact hypothesis is widely accepted.
複数形 hypotheses。support/reject a hypothesis「仮説を支持する/退ける」。
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月は、約45億年前に火星くらいの天体「テイア」が地球にぶつかって生まれた、という説が有力。しかも2023年の研究では、そのテイアのかけらが、いまも地球のマントルの底に“巨大な塊”として眠っているかもしれないらしい。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Hartmann & Davis (1975) Satellite-sized planetesimals and lunar origin, Icarusdoi.org
- Canup & Asphaug (2001) Origin of the Moon in a giant impact near the end of the Earth's formation, Naturedoi.org
- Zhang et al. (2012) The proto-Earth as a significant source of lunar material, Nature Geosciencedoi.org
- Kegerreis et al. (2022) Immediate Origin of the Moon as a Post-impact Satellite, The Astrophysical Journal Lettersdoi.org
- Yuan et al. (2023) Moon-forming impactor as a source of Earth's basal mantle anomalies, Naturedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












