宇宙・NASAホント

飛行機に乗るたび、宇宙から放射線を浴びていた。アメリカ横断2回で胸のX線1回分

飛行機に乗るたび、宇宙から放射線を浴びていた。アメリカ横断2回で胸のX線1回分

読む前に予想してみよう!

飛行機の中で浴びる宇宙線は、夜より昼の方がずっと多い

研究カード(どんな研究?)
対象
航空機の乗客・乗務員
規模
数千〜数万人規模の線量記録・計算
研究の種類
線量計算・疫学研究のレビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

高度1万mでは大気の盾が薄く、宇宙線の被ばくが地上より多い。たまに乗る旅行者のリスクは小さいが、乗務員は年に数ミリシーベルト浴びる。

ひとことで言うと飛行機の上は、宇宙からの放射線が地上より多い!

もくじ
  1. 宇宙線ってなに?
  2. 1回のフライトでどれくらい?
  3. 量が変わる3つの条件
  4. 乗務員は「放射線を浴びる仕事」
  5. 宇宙飛行士はけた違い
  6. まとめ

旅行や出張で飛行機に乗るとき、窓の外の雲を眺めながら、宇宙から降ってくる放射線のことを考えたことはありますか?

じつは、飛行機が飛ぶ高度1万mあたりは、地上よりも宇宙線が多い場所です。私たちは飛行機に乗るたびに、少しだけ「宇宙」に近づいているのです。

01宇宙線ってなに?

宇宙線は、宇宙から飛んでくるものすごくエネルギーの高い粒子です。主に、太陽系の外の超新星爆発などで加速された陽子や原子核(銀河宇宙線)と考えられています。

宇宙線が地球の大気に飛び込むと、空気の分子とぶつかって中性子などの粒子のシャワーが生まれます。地上にいる私たちは、厚い大気に守られているので、その影響はわずかです。

でも、高度が上がるほど大気の盾が薄くなり、浴びる量が増えます。

宇宙線は大気にぶつかって粒子のシャワーになる
宇宙線は大気にぶつかって粒子のシャワーになる

021回のフライトでどれくらい?

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、アメリカ大陸横断の片道で浴びる放射線は約0.035ミリシーベルト。大陸横断の飛行を2回すると、胸部X線検査1回分くらいになるといいます。

日本からニューヨークなどへの長距離便の往復でも、0.1ミリシーベルト程度のオーダーです。私たちが地上で1年間に浴びる自然放射線(日本では約2ミリシーベルト)と比べると、ずっと小さな量です。

03量が変わる3つの条件

浴びる量は、主に次の条件で変わります。

  • 高度:高いほど多い
  • 緯度:北極や南極に近いルートほど多い(地球の磁場の守りが弱いため)
  • 飛行時間:長いほど多い

さらに、ごくまれに大きな太陽フレアが起きると、高緯度のルートで一時的に線量が上がることがあります。

04乗務員は「放射線を浴びる仕事」

パイロットや客室乗務員は、何度も長時間飛ぶため、浴びる量が多くなります。研究のまとめによると、長距離路線の乗務員で年に2〜3ミリシーベルト程度。そのため、多くの国で乗務員の被ばく量は計算・管理されています。日本でも、航空会社が乗務員の線量を計算し、管理する指針があります。

05宇宙飛行士はけた違い

宇宙ステーションの宇宙飛行士は、さらに多くの宇宙線を浴びます。JAXAによると、ISSでは1日に、地上で暮らす人の約半年分に近い量の放射線を受けることがあります。

それに比べれば、飛行機の乗客が浴びる量はずっと小さなもの。地球の大気と磁場が、どれほど強力な盾になっているかがよく分かります。

06まとめ

飛行機に乗るたび、私たちは宇宙からの放射線をほんの少し多く浴びていました。

でも、たまの旅行なら心配はいりません。空の上で窓の外を見ながら、「今、宇宙から粒子が降ってきているんだな」と想像してみると、空の旅がちょっと特別に感じられるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEvery time you fly, you are exposed to a little more radiation from space. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Every time you fly, you are exposed to a little more radiation from space. Cosmic rays are high-energy particles that come mainly from outside our solar system. On the ground, the thick atmosphere protects us, but at a cruising altitude of about 10,000 meters, that shield is thinner.

According to the CDC, one flight across the United States gives about 0.035 millisieverts, so two flights equal roughly one chest X-ray. The amount increases with altitude, flight time, and routes closer to the poles. For occasional travelers, the risk is very small. However, long-haul aircrew may receive about 2 to 3 millisieverts a year, so in many countries their doses are calculated and managed.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

飛行機に乗るたびに、あなたは宇宙からの放射線を少しだけ多く浴びています。宇宙線は、主に太陽系の外からやって来る高エネルギーの粒子です。地上では厚い大気が私たちを守っていますが、高度約1万mの巡航高度では、その盾が薄くなります。

CDCによると、アメリカ大陸横断の飛行1回で約0.035ミリシーベルトになるので、2回でおよそ胸部X線1回分に相当します。浴びる量は、高度が高いほど、飛行時間が長いほど、そして極に近いルートほど増えます。たまに乗る旅行者にとって、リスクはとても小さいものです。しかし、長距離路線の乗務員は年に約2〜3ミリシーベルト浴びることがあるので、多くの国で彼らの線量は計算・管理されています。

4択リーディングクイズ

Q1. Where do cosmic rays mainly come from?

Q2. Which flight would probably give the largest dose?

Q3. Why are aircrew doses managed in many countries?

重要単語

  • cosmic rayC1
    名詞(句)宇宙線Cosmic rays come from far beyond the solar system. cosmic は cosmos(宇宙)の形容詞。cosmic radiation とも言う。
  • altitudeB2
    名詞高度Radiation increases with altitude. high altitude(高地)。latitude(緯度)、longitude(経度)と混同しやすいので3つセットで。
  • doseB2
    名詞線量(浴びた放射線の量)The dose from one flight is very small. 薬の「1回分の服用量」の意味でも使う。overdose(過剰摂取)。
  • aircrewB2
    名詞航空機の乗務員Aircrew are treated as radiation workers in some countries. pilot と flight attendant を合わせた言い方。crew は集合名詞。
  • solar flareC1
    名詞(句)太陽フレアA large solar flare can raise radiation levels at high latitudes. flare は「ぱっと燃え上がる炎」。太陽表面の爆発現象。
  • exposeB2
    動詞さらすPassengers are exposed to more radiation at high altitude. be exposed to ~「~にさらされる」は入試超頻出。名詞 exposure。
  • latitudeB2
    名詞緯度Doses are higher at high latitudes. latitude は横の線(緯線)、longitude は縦の線(経線)。lat=広い(横幅)と覚えると区別しやすい。

動画でもっと知る

4コマでわかる

飛行機に乗るたび、宇宙から放射線を浴びていた。アメリカ横断2回で胸のX線1回分の4コマ漫画
飛行機に乗ると、宇宙から来る放射線(宇宙線)を地上より多く浴びるらしい。アメリカ大陸横断2回で胸のX線1回分ほど。たまに乗る人のリスクはとても小さいけど、乗務員は被ばく量が管理されている。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Bagshaw (2008) Cosmic radiation in commercial aviation, Travel Medicine and Infectious Diseasedoi.org
  2. Yasuda et al. (2025) Recent trends in cosmic radiation exposure onboard aircraft: effects of the COVID-19 pandemic on Japanese in-flight doses, Frontiers in Public Healthdoi.org
  3. Scheibler et al. (2022) Cancer risks from cosmic radiation exposure in flight: A review, Frontiers in Public Healthdoi.org
  4. CDC: Facts About Radiation from Air Travelcdc.gov