徹夜明けは「自信のある答え」まで人に流される。寝不足で弱まる“心の門番”

読む前に予想してみよう!
寝不足のときでも、自信のある答えなら他人の意見に流されにくい
24時間の断眠実験では、ふだん変わりにくい自信の高い答えまで、他人の答えを見て変えやすくなった。
- 対象
- 参加者(年齢層は要旨に記載なし)
- 規模
- 2つの実験(36人・49人)
- 研究の種類
- 事前登録した参加者内実験(24時間断眠)
- 確かさ
- ★★★☆☆
24時間眠らずにいると、他人の答えを見て自分の判断を変える回数が増えた。ふだんは揺らぎにくい「自信のある答え」まで変わりやすくなった。
ひとことで言うと徹夜すると、自信があったはずの答えも、人の意見でコロッと変えちゃうらしい。
テスト前に徹夜して、朝いちばんに友だちと答え合わせ。「え、そこ③にしたの?」と言われて、自信満々だった自分の答えが急に不安になる――。
そんな経験、ありませんか? どうやらそれ、寝不足の脳が起こしやすい現象らしいのです。
ベルギーのブリュッセル自由大学のチームが実験したところ、24時間眠らずにいた人は、他人の答えを見て自分の判断を変える回数が増えました。しかも、ふだんならゆずりにくいはずの「自信のある答え」まで、崩れやすくなっていたのです。
01一晩眠らずに「答え合わせ」をしてもらった
人はふつう、他人の意見を聞いて考えを修正します。これは悪いことではなく、間違いを直すための大事な力です。
ただし、何でもかんでも他人に合わせていたら、ふり回されてしまいます。そこでブレーキ役になるのが「自信」。自信のある答えは簡単には変えず、自信のない答えは柔軟に直す。この使い分けが、上手な判断のコツです。
02寝不足だと、相手が同意しても答えを変えた
結果ははっきりしていました。2つの実験とも、徹夜した状態のほうが自分の判断を変える回数が増えたのです。
おもしろいのは、相手の答えが自分とちがうときだけでなく、同じだったときにも変える回数が増えたこと。「相手に合わせたくなる」というより、自分の判断を持ち続ける力そのものが弱っているように見えます。
そして一番の「マジか!?」がこれ。ふだんは、自信の高い答えほど変わりにくいのがふつうです。ところが徹夜明けには、この守りがうまく働かず、自信の高い答えまで変わりやすくなりました。

03自信が「ガクッ」と落ちやすくなっていた
2つめの実験では、さらに工夫がありました。答えは変えられず、自信の度合いだけを調整できる場面を用意したのです。
すると徹夜した人は、他人の答えを見たあと、自信がより大きく下がりました。特に、最初の自信が高かったときほど落ち方が大きかったのです。そして、この場面で自信が大きく下がるほど、答えを変えられる場面では実際に答えを変えることが多いという関係も見つかりました。
研究チームは、寝不足は人を単に「流されやすく」するのではなく、自信が判断を守る仕組みを弱めてしまうと結論づけています。
04どんでん返し:「流されやすさ」と一言でまとめられない
寝不足と「人の影響」の関係は、これまでも調べられてきました。2014年の研究では、24時間眠らない状態で出来事を見た人は、あとからまちがった情報を聞かされたときに、それを自分の記憶にまぜてしまう「偽の記憶」が増えました。ただし、出来事を見たあとに徹夜しただけでは、はっきりした差は出ませんでした。つまり条件しだいなのです。
また、寝不足の人は他人と距離をとりたくなることも、別の研究で示されています。寝不足の人は他人の答えで判断を変えやすい一方で、人を避けたくもなる。単純な「言いなりになる」とは少しちがう姿が見えてきます。
それに、答えを変えるのがいつも悪いわけではありません。相手が正しければ、変えたほうが得です。問題は、自信と判断の結びつきが崩れて「変えるべきときと、守るべきときの区別がつきにくくなる」こと。今回の研究のポイントはそこにあります。
05まとめ
徹夜明けの脳では、「自信」という門番がうとうとしていて、自信のある答えまで他人の一言で揺らぎやすくなる。2つの実験は、そんな姿を示しました。
徹夜明けに「やっぱり変えよう」と思ったら、まずはひと晩寝てから考え直してみる。それが、未来の自分を守るいちばん簡単な方法かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAfter an all-nighter, are you easier to sway?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Scientists in Belgium asked people to do the same test two times. One time they slept well. The other time they stayed awake for 24 hours. In the test, they gave an answer and said how sure they were.
Then they saw another person's answer and could change their own. Without sleep, people changed their answers more often. Even answers they felt very sure about changed more often. So sleep before a big choice!
74 words ・ CEFR A2
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ベルギーの科学者たちは、参加者に同じテストを2回受けてもらいました。1回はよく眠った状態でした。もう1回は24時間起きたままの状態でした。テストでは、答えを出し、それにどれくらい自信があるかを言いました。
それから別の人の答えを見て、自分の答えを変えることができました。眠らないと、人々は答えをより多く変えました。とても自信があった答えまで、より多く変わりました。だから、大きな選択の前には眠りましょう!
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
眠った状態と眠らない状態で同じテストをして、答えの変え方を比べた話なので C。
Q2. How long did people stay awake?
they stayed awake for 24 hours とあるので A。
Q3. In this passage, "sure" is closest in meaning to ...
sure は「確信している、自信がある」。certain がほぼ同じ意味なので D。
After an all-nighter, are you easier to sway? Researchers at the Free University of Brussels tested this in two experiments with 36 and 49 people. Each person did the same task twice, once after normal sleep and once after 24 hours without any sleep.
They made a judgment, rated their confidence, and then saw how another person had answered. They could keep their first answer or change it. When people had not slept, they changed their answers more often. This happened even when the other person agreed with them.
Usually, people hold on tightly to answers they feel sure about. Without sleep, that protection grew weaker, and even high-confidence answers were changed more often. The researchers think sleep loss weakens the way confidence guards our decisions.
126 words ・ CEFR B1
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徹夜明けのあなたは、人に流されやすくなっているでしょうか。ブリュッセル自由大学の研究者たちは、36人と49人を対象にした2つの実験でこれを調べました。各参加者は同じ課題を2回、1回はふつうに眠ったあと、もう1回は24時間まったく眠らなかったあとに行いました。
参加者は判断をし、自信の度合いを評価し、それから別の人がどう答えたかを見ました。最初の答えを守ることも、変えることもできました。眠っていないとき、人々は答えをより多く変えました。これは、相手が自分と同じ答えだったときでさえ起きました。
ふつう人は、自信のある答えはしっかり守ります。眠らないとその守りが弱くなり、自信の高い答えでさえ、より多く変えられました。研究者たちは、睡眠不足が、自信が私たちの判断を守る仕組みを弱めると考えています。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the experiments test?
眠った後と眠らなかった後で、他の人の答えを見て自分の答えを変えるかを比べているので B。
Q2. Which statement is true according to the passage?
This happened even when the other person agreed with them. とあるので C。参加者は36人と49人で、合計が85人。
Q3. What does the passage suggest about confidence?
people hold on tightly to answers they feel sure about と、confidence guards our decisions から、自信はふだん答えを守る働きをしていると読めるので A。
Confidence usually acts as a gatekeeper. If you are sure of an answer, you keep it when someone disagrees, and if you are unsure, you switch more readily. A team at the Free University of Brussels asked whether a sleepless night weakens that gate. In two preregistered experiments, 36 and then 49 people did a judgment task twice, once rested and once after 24 hours of total sleep deprivation.
After each judgment and confidence rating, they saw a peer's response and could revise their own. Sleep loss raised the number of changed answers in both studies, whether the peer had agreed or disagreed. High-confidence answers, the ones people normally defend, were changed more often too. The second study added trials where only confidence could be adjusted.
Sleep-deprived people lowered their confidence more sharply, especially when it had started high, and bigger drops predicted more frequent switching when switching was allowed. A full day without sleep is much harsher than the short nights most students know, so the everyday effect may be smaller. For a big decision, though, the advice is simple. Sleep on it first.
185 words ・ CEFR B2
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自信はふだん、門番のような役割を果たしています。答えに自信があれば、誰かに反対されても守り、自信がなければ、より素直に切り替えます。ブリュッセル自由大学のチームは、眠れない一夜がその門を弱めるのかどうかを調べました。事前登録された2つの実験で、36人、続いて49人の参加者が、判断課題を2回、1回は休んだ状態で、もう1回は24時間の完全な断眠のあとに行いました。
判断と自信の評価のあと、参加者は仲間の回答を見て、自分の答えを修正することができました。どちらの研究でも、睡眠不足は答えを変える回数を増やし、それは仲間が同意していても反対していても同じでした。ふだん人が守り抜く、自信の高い答えも、より多く変えられました。2つめの研究では、自信だけを調整できる試行が加えられました。断眠した人は自信をより大きく下げ、特に最初の自信が高かったときにそうなりました。
そして、自信の落ち方が大きいほど、答えを変えられる場面で答えを変えることが多くなっていました。丸一日眠らないのは、ほとんどの学生が経験する短い睡眠よりずっと過酷なので、日常での影響はもっと小さいかもしれません。それでも大きな決断については、助言は簡単です。まずひと晩寝てから考えましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
冒頭で自信を門番にたとえ、断眠でその働きが弱まる結果を説明しているので D。
Q2. What did the second study add?
The second study added trials where only confidence could be adjusted. とあるので A。
Q3. Why does the author mention "the short nights most students know"?
A full day without sleep is much harsher ... so the everyday effect may be smaller とあり、実験条件が過酷だったことを示すためなので B。
重要単語
- sleep deprivationC1名詞(句)断眠、睡眠不足Sleep deprivation makes it hard to focus.
deprive A of B(A から B を奪う)の名詞形。be sleep-deprived(寝不足だ)の形も頻出。 - confidenceB1名詞自信、確信度She answered the question with confidence.
形容詞は confident。self-confidence(自信)、confidence in ~(~への信頼)の使い分けに注意。 - feedbackB1名詞(他人からの)反応、意見He changed his plan after getting feedback.
数えられない名詞なので a feedback とは言わない。give feedback on ~ の形で使う。 - reviseB2動詞修正する、見直すShe revised her answer after checking the data.
re-(再び)+vise(見る)。イギリス英語では「復習する」の意味もある。名詞は revision。 - gatekeeperC1名詞門番、(通すものを決める)関門役Confidence acts as a gatekeeper for our beliefs.
比喩で「何を通すかを決める人・仕組み」の意味で長文によく出る。 - stay upA2熟語寝ずに起きているI stayed up all night to finish my report.
stay up late(夜ふかしする)。pull an all-nighter(徹夜する)も口語でよく使う。 - sleep on itB2熟語ひと晩寝てよく考えるDon't decide now. Sleep on it.
決断を翌日まで持ち越すときの決まり文句。let me sleep on it(一晩考えさせて)。
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徹夜明けの頭は、他人の答えを見ると自分の判断を変えやすくなるらしい。しかも、ふだんならゆずりにくい“自信のある答え”まで崩れやすくなっていた。ベルギーの大学の2つの実験でわかった話。大事な決断は寝てからに。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Anckaert, Peigneux & Gevers (2026) Sleep deprivation disrupts the gatekeeping role of confidence in belief updating, Journal of Experimental Psychology: Applieddoi.org
- Frenda et al. (2014) Sleep Deprivation and False Memories, Psychological Sciencedoi.org
- Ben Simon & Walker (2018) Sleep loss causes social withdrawal and loneliness, Nature Communicationsdoi.org
- Lim & Dinges (2010) A meta-analysis of the impact of short-term sleep deprivation on cognitive variables, Psychological Bulletindoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。








