心理学ホント

【最新研究】汚い言葉を叫ぶと、本当に力が出る。心理学者が突き止めたその理由

【最新研究】汚い言葉を叫ぶと、本当に力が出る。心理学者が突き止めたその理由

読む前に予想してみよう!

悪態をつくと筋力アップするのは、怒りで興奮するからだと確かめられた

研究カード(どんな研究?)
対象
主に大学キャンパスで募集した成人
規模
計300人(新実験88人+94人+過去の実験)
研究の種類
事前登録された被験者内実験+統合分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

好きな悪態を2秒ごとに言いながら体を支えると、ふつうの言葉より長く耐えられた。カギは「ブレーキが外れる」心理状態。

ひとことで言うと悪口みたいな言葉を叫ぶと、気持ちのブレーキが外れて力が出るらしい!

もくじ
  1. 実験:椅子の上で「腕立て」しながら悪態
  2. 悪態の方が、長く耐えられた
  3. カギは「心のブレーキが外れる」状態
  4. まとめ

タンスの角に小指をぶつけたとき、思わず出るあの言葉。実はちゃんと意味があるかもしれません。

イギリスの心理学者が、何年もかけて「悪態(汚い言葉)をつくと力が出る」ことを実験で確かめてきました。そして2025年末、ついに「なぜ力が出るのか」にかなり迫る結果を発表しました。

01実験:椅子の上で「腕立て」しながら悪態

課題は「チェア・プッシュアップ」。椅子に座って座面に手をつき、腕の力で体を浮かせたまま、どれだけ長く耐えられるかを測ります。

その間、参加者は2秒ごとに

  • 自分で選んだ悪態を言う
  • またはふつうの言葉(中立的な単語)を言う

のどちらかを繰り返しました。

02悪態の方が、長く耐えられた

結果、2つの実験の両方で、悪態を言ったときの方が長く体を支えられました。この「悪態ボーナス」は、ちゃんと再現されたのです。

実はスティーブンスさんは、2009年に「悪態をつくと、氷水に手を入れたときの痛みに長く耐えられる」という研究を発表した人でもあります。今回は、痛みだけでなく力を出す場面でも効くことを、より厳密に確かめた形です。

悪態は、心のブレーキを一瞬ゆるめるスイッチなのかもしれない
悪態は、心のブレーキを一瞬ゆるめるスイッチなのかもしれない

03カギは「心のブレーキが外れる」状態

では、なぜ力が出るのか。研究チームが注目したのは「状態的な脱抑制」。ふだん自分にかけている「やりすぎないように」「恥ずかしい」というブレーキが、一時的にゆるむ心理状態のことです。

参加者に「どんな気分だったか」を答えてもらい、300人分をまとめて分析すると、悪態の効果を説明していたのは次の3つでした。

  • フロー(没頭している感覚)
  • 気が散ること(つらさから注意がそれる)
  • 自信

つまり悪態は、「余計なことを考えずに、思い切っていける」状態を作っているらしいのです。研究チームは、悪態はお金のかからない心理テクニックになりうると述べています。

研究チームは、こうした効果がスポーツだけでなく、リハビリや、勇気や自己主張が必要な場面にも役立つ可能性があると考えています。

04まとめ

ここ一番で「よっしゃ!」と叫ぶのも、思わず出る悪態も、自分の背中を押す声なのかもしれません。

ただし、使うならひとりのときか、周りが笑って許してくれる場面で。筋トレの最後のもう1回、こっそり試してみては?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people swear when they hurt themselves, and psychologists have found that swearing may actually help. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people swear when they hurt themselves, and psychologists have found that swearing may actually help. Researchers at Keele University in the UK ran two experiments with 88 and 94 adults. Participants did a "chair push-up," lifting their body off a chair seat with their arms and holding the position as long as possible.

Every two seconds, they repeated either a swear word of their choice or a neutral word. In both experiments, people held on longer when swearing. By combining data from 300 people, the team found that swearing seemed to work by increasing a sense of flow, distraction from discomfort, and self-confidence. So swearing may help people "let go of the brakes" and push themselves harder.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

けがをしたときに悪態をつく人は多いですが、心理学者たちは、悪態が実際に役立つかもしれないことを発見しました。イギリスのキール大学の研究者たちは、88人と94人の大人で2つの実験を行いました。参加者は「チェア・プッシュアップ」を行い、椅子の座面から腕で体を持ち上げて、その姿勢をできるだけ長く保ちました。

2秒ごとに、自分で選んだ悪態か、感情のこもらない中立的な言葉のどちらかをくり返しました。どちらの実験でも、悪態をついているときの方が長く持ちこたえました。300人分のデータを合わせることで、チームは、悪態が没頭している感覚、つらさから気がそれること、自信を高めることによって効いているらしいと分かりました。つまり、悪態は人が「ブレーキを外して」もっとがんばる助けになるのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the participants do in the experiments?

Q2. According to the combined analysis, which factors explained the effect of swearing?

Q3. In the last sentence, what does "let go of the brakes" mean?

重要単語

  • swearB1
    動詞悪態をつく、ののしるHe swore when he hit his toe. 「誓う」の意味もある(swear to tell the truth)。活用は swear-swore-sworn。swear word は「ののしり言葉」。
  • disinhibitionC1
    名詞脱抑制(ブレーキが外れた状態)Swearing may create a state of disinhibition. dis-(否定)+inhibition(抑制)。inhibit(抑える)とセットで覚える。
  • enduranceB2
    名詞持久力The task measured physical endurance. endure(耐える)の名詞形。endurance は「長く耐える力」、strength は「力の強さ(筋力)」のニュアンス。
  • neutralB2
    形容詞中立的な、感情のこもらない"Table" is a neutral word. 実験では「比較のための、特別な意味を持たない条件」を指す。名詞 neutrality(中立)。
  • mediateC1
    動詞仲介する、(効果を)媒介するConfidence mediated the effect of swearing. mediator は「仲裁者・媒介変数」。media(媒体)と同じ「間にある」という語源。
  • tolerateB2
    動詞耐える、我慢するSwearing helped people tolerate pain. 名詞 tolerance(寛容・耐性)。can't tolerate ~「~に我慢できない」は put up with / stand と言い換え可。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【最新研究】汚い言葉を叫ぶと、本当に力が出る。心理学者が突き止めたその理由の4コマ漫画
好きな「汚い言葉」を2秒ごとに口にしながら体を支えると、普通の言葉より長く耐えられたらしい。イギリスの心理学者が計300人分で確認。分析では、没頭感・自信・「気が散る」ことが関わっていた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Stephens et al. (2026) "Don't hold back": Swearing improves strength through state disinhibition, American Psychologist(オンライン公開2025年12月)doi.org
  2. Stephens, Atkins & Kingston (2009) Swearing as a response to pain, NeuroReportdoi.org
  3. Stephens & Umland (2011) Swearing as a Response to Pain—Effect of Daily Swearing Frequency, The Journal of Paindoi.org