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緑の多い学校の子は記憶力が伸びやすい? 2593人の調査と「教室の緑」の実験

緑の多い学校の子は記憶力が伸びやすい? 2593人の調査と「教室の緑」の実験

読む前に予想してみよう!

教室に観葉植物を置けば、それだけで子どもの成績が上がることがはっきり証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
小学生2593人(バルセロナ)、高校生94人ほか
規模
大規模な観察+小規模の実験
研究の種類
縦断観察研究・ランダム化実験・対照実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

緑の多い学校の子は1年間の記憶力の伸びが大きかった。窓から緑が見える教室で注意力が回復した実験もある。ただし鉢植えだけの効果ははっきりしない。

ひとことで言うと窓から木が見える教室は、頭がリフレッシュしやすいみたい!

もくじ
  1. 緑の多い学校ほど、1年間の記憶力の伸びが大きかった
  2. 窓から緑が見える教室で、注意力が戻った
  3. 「教室に植物」は、まだ結論が割れている
  4. まとめ

テスト勉強で頭がパンパンになったとき、窓の外の木をぼーっと眺めると、少しスッキリする――そんな経験はありませんか?

じつは、学校の緑と子どもの頭の働きの関係は、世界中で研究されています。結果をのぞいてみると、「緑は効きそう。でも“鉢植えを置けばOK”ほど単純ではない」という、なかなか奥深い話が見えてきます。

01緑の多い学校ほど、1年間の記憶力の伸びが大きかった

ワーキングメモリーとは、頭の中で情報を一時的に置いておく「作業台」のようなもの。暗算や、先生の説明を聞きながらノートをとるときに大活躍します。

ただし、この研究は観察研究です。緑の多い学校は、もともと環境のよい地域にあるかもしれません。研究チームもこの点を考え、さらに分析すると、交通由来の大気汚染の差が、緑の効果の20〜65%を説明していました。木が排気ガスをさえぎっている――そんな“からくり”もありそうです。

02窓から緑が見える教室で、注意力が戻った

「本当に緑のおかげなの?」を確かめるには、実験が必要です。

アメリカの研究(Li & Sullivan、2016年)では、高校生94人をくじ引きで3種類の教室に分けました。①窓のない教室、②窓から建物が見える教室、③窓から緑が見える教室。授業のような作業でつかれたあと、それぞれの教室で休憩してもらうと――。

緑が見える教室の生徒は、注意力テストの成績がよく、ストレスからの回復も早かったのです。

同じ休憩でも、窓の外に何が見えるかで回復ぐあいが違った
同じ休憩でも、窓の外に何が見えるかで回復ぐあいが違った

03「教室に植物」は、まだ結論が割れている

では、教室の中に植物を置くのはどうでしょう?

オランダの研究(van den Bergら)では、小学校の4つの教室に植物の壁(グリーンウォール)を設置し、7〜10歳の170人を数か月追いました。すると、植物のある教室の子は選択的注意(必要なものだけに集中する力)のテストでよい成績。ただし、作業のスピードや「気分のよさ」には差がありませんでした。

いっぽう、小学4年生785人を調べた研究(Lindemann-Matthiesら、2021年)では、窓から見える自然が多い教室の子はストレスが少なく集中しやすいと答えたものの、教室内の植物の数とは、はっきりした関係が見られませんでした。

04まとめ

緑の多い学校、窓から緑が見える教室は、子どもの記憶力や注意力の回復を後押ししてくれる可能性があります。ただ、「鉢植えを1つ置けば成績アップ」というほど単純ではありません。

いちばん手軽で確実なのは、つかれたら外の緑を見ること。窓の外の木は、ちょっとした“頭の休憩所”なのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDoes green space help children learn? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Does green space help children learn? In Barcelona, researchers tested the memory and attention of 2,593 children aged 7 to 10 every three months. Children whose schools had more greenery showed larger improvements in working memory over one year.

However, this was an observational study, and part of the effect may be explained by lower air pollution from traffic. In an American experiment, 94 high school students were randomly placed in classrooms with no windows, a view of buildings, or a view of trees. After a tiring task, students who rested in the green-view room scored better on an attention test and recovered from stress faster. Evidence for potted plants inside classrooms, however, is mixed.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

緑地は子どもの学習を助けるのでしょうか。バルセロナでは、研究者たちが7〜10歳の子ども2593人の記憶力と注意力を3か月ごとにテストしました。学校の緑が多い子どもほど、1年間でワーキングメモリーが大きく伸びました。

しかしこれは観察研究であり、効果の一部は交通による大気汚染が少ないことで説明できるかもしれません。アメリカの実験では、94人の高校生が、窓のない教室、建物が見える教室、木が見える教室にくじ引きで分けられました。疲れる作業のあと、緑が見える教室で休んだ生徒は注意力テストの成績がよく、ストレスからの回復も早かったのです。ただし、教室の中の鉢植えについての証拠は、結果がまちまちです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Which classroom helped students recover best in the American experiment?

Q3. Why does the author mention that the Barcelona study was observational?

重要単語

  • green spaceB2
    名詞(句)緑地Green space around schools may support learning. urban green space「都市の緑地」。greenery(緑・草木)も同じ文脈で頻出。
  • working memoryC1
    名詞(句)作業記憶、ワーキングメモリーWorking memory helps you solve math problems in your head. 情報を一時的に保持しながら処理する記憶。認知心理学の長文の定番語。
  • attentionA2
    名詞注意(力)A short break can restore your attention. pay attention to ~「~に注意を払う」。attract attention「注目を集める」。
  • associationB2
    名詞関連、協会An association does not always mean cause and effect. associate A with B「AをBと結びつけて考える」。相関と因果の区別は入試長文の頻出テーマ。
  • air pollutionB1
    名詞(句)大気汚染Trees may reduce children's exposure to air pollution. pollute(汚染する)の名詞形。pollutant(汚染物質)も覚えておく。
  • observational studyC1
    名詞(句)観察研究An observational study cannot prove cause and effect. 条件を操作しない研究。experiment(実験)、randomized(ランダム化された)と対比して覚える。
  • randomlyB2
    副詞無作為に、ランダムにStudents were randomly assigned to three classrooms. be randomly assigned to ~「~に無作為に割り当てられる」は実験の説明の定番表現。

動画でもっと知る

バルセロナの小学生2593人の調査では、学校の緑が多いほど1年間の記憶力の伸びが大きかった。窓から緑が見える教室で注意力が回復した実験も。ただ鉢植えだけの効果はまだはっきりしない。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Dadvand et al. (2015) Green spaces and cognitive development in primary schoolchildren, PNASdoi.org
  2. Li & Sullivan (2016) Impact of views to school landscapes on recovery from stress and mental fatigue, Landscape and Urban Planningdoi.org
  3. van den Berg et al. (2016) Green Walls for a Restorative Classroom Environment: A Controlled Evaluation Study, Environment and Behaviordoi.org
  4. Lindemann-Matthies et al. (2021) Associations between the naturalness of window and interior classroom views, subjective well-being of primary school children and their performance in an attention and concentration test, Landscape and Urban Planningdoi.org