頭がなくても数週間生きる? ゴキブリ「不死身伝説」を仕分けしてみた

読む前に予想してみよう!
ゴキブリは、高さ3mmほどのすき間にも体をつぶして入りこめる
アメリカの研究で、ふだんの体高の4分の1ほどのすき間を、体を半分ほどに圧縮して通り抜けることが確かめられた。
- 対象
- ワモンゴキブリ
- 規模
- 数匹〜数十匹(各実験)
- 研究の種類
- 実験室での運動計測・専門家解説
- 確かさ
- ★★★☆☆
頭を失っても数週間生きることがある、3mmのすき間を通るなどは本当。ただ「核戦争でも生き残る」は言いすぎ。
ひとことで言うとゴキブリは頭がなくてもしばらく生きる。でも最後はのどがかわいて死ぬ!
台所の床を走る黒い影。叩いても叩いても逃げ切る、あの生き物。
ゴキブリには「頭がなくても生きる」「核戦争が起きても生き残る」など、数々の不死身伝説があります。
どれがホントで、どれが言いすぎなのか。科学で仕分けしてみましょう。(写真は出てこないので安心してください)
01伝説1:頭がなくても生きる → ほぼホント
結論から言うと、ゴキブリは頭を失っても、数週間生き続けることがあると言われています。2007年の『Scientific American』の記事で、アメリカ・マサチューセッツ大学アマースト校の生理学者ジョセフ・カンケルさんらが、その理由を説明しています。
ポイントは三つです。
- 息は体の横の穴でしている:ゴキブリは鼻や口ではなく、胴体の横に並んだ小さな穴(気門)から空気を取り入れています。頭がなくても呼吸はできるのです。
- 血がドバドバ出ない:昆虫の血液は、人間のように強い圧力で血管を流れていません。首の傷口はすぐに固まってふさがります。
- 脳がなくても体が動く:昆虫は、体のあちこちに「神経節(しんけいせつ)」という小さな神経の中継基地を持っています。簡単な動きなら、脳がなくてもこなせます。1962年には、頭を切りはなしたゴキブリやバッタが、脚が電気ショックを受けない位置を「覚える」ことまで報告されています。
しかも変温動物なので、エネルギーの消費が少なく、一度食べればしばらくもちます。ではなぜ最後は死ぬのか。一般には、答えは水が飲めないからと説明されます。口がないので、のどがかわいて力尽きてしまうのです。

02伝説2:すき間に入りこむ → ホント
ゴキブリの体は、硬い板(外骨格)が重なってできていて、板どうしのつなぎ目がやわらかく曲がります。このしなやかさが、すき間くぐりの秘密です。研究チームは、この体のつくりをまねた「つぶれても動けるロボット」まで作りました。
03伝説3:足が速すぎる → ホント
ワモンゴキブリは、秒速1.5mほどで走れることが測定されています(Full と Tu、1991年)。体の大きさを考えると、1秒間に体長の50倍くらい進むスピード。人間に置きかえると、時速300kmを超える計算になります。
しかも速く走るときは、6本の脚のうち後ろの2本だけで走ることもあるのです。
04伝説4:核戦争でも生き残る → 言いすぎ
「人間よりは強い」はホント。でも「不死身」ではありません。
05まとめ
頭がなくても数週間生きることがある、3mmのすき間を通る、超高速で走る——ゴキブリの伝説は、意外とホントが多めでした。でも「核戦争でも生き残る不死身の虫」は言いすぎです。
嫌われ者ですが、その体は生き残りのための工夫のかたまり。少しだけ、見る目が変わったかもしれません。(好きになる必要はありません)
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany legends say that cockroaches are almost impossible to kill.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People say cockroaches are very hard to kill. Is it true? A cockroach can live for some time without its head. It breathes through small holes on the sides of its body, not through its mouth. Its body can also move without a brain.
But in the end, it dies because it cannot drink water. Cockroaches can also run very fast and get into gaps only 3 millimeters high. They are strong, but they cannot live forever.
77 words ・ CEFR A2
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ゴキブリはとても殺しにくいと言われます。それは本当でしょうか。ゴキブリは頭がなくてもしばらく生きられます。口ではなく、体の横にある小さな穴で呼吸しているのです。また、脳がなくても体は動けます。
でも最後には、水が飲めないために死んでしまいます。ゴキブリはとても速く走ることもでき、高さわずか3ミリのすき間にも入りこめます。強い生き物ですが、永遠に生きられるわけではありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ゴキブリの強さを紹介し、最終文 They are strong, but they cannot live forever. でまとめているので B。
Q2. Why does a headless cockroach finally die?
it dies because it cannot drink water とあるので D。呼吸は体の横の穴でできるので A は誤り。
Q3. In this passage, "gaps" are ...
gaps only 3 millimeters high は「高さ3ミリのすき間」。gap は「すき間・ずれ」なので C。
Many legends say that cockroaches are almost impossible to kill. Some of them are true. According to experts, a cockroach may survive for several weeks after losing its head. This is because it breathes through tiny holes along its body, its blood is not under high pressure, and groups of nerve cells in its body can control simple movements without the brain. It finally dies of thirst because it has no mouth to drink with.
In a 2016 study, American cockroaches squeezed through gaps about 3 millimeters high, a quarter of their normal height. They can also run about 1.5 meters per second. However, the idea that they would survive a nuclear war is an exaggeration.
116 words ・ CEFR B1
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ゴキブリはほとんど殺せない、という伝説がたくさんあります。そのいくつかは本当です。専門家によると、ゴキブリは頭を失っても数週間生きることがあります。体に沿って並ぶ小さな穴で呼吸し、血液は高い圧力で流れておらず、体の中の神経細胞のかたまりが脳なしで簡単な動きを制御できるからです。最後は、水を飲む口がないためにのどの渇きで死にます。
2016年の研究では、ワモンゴキブリがふだんの体の高さの4分の1にあたる約3ミリのすき間を、体をつぶして通り抜けました。また、秒速約1.5メートルで走ることもできます。しかし、核戦争でも生き残るという考えは誇張です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
Some of them are true. と述べつつ、最後に核戦争の話は an exaggeration としているので A。
Q2. How can a cockroach breathe without its head?
it breathes through tiny holes along its body とあるので C。
Q3. Which statement would the author most likely agree with?
頭のないゴキブリも dies of thirst(渇きで死ぬ)とあるので、水が生存に欠かせないと推測できる。正解は D。
Cockroaches have a reputation for being indestructible, and scientific evidence supports several, though not all, of the claims. According to scientists quoted by Scientific American in 2007, a decapitated cockroach can survive for weeks. Insects breathe through spiracles, small openings along the body, so losing the head does not stop respiration; their blood is not pumped under high pressure, so the wound seals quickly; and ganglia distributed through the body can control basic reflexes. A classic 1962 experiment even showed that headless insects could learn to hold a leg in a position that avoided electric shocks.
The animal eventually dies of dehydration, since it cannot drink. Research at UC Berkeley in 2016 found that American cockroaches could compress their bodies to pass through 3-millimeter crevices and withstand forces of about 900 times their body weight. The belief that they would outlast a nuclear war, however, is overstated: they tolerate more radiation than humans, but other insects are tougher. Note, too, that the weeks-long survival figure rests mainly on expert commentary and old observations, not recent systematic measurements.
177 words ・ CEFR B2
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ゴキブリは不死身だという評判があり、科学的証拠はその主張のすべてではないものの、いくつかを裏づけています。2007年に『Scientific American』で紹介された研究者たちによると、頭を切り落とされたゴキブリは数週間生きることがあります。昆虫は体に沿って並ぶ小さな開口部である気門で呼吸するので、頭を失っても呼吸は止まりません。血液は高い圧力で送り出されていないため、傷口はすぐにふさがります。さらに、体中に分散した神経節が基本的な反射を制御できます。1962年の古典的な実験では、頭のない昆虫が、電気ショックを避けられる位置に脚を保つことを学習できることさえ示されました。
最終的には、水を飲めないために脱水で死にます。2016年のカリフォルニア大学バークレー校の研究では、ワモンゴキブリが体をつぶして3ミリのすき間を通り抜け、体重の約900倍の力に耐えられることがわかりました。しかし、核戦争を生き延びるという俗説は言いすぎです。人間より放射線に強いものの、もっと強い昆虫もいます。また、「数週間生きる」という数字は主に専門家の解説や古い観察に基づくもので、最近の体系的な測定によるものではないことにも注意が必要です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第1文 evidence supports several, though not all, of the claims が主旨。各伝説の真偽を検証しているので C。
Q2. What did the 1962 experiment show?
A classic 1962 experiment ... headless insects could learn to hold a leg in a position that avoided electric shocks とあるので B。C は2016年の研究。
Q3. Why does the author mention "expert commentary and old observations"?
最終文で「数週間生きる」という数字は not recent systematic measurements に基づくと限界を指摘しているので A。
重要単語
- spiracleC1名詞気門(昆虫の呼吸用の穴)Insects breathe through spiracles.
ラテン語 spirare(呼吸する)から。inspire(息を吹き込む→鼓舞する)、respiration(呼吸)と同語源。 - ganglionC1名詞神経節(複数形 ganglia)Each body segment has its own ganglion.
複数形が -a になる不規則変化(phenomenon → phenomena と同じ型)。 - exoskeletonC1名詞外骨格The cockroach's exoskeleton bends at the joints.
exo-(外)+skeleton(骨格)。介護用の「パワードスーツ」も exoskeleton と呼ばれる。 - creviceC1名詞細いすき間、割れ目The insect squeezed into a narrow crevice.
crack(ひび)より細く深いすき間。squeeze into a crevice「すき間に体を押しこむ」。 - dehydrationB2名詞脱水Without a mouth, it eventually dies of dehydration.
de-(除去)+hydr(水)+-ation。熱中症の話題で頻出。die of ~「(病気など)で死ぬ」もセットで。 - exaggerationB2名詞誇張Saying they can survive a nuclear war is an exaggeration.
exaggerate(誇張する)の名詞形。g が2つ重なるつづりに注意。It is no exaggeration to say ~「~と言っても過言ではない」は入試頻出。 - withstandB2動詞耐えるThe cockroach can withstand strong pressure.
with(逆らって)+stand(立つ)。過去形は withstood。endure, bear と言い換え問題で出る。
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ゴキブリは頭がなくなっても、しばらく生き続けるらしい。理由は「息を体の横の穴でしている」から。ただし口がないので水が飲めず、最後はのどがかわいて死ぬ。強いけど不死身ではなかった。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Jayaram & Full (2016) Cockroaches traverse crevices, crawl rapidly in confined spaces, and inspire a soft, legged robot, PNASdoi.org
- Full & Tu (1991) Mechanics of a rapid running insect: two-, four- and six-legged locomotion, Journal of Experimental Biologydoi.org
- Horridge (1962) Learning of leg position by the ventral nerve cord in headless insects, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
- Choi (2007) Fact or Fiction?: A Cockroach Can Live without Its Head, Scientific Americanscientificamerican.com
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












