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頭がなくても数週間生きる? ゴキブリ「不死身伝説」を仕分けしてみた

頭がなくても数週間生きる? ゴキブリ「不死身伝説」を仕分けしてみた

読む前に予想してみよう!

ゴキブリは、高さ3mmほどのすき間にも体をつぶして入りこめる

研究カード(どんな研究?)
対象
ワモンゴキブリ
規模
数匹〜数十匹(各実験)
研究の種類
実験室での運動計測・専門家解説
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

頭を失っても数週間生きることがある、3mmのすき間を通るなどは本当。ただ「核戦争でも生き残る」は言いすぎ。

ひとことで言うとゴキブリは頭がなくてもしばらく生きる。でも最後はのどがかわいて死ぬ!

もくじ
  1. 伝説1:頭がなくても生きる → ほぼホント
  2. 伝説2:すき間に入りこむ → ホント
  3. 伝説3:足が速すぎる → ホント
  4. 伝説4:核戦争でも生き残る → 言いすぎ
  5. まとめ

台所の床を走る黒い影。叩いても叩いても逃げ切る、あの生き物。

ゴキブリには「頭がなくても生きる」「核戦争が起きても生き残る」など、数々の不死身伝説があります。

どれがホントで、どれが言いすぎなのか。科学で仕分けしてみましょう。(写真は出てこないので安心してください)

01伝説1:頭がなくても生きる → ほぼホント

結論から言うと、ゴキブリは頭を失っても、数週間生き続けることがあると言われています。2007年の『Scientific American』の記事で、アメリカ・マサチューセッツ大学アマースト校の生理学者ジョセフ・カンケルさんらが、その理由を説明しています。

ポイントは三つです。

  1. 息は体の横の穴でしている:ゴキブリは鼻や口ではなく、胴体の横に並んだ小さな穴(気門)から空気を取り入れています。頭がなくても呼吸はできるのです。
  2. 血がドバドバ出ない:昆虫の血液は、人間のように強い圧力で血管を流れていません。首の傷口はすぐに固まってふさがります。
  3. 脳がなくても体が動く:昆虫は、体のあちこちに「神経節(しんけいせつ)」という小さな神経の中継基地を持っています。簡単な動きなら、脳がなくてもこなせます。1962年には、頭を切りはなしたゴキブリやバッタが、脚が電気ショックを受けない位置を「覚える」ことまで報告されています。

しかも変温動物なので、エネルギーの消費が少なく、一度食べればしばらくもちます。ではなぜ最後は死ぬのか。一般には、答えは水が飲めないからと説明されます。口がないので、のどがかわいて力尽きてしまうのです。

息は体の横の穴で。神経の中継基地も体じゅうにある。
息は体の横の穴で。神経の中継基地も体じゅうにある。

02伝説2:すき間に入りこむ → ホント

ゴキブリの体は、硬い板(外骨格)が重なってできていて、板どうしのつなぎ目がやわらかく曲がります。このしなやかさが、すき間くぐりの秘密です。研究チームは、この体のつくりをまねた「つぶれても動けるロボット」まで作りました。

03伝説3:足が速すぎる → ホント

ワモンゴキブリは、秒速1.5mほどで走れることが測定されています(Full と Tu、1991年)。体の大きさを考えると、1秒間に体長の50倍くらい進むスピード。人間に置きかえると、時速300kmを超える計算になります。

しかも速く走るときは、6本の脚のうち後ろの2本だけで走ることもあるのです。

04伝説4:核戦争でも生き残る → 言いすぎ

「人間よりは強い」はホント。でも「不死身」ではありません。

05まとめ

頭がなくても数週間生きることがある、3mmのすき間を通る、超高速で走る——ゴキブリの伝説は、意外とホントが多めでした。でも「核戦争でも生き残る不死身の虫」は言いすぎです。

嫌われ者ですが、その体は生き残りのための工夫のかたまり。少しだけ、見る目が変わったかもしれません。(好きになる必要はありません)

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany legends say that cockroaches are almost impossible to kill. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many legends say that cockroaches are almost impossible to kill. Some of them are true. According to experts, a cockroach may survive for several weeks after losing its head. This is because it breathes through tiny holes along its body, its blood is not under high pressure, and groups of nerve cells in its body can control simple movements without the brain. It finally dies of thirst because it has no mouth to drink with.

In a 2016 study, American cockroaches squeezed through gaps about 3 millimeters high, a quarter of their normal height. They can also run about 1.5 meters per second. However, the idea that they would survive a nuclear war is an exaggeration.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ゴキブリはほとんど殺せない、という伝説がたくさんあります。そのいくつかは本当です。専門家によると、ゴキブリは頭を失っても数週間生きることがあります。体に沿って並ぶ小さな穴で呼吸し、血液は高い圧力で流れておらず、体の中の神経細胞のかたまりが脳なしで簡単な動きを制御できるからです。最後は、水を飲む口がないためにのどの渇きで死にます。

2016年の研究では、ワモンゴキブリがふだんの体の高さの4分の1にあたる約3ミリのすき間を、体をつぶして通り抜けました。また、秒速約1.5メートルで走ることもできます。しかし、核戦争でも生き残るという考えは誇張です。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. How can a cockroach breathe without its head?

Q3. Which statement would the author most likely agree with?

重要単語

  • spiracleC1
    名詞気門(昆虫の呼吸用の穴)Insects breathe through spiracles. ラテン語 spirare(呼吸する)から。inspire(息を吹き込む→鼓舞する)、respiration(呼吸)と同語源。
  • ganglionC1
    名詞神経節(複数形 ganglia)Each body segment has its own ganglion. 複数形が -a になる不規則変化(phenomenon → phenomena と同じ型)。
  • exoskeletonC1
    名詞外骨格The cockroach's exoskeleton bends at the joints. exo-(外)+skeleton(骨格)。介護用の「パワードスーツ」も exoskeleton と呼ばれる。
  • creviceC1
    名詞細いすき間、割れ目The insect squeezed into a narrow crevice. crack(ひび)より細く深いすき間。squeeze into a crevice「すき間に体を押しこむ」。
  • dehydrationB2
    名詞脱水Without a mouth, it eventually dies of dehydration. de-(除去)+hydr(水)+-ation。熱中症の話題で頻出。die of ~「(病気など)で死ぬ」もセットで。
  • exaggerationB2
    名詞誇張Saying they can survive a nuclear war is an exaggeration. exaggerate(誇張する)の名詞形。g が2つ重なるつづりに注意。It is no exaggeration to say ~「~と言っても過言ではない」は入試頻出。
  • withstandB2
    動詞耐えるThe cockroach can withstand strong pressure. with(逆らって)+stand(立つ)。過去形は withstood。endure, bear と言い換え問題で出る。

動画でもっと知る

4コマでわかる

頭がなくても数週間生きる? ゴキブリ「不死身伝説」を仕分けしてみたの4コマ漫画
ゴキブリは頭がなくなっても、しばらく生き続けるらしい。理由は「息を体の横の穴でしている」から。ただし口がないので水が飲めず、最後はのどがかわいて死ぬ。強いけど不死身ではなかった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Jayaram & Full (2016) Cockroaches traverse crevices, crawl rapidly in confined spaces, and inspire a soft, legged robot, PNASdoi.org
  2. Full & Tu (1991) Mechanics of a rapid running insect: two-, four- and six-legged locomotion, Journal of Experimental Biologydoi.org
  3. Horridge (1962) Learning of leg position by the ventral nerve cord in headless insects, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  4. Choi (2007) Fact or Fiction?: A Cockroach Can Live without Its Head, Scientific Americanscientificamerican.com