「ガムを飲み込むと7年お腹に残る」は都市伝説。でも“飲みすぎ”で詰まった子はいた

読む前に予想してみよう!
飲み込んだガムは、7年間ずっと胃の中に残る
ガムの土台は消化されないが、腸の動きで運ばれ、ふつうは数日で便として出る。
- 対象
- 子どもの症例+消化管の生理学
- 規模
- 数例の症例報告
- 研究の種類
- 症例報告・総説
- 確かさ
- ★★★☆☆
ガムの土台は消化されないが、ほかの消化しにくいものと同じく数日で外に出る。7年残ることはない。ただし大量に飲み込む習慣で詰まった例はある。
ひとことで言うと1枚飲み込んでも大丈夫。数日でちゃんと出ていくよ!
「ガムを飲み込んじゃダメ! 7年間お腹の中に残るんだから」
子どものころ、こう言われてドキッとした経験はありませんか? うっかり飲み込んでしまった日は、自分のお腹の中で7年間ガムが居座る様子を想像して、ちょっと怖くなったものです。
結論から言うと、これは都市伝説。でも、まったく根拠のない話かというと、そうとも言い切れない“ちょっとした真実”も隠れていました。
01ガムは「消化されない」のは本当
まず、本当の部分から。
ガムは、甘味料や香料のほかに、ガムベース(=噛んでも溶けない、ガムの“土台”になる部分)でできています。ガムベースは樹脂やゴムのような成分でできていて、私たちの胃や腸の消化液では、ほとんど分解されません。
ここまでは、言い伝えのとおりです。
02でも、消化されない=居座る、ではない
実は私たちは、毎日のように消化できないものを食べています。トウモロコシの粒の皮、野菜の固い繊維、果物の種……。これらも消化されませんが、お腹にたまり続けることはありません。
腸は、中身を少しずつ先へ送り出すぜん動運動(=筋肉が波のように縮んで、中身を押し進める動き)をしています。さらに、食事と食事の間、お腹が空っぽのときには、胃から腸へ向かって強い“おそうじの波”(=伝播性移動性収縮、略してMMC)が1〜2時間おきくらいに起こり、消化しきれなかったものを押し流していくことがわかっています。

だから、うっかり飲み込んだ1枚のガムは、ほかの消化しにくい食べ物と同じように運ばれ、ふつうは数日のうちに便として外へ出ていきます。7年間も居座る理由はないのです。
03“ちょっとした真実”――詰まった子どもたち
ここからが、この話のもうひとつの顔です。
ベゾアールとは、消化されないものが胃や腸の中で固まってできる“かたまり”のこと。便秘やお腹の痛みの原因になり、場合によっては取り除く処置が必要になります。
ポイントは、これが主に「大量に、くり返し」飲み込んでいた場合だということ。うっかり1枚飲み込んだくらいで起きる話ではありません。
04「7年」はどこから来たの?
7年という数字に、科学的な根拠は見当たりません。出どころははっきりしませんが、子どもにガムを飲み込ませないためのしつけの言葉として広まったと考えられています。
「飲み込むと7年残る」と言われれば、子どもは怖くて飲み込まなくなります。実際、小さな子どもにとってガムは喉に詰まらせるおそれもあるので、「飲み込まないで」というメッセージ自体は正しいのです。
05まとめ
- ガムの土台は消化されないのは本当
- でも、ほかの消化しにくいものと同じく、ふつうは数日で外に出る。7年は残らない
- 毎日大量に飲み込む習慣があると、お腹で固まる例が報告されている
うっかり1枚飲み込んでも、心配はいりません。ただし、ガムは噛んで楽しむもの。最後は紙に包んでゴミ箱へ、が正解です。
この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Swallowed gum stays in your stomach for seven years" is a well-known warning, but it is an urban legend.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many children hear, "If you swallow gum, it stays in your stomach for seven years!" This is an urban legend. It is true that your body cannot digest the base of gum.
But we eat many things that we cannot digest, like corn skins and seeds. The muscles of the intestine push them along. A piece of gum usually leaves the body in a few days. But swallowing a lot of gum every day can cause problems.
77 words ・ CEFR A2
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多くの子どもは「ガムを飲み込むと、7年間お腹に残るよ!」と聞かされます。これは都市伝説です。
体がガムの土台を消化できないのは本当です。しかし私たちは、トウモロコシの皮や種など、消化できないものをたくさん食べています。腸の筋肉がそれらを先へ押し進めます。ガム1枚はふつう数日で体の外へ出ます。ただし、毎日たくさんのガムを飲み込むと問題が起こることがあります。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
飲み込んだガムが実際にはどうなるかを説明しているので B。
Q2. How long does a piece of swallowed gum usually stay in the body?
A piece of gum usually leaves the body in a few days. とあるので C。
Q3. In this passage, "digest" means to ...
digest は「消化する」=体の中で食べ物を分解することなので A。
"Swallowed gum stays in your stomach for seven years" is a well-known warning, but it is an urban legend. Part of it is true: gum base, the part that does not dissolve when you chew, cannot be digested. However, being indigestible does not mean staying forever. We regularly eat things we cannot digest, such as corn skins and seeds, and they pass through us. The intestines move food along with wave-like muscle movements, and when the stomach is empty, strong cleaning waves push leftover material forward.
So a single piece of gum usually leaves the body within a few days. However, a 1998 report described two children who developed blockages because they swallowed gum every day. The seven-year story probably began as a way to stop children from swallowing gum.
130 words ・ CEFR B1
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「飲み込んだガムは7年間お腹に残る」はよく知られた警告ですが、都市伝説です。その一部は本当です。噛んでも溶けない部分であるガムベースは消化できません。しかし、消化できないことは永遠にとどまることを意味しません。私たちはトウモロコシの皮や種など、消化できないものを日常的に食べており、それらは体を通り抜けていきます。腸は波のような筋肉の動きで食べ物を先へ運び、胃が空のときには強い「おそうじの波」が残ったものを押し進めます。
ですから、ガム1枚はふつう数日以内に体の外へ出ます。しかし、1998年の報告では、毎日ガムを飲み込んでいたために詰まりが起きた子どもたちが紹介されました。7年の話は、おそらく子どもにガムを飲み込ませないための方法として始まったのでしょう。
4択リーディングクイズ
Q1. Which part of the legend is true?
Part of it is true: gum base ... cannot be digested とあるので D。
Q2. What did the 1998 report describe?
children who developed blockages because they swallowed gum every day とあるので C。
Q3. Why might the seven-year story have started?
最終文 began as a way to stop children from swallowing gum より A。
Generations of children have been told that swallowed gum sits in the stomach for seven years. Nobody has ever found a scientific source for that number, though the warning does start from something real. Gum base, the resin-like material that makes gum chewy, resists our digestive enzymes and is essentially indigestible.
But food that cannot be digested does not have to stay put. Corn kernels, tough vegetable fibers and fruit seeds also travel through us undigested, and they do not pile up. Peristalsis, the wave-like contraction of the gut wall, keeps everything moving. Between meals, a strong pattern of contractions called the migrating motor complex sweeps leftover solids out of the stomach and further down the tract. A single piece of gum normally leaves the body within a few days.
Trouble comes from habit. A 1998 paper in Pediatrics described children who developed bezoars, compact masses that can block the digestive tract, after swallowing large amounts of gum day after day, sometimes together with objects such as coins. These were individual case reports, so they cannot tell us how common such blockages are. And in two of the three cases, the child had been swallowing gum again and again.
199 words ・ CEFR B2
和訳を見る
何世代もの子どもたちが、飲み込んだガムは7年間胃にとどまると言われてきました。この数字の科学的な出どころは誰も見つけていませんが、この警告は本当のことから出発してはいます。ガムに噛みごたえを与える樹脂のような素材であるガムベースは、消化酵素に分解されにくく、基本的に消化できません。
しかし、消化できない食べ物がその場にとどまり続けるとは限りません。トウモロコシの粒、固い野菜の繊維、果物の種も消化されないまま体の中を通っていきますが、たまっていくことはありません。消化管の壁が波のように収縮するぜん動運動が、中身をすべて動かし続けます。食事の合間には、伝播性移動性収縮と呼ばれる強い収縮のパターンが、残った固形物を胃から押し出し、消化管の先へと送ります。ガム1枚は通常、数日以内に体の外へ出ます。
問題を起こすのは習慣です。1998年の『Pediatrics』の論文は、大量のガムを毎日のように飲み込み、時には硬貨などの物も一緒に飲み込んだ結果、消化管をふさぎうる固いかたまりである胃石ができた子どもたちを紹介しました。これらは個別の症例報告なので、こうした詰まりがどれほどよく起こるのかはわかりません。そして、3例のうち2例では、子どもは何度も繰り返しガムを飲み込んでいました。
4択リーディングクイズ
Q1. Why does the author mention corn kernels and fruit seeds?
they do not pile up(たまっていかない)とあり、消化できなくても体を通り抜ける例として挙げているので A。
Q2. What is the role of the migrating motor complex?
Between meals ... sweeps leftover solids out of the stomach とあるので C。
Q3. What limitation of the 1998 reports does the author point out?
they cannot tell us how common such blockages are とあるので B。個別の症例報告では頻度がわからない。
重要単語
- swallowB1動詞飲み込むSwallowing one piece of gum is usually harmless.
名詞で「ツバメ」の意味も。swallow one's pride「プライドを抑える」。 - digestB2動詞消化するYour body cannot digest gum base.
「(情報を)理解する」の意味も。名詞 digestion、形容詞 digestive。 - intestineC1名詞腸The intestine moves food along with waves of muscle.
small intestine(小腸)/large intestine(大腸)。gut は口語的な言い方。 - blockageC1名詞詰まり、閉塞A large mass of gum caused a blockage.
block(ふさぐ)+-age。road blockage「道路の封鎖」にも使う。 - urban legendB2名詞(句)都市伝説The seven-year story is an urban legend.
urban は「都市の」。反対は rural(田舎の)で、入試の対義語として頻出。 - indigestibleC1形容詞消化できないGum base is indigestible.
in-(否定)+digest+-ible。比喩で「(情報が)理解しにくい」にも使う。 - accumulateC1動詞たまる、蓄積するUndigested food does not accumulate in the gut.
名詞 accumulation。accumulate wealth / data など、入試長文で頻出。
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「ガムを飲み込むと7年間お腹に残る」って子どものころ信じてたけど、ガムは消化されないまま数日で外に出るらしい。ただし毎日何枚も飲み込む習慣があった子で、お腹に詰まった例が報告されてるとか。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Milov et al. (1998) Chewing Gum Bezoars of the Gastrointestinal Tract, Pediatricsdoi.org
- Deloose et al. (2012) The migrating motor complex: control mechanisms and its role in health and disease, Nature Reviews Gastroenterology & Hepatologydoi.org
- 米国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)Your Digestive System & How it Worksniddk.nih.gov
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










