「静電気体質」は本当にある? バチッとくる人とこない人を分けていたのは"服と靴と空気"だった

読む前に予想してみよう!
静電気がたまりやすいかどうかは、生まれつきの体質だけで決まっている
服の素材、靴、湿度、肌の乾燥など、変えられる条件の影響が大きい。
- 対象
- 素材・物理実験
- 規模
- 数十種類の材料の測定など
- 研究の種類
- 物理実験・工学研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
医学的な「静電気体質」という分類はない。ただ肌の乾燥、服の素材の組み合わせ、電気を逃がしにくい靴、湿度などで、たまりやすさに個人差は出る。
ひとことで言うと「体質」というより「服・靴・乾燥」の組み合わせで、バチッとくるかが決まるよ。
冬のドアノブ、車のドア、エレベーターのボタン。指先に「バチッ!」。
何度やられても慣れない、あの痛み。そして、なぜか毎回やられる人と、ほとんどやられない人がいます。「私、静電気体質なんだよね」という言葉もよく聞きます。
でも、そんな「体質」は本当にあるのでしょうか。
01そもそも静電気はどうやってたまる?
静電気の始まりはこすれ合い(摩擦)です。
2つのものが触れて離れるとき、片方からもう片方へ電子が移ります。電子を受け取ったほうはマイナスに、渡したほうはプラスに帯電します。これを摩擦帯電といいます。
歩くと靴底と床がこすれ、服どうしもこすれ合います。私たちの体は、日常の動きの中で知らず知らずのうちに電気をため込んでいるのです。そして、ドアノブのような金属に近づいたとき、ためこんだ電気が一気に流れる――それが「バチッ」の正体です。
02素材には「電気の好み」がある
どのくらい帯電するかは、こすれ合う素材の組み合わせで大きく変わります。
一般に、ウールやナイロンなどはプラスに、ポリエステルやアクリルなどの化学繊維はマイナスに帯電しやすいとされます。たとえばウールのセーターの上にポリエステルのダウンジャケットのような重ね着は、静電気がたまりやすい組み合わせになりがちです。
03冬に多いのは「空気が乾いている」から
静電気が冬に多いのは、湿度のせいです。
空気中や物の表面に水分が多いと、たまった電気は少しずつ逃げていきます。ところが空気が乾燥していると、電気が逃げにくく、どんどんたまってしまう。湿度と帯電の関係は、1960年代にはすでに工学の分野で研究されていました。
04「体質」に見える個人差の正体
では、人によって「やられやすさ」が違うのはなぜでしょう。考えられる要因はいくつもあります。
- 服の素材の組み合わせ:帯電しやすい重ね着をしているか
- 靴:ゴムやプラスチックの靴底は電気を地面に逃がしにくい
- 肌の乾燥:肌がしっとりしていると、電気が少しずつ逃げやすいと考えられる
- 体の大きさや動き方:たまる電気の量に関わる(人体がためられる電気の量は、靴と床材の組み合わせでも変わる)

つまり「静電気体質」に見えるのは、多くの場合、その人の服装や靴、生活環境の組み合わせなのです。医学的に「静電気がたまりやすい体質」という分類があるわけではありません。
ただし、肌の乾燥しやすさには生まれつきの個人差もあるので、完全に体と無関係とも言い切れません。「体質だけで決まる」わけではない、というのが正確なところです。
05バチッを減らすコツ
条件を変えれば、静電気は減らせます。
- 部屋を加湿する
- 帯電しにくい素材の組み合わせを選ぶ(綿などを間にはさむ)
- 金属に触る前に、壁や木の部分に手をつけて電気を少しずつ逃がす
- 鍵や硬貨など金属を持ってドアノブに触れる(火花が指先ではなく金属の先で起こる)
- ハンドクリームで肌の乾燥を防ぐ
06まとめ
- 医学的な「静電気体質」という分類はない
- たまりやすさを決めるのは、服の素材・靴・湿度・肌の乾燥などの組み合わせ
- 条件を変えれば、バチッは減らせる
「体質だから仕方ない」とあきらめる前に、今日の服と靴を見直してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSome people call themselves "static-prone," but there is no medical category for this.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In winter, some people often get a small shock when they touch a door handle. They say, "My body type makes static electricity."
But doctors do not recognize such a body type. Static electricity is made when two things rub together. Some clothes, like a wool sweater under a polyester jacket, make a lot of it. Shoes with rubber soles and dry air also make shocks more common.
68 words ・ CEFR A2
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冬になると、ドアノブに触れたときによく小さなショックを受ける人がいます。彼らは「私の体質が静電気を作るんだ」と言います。
しかし、医師はそのような体質を認めていません。静電気は、2つのものがこすれ合うときに生まれます。ポリエステルの上着の下にウールのセーターを着るなど、服によってはたくさんの静電気が生まれます。ゴム底の靴や乾いた空気も、ショックを起こりやすくします。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
静電気のショックの本当の原因についての話なので C。
Q2. When is static electricity made?
Static electricity is made when two things rub together. とあるので D。
Q3. In this passage, "common" means ...
common は「よくある・ふつうの」。ショックが起こりやすくなる=よく起きる、なので B。
Some people call themselves "static-prone," but there is no medical category for this. Static electricity builds up when two materials touch and separate, because electrons move from one to the other. How much charge builds up depends greatly on the combination of materials. In a 2019 study, researchers measured dozens of materials and ranked them by how easily they become positive or negative. Materials far apart on this list tend to create more charge when rubbed together.
For example, wool tends to become positive and polyester negative. Shoes with rubber soles make it hard for electricity to escape into the ground, and dry winter air lets charge build up. So the difference between people mostly comes from clothes, shoes and the environment, which means shocks can be reduced.
128 words ・ CEFR B1
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自分のことを「静電気体質」と呼ぶ人がいますが、これに当たる医学的な分類はありません。静電気は、2つの素材が触れて離れるとき、電子が一方からもう一方へ移ることでたまります。どれだけ電気がたまるかは、素材の組み合わせに大きく左右されます。2019年の研究で、研究者たちは数十種類の素材を測定し、プラスとマイナスのどちらになりやすいかで順位をつけました。この表で遠く離れた素材どうしをこすり合わせると、より多くの電気が生まれやすい傾向があります。
たとえば、ウールはプラスに、ポリエステルはマイナスになりやすい傾向があります。ゴム底の靴は電気が地面に逃げるのを妨げ、冬の乾いた空気は電気をたまりやすくします。つまり人による違いは主に服・靴・環境から来ており、ショックは減らせるということです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why does static electricity build up?
because electrons move from one to the other とあるので A。
Q2. What did the 2019 study do?
measured dozens of materials and ranked them by how easily they become positive or negative とあるので D。
Q3. What can we infer from the last sentence?
違いは服・靴・環境によるので which means shocks can be reduced。服や靴を変えれば減らせると推測できるので C。
Many people who often get static shocks in winter blame a "static-prone constitution," but medicine recognizes no such thing. Static charge comes from triboelectric charging. When two surfaces touch and separate, electrons move from one to the other, leaving one positively charged and the other negatively charged. How much charge builds up depends heavily on which materials meet.
In 2019, researchers measured dozens of materials with a single standardized method and produced a quantitative triboelectric series. Materials far apart on that scale tend to generate more charge. Wool and nylon tend to charge positively, and synthetic fibers such as polyester and acrylic negatively, so a wool sweater under a polyester down jacket is a likely recipe for shocks. Humidity matters too, as engineering research from the 1960s has shown.
Moisture lets charge leak away gradually, while dry winter air lets it accumulate. The body itself may play a part, since dry skin may hold charge more easily and skin dryness varies between people, though direct comparisons in humans are scarce. Shoes matter more clearly. Rubber or plastic soles hinder charge from escaping to the ground, and the amount the body stores varies with the combination of footwear and flooring.
199 words ・ CEFR B2
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冬によく静電気のショックを受ける人の多くは「静電気体質」のせいにしますが、医学ではそのようなものは認められていません。静電気は摩擦帯電によって生じます。2つの表面が触れて離れるとき、電子が一方からもう一方へ移り、一方がプラスに、もう一方がマイナスに帯電するのです。どれだけの電気がたまるかは、どの素材が触れ合うかに大きく左右されます。2019年、研究者たちは数十種類の素材を1つの標準化された方法で測定し、数値化された摩擦帯電列を作りました。
この尺度で遠く離れた素材どうしほど、多くの電気が生まれやすい傾向があります。ウールやナイロンはプラスに、ポリエステルやアクリルなどの化学繊維はマイナスに帯電しやすいので、ポリエステルのダウンジャケットの下にウールのセーターという組み合わせは、ショックが起きやすい典型です。1960年代の工学研究が示すように、湿度も重要です。水分があると電気は少しずつ逃げていきますが、冬の乾いた空気では電気がたまっていきます。
体そのものも関わっているかもしれません。乾燥した肌は電気を保ちやすい可能性があり、肌の乾燥具合には個人差があるからです。ただし、人を直接比べた研究はほとんどありません。靴の影響はもっとはっきりしています。ゴムやプラスチックの靴底は電気が地面へ逃げるのを妨げ、体がためる電気の量は靴と床材の組み合わせによっても変わります。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the author's conclusion about the "static-prone constitution"?
医学的な分類はなく、素材・湿度・靴が主な要因だが、The body itself may play a part と肌の乾燥にも触れているので B。
Q2. According to the passage, why does dry air increase static charge?
Moisture lets charge leak away gradually, while dry winter air lets it accumulate とあるので C。
Q3. What limitation does the author mention about the role of skin?
direct comparisons in humans are scarce とあるので A。
重要単語
- static electricityB1名詞(句)静電気Static electricity builds up in dry weather.
static は「静止した」。a static shock「静電気のショック」。 - frictionB2名詞摩擦Friction between materials creates charge.
人間関係の「摩擦・不和」の意味でも使う(friction between the two countries)。 - triboelectricC1形容詞摩擦帯電のThe triboelectric series ranks materials by charge.
tribo-(こする:ギリシャ語)+electric。専門語だが語源で覚えやすい。 - humidityB2名詞湿度Low humidity makes static shocks more common.
humid(湿った)の名詞。humidifier は「加湿器」。 - dischargeC1名詞・動詞放電(する)A spark is a sudden discharge of electricity.
dis-(離す)+charge(積む)。病院から「退院させる」の意味もある。 - accumulateC1動詞たまる、蓄積するCharge accumulates when the air is dry.
ac-(~へ)+cumul(積み重ね)。cumulative(累積的な)も同語源。
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冬になると「私、静電気体質だから」という人がいるけど、医学的な"体質"の分類はないらしい。カギは服の素材の組み合わせ、ゴム底の靴、乾いた空気。逆に言えば、組み合わせを変えればバチッは減らせる。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Zou et al. (2019) Quantifying the triboelectric series, Nature Communicationsdoi.org
- Sasser, Splinter & Bowen (1967) Effect of Relative Humidity on the Electrostatic Charging Process, Transactions of the ASAEdoi.org
- Jonassen (1998) Human body capacitance: static or dynamic concept?, EOS/ESD Symposium Proceedingsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











