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第13章|素材と道具の使いこなしコラム2026-09-282026-10-09 更新

英語で授業を行うコツ|伝わるTeacher Talkと指示の英語

学習指導要領では、中学・高校ともに「授業は英語で行うことを基本とする」ことが示されています。とはいえ、英語で話すと生徒がポカンとしてしまう、説明が長くなってしまう、という悩みは多いものです。この記事では、生徒に伝わる英語(Teacher Talk)の工夫と、場面別のクラスルーム・イングリッシュを紹介します。

01Teacher Talkとは:生徒にとって最初のインプット

Teacher Talkは、教師が授業中に話す英語のことです。教科書の音声と並んで、生徒にとって最も身近なインプットの一つになります。

学習指導要領では、授業は英語で行うことを基本とし、その際は生徒の理解の程度に応じた英語を用いることが示されています。つまり、ただ英語で話すのではなく、「生徒が分かる英語で話す」ことが大切だということです。

生徒に伝わるTeacher Talkには、次のような特徴があります。

  • ゆっくり、はっきり話す(ただし不自然に区切りすぎない)
  • 短い文で話す
  • 既習の語彙を中心に使う
  • 身振り、表情、実物、絵、板書で意味を補う
  • 大事なことは言い換えて繰り返す

ポイント:「全部英語」より「伝わる英語」を目指しましょう。理解できないまま英語が流れる時間は、生徒にとって学びになりにくくなります。

02伝わる英語にする5つのテクニック

1. 短く区切る

× Please open your textbook to page 45 and read the dialogue with your partner, and then answer the questions.
○ Open your textbook. Page 45. (見せる) Read the dialogue with your partner. Then, answer the questions.

2. 言い換える

難しい単語を使ったら、すぐにやさしい言葉で言い換えます。This is an ancient temple. Ancient means very, very old.

3. 見せる

説明するより、やって見せます。Watch me. と言って先生がデモをしてから、Now, your turn. と促します。

4. 確認の質問をする

Do you understand? と聞くと、多くの生徒は Yes と答えてしまいます。代わりに、内容を確認する質問をします。How many minutes do you have? — Three minutes! Who starts, A or B? — A!

5. 板書やスライドで補う

指示の要点(ページ番号、時間、やること)はスクリーンに出しておきます。聞き逃した生徒も、目で確認できます。

伝わる指示の出し方BBC Learning English|The Teachers' Room: Top tips for giving instructions

使い方:活動の指示をわかりやすく出すためのヒントを紹介するBBCの教師向け動画です。この節の5つのテクニックと比べ、自分の指示に足りないものを1つ選んで明日試します。

03自分のTeacher Talkの難しさを確かめるサイトと、5分の点検手順

「生徒の理解の程度に応じた英語」になっているかは、感覚だけでは判断しにくいものです。自分が授業で話す英語を書き出し、次のサイトで単語の難しさを確かめると、言い換えるべき語がはっきりします。

目的使うサイト使い方
使った単語のレベルを見るText Inspector英文を貼ると、使った単語のレベル(CEFR)を分析してくれる(無料版は語数に制限あり)。指示や説明の原稿を貼り、難しい語を探す
意味ごとのレベルを確かめるEnglish Vocabulary Profile同じ単語でも意味ごとのレベルがわかる。気になった語を調べ、生徒にとって既習かどうかの目安にする
やさしい言い換えを探すLongman Dictionary約2000語で定義を書いている英英辞典。ancient のような語の定義を読み、Ancient means ... の言い換えの材料にする
授業の映像で確かめる外国語活動・外国語科授業を観る(文部科学省)授業動画で、先生がどんな長さの文で指示しているかを聞き、自分の指示と比べる

指示の英語を5分で点検する手順

  1. 明日の授業で使う指示と説明を、話す通りに英語で書き出す(2分)
  2. Text Inspector に貼り、レベルの高い語に印をつける(1分)
  3. 印の語を、既習の語に言い換えるか、Longman の定義を参考に言い換えを添える(1分)
  4. 1文が長すぎるものは、この節の「短く区切る」に従って2〜3文に分ける(1分)

毎日続ける必要はありません。新しい単元の最初の授業の前だけでも点検すると、自分が使いがちな難しい語の傾向が見えてきます。

04場面別クラスルーム・イングリッシュ

よく使う場面ごとに、短くて伝わりやすい表現をまとめます。

授業の始まり

  • Good morning, everyone. How are you today?
  • Let's check today's goal.

活動の指示

  • Make pairs. / Make groups of four.
  • You have three minutes.
  • Start! / Time's up. / Stop, please.

ほめる・励ます

  • Good job! / Nice try! / That's a great idea.
  • Almost! Try again.
  • Don't worry about mistakes.

確認・促し

  • Any questions?
  • Can you say that again, louder?
  • Who can help him?

授業の終わり

  • Let's review today's lesson.
  • Your homework is page 30.
  • See you next time.

同じ場面では毎回同じ表現を使うのがコツです。生徒は繰り返し聞くことで、意味を覚えて反応できるようになります。

05日本語を使う場面をどう考えるか

「英語で授業を行うことを基本とする」は、日本語を一切使ってはいけないという意味ではない、と考える先生が多いです。どのような場面で日本語を使うかは、学習指導要領の解説や学校・地域の方針も確認しつつ、あらかじめ決めておくと迷いが減ります。

日本語を使う場面の例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 複雑な文法の仕組みを短く整理するとき
  • 安全や生活指導に関わる大事な連絡
  • 生徒の心のケアが必要な場面

逆に、英語で行いやすいのは、あいさつ、活動の指示、ほめ言葉、簡単な質問、教科書本文の内容についてのやり取りなどです。

おすすめは、日本語を使ったら、同じことを英語でも言うことです。たとえば文法を日本語で説明したあと、So, when we talk about the past, we use "-ed". と英語でまとめ直すと、英語のインプットも確保できます。

英語が苦手な先生のための回答光村図書|#35 Here We Come!「私は英語を話すのがあまりうまくありません。授業ではすべて英語で話さなければならないのでしょうか。」(令和2年度版・小学校)

使い方:英語を話すのが得意でない先生の「すべて英語で話すべきか」という質問への教科書会社の回答です。小学校向けですが、この節の日本語を使う場面の考え方を整理する参考にします。

0640人クラスでのよくある失敗と対策

失敗1:先生ばかり話している

英語で授業をしようとすると、説明が長くなりがちです。先生が話す時間を測ってみると、意外に長いことがあります。指示は30秒以内を目安にし、残りは生徒の活動時間に回しましょう。

失敗2:一部の生徒だけが理解している

英語の得意な生徒が反応するので、クラス全体が分かっていると勘違いしがちです。内容確認の質問をクラス全体に投げ、指で数を出させる(Show me with your fingers.)など、全員の理解を見える形にしましょう。

失敗3:分からない生徒が置いていかれる

活動を始める前に、ペアで「何をするか」を日本語で確認し合う時間を10秒だけ取る方法もあります。英語の指示を理解できたかを、生徒同士で補い合えます。

失敗4:難しい語彙を使いすぎる

自分の話す英語を録音して聞き直すと、生徒にとって難しい単語や、長すぎる文に気づけます。

指示確認質問ICQsの完全ガイドJo Gakonga - ELT Training|CELTA - The Ultimate Guide to Instruction Checking Questions (or ICQs)

使い方:指示が伝わったかを確かめる質問(ICQs)の使い方と注意点をまとめた動画です。この節の Do you understand? の代わりに使う確認の質問を3つ作ります。

07生徒の反応を引き出すTeacher Talkの質問

英語で授業を進めるとき、先生が一方的に話すだけでは、生徒は受け身になってしまいます。Teacher Talkの中に、生徒が反応できる「質問」を意識的に入れましょう。

反応しやすい質問から始める

  • Yes/No で答えられる質問:Do you like summer?
  • 選択肢のある質問:Which do you like better, summer or winter?
  • 手を挙げるだけの質問:Raise your hand if you have a dog.

最初は答えやすい質問から始め、生徒が慣れてきたら、理由を問う質問(Why do you think so?)に進みます。

待つ時間を取る

質問をしたら、すぐに当てずに3〜5秒待つことが大切です。英語で考えて答えるには、日本語よりも時間がかかります。Think for a moment. と言って、考える時間を明示してもよいでしょう。

生徒の答えを広げる

生徒が単語だけで答えたときは、それを文にして返すと、よいインプットになります。

  • Teacher: What did you eat for breakfast?
  • Student: Bread.
  • Teacher: Oh, you ate bread for breakfast. With jam? With butter?

このように、先生の質問と言い直し(リキャスト)を組み合わせることで、生徒は無理なく英語でのやり取りに参加できます。授業の中で、生徒への質問を10回以上入れることを目標にしてみてください。

生徒の英語を引き出すやり取り文部科学省/mextchannel|「生徒の英語による発話を引き出す教師と生徒とのやり取り」【授業編】東京都立本所高等学校 中鉢 健治 先生

使い方:高校の授業で、教師と生徒のやり取りから生徒の英語を引き出す様子を紹介する文部科学省の動画です。この節の質問・待つ時間・言い直しが実際にどう使われるかを確かめます。

08今日からできる1週間の練習

  • 月:自分がよく使う指示を10個書き出し、短い英語にする
  • 火:授業の始まりと終わりのあいさつを、毎回同じ英語にする
  • 水:指示を出す前に、先生がデモをしてみせる
  • 木:Do you understand? の代わりに、内容確認の質問を使う
  • 金:自分の授業を5分だけ録音し、話す速さと文の長さをチェックする

Teacher Talkは、一度に変えなくても大丈夫です。毎日1つずつ試していけば、1か月後には英語で授業を進めることが自然になっているはずです。

教師の話す時間を減らす工夫American English|Teaching Tips from AE - Reducing Teacher Talk Time

使い方:教師の話す時間を減らす方法を扱う教師向けの動画です。金曜に授業を5分録音して聞き直すときに、減らせる説明がどこにあるかを考える手がかりにします。

このコラムで使うサイト・アプリ

もっと見たい人へ

クラス運営の基本を10分で総復習British Council | TeachingEnglish|Teaching tips: Managing classrooms
TPRの授業を映像で見るCambridge University Press ELT|Total Physical Response (TPR) - Teacher Training film no. 8

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よくある質問

英語の発音に自信がありません。英語で授業をしても大丈夫ですか?

大丈夫です。大切なのは、生徒に伝わることと、英語を使う姿を見せることです。発音のモデルが必要な場面では、デジタル教材の音声やALTの協力を活用するとよいでしょう。

英語で説明しても生徒が理解できないときは?

短く区切る、言い換える、やって見せる、スクリーンで補うなどの工夫をしても伝わらない場合は、要点だけ日本語で確認し、その後英語でまとめ直す方法もあります。

オールイングリッシュにしなければいけませんか?

学習指導要領では、授業は英語で行うことを基本とし、生徒の理解の程度に応じた英語を用いることが示されています。日本語を使う場面の考え方は、学習指導要領の解説や学校の方針を確認しましょう。

読了ボーナス

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ホント?ウソ?10問チャレンジ目から鱗をぜんぶ見る

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