英語のパフォーマンステストとルーブリックの作り方|例と運営のコツ
話す力や書く力は、ペーパーテストだけでは測りきれません。そこで欠かせないのが、実際に英語を使う様子を評価するパフォーマンステストと、評価の基準を示すルーブリックです。この記事では、ルーブリックの作り方と例、40人を効率よく評価する運営の工夫を紹介します。

01パフォーマンステストとルーブリックとは
パフォーマンステストは、生徒が実際に英語を話したり書いたりする様子を見て評価する方法です。たとえば、ALTとの1分間のやり取り、スピーチ、プレゼンテーション、エッセイなどがあります。
ルーブリックは、評価の観点(何を見るか)と段階(どのくらいできているか)を表にしたものです。
ルーブリックを使う利点は、次のとおりです。
- 評価の基準がはっきりし、先生によるばらつきが減る
- 事前に生徒に示すことで、何をがんばればいいかが分かる
- 評価結果を生徒に返すときに、次の目標を具体的に伝えられる
ポイント:ルーブリックは「評価のための道具」であると同時に、「指導のための道具」です。テストの前に生徒に見せ、練習の目標として使いましょう。
使い方:形成的評価の研究で知られるディラン・ウィリアム氏が形成的評価を語る短い動画です。ルーブリックを「指導のための道具」として使う考え方の裏づけにします。
02ルーブリックを作る4つのステップ
ステップ1:テストのねらいを1文にする
例:「自分の好きな場所について、理由を2つ添えて1分間話すことができる」
ステップ2:観点を3つ程度に絞る
観点が多すぎると、評価する先生も生徒も混乱します。スピーキングなら、次の3つ程度が扱いやすいです。
- 内容(伝えたいことと理由が含まれているか)
- 言語(語彙や文法が適切に使われているか)
- 伝え方(声の大きさ、アイコンタクト、流暢さ)
ステップ3:段階を決める
3段階(A・B・C)か4段階が使いやすいです。段階が多すぎると、判断に迷う場面が増えます。
ステップ4:各段階を具体的な言葉で書く
「よくできている」「まあまあ」のような曖昧な言葉ではなく、観察できる行動で書きます。
- ×「理由がよく伝わる」
- ○「理由を2つ述べ、それぞれに具体例がある」
学校で観点別の評価(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)とどう対応させるかは、学校内で話し合い、国立教育政策研究所の参考資料なども確認しながら決めるとよいでしょう。
使い方:評価の観点と尺度の作り方を順に考えるルーブリック設計のワークショップ録画です。この節の4ステップを進めながら、自分のルーブリックの観点を3つに絞ります。
03ルーブリック例:中学2年「好きな場所を紹介しよう」
スピーチ(1分間)のルーブリック例です。
内容
- A:好きな場所と理由を2つ以上述べ、それぞれに具体的な説明がある
- B:好きな場所と理由を1〜2つ述べている
- C:好きな場所は述べているが、理由がない
言語
- A:既習の表現を正しく使い、聞き手が理解に困る誤りがほとんどない
- B:誤りはあるが、意味は伝わる
- C:誤りが多く、意味が伝わりにくい部分がある
伝え方
- A:聞き手を見ながら、はっきりした声で、止まらずに話している
- B:時々原稿を見るが、聞き手に伝わる声で話している
- C:原稿を読み上げるだけで、聞き手に伝わりにくい
生徒が話す内容のモデルも示します。
- My favorite place is the park near my house. I have two reasons. First, I can play basketball with my friends there. Second, there are many cherry trees, so it's beautiful in spring. Please visit it!
モデルをAの例として示すと、生徒は目標をイメージしやすくなります。
04段階の言葉づくりに使える公式資料と、学年で評価をそろえる手順
ルーブリックの「段階の言葉」を、観察できる行動で書くのは意外に難しいものです。公式の資料の書き方を参考にすると、言葉選びが速くなり、校内で説明もしやすくなります。
| 資料 | 開くページ | 使い方 |
|---|---|---|
| 評価の参考資料 | 指導資料・事例集(国立教育政策研究所) | 「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料が校種別にある。外国語の事例で、観点と評価場面の結びつけ方を確かめる |
| 「できること」の書き方 | 英検Can-doリスト(日本英語検定協会) | 級ごとに、英語で何ができるかを文で示したリスト。段階の言葉を「〜できる」の形で書くときの言い回しの参考にする |
| 学習指導要領の目標 | 中学校学習指導要領解説(文部科学省) | 話すこと[発表]の目標の文言を確かめ、テストのねらいの1文と結びつける |
| 授業の映像 | 外国語活動・外国語科授業を観る(文部科学省) | 生徒の発表の様子を見て、A・B・Cの段階がどんな姿かを学年の先生と話し合う材料にする |
学年で評価をそろえる手順(30分)
- 練習テストの録画から、出来の違う3人分(本人の了解のうえで匿名にしたもの)を選ぶ
- 学年の先生がそれぞれ、ルーブリックで3人分を評価する(10分)
- 評価が分かれた観点について、どの言葉の解釈がずれたかを話し合う(15分)
- ずれた段階の言葉を、より観察できる行動に書き直す(5分)
この「すり合わせ」を本番の前に1回だけでも行うと、先生によるばらつきが減り、生徒に返すときの説明にも自信が持てます。
0540人を効率よく評価する運営方法
40人のスピーキングテストを授業時間内に行うのは大変です。次の方法を組み合わせましょう。
方法1:録画・録音提出
1人1台端末で自分のスピーチを録画し、提出させます。先生は授業時間外に評価できます。ただし、何度も撮り直せるので、「1回で撮る」「原稿を見ない」などのルールを決めておきます。
方法2:教室の隅でテスト、他の生徒は自習
先生(またはALT)が教室の隅で1人ずつテストし、他の生徒は練習や別の課題に取り組みます。1人1分なら、1時間で約30人を評価できます。自習の課題を充実させておくことが大切です。
方法3:ペアでのやり取りテスト
2人1組で、ALTや先生が出したお題についてやり取りをします。2人同時に評価できるので、時間が半分になります。
方法4:評価シートの工夫
ルーブリックを縮小した記入欄を名簿の横に作り、A・B・Cに○をつけるだけにします。コメントは、全員に書くのではなく、特に良かった点と改善点を1つずつ短く書きます。
テスト中の英語の指示の例です。
- You have one minute. Please start when you're ready.
- Thank you. That was great. You can go back to your seat.
06よくある失敗と、フィードバックの返し方
よくある失敗
- ルーブリックをテスト直前に見せる:練習段階から見せて、生徒が自己評価に使えるようにしましょう
- 観点が多すぎる:5観点以上になると、評価に時間がかかり、判断もぶれやすくなります
- 段階の言葉が曖昧:「よい」「ふつう」ではなく、観察できる行動で書きましょう
- テストを1回で終わらせる:単元の途中で練習テスト(評価には入れない)を入れると、生徒は改善の機会を得られます
フィードバックの返し方
- ルーブリックに○をつけたシートを返す
- 自己評価と先生の評価を比べさせ、ギャップがあった観点について振り返りを書かせる
- 次のテストに向けて、「次はここを1つ上げよう」と目標を1つ書かせる
評価を「点数をつけて終わり」にせず、次の学びにつなげることが大切です。
使い方:成績に直結しない手軽な形成的評価の活動を7つ紹介する動画です。この節の「練習テスト(評価には入れない)」の代わりや補いとして使える活動を1つ選びます。
07ライティングのルーブリック例:高校1年「意見文」
スピーキングだけでなく、ライティングのパフォーマンステストにもルーブリックは有効です。高校1年生の意見文(80語程度)を想定した例です。
課題:Should high school students have part-time jobs? Write your opinion with two reasons.
内容
- A:立場が明確で、理由が2つあり、それぞれに具体例や説明がある
- B:立場と理由は述べているが、説明が不十分な理由がある
- C:立場が不明確、または理由がない
構成
- A:主張→理由1→理由2→まとめの流れで、つなぎの言葉(First, Second, In conclusion など)を適切に使っている
- B:おおむね流れはあるが、つなぎの言葉が少ない
- C:文の順番がばらばらで、流れが分かりにくい
言語
- A:誤りが少なく、多様な語彙や文の形を使っている
- B:誤りはあるが、意味は伝わる
- C:誤りが多く、意味が伝わりにくい部分がある
Aのモデル文の冒頭例です。
- I think high school students should have part-time jobs. First, they can learn how to work with others. For example, ...
ライティングは、書いた原稿をそのまま話す活動(発表)につなげると、スピーキングの評価と組み合わせることもできます。同じルーブリックの「内容」の観点を両方で使うと、生徒にとっても分かりやすくなります。
08今週から始める準備リスト
- 次の単元末のパフォーマンステストのねらいを1文で書く
- 観点を3つに絞り、3段階のルーブリックを作る
- Aレベルのモデル(スピーチ例・作文例)を用意する
- ルーブリックを単元の最初に生徒に配る
- 評価の方法(録画提出か、授業内テストか)を決める
- 同じ学年を担当する先生とルーブリックを共有し、評価のすり合わせをする
ルーブリックは一度作れば、テーマを変えて何度も使えます。学年の先生と共有すれば、評価の負担も分け合えます。
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よくある質問
ルーブリックの段階は何段階がいいですか?
3段階か4段階が使いやすいとされています。段階が多いほど細かく評価できますが、判断に迷う場面が増え、評価に時間がかかります。まずは3段階で作り、必要に応じて調整しましょう。
録画提出だと、原稿を読んでいるかもしれません。どうすればいいですか?
『カメラの方を見て話す』『原稿は画面に映らないようにする』などのルールを決めるほか、授業内で即興のやり取りテストを別に行い、両方を組み合わせて評価する方法があります。
パフォーマンステストの結果は成績にどう反映させますか?
どの観点の評価に使うか、どの程度の比重にするかは、学校の評価方針によって異なります。学年や教科で共通理解を作り、国立教育政策研究所の参考資料なども確認して決めましょう。
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