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第13章|素材と道具の使いこなしコラム2026-09-282026-10-09 更新

英語の単元計画の立て方|逆向き設計でゴールから授業をつくる

教科書を1ページずつ進めていたら、単元の終わりに「で、生徒は何ができるようになったんだろう?」と感じたことはありませんか。**先にゴールと評価の方法を決め、そこから逆算して授業を組み立てる**のが「逆向き設計」です。この記事では、英語の単元に当てはめた具体的な手順を紹介します。

01逆向き設計とは

逆向き設計(backward design)は、アメリカの教育研究者ウィギンズとマクタイが著書『Understanding by Design』で提唱した考え方として知られています。日本でも授業づくりの考え方として広く紹介されてきました。

基本の流れは、次の3段階です。

  1. 求められる結果を決める:単元の終わりに、生徒が何を理解し、何ができるようになっていればよいか
  2. その証拠(評価方法)を決める:それができたことを、どんな課題で確かめるか
  3. 学習の計画を立てる:その課題ができるようになるために、毎時間何をするか

普段の授業づくりは「教科書のこのページで何をするか」から考えがちです。逆向き設計では、順番を逆にしてゴールと評価課題を先に決めるのが特徴です。

ポイント:「教科書を教える」から「教科書で、何ができるようにするか」へ。視点を変えるだけで、毎時間の活動の意味がはっきりします。

02ステップ1:単元のゴールを決める

ゴールは、生徒が単元末にできるようになっていることを、具体的な行動の形で書きます。

例:中学2年「職業・将来の夢」をテーマにした単元

  • ×「不定詞を理解する」
  • ○「将来就きたい職業とその理由を、不定詞を使って1分間話すことができる」
  • ○「友だちの将来の夢について質問し、聞いた内容を3文で書くことができる」

ゴールを考えるときは、次の問いを自分に投げかけてみましょう。

  • この単元の本文や文法を使って、生徒は現実のどんな場面で何ができるとよいか?
  • 単元が終わった後も残ってほしい力は何か?

生徒向けのゴールの提示

単元の最初の授業で、英語でゴールを示します。

"At the end of this unit, you will talk about your future dream for one minute. You will also ask your friends about their dreams."

生徒がゴールを知っていると、毎時間の学習が「そのための練習」だと理解でき、取り組み方が変わります。

子どもが本気になるゴール設定文部科学省/mextchannel|小学校の外国語教育はこう変わる!⑧〜児童の意欲を高めるゴール設定の在り方〜

使い方:子どもの意欲を高める単元のゴール設定を解説する動画です。この節の例のゴールに「伝える相手と目的」を足すとどう変わるかを、自分の単元で試します。

03ステップ2:評価課題を決める

ゴールが決まったら、それができたかどうかを確かめる課題を決めます。

評価課題の例

  • 話す:ペアで将来の夢についてやり取りし、教師が1分間のスピーチを聞く
  • 書く:友だちにインタビューした内容を、3〜5文のレポートにまとめる

評価の基準を簡単に作る

3段階程度のシンプルな基準を用意します。

  • A:理由を2つ以上述べ、不定詞を正しく使って1分間話せる
  • B:理由を1つ述べ、不定詞を使って話せる(多少の誤りあり)
  • C:職業名は言えるが、理由が言えない

この基準は、単元の最初に生徒にも見せておきます。"This is the checklist for your speech. Let's aim for A!"

評価課題と基準を先に作っておくと、毎時間の授業で「この活動は課題のどこにつながるのか」を判断しやすくなります。

04ゴールと評価をそろえるための公式資料と、単元づくりの授業動画

ステップ1・2で決めたゴールと評価課題は、学習指導要領や評価の参考資料の言葉とそろえておくと、校内での説明もしやすくなります。次の資料と動画を、単元計画の前に開きましょう(どのページも2026年10月に開けることを確かめています)。

資料・動画内容使い方
文部科学省:学習指導要領現行の学習指導要領のページ外国語の目標の文言を確かめ、単元のゴールの「〜できる」と言葉をそろえる
国立教育政策研究所:指導資料・事例集学習評価の参考資料などがまとまったページ評価規準の書き方を確かめ、A/B/Cの基準の言葉を整える
文部科学省の単元の解説・授業動画(下に掲載)修学旅行の行き先を校長先生にプレゼンする単元の解説編目的・場面・状況のあるゴールの立て方と、第1時での示し方を確かめる
TeachingEnglish(British Council)先生向けの授業プランが集まる評価課題に近い活動のプランを探し、練習段階の活動を借りる

単元計画の前の30分

  1. 学習指導要領で、その学年の「話すこと」「書くこと」などの目標の言葉を確かめる
  2. 単元のゴールを1〜2文で書き、目標の言葉と照らし合わせる
  3. 評価課題とA/B/Cの基準を作り、評価の参考資料の書き方と比べる
  4. 下の動画の第1時の進め方を見て、ゴールを生徒にどう示すかを決める

小学校の単元の動画ですが、ゴールから逆算する考え方は中学・高校の単元にもそのまま当てはまります。

修学旅行プレゼン単元の解説編文部科学省/mextchannel|言語活動を通した指導(解説編)1 ~大分県佐伯立上堅田小学校 第5学年外国語科 単元「修学旅行の行き先を校長先生にプレゼンしよう」 中屋敷亜美教諭・Owens. Jonathan Louis ALT~

使い方:修学旅行の行き先を校長先生にプレゼンする単元の解説編です。ゴールに「誰に・何のために」が入っているかを確かめ、自分の単元のゴール文を書き直します。

05ステップ3:毎時間の計画に落とし込む

評価課題から逆算して、7時間の単元計画を立てた例です。

  • 1時間目:単元のゴールと評価課題の提示。本文Part 1の内容理解。"What do you want to be?" のやり取り
  • 2時間目:不定詞(名詞的用法)の導入。"I want to be a … because I want to …"
  • 3時間目:Part 2の内容理解。登場人物の夢と理由を読み取る
  • 4時間目:不定詞(副詞的用法)。"I study hard to become a …"
  • 5時間目:Part 3の内容理解。本文の表現をまとめた「使える表現リスト」を作る
  • 6時間目:スピーチ原稿の作成とペアでのリハーサル(ペアを変えて3回)
  • 7時間目:評価課題の実施(スピーチ・インタビュー・レポート)

ポイントは、本文と文法の学習が、最終課題の「部品集め」になっていることです。毎時間の最後に「今日の学びは、最終スピーチのどこで使える?」と振り返ると、生徒自身もつながりを意識できます。

"Which expression from today can you use in your final speech? Write it down."

単元第1時の導入を丸ごと見る文部科学省/mextchannel|言語活動を通した指導(授業編)1 ~単元第1時 新しい表現の習得及び単元ゴールの設定 大分県佐伯立上堅田小学校 第5学年外国語科 単元「修学旅行の行き先を校長先生にプレゼンしよう」~

使い方:単元第1時で新しい表現の習得と単元ゴールの設定を行う授業編です。この節の1時間目の「ゴールと評価課題の提示」の進め方の参考にします。

06高校の単元例:社会的なテーマで考える

高校では、本文のテーマが環境・テクノロジー・多文化共生など社会的な内容になることが多くなります。逆向き設計の手順は同じですが、ゴールに「考えを持ち、根拠とともに伝える」要素を入れると、単元に深みが出ます。

例:高校1年「食品ロス」をテーマにした単元(6時間)

ゴール:「食品ロスを減らすために高校生ができることを、本文の情報と自分の考えを組み合わせて、100語程度の意見文で書ける」

評価課題:意見文(100語程度)+4人グループでの意見交換

計画の例

  • 1時間目:ゴールと評価課題の提示。テーマについて知っていることをペアで出し合う
  • 2時間目:本文前半の内容理解。問題の現状を示す部分を読み取る
  • 3時間目:本文後半の内容理解。取り組み例を表に整理する
  • 4時間目:意見文の構成(主張・理由・例・結論)をモデル文で学ぶ
  • 5時間目:意見文の下書き→ペアで読み合い→書き直し
  • 6時間目:グループでの意見交換と意見文の清書・提出

"Your opinion must include one fact from the textbook and one idea of your own."

このように「本文の情報を1つ使う」と条件をつけると、読んだ内容を書く活動に生かす必然性が生まれ、単元全体がゴールに向かって一本の線でつながります。

社会的な話題を扱う授業文部科学省/mextchannel|中学校の外国語教育はこう変わる!③ 〜社会的な話題を聞いて、読んで、話す、書く〜

使い方:社会的な話題を扱いながら4技能を統合する授業のイメージを紹介する回です。高校の「食品ロス」の単元例のように、話題と評価課題がつながっているかを確かめます。

0740人クラスでの見取りの工夫

評価課題を40人分行うのは大変ですが、計画段階で工夫しておくと負担を分散できます。

  • 途中で小さなチェックを入れる:4時間目あたりで「理由を1文言えるか」をペアで確認させ、言えない生徒を把握しておく。
  • スピーチは同時進行と個別を組み合わせる:全員がペアでスピーチを練習している間に、教師は数人ずつ評価する。1時間で全員分を聞けなければ、次の時間の冒頭も使う。
  • 記録用紙を事前に作る:名簿にA/B/Cの欄とメモ欄を作っておくと、聞きながら素早く記録できる。
  • 自己評価と組み合わせる:生徒にも基準を使って自己評価させると、教師の見取りと照らし合わせられる。

08よくある失敗と、明日からの一歩

よくある失敗

  1. ゴールが抽象的すぎる:「英語でコミュニケーションができる」では、評価課題が決められません。→具体的な行動と条件(何を・どれくらい)を入れる。
  2. 評価課題が単元の内容とつながっていない:本文や文法で学んだことを使わない課題だと、授業との関連が薄くなります。→単元で扱う表現を使う必然性がある課題にする。
  3. 計画どおりに進めることが目的になる:生徒の様子を見て調整する余地を残す。→予備の時間を1時間程度確保しておく。

明日からの一歩

次の単元の教科書をめくり、「単元末に生徒が何をできるようになっていればよいか」を1文で書いてみてください。それが決まれば、評価課題も毎時間の活動も、自然と見えてきます。

授業前に「つまずき」を予測するJo Gakonga - ELT Training|CELTA -Mistakes to Avoid in Teaching Practice - Anticipating Problems

使い方:生徒がつまずきそうな点を事前に予測する考え方の解説です。単元の各時間に「予想されるつまずき」の欄を1行足し、計画どおりに進めることが目的になるのを防ぎます。

このコラムで使うサイト・アプリ

もっと見たい人へ

授業計画づくりの基本British Council | TeachingEnglish|An introduction to lesson planning (Part 1/6)

今日やること

よくある質問

毎回の単元で逆向き設計をするのは大変ではありませんか?

最初は時間がかかりますが、一度作った計画は翌年以降も改善しながら使えます。すべての単元で完璧に行うより、まずは学期に1単元から始めるのがおすすめです。

教科書の構成と単元のゴールが合わない場合はどうすればよいですか?

本文の順序や活動の比重を調整する余地は多くあります。ゴールに直結する活動に時間をかけ、関連の薄い部分は短く扱うなど、教科書を「使いこなす」視点で計画するとよいでしょう。

評価課題の基準は生徒に見せてもよいのでしょうか?

見せることで、生徒は何を目指せばよいかが分かり、日々の練習の質が上がります。単元の最初に提示し、途中で自己評価に使うなど、学習の道しるべとして活用するのがおすすめです。

読了ボーナス

最後まで読んだあなたに、目から鱗をもう1枚

ホント?ウソ?10問チャレンジ目から鱗をぜんぶ見る

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