振り返りシートの作り方|英語授業で「書いて終わり」にしないコツ
毎時間の終わりに振り返りを書かせているけれど、「楽しかった」「がんばった」ばかりで、次につながっている実感がない…。振り返りシートは、**項目の作り方と使い方**しだいで、生徒の学びを深める強力な道具になります。この記事では、そのまま使える項目例と運用のコツを紹介します。

01振り返りが「感想文」になってしまう理由
振り返りが「楽しかった」で終わってしまう原因は、多くの場合、生徒ではなく問いの立て方にあります。
「今日の授業の感想を書きましょう」という問いでは、生徒は何を書けばよいか分からず、無難な感想に落ち着きます。一方、次のような問いなら、書く内容がはっきりします。
- 今日のゴールに対して、自分はどこまでできたか?
- 今日できるようになった英文を1つ書くとしたら?
- まだ自信がないところはどこか? 次はどうするか?
つまり、振り返りの質を上げるには、具体的で答えやすい問いを用意することが大切です。
ポイント:振り返りは「感想」ではなく「自分の学びの記録と次の作戦」。この目的を生徒と共有するところから始めましょう。
使い方:評価の重さを気にせず書いて考えを整理する活動の紹介です。振り返りを「感想文」から「考えを整理する短い書く活動」に変える問いを1つ作ります。
02毎時間の振り返り:3項目で十分
毎時間の振り返りは、短く、同じ形式で続けるのがコツです。長いと書くこと自体が負担になり、続きません。
毎時間の項目例
- ゴールの達成度:今日のゴールに対して、自分の達成度を○で囲む(◎ ○ △)
- 今日の1文:今日学んだ表現を使って、自分のことを英語で1文書く
- 次への一言:まだ難しいと感じたことと、次にやってみたいこと
英語で書かせるフォーマット例(中学2〜3年向け)
- Today's goal: I can ___________.
- My level: ◎ ○ △
- My sentence: ______________________
- Next time, I want to ___________.
"Take three minutes. Write your reflection. Please write at least one English sentence."
時間配分
50分授業なら、最後の3〜4分を振り返りにあてます。チャイムが鳴ってから書かせると雑になりやすいので、45分の時点で活動を終えると決めておくのがおすすめです。
使い方:学んだ内容を1語と1文でまとめる振り返りの1分紹介です。この節の「今日の1文」の前に1語を書かせる形を試し、45分で活動を切る練習をします。
03単元の振り返り:成長を見える化する
単元の最初と最後に同じ問いに答えさせると、生徒は自分の成長をはっきり実感できます。
単元の最初(Before)
- この単元のゴールを読んで、今の自分ができそうなことは?
- 例:「将来の夢について話す」→ 今の自分は "I want to be a teacher." だけ言える
単元の最後(After)
- 今の自分は、どこまでできるようになったか?
- 単元の最初の自分に、アドバイスをするとしたら?
単元振り返りの項目例
- 単元のゴールに対する自己評価(4段階)
- この単元で一番役立った表現ベスト3
- 最初の自分と比べて変わったこと
- 次の単元でがんばりたいこと
"Look at your 'Before' page. What can you do now that you couldn't do before?"
Before と After を1枚のシートの表と裏にしておくと、見比べやすく、管理も簡単です。
04高校生には「学び方」の振り返りを
高校生になると、何を学んだかだけでなく、どう学んだかを振り返らせると効果的です。自分に合った学び方に気づくと、授業の外でも自分で学習を調整できるようになります。
学び方を振り返る項目例
- 今日の活動で、一番理解が深まったのはどの場面だったか?(例:ペアで説明したとき)
- 分からなかったとき、どうやって解決したか?(辞書、友だち、教科書の例文など)
- 次の授業までに、自分で何をしておくか?
英語で書かせる例(高校向け)
- The most helpful activity today was ___ because ___.
- When I didn't understand ___, I ___.
- Before the next class, I will ___.
"Think about how you learned today, not only what you learned."
目標と行動をセットにする
「次は単語をがんばる」のような曖昧な目標は、行動につながりにくいものです。「次の授業までに、今日の新出語10個を英→日で2回テストする」のように、いつ・何を・どれだけを入れるよう促します。
定期テストの後に、テスト前の学習方法を振り返る回を設けると、次のテストへの準備が具体的になります。「どの勉強が点数につながったか」「何をやり残したか」を書かせるだけでも、生徒の学び方は少しずつ変わっていきます。
使い方:自分の学び方を振り返り調整するメタ認知の育て方の紹介です。高校の「学び方を振り返る項目」に、目標と行動をセットで書かせる問いを1つ足します。
0540人分を短時間で読むコツ
毎時間40人分の振り返りを丁寧に読んでコメントを書くのは、現実的ではありません。次のような工夫で、負担を抑えながら活用できます。
読む項目を絞る
毎回すべての項目を読むのではなく、「達成度」と「次への一言」だけを見る日、「今日の1文」だけを見る日などと、日によって焦点を変えます。
達成度の集計で授業を振り返る
◎○△ の数を数えるだけで、授業全体の手ごたえが分かります。△が多ければ、次の授業の導入でその部分を復習します。
コメントは全員に書かない
毎回全員にコメントする代わりに、1回あたり5〜8人を選んで短くコメントし、1〜2週間で全員に回るようにします。コメントは「Nice sentence!」「Good plan!」など一言で十分です。
良い振り返りを紹介する
次の授業の冒頭で、よく書けた振り返りを2〜3例(本人の了承を得て、または匿名で)紹介すると、クラス全体の書き方が変わっていきます。
使い方:成績に直結しない手軽な形成的評価の活動7つの紹介です。◎○△の集計以外に、授業の最後の1分で理解を確かめる方法を1つ選んで加えます。
06振り返りを集めて読む手間を減らす道具と、その作り方
1人1台の端末が使える学校なら、振り返りをフォームで集めると、◎○△の集計が自動になり、40人分を読む負担が大きく減ります。
| 道具・素材 | 特徴 | 使い方 |
|---|---|---|
| Googleフォーム(下の公式動画を参照) | 選択式と記述式の質問を組み合わせて回答を集められる | 達成度(◎○△)を選択式、「今日の1文」と「次への一言」を記述式にする |
| 英語日記 | このサイトの、英語で短い日記を書く練習 | 高校生の「学び方の振り返り」を英語で書く家庭学習に使う |
| TeachingEnglish(British Council) | 先生向けの授業プランと記事が集まる | 振り返り(reflection)の活動例を探し、項目の言い方を参考にする |
フォームで振り返りを集める手順(初回30分、2回目からは数分)
- 質問を3つだけ作る(達成度・今日の1文・次への一言)
- 達成度は選択式にし、回答の集計グラフで◎○△の割合を見られるようにする
- 授業の最後5分で回答させ、送信した生徒から片付けに移る
- 次の授業の前に、△の多かった項目と、紹介したい「今日の1文」を2つ選ぶ
- 学期中は質問を変えずに使い続ける
紙の振り返りシートのほうが合うクラスもあります。端末の使い方は学校の方針に合わせ、紙と使い分けましょう。
使い方:Googleフォームのテスト機能を紹介する公式の短い動画です。振り返りの達成度を選択式で集める設定の参考にし、3項目のフォームを1つ作ります。
07振り返りを次の授業に生かす方法
振り返りは、書かせて終わりにせず、次の授業で必ず「使う」ことで意味を持ちます。
- 導入で使う:"Many of you wrote that questions with 'how many' were difficult. Let's practice them first today."
- ペアで共有する:授業の最初に、前回の「次への一言」を隣の人に伝えてから活動を始める
- 授業計画の修正に使う:△が多い項目は、次の時間に練習を追加する
- 個別の声かけに使う:「次は質問を3つ作りたい」と書いた生徒には、その活動のときに一言かける
生徒は、自分の書いたことが授業に反映されていると感じると、振り返りを真剣に書くようになります。
08よくある失敗と、明日からできること
よくある失敗
- 項目が多すぎる:5項目以上あると、書く時間が足りなくなります。→毎時間は3項目以内。
- 時間を取らずにチャイム後に書かせる:内容が浅くなります。→45分で活動を切る。
- 書かせるだけで返さない:生徒はやる意味を感じなくなります。→一言コメントや授業での紹介で、読んでいることを伝える。
- 毎回形式が変わる:生徒が慣れず、書き方に迷います。→学期中は同じ形式を使い続ける。
明日からできること
まずは明日の授業の最後に、「今日のゴールの達成度」と「今日の1文」の2項目だけを書かせてみましょう。集めたシートの◎○△を数えるだけでも、次の授業のヒントが見つかるはずです。
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よくある質問
振り返りは英語と日本語のどちらで書かせるべきですか?
達成度や次への一言は日本語、今日の1文は英語、と項目によって分けると、深く考えることと英語を使う練習を両立できます。学年が上がるにつれて英語の割合を増やしていく方法もあります。
紙とデジタルのどちらで行うのがよいですか?
どちらにも利点があります。紙は書きやすく、単元全体を一覧しやすい一方、デジタルは集計や共有が簡単です。学校の環境や、振り返りの目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
振り返りを評価に使ってもよいのでしょうか?
学びに向かう姿勢を見取る資料の一つとして参考にすることはできます。ただし、評価を意識しすぎると本音が書きにくくなるため、日々の振り返りは主に学習改善のために使うのがおすすめです。
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