小学校英語の評価のしかた|観点別評価の考え方と見取りのコツ
「英語の評価って、どうやってつければいいの?」。テストだけでは測れない力が多い小学校英語では、評価に悩む先生が少なくありません。この記事では、観点別評価の一般的な考え方をふまえて、授業の中で無理なく子どもの様子を見取り、評価につなげる方法を紹介します。詳細な基準は、必ず学校や自治体の方針、文部科学省・国立教育政策研究所の資料で確認してください。

01外国語活動と外国語科で評価のしかたが違う
まず押さえておきたいのは、3・4年の外国語活動と、5・6年の外国語科では、評価の形が違うということです。
- 外国語活動(3・4年):教科ではないため、数値による評定はつけず、子どもの学習の様子を文章で記述します。
- 外国語科(5・6年):教科として、観点別学習状況の評価と評定が行われます。
外国語科の観点は、ほかの教科と同じく次の3つです。
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
ポイント:評価は「成績をつけるため」だけでなく、「子どもの成長を見取り、指導を改善するため」のもの。指導と評価をセットで考えることが大切です。
使い方:小学校外国語の評価の進め方を短めにまとめた文部科学省の動画です。この節の外国語活動と外国語科の評価の違いを確かめる最初の1本として見ます。
023つの観点を英語の授業でどう見るか(一般論)
ここでは、それぞれの観点が英語の授業でどんな姿として表れるか、一般的な例を紹介します。
知識・技能
- 単元で扱った語句や表現の意味がわかり、聞いたり言ったりできる
- 例:What sport do you like? と聞かれて、I like tennis. と答えられる
思考・判断・表現
- 目的や場面に応じて、知っている表現を選んで伝え合う
- 例:「友だちのことをもっと知る」という目的で、相手の答えに合わせて質問を付け足す(Do you play tennis?)
主体的に学習に取り組む態度
- 相手に配慮しながら、伝えようとしたり、わかろうとしたりしている
- 例:相手が困っているときにゆっくり言い直す、ジェスチャーを使って伝えようとする
大切なのは、1時間の授業ですべての観点を評価しようとしないことです。単元のどの時間にどの観点を重点的に見るかを、あらかじめ計画しておきましょう。
同じ場面でも観点によって見るところが変わる
例えば、「好きな教科をたずね合う」やり取りの場面を例にすると、次のように見るところが変わります。
- 知識・技能:What subject do you like? / I like science. を正しく聞き取ったり言ったりできているか
- 思考・判断・表現:相手の答えを聞いて、Why? や Me, too. I like experiments. のように、目的に合わせて内容を付け足しているか
- 主体的に学習に取り組む態度:相手が聞き取れなかったときに、ゆっくり言い直したり、教科書の絵を指さしたりして伝えようとしているか
同じ活動の中で見る観点をはっきりさせておくと、見取りのメモも書きやすくなります。
使い方:小学校英語の評価を基礎から扱う大学の講義の回です。この節の3つの観点の見え方を理論的に整理し、同じ場面で観点ごとに見るところを書き分けます。
03単元の評価計画の立て方(6時間の例)
評価を無理なく行うためには、単元の最初に「いつ・何を・どうやって見るか」を決めておくことが大切です。
例:「行ってみたい国を紹介しよう」の単元(6時間)
- 1〜2時間目:指導が中心。記録に残す評価はせず、子どもの様子を見て指導に生かす
- 3〜4時間目:ペアのやり取りの様子を観察(知識・技能を中心に)
- 5時間目:紹介文を書く活動(例文を参考に書けているか)
- 6時間目:発表とやり取り(思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)
ポイント
- 単元の前半は、評価より指導を優先する
- 記録に残す評価は、単元の後半に重点を置く
- 1つの活動で、見る観点を1〜2つに絞る
このように計画しておくと、毎時間全員を評価しようとして疲れてしまうことがなくなります。
04評価を確かめる公式資料・動画と、見取りを楽にする記録の工夫
評価の考え方は、公式の資料と解説動画で確かめてから評価計画を立てると、学年の先生と基準をそろえやすくなります。
| 使うもの | 中身 | 使い方 |
|---|---|---|
| 国立教育政策研究所の指導資料・事例集のページ | 「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料(小学校編 外国語など) | 自分の学年に近い事例を1つ読み、評価規準の書き方をまねる |
| 文部科学省の視学官による学習評価の動画(下) | 観点別評価の考え方と見取りのポイント | 評価計画を作る前と、通知表の時期の前に見返す |
| 文部科学省の外国語教育のページ | 授業動画と指導用の参考資料 | パフォーマンス評価の場面をイメージするために、やり取りの授業動画を見る |
見取りの記録を楽にする工夫
- 座席表のコピーに、観点ごとの色(知識・技能=青、思考・判断・表現=赤、態度=緑)でメモする
- パフォーマンス評価は、学校の端末の録音機能で記録しておき、あとで学年の先生と聞いて基準をそろえる
- 外国語活動の文章記述は、単元ごとに一言メモを残し、学期末にまとめる
録音や写真などの記録は、学校の端末と学校のルールに沿って保存し、個人情報の扱いに気をつけましょう。評価の基準や方法は、学校や自治体の方針を優先してください。
使い方:小学校外国語の学習評価について、観点別評価の考え方と見取りのポイントを視学官が語る公式動画です。見たあと、今の単元で「いつ・何を・どう見るか」を3行で書きます。
05見取りのツール:座席表メモと振り返りカード
座席表メモ
クラスの座席表をコピーし、授業中に気づいたことを一言ずつメモします。
- 「Aさん:How about you? を自分から使えた」
- 「Bさん:相手の答えに Really? と反応」
- 「Cさん:言えずに困っていた→次回ペア配慮」
1回の授業で全員を見る必要はありません。1回5〜6人に絞り、単元全体で全員を見取れるように計画しましょう。
振り返りカード
授業の最後に、子どもが自分の学びを書くカードです。質問例を紹介します。
- 今日できるようになった英語は?
- 友だちとのやり取りで、うまくいったことは?
- 次の時間にがんばりたいことは?
振り返りカードは、主体的に学習に取り組む態度を見るための手がかりの1つになります。ただし、書く力の差が評価に影響しすぎないよう、カードの内容だけで判断しないことが大切です。
振り返りカードの記入例(子どもの記述のイメージ)
- 「Why? って聞いたら、友だちが理由を教えてくれてうれしかった」
- 「What subject? の発音がむずかしかったので、次はゆっくり言いたい」
このような記述が見られたら、授業の最初に全体に紹介すると、ほかの子どもの振り返りの書き方のお手本にもなります。
06パフォーマンス評価の進め方
単元の終わりに、子どもが実際に英語を使う様子を評価する方法を、パフォーマンス評価と呼びます。
例:先生とのやり取り(1人1〜2分)
- T: Hello. Where do you want to go?
- S: I want to go to Australia.
- T: Why?
- S: I want to see koalas.
- T: Nice! What do you want to eat in Australia?
- S: Hmm... I want to eat... meat pie?
評価のポイント例
- 質問を聞いて、単元の表現で答えられたか
- 予想していなかった質問にも、知っている英語で答えようとしたか
- 相手に伝わるように工夫したか
実施のコツ
- 事前に、どんなやり取りをするかを子どもに伝えておく
- ほかの子どもは、別の活動(書く活動など)をしながら待つ
- 評価の基準を簡単な表にして、先生の間で共有しておく
ポイント:パフォーマンス評価は「本番」ですが、子どもにとっては「先生と英語で話せた!」という成功体験の場にもなります。
使い方:小学校外国語で「話すこと[発表]」の力を高める授業を紹介する文部科学省の動画です。この節のパフォーマンス評価の場面設定の参考にします。
07外国語活動の文章記述のコツ
外国語活動では、子どもの様子を文章で記述します。具体的な場面と、子どもの成長が伝わるように書くのがポイントです。
記述の型
「〇〇の活動で、〜〜することができた(しようとしていた)。」
記述例(原田英語作成)
- 好きなものを伝え合う活動で、友だちの答えに Me, too! と反応しながら、楽しそうにやり取りしていた。
- 数を扱う活動で、英語の数を聞き取り、正しいカードを選ぶことができた。
- 外国の行事について知る活動で、日本の行事との違いに気づき、振り返りカードに自分の考えを書いていた。
座席表メモや振り返りカードをもとに書くと、具体的な場面が浮かびやすくなります。学期末にまとめて書こうとすると大変なので、単元ごとに一言ずつメモを残しておきましょう。
08よくある失敗と今日からの一歩
- テストの点数だけで評価する:小学校英語では、やり取りや発表など、実際に英語を使う姿を見ることが大切です。
- 声の大きさや積極性だけで判断する:恥ずかしがり屋の子どもも、ペアの中ではしっかり伝えようとしていることがあります。
- 毎時間全員を評価しようとする:評価計画を立て、見る場面と観点を絞りましょう。
- 評価基準が先生によってばらばら:同じ学年の先生で、評価の例を共有しておくと安心です。
より詳しい評価の方法は、国立教育政策研究所の「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」などで確認できます。まずは次の授業で、座席表を1枚用意し、5人だけ見取ってメモするところから始めてみましょう。
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よくある質問
外国語活動でもテストをしたほうがいいですか?
外国語活動は数値による評定をつけないため、点数を目的にしたテストは必要ありません。活動中の様子や振り返りをもとに、子どもの成長を文章で記述します。
恥ずかしがって話さない子どもはどう評価すればいいですか?
全体の前での発表だけでなく、ペアやグループでのやり取り、振り返りカードなど、さまざまな場面で見取りましょう。先生と1対1のやり取りの機会をつくるのも有効です。
評価の基準はどこで確認できますか?
学校や自治体の方針に加えて、文部科学省の学習指導要領解説や、国立教育政策研究所の学習評価に関する参考資料で確認できます。
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