協同学習の型|英語の授業で使えるジグソー・シンクペアシェア・ラウンドロビン
「グループで話し合ってください」と言ったのに、実際に話しているのは一部の生徒だけ。気づけば英語の授業なのに日本語の雑談になっていた――。グループ活動がうまくいかない原因の多くは、生徒のやる気ではなく「活動の構造」にあります。協同学習では、全員が役割を持ち、互いを必要とする仕組みを「型」として用意します。この記事では、英語の授業ですぐ使える代表的な型を、手順と指示の英語つきで紹介します。

01グループ活動と協同学習の違い
グループで座らせて課題を与えることと、協同学習は同じではありません。協同学習の考え方では、うまく機能するグループに共通する要素として、次のようなものがよく挙げられます。
- 互恵的な相互依存:一人ひとりの貢献がないとグループの課題が完成しない
- 個人の責任:誰が何をしたかが見える。誰かに任せきりにできない
- 対面での積極的な関わり:互いに説明し合い、助け合う
- 社会的スキル:聞く、質問する、励ますといった関わり方を練習する
- 振り返り:グループの進め方を振り返り、次に生かす
英語の授業に置き換えると、「全員が英語を口にしないと完成しない課題」を作ることが核心です。
ポイント:「話し合って」ではなく、「誰が・何を・どの順で話すか」を決めておくのが協同学習の型です。
使い方:ケーガンの協同学習のストラクチャーを紹介する公式動画です。この節の「機能するグループの要素」が、実演のどの場面に表れているかをメモします。
02型① シンク・ペア・シェア
最も手軽で、毎時間でも使える型です。
手順
- Think:問いに対して一人で考える(30秒〜1分)。メモを書いてもよい。
- Pair:ペアで考えを伝え合う(1〜2分)。
- Share:何組かがクラス全体に共有する。
英語での指示例
- Think about this question by yourself for thirty seconds.
- Now, tell your partner your idea.
- Could you share what your partner said?
最後の Share で「パートナーの意見を紹介して」とするのがコツです。自分の意見を全体で言うのは緊張しますが、パートナーの意見なら言いやすく、しっかり聞く必要も生まれます。
使える問いの例
- 本文を読んだ後に:How did the main character feel at the end?
- 導入で:What is your favorite season? Why?
- 文法導入で:この2つの文の違い、気づいたことは?(日本語で考えてもよい)
使い方:考える・書く・ペアで話す・共有するの流れを紹介する動画です。この節の Think の段階に書く時間を足す場合、何秒取るかを決めて明日の授業で試します。
03型② ラウンドロビンとナンバード・ヘッズ
ラウンドロビン
4人グループで、順番に一人ずつ発言していく型です。
- 先生がお題を出す(例:Say one thing you can do in the morning.)
- 1番の人から時計回りに一人一つずつ答える
- 前の人と同じことは言えないルールにすると、しっかり聞くようになる
語彙の復習にも使えます。「動物の名前」「過去形の動詞」など、カテゴリを決めて順番に言うだけでも、全員が英語を口にする時間が確実に生まれます。
ナンバード・ヘッズ・トゥギャザー
グループのメンバーに1〜4の番号をつけ、問題について全員で相談した後、先生がランダムに番号を指名して答えさせる型です。
- 先生が問いを出す(例:Why did Ken go to the library?)
- グループで相談し、全員が答えられるようにする
- 先生が「Number 3, please stand up.」と言い、各グループの3番が答える
誰が当たるかわからないので、得意な生徒は苦手な生徒が答えられるよう説明し、苦手な生徒も真剣に聞くようになります。個人の責任とグループの協力が自然に組み合わさる型です。
使い方:カードを持って立ち歩き、問題を出し合う Quiz-Quiz の実演です。ラウンドロビンに慣れたクラスの次の型として、単語の復習カードで試します。
04型③ ジグソー
長めの英文や、複数の情報を扱う単元で力を発揮するのがジグソーです。
手順
- 教材を4つのパートに分ける(例:ある国の文化を「食べ物」「祭り」「学校」「言葉」の4つで紹介する英文)
- ホームグループ(4人)で、一人一つずつ担当パートを決める
- 同じパートを担当する人同士が集まり、エキスパートグループを作る。一緒に読み、内容を確認し、説明の準備をする
- ホームグループに戻り、一人ずつ自分のパートを説明する
- 最後に、全パートの情報が必要な課題に取り組む(例:クイズに答える、どの国に行きたいか理由をつけて話す)
英語での説明の型
ホームグループで説明する時、苦手な生徒のために型を用意しておくと安心です。
- My part is about ___.
- The main point is ___.
- One interesting thing is ___.
- Do you have any questions?
うまくいかせるコツ
エキスパートグループの段階で、説明に使うメモを全員が書けているか確認します。ここで理解があいまいなまま戻ると、ホームグループで説明できず、その生徒が気まずい思いをしてしまいます。
05型の実演を見られる動画と、ジグソーに使える素材
協同学習の型は、文字で読むより実際の教室の動きを見るほうがつかみやすいものです。この記事の各節の下に、型ごとの実演動画を置きました。導入前に一度見て、生徒の動き方をイメージしておきましょう。
ジグソーの素材に使えるサイト
| サイト | 使い方 |
|---|---|
| TED-Ed | 5分前後のアニメ講義。1本を4つの場面に分けてエキスパートグループで担当させ、ホームグループで内容をつなぎ合わせる |
| Simple English Wikipedia | やさしい英語の百科事典。ある国について「食べ物」「祭り」「学校」「言葉」の項目を分担して読む |
| News in Levels | 同じニュースを3つのレベルで読める。エキスパートグループのメンバーの英語力に合わせてレベルを選ばせる |
| TeachingEnglish(British Council) | 授業プランや活動のアイデアが集まった先生向けのサイト。協同学習の活動例を探す |
ジグソーを初めて行うときの準備
- 4つのパートの長さと難しさをそろえる(1パートが重いと、その担当だけ時間が足りなくなる)
- エキスパートグループで「ホームに持ち帰る英語の3文」を決めさせる
- ホームグループで聞き手が書き込む表を1枚用意する
持ち帰る文を3文に決めておくと、英語が苦手な生徒も「自分の役割」を果たせます。
使い方:ジグソー法で生徒の所属感を高める実践の紹介です。見たあとに次の単元の読み物を4パートに分け、エキスパートグループで持ち帰る3文を決める手順を書き出します。
06教科書の1時間に型を組み込む例
協同学習の型は、特別な単元だけのものではありません。普段の教科書の授業に、次のように組み込めます。
50分の流れの例(中学2年・物語文の課)
- 帯活動(5分):ラウンドロビンで前回の単語を復習。「前回の課に出てきた動詞の過去形を順番に」
- 導入(5分):シンク・ペア・シェア。Have you ever lost something important? What was it?
- 本文理解(15分):個人で読んだ後、ナンバード・ヘッズで内容確認の問いを3つ
- 音読(10分):全体→ペアで交互に1文ずつ→ペアで役を分けて会話部分を読む
- 表現活動(10分):本文の登場人物に一言アドバイスを書き、シンク・ペア・シェアで共有
- 振り返り(5分):今日わかったことを一文で書き、グループで見せ合う
この流れなら、先生が話す時間を抑えつつ、生徒一人ひとりが英語を声に出す場面が何度も生まれます。すべての型を毎時間使う必要はなく、1時間に1〜2個で十分です。
07よくある失敗と対処法
- すぐ日本語の雑談になる
英語で言うべき部分を明確にしておきます。「説明は日本語でもいいけれど、最初と最後の一文は英語で」など、現実的なルールから始めましょう。
- 一人が全部やってしまう
役割を割り振ります。例えば、Leader(進行)、Reader(読み上げ)、Writer(記録)、Reporter(発表)。役割は毎回交代させます。
- 時間が足りなくなる
各ステップに時間を明示し、タイマーを見せます。You have two minutes. と言ってからスタートする習慣をつけると、生徒も時間を意識します。
- 振り返りを省略してしまう
最後の1分で、グループのよかった点を一つ書かせるだけでも、次回の関わり方が変わります。例:Our group listened to each other well.
- 型の説明に時間がかかりすぎる
新しい型は、最初は日本語で丁寧に説明し、慣れてきたら英語の短い指示だけで回せるようにします。同じ型を何度も使うことで、説明の時間がどんどん短くなります。
081か月で型を定着させる導入プラン
型は、繰り返し使ってはじめて生徒が自分で動けるようになります。1か月で定着させるプランの例です。
- 1週目:毎時間シンク・ペア・シェアを1回入れる。問いは簡単なものでよい
- 2週目:シンク・ペア・シェアに加え、単語の復習でラウンドロビンを始める
- 3週目:本文の内容理解でナンバード・ヘッズを導入する
- 4週目:少し長めの読み物でジグソーに挑戦する
毎週の最後に、生徒に「どの型が一番話しやすかったか」を聞いてみてください。クラスによって合う型は違うので、その声をもとに使う頻度を調整しましょう。
ポイント:協同学習の型は、先生の「仕組みづくり」によって全員に英語を使う必然性を生み出すものです。まずはシンク・ペア・シェアから、明日の授業に1回入れてみてください。
使い方:立ち歩いてペアを作り話し合う Mix-Pair-Share の実演です。1か月の導入プランの2週目以降に、相手を替えて同じ問いを話す帯活動として取り入れます。
このコラムで使うサイト・アプリ
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よくある質問
人間関係が難しいクラスでも協同学習はできますか?
いきなり4人のジグソーは負担が大きいので、ペアのシンク・ペア・シェアのように短く、構造がはっきりした型から始めるのがおすすめです。役割とセリフの型を決めておくと、関係が浅い生徒同士でも取り組みやすくなります。
協同学習だと、テスト対策の時間が足りなくなりませんか?
協同学習は教える内容を減らすものではなく、同じ内容の理解や練習を生徒同士の関わりの中で行う方法です。本文理解や語彙の復習をナンバード・ヘッズやラウンドロビンで行えば、テストにつながる学習をしながら発話量を増やせます。
グループの人数は何人がよいですか?
全員が発言しやすいのはペアか4人程度が目安です。人数が多いと話さない生徒が出やすくなります。ジグソーは4人、確認活動はペア、など型に合わせて調整しましょう。
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