Survey & Graph(アンケート→グラフ→発表)― クラスの「本当のデータ」で比較級・最上級を使う
「What sport do you like the best?」と班で分担してクラスメートに聞いて集計し、棒グラフにして「Soccer is the most popular.」と発表する。自分たちで集めた数字だから、比較の英文に本当に伝えたい中身が生まれます。
- ⏱ 時間
- 30-45分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 班(3〜4人)→全体
- 🎯 技能
- やり取り・スピーキング・ライティング・文法
- 📶 CEFR
- A2-B1

- 比較級・最上級・数・割合の表現を、自分たちで集めた本物のデータを伝えるために使う。
- 質問する→集計する→グラフにする→報告する、という流れで、聞く・話す・書くを統合する。
- 結果から「なぜそうなったか」を考えて、自分の意見を1文加える。
Survey & Graph ってなに?
ひとことで言うと、班で質問を1つ決めてクラスメートに英語で聞き、答えを数えて棒グラフにし、「… is the most popular.」のように比較級・最上級で結果を報告する活動です。
教科書の比較級の練習では、「Mt. Fuji is higher than Mt. Aso.」のような、だれもが知っている事実を英語にすることが多くなります。でも、本当に伝えたいのは「聞いたクラスメートの中では、サッカーより野球の方が人気だった!」のような、自分たちしか知らない情報です。Survey & Graph は、クラスメートからデータを集めて、その結果を比較の英語で伝える活動です。数字が自分たちのものなので、発表を聞く側も真剣になります。
テレビのニュースで「〇〇に関する調査では、△△と答えた人が一番多く…」とグラフつきで伝えるのと同じことを、クラスの中でやるイメージです。ニュースの数字は他人ごとでも、自分たちで集めた数字は聞きたくなる。比較の英語は、その数字を伝える道具になります。
似た活動とのちがい
| Survey & Graph | Find Someone Who | インタビュー&レポート | |
|---|---|---|---|
| 聞くこと | 班で決めた1つの質問を多くの人に | リストのいろいろな質問を、Yes と答える人が見つかるまで | ペアの相手に、いくつか質問する |
| まとめ方 | 数を数えてグラフにする | 名前を表に書く | 聞いた内容を別の人に話して報告する |
| 主に使う英語 | 比較級・最上級・数・割合 | 疑問文と答え方 | 三人称の文・報告の表現 |
やり方を3ステップで
- 聞く:班で質問と選択肢(3〜4個+Other)を決め、聞く相手を分担して英語で聞き、正の字で数える。
- グラフにする:班で数を合計し、縦軸(人数)と横軸(選択肢)のある棒グラフを描く。
- 報告する:「何人に聞いたか・一番人気・比較・理由の予想」の4文以上で報告文を書き、グラフを見せて発表する。
授業の流れ(分ごと)
1時間でもできますが、2時間に分けると落ち着いて取り組めます(1時間目:質問づくり〜集計、2時間目:グラフ〜発表)。
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜5:00 | 先生の見本(クラス全体で挙手アンケート→グラフ→報告) | 報告の型を板書 |
| 5:00〜10:00 | 班で質問と選択肢を決める | 質問の英語を確認 |
| 10:00〜20:00 | 立ち歩きでインタビュー(班で分担し、班全体で重ならないように) | 英語で聞いているかを見て回る |
| 20:00〜25:00 | 班で集計・棒グラフづくり | グラフの軸と数を確認 |
| 25:00〜32:00 | 報告文を書く(4文以上) | 比較級・最上級の形を個別に指導 |
| 32:00〜42:00 | 代表3〜4班が発表(1班1分+質問)。ほかの班は掲示 | 聞き手にメモさせ、質問を1つ |
| 42:00〜45:00 | 振り返り | 一番意外だった結果を共有 |

- 見本:先生が「What season do you like the best?」とクラス全体に聞き、挙手で集計して黒板に棒グラフを描く。「Summer is the most popular. Twelve students like summer.」と報告して見せる。
- 質問づくり(5分):班で質問を1つ決める。選択肢を3〜4個用意しておくと集計しやすい(What sport / food / season / animal / subject / country …)。質問が他の班と重ならないように、先生が調整する。
- インタビュー(10分):班のメンバーがそれぞれ立ち歩いて聞く。答えは正の字でメモ。「Thank you!」で次へ。同じ人を班で2回数えないよう、聞く相手を班の中で分担し(例:Aさんは1〜2列目、Bさんは3〜4列目の人)、聞いた相手のイニシャルも記録表の余白にメモしておく。目標は「班全体で10人以上」。クラスの人数と班の数に合わせて、1人あたり3〜8人ほどになるよう先生が決めます(4人班が10班あるクラスで全員が10人ずつ聞くと、重ならない相手が足りなくなります)。
- 集計とグラフ(5分):班で数を合計し、ワークシートの枠に棒グラフを描く。縦軸(人数)と横軸(選択肢)を必ず書く。
- 報告文(7分):報告の型を使って4文以上書く。①何人に何を聞いたか ②一番人気(最上級) ③比較(比較級・as … as) ④意外だった点・理由の予想。
- 発表(1班1分):時間内に全班は発表できないので、くじで選んだ代表3〜4班が前で発表し、ほかの班はグラフと報告文を掲示してギャラリーウォークで読み合う(全班が発表するなら、発表を次の時間に回して15〜25分とる)。発表はグラフを見せながら、班の1人1文以上を分担して話す。聞き手はワークシートの裏に「一番意外だった結果」をメモし、1つ質問する(Why do you think … ?)。
- 掲示:グラフと報告文を掲示し、次の授業のはじめにほかの班の結果を読む時間をとる。
アンケートの質問(中2〜中3)
- What sport do you like the best?
- What season do you like the best?
- What food do you like the best?(ramen / curry / sushi / pizza)
- What subject do you like the best?
- Which country do you want to visit the most?
- What animal do you want to have as a pet?
- About how many hours do you sleep?(about 6 or less / about 7 / about 8 / about 9 or more)
- What time do you usually get up?(before 6:30 / 6:30–6:59 / 7:00–7:29 / 7:30 or later)
- How do you come to school?(walk / bike / bus / train)
- How long do you study at home every day?(less than 30 minutes / 30–59 minutes / 1–2 hours / more than 2 hours)
- What do you usually do on Sunday?
- Which is more important to you, money or time?(高校)
報告文の型
- We asked ___ students, "…?"
- ___ is the most popular. / ___ is the least popular.
- ___ out of ___ students like ___.
- ___ is more popular than ___. / ___ is as popular as ___.
- Only ___ student(s) chose ___.
- We were surprised that …
- We think this is because …
高校向けの発展:割合(About 40 percent of the students …)、他のクラスや全国の調査との比較(文部科学省などの公的調査の数字を先生が示す)、結果から提案をする(We suggest that our school …)。
- 小学校:「What color do you like?」を班で聞き、シールを貼る形のグラフにする。発表は「Red is popular!」の1文で。
- 中学:比較級・最上級の単元のまとめに。中1では「How many …?」と数の表現で、中3では「I think … because」で理由の意見を加える。
- 高校:質問を意見型(Do you agree that …?)にし、5段階で答えさせる。結果をもとに小論文の序論を書く。
- 大人数クラス:インタビューの相手を「他の班の人」に限定し、班の中で聞く相手を分担すると、重なりなく「自分の班を除いたクラスメート」のデータが集まる(クラス全員のデータにしたいときは、自分の班の4人の答えも1人1回ずつ加える)。重なりを防げなかったときは「30 students」ではなく「30 answers」と報告させる。発表は全班ではなく、掲示+ギャラリーウォークでもよい。
- 苦手な生徒が多いクラス:質問と選択肢を先生がカードで用意し、班は選ぶだけにする。報告文は型の空欄を埋める形に。
- オンライン・タブレット:アンケートフォームで回答を集め、自動で作られるグラフを使って報告文を書く。他クラスのデータと比べることもできる。
報告文(書くこと)と発表(話すこと[発表])は、指導に生かす評価や、評価資料の一部に使えます。ただし報告文も発表も班での共同作業なので、記録に残す評価にするなら、各自が担当の文を書いて名前を書く、1人ずつ短く報告して録画する、個人ごとの観察メモを残す、など一人ひとりの力を確かめる手順を加えます。インタビュー中のやり取りは「指導に生かす評価」として観察します。聞いた人数は活動の達成条件として扱い、「主体的に学習に取り組む態度」は人数や積極性の見た目ではなく、振り返りに書かれた工夫や改善(粘り強さと、やり方の調整)から見ます。記録に残すときは、1回のふり返りだけでなく、単元の中の観察や直しの過程もあわせて見ます。
| 観点 | 見るところ | A(十分満足) | B(おおむね満足) | C への手立て |
|---|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 比較級・最上級・数の表現の正確さ | 比較級・最上級・割合を正確に使い分けている | 最上級を使って結果を伝えられる | 報告の型の空欄埋めから |
| 思考・判断・表現 | データにもとづく報告と考察 | 結果を比べ、理由の予想や意見を加えて報告できる | グラフの内容を正しく報告できる | 「一番多いのは?少ないのは?」から考えさせる |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 粘り強い取り組みと、やり方の調整 | うまく伝わらなかった質問の言い方や報告の仕方を、振り返りをもとに自分で工夫し直そうとしている | 型や相手の反応を確かめながら、質問や報告の仕方を調整し、最後まで取り組もうとしている | 先生と一緒に最初の1人に聞き、次に何を変えるかを一緒に考える |
- 日本語で聞いて回る→ 質問文をワークシートに大きく書かせ、読みながら聞いてよいことにする。英語で聞いたか、を振り返りの項目にする。
- 選択肢を決めずに自由回答にして、集計できない→ 選択肢を3〜4個と「Other」に決めてから聞くよう、質問づくりの段階で確認する。
- 答えにくい質問を作る(体重・家庭のこと・成績)→ 個人的・敏感な内容は避けるルールを最初に示す。先生が質問を必ず確認する。
- グラフと数字が合わない→ 集計表とグラフを班の2人で別々に確認させる。軸の目盛りをそろえる。
- 報告文が「… is the most popular.」だけで終わる→ 4文の型(何人に聞いた・一番・比較・理由)を必ず埋めさせる。
Survey & Graph は、「意味のやり取りが中心」「情報の不足を埋める必要がある」「生徒が自分のことばを使う」「言語以外のはっきりした成果(グラフと報告)がある」という、一般に「タスク(task)」と呼ばれる活動の特徴を一部そなえています。ただし、このページの進め方のように比較級・最上級を使うことや報告の型を先に示す場合は、厳密な意味のタスクというより、タスクを取り入れた練習(task-supported な活動)に近くなります。タスク中心の指導への批判を整理した論文では、タスク中心の指導は文法を重視する従来型の指導の「代わり」と考える必要はなく、それと組み合わせて使うことができると論じられています 1。この活動も、比較級・最上級を学んだあとに、その表現を本物の目的で使う場として位置づけられます。
タスク中心の指導(TBLT)を、短い実験ではなく実際の教室のプログラムとして長期的に行った研究を52件集めたメタ分析では、さまざまな学習成果に対して強いプラスの効果が報告され(他の指導と比べた27件の研究から算出した群間の効果が d = 0.93)、関係者の受け止め方もおおむね肯定的でした 2。ただし、その後の再検討では、もとにした研究の多くは「タスク中心」のプログラムと他の指導を比べるという目的に合っていないこと、条件を絞ると効果量はより小さくなることが指摘され、意味のあるメタ分析ができる段階にはまだないと論じられています 3。効果の大きさは確定的ではありません。また、これはプログラム全体の効果であり、1回のアンケート活動で同じ効果が得られるという意味ではありません。単元の中で、文法の学習とタスクを行き来させる組み立ての中で使うことが大切です。
❓ よくある質問
Q. 英語のアンケート活動は、どう進めますか?
先生がクラス全体に挙手で聞いてグラフにする見本を見せたあと、班で質問と選択肢を決めます。聞く相手を班の中で分担して重ならないようにし、立ち歩きで班全体で10人以上にインタビューし、班で集計して棒グラフを描き、報告文を4文以上書きます。発表は代表の3〜4班が1分ずつ行い、ほかの班は掲示して読み合います。2時間に分けると落ち着いて取り組めます。
Q. 報告文は、どんな型で書かせますか?
①何人に何を聞いたか ②一番人気(最上級) ③比較(比較級・as … as) ④意外だった点・理由の予想、の4文以上です。「Summer is the most popular.」だけで終わらないよう、4文の型を必ず埋めさせます。
Q. 集計できないアンケートになってしまいます。
自由回答にせず、選択肢を3〜4個と「Other」に決めてから聞くよう、質問づくりの段階で確認します。体重・家庭のこと・成績など、個人的で敏感な内容は避けるルールを最初に示し、先生が質問を必ず確認します。
Q. アンケート活動に、英語の力をつける効果はありますか?
意味のやり取りが中心で、はっきりした成果がある「タスク」の特徴を一部そなえた活動です。教室でのタスク中心の指導を長期的に行った研究を52件集めたメタ分析では、他の指導と比べた27件の研究から強いプラスの効果(d = 0.93)が報告されました 2。ただし、その後の再検討で、比べられる研究が少なく効果の大きさは確定的でないと指摘されています 3。また、プログラム全体の効果で、1回の活動で同じ効果が出るという意味ではありません。
Q. 生徒が日本語で聞いて回ってしまいます。
質問文をワークシートに大きく書かせ、読みながら聞いてよいことにします。「英語で聞いたか」を振り返りの項目に入れておくと、意識が変わります。インタビュー中のやり取りは、「指導に生かす評価」として観察します。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Ellis, R. (2009). Task-based language teaching: Sorting out the misunderstandings. International Journal of Applied Linguistics, 19(3), 221-246. doi:10.1111/j.1473-4192.2009.00231.x ✔ DOI照合済タスク中心の指導への批判を整理。タスクは文法を重視する従来型の指導と組み合わせて使えると論じる
- Bryfonski, L., & McKay, T. H. (2019). TBLT implementation and evaluation: A meta-analysis. Language Teaching Research, 23(5), 603-632. doi:10.1177/1362168817744389 ✔ DOI照合済実際のプログラムとして行われたタスク中心の指導(TBLT)の効果をまとめたメタ分析(52研究)
- Boers, F., & Faez, F. (2023). Meta-analysis to estimate the relative effectiveness of TBLT programs: Are we there yet?. Language Teaching Research. doi:10.1177/13621688231167573 ✔ DOI照合済TBLTの効果のメタ分析は、「タスク」の定義があいまいなため、まだ意味のある結論を出せる段階ではないと論じた論文
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






